No.218590

そらのおとしものショートストーリー2nd アストレアのお料理頑張るぞ

今週もショートストーリー更新 
そろそろそらおとOOも本格化しないと

俺の妹がこんなに可愛いわけがない
http://www.tinami.com/view/215127  (私の義妹がこんなに可愛いわけがない とある嫁と小姑のいつもの会話)

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2011-05-25 00:56:04 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2982   閲覧ユーザー数:2657

そらのおとしものショートストーリー2nd アストレアのお料理頑張るぞ

 

 

「私絶対、イカロス先輩よりもいい女になってやるんだから」

 わたしはちょっとだけ気になるアイツのためにだとうイカロス先輩をけついしました。

 イカロス先輩はわたしの知るさいこーにいい女です。

 びじんだし、頭もいいし、戦闘もさいきょうです。

 そしてかじも料理もじょうずです。

 さらにせいかくもいいです。わたしにご飯を食べさせてくれます。

 ついんてーるしかとりえのないニンフ先輩とは大ちがいです。

 ニンフ先輩はいつもお菓子をひとりじめしてわたしにはわけてくれません。

 ほんと、ニンフ先輩はついんてーるいがいにほめるところがありません。

 だからわたしのさいきょうのライバルはイカロス先輩です。

 アイツのいちばんになるにはイカロス先輩よりもいい女にならなければなりません。

 そしていい女になるにはたたかいで勝つだけではたりません。

 わたしのほうが智樹のおよめさんにふさわしいことをしょうめいしなければなりません。

 だからわたしは今まできょうみがなかったかじをいっしょうけんめい手つだうようになりました。

 かいものも、お料理も、おせんたくも、おそうじもみんなみんなお手つだいするようになりました。

 でも、わたしはバカなのでちっともじょうずになりません。

 むしろうでをみがきつづけるイカロス先輩とのさはひらいていくばかりな気がします。

「このままじゃ、いつまで経ってもイカロス先輩に勝てないわよっ!」

 このままじゃいけないとおもい、わたしはニンフ先輩にそうだんしてみることにしました。

 

 ニンフ先輩はついんてーるなのでわたしよりほんの少しだけおりこうさんです。

 なにかヒントをくれるかもしれないとおもってわたしはいまに入りました。

 

『ダメじゃ……明久。お主には雄二がおるではないか。それにワシにはもう……ムッツリーニがおる……』

『そんなこと知ったことかぁっ! 雄二はムッツリーニと浮気していた。だから僕はその復讐にムッツリーニの恋人である秀吉、君を力ずくでモノにしてやるんだよ!』

『だっ、ダメじゃ明久。ワシらはもう、1年も前に終わった関係なのじゃ。だから、思い直してくれ……』

『フッ、それこそダメだね。秀吉が僕を忘れられる筈がない。今、たっぷりと思い出させてあげるよ』

 

 ニンフ先輩はせいざして口にお煎餅をくわえながら昼どらを見ていました。

 ニンフ先輩は昼どらだい好きです。

 ドロドロした人間関係がだい好きだからだそうです。

 今もうわきとか、ふくしゅうとか良くないたんごがたくさんテレビからながれてきています。

 でもこのドラマ、ちょっとだけ変です。

 出てくるのがみんな男ばかりです。

 どうして男ばかりで好きだの愛してるだの言っているのでしょうか?

 だけど今はそんなことをかんがえているばあいじゃありません。

 だとうイカロス先輩のひさくを聞かないといけません。

「ニンフ先輩、ご相談があります」

「今、いい所なんだから話し掛けないでよね!」

 おこられてしまいました。

 でも、ここでひき下がるわけにはいきません。

 わたしとアイツのしょうらいがかかっているのですから。

「その、イカロス先輩に勝つためにですね……」

「ああっ、もう! どうして誰も秀吉が魔性の男だって気付かないのかしら? 秀吉は登場人物全員と関係を持つつもりなのよ。純情なふりして男を弄んでいるだけなのよ!」

 わたしのはなしをニンフ先輩は聞いてくれません。

 でも、わたしは負けずにはなしつづけます。

「どうすれば家事や料理が上手くなるのかニンフ先輩は良い方法を知りませんか?」

「秀吉は男を見る時にいつもお尻しか見ていない色情狂だって何で誰も気付かないのよ!」

 ニンフ先輩はドラマにかんじょういにゅうして少しもわたしのはなしを聞いてくれません。

 こうなったら、おくの手です!

「ニンフ先輩のペッタンコ~♪」

「何ですってぇっ!?」

 こえといっしょにバキッて大きなおとがして、わたしはニンフ先輩の右ストレートをほっぺたにくらっていました。

 かくじつにほっぺたのほねがおれたとおもいます。

 わたしにはイカロス先輩みたいなすごいじこしゅうふくきのうはないのに……。

「デルタ、死ぬ前に言い残したいことはある?」

 ニンフ先輩はえがおのままのこった左手をふり上げています。

 きこえていないとおもったのはわたしのかんちがいだったみたいです。

 でも、これでニンフ先輩にしつもんすることができます。

「どうしてニンフ先輩はそんなにおっぱいが小さい……じゃなくて、イカロス先輩に家事や料理で勝つにはどうしたら良いでしょうか?」

「そんなのアルファの動きをこっそり見て、その動きを盗めば良いじゃない。そして今すぐ死になさい♪」

 アドバイスとともにニンフ先輩の左のこぶしがとんできました。

 ニンフ先輩はほんとはわたしと同じきんせつせんがたエンジェロイドですよねとおもいながら、わたしはお空のおほしさまになりました。

 

 

 ちきゅうを2しゅうして戻ってきてからアドバイスにしたがってイカロス先輩のしごとぶりをこっそり見ることにしました。

 そしてわたしはイカロス先輩のばんのうのてんさいぶりにあらためておどろかされたのです。

 なんとイカロス先輩はたまねぎをきっても泣かないんです!

 その神さまもこえるばんのうぶりにわたしの足はふるえていました。

 わたしはなんてとんでもない人をライバルにしてしまったのだろうときゅうにこわくなりました。

 にげ出してしまいたくなりました。

 でも、ここでにげたらわたしはえいえんにアイツのおよめさんになれなくなってしまいます。

 わたしに自分できめることの大切さをおしえてくれたアイツがほかの女の人と結婚するのはぜったいにいやです。

 あいてがそんけいするイカロス先輩でもいやです。

 だからわたしはにげないことにしました。

 ううん、にげないだけじゃダメなんです。

 だからわたしは、イカロス先輩のほんとうのライバルになるためにもう1歩ふみ出すことにしました。

「イカロス先輩っ、私を先輩の弟子にして下さいっ!」

 わたしはイカロス先輩のでしになってぎじゅつをまなぼうとおもいました。

 とおくから見ているだけじゃさはひらくいっぽうです。

「……私は、口下手だから、教えるのが下手」

 イカロス先輩はすんなりとでし入りを認めてくれません。

 でも、ここであきらめるわけにはいきません。

「お願いします。私を弟子にしてください」

 どげざをして先輩におねがいします。

 今日のわたしは一味ちがうかくごなのです。

「……アストレアが、家事を上手にならないと、仕事が余計に増える…………上手く教えられないから、近くで見て覚えて」

「ほっ、本当ですか? あっ、ありがとうございます~」

 こうしてわたしのでし入りは認められました。

 やる気100ばいですっ!

 

 さっそくわたしはイカロス先輩のちかくによります。

 すると、先輩は顔を赤らめてほてったひょうじょうをうかべていることに気づきました。

 いったい、どうしたのでしょうか?

「先輩、熱でもあるのですか?」

 しんぱいになってたずねます。

 でもイカロス先輩はゆっくりとくびをよこにふりました。

「……私は今、マスターに、後ろから激しく抱きしめられているの。あっ、マスターの手が、胸に…」

「えええっ? 桜井智樹はまだ学校のはずですよ?」

 おどろきのこえを上げながらわたしはあることをおもい出しました。

「もしかしてそれって……」

「……そう。人妻モード」

 おもったとおりでした。

 イカロス先輩はアイツのおよめさんになりきって、台所でおこるかもしれないきゃ~んなもうそうにひたり料理をたのしんでいたのです。

「……人妻モードは、マスターのお嫁さん気分を、楽しむだけじゃない。全ての家事技能を、アップさせる為の、極意」

 イカロス先輩のひょうじょうはいつもと同じ。こえもおだやかです。

 でも、そのことばにわたしはつよいしんねんをかんじました。

「……例えば、今お味噌汁を煮ている、この水。私が一番風呂で、入った後の残り湯をすくったもの」

「そうだったんですかっ!?」

 桜井家のお味噌汁はししょーのおうちのお味噌汁とは出汁がちがうなとはおもっていました。でも、イカロス先輩が出汁になっていたとはおもいませんでした。

「……そして桜井家で使っている塩は、みんな私がジョギングして、流した汗から、抽出したもの」

「それも全然知りませんでした……」

 イカロス先輩はエンジェロイドなのでジョギングしてもスタイルがかわることはありません。

 だからなんのためにはしっているのかなとふしぎにおもっていたのですが、塩をつくり出すためとはかんがえてもみませんでした。

「……マスターの、良いお嫁さんでいようという決意は、全ての家事技能を上昇させる為の万能薬」

「なるほどっ!」

 すごいです。人妻モード。

 わたしもアイツのおよめさんになった自分をそうぞうすればお料理がじょうずになれるということでしょうか?

 ちょっとそうぞうしてみたりします……。

 

『アストレア、俺たちもう夫婦なんだから、台所で愛し合ってもいいんだよな?』

『ダメよ、智樹♪ まだ、料理の途中なのに』

『そんなことを言わずにさ。ほらっ、夫婦の愛の営み。ちゅ~』

『もぉ~。智樹ったらエッチなんだから……ちゅ~』

 

 はっ、はずかしすぎますぅっ!

 えっちすぎますぅっ!

 ちゅ~だなんて、いくら人妻とはいえわたしたちにははやすぎます。

 でも、うれしすぎますぅっ!

 あやうくもんぜつしてしんでしまうところでした。

 人妻しょしんしゃのわたしでさえこんなになってしまうのですから、人妻モードベテランのイカロス先輩はもっとすごいのだとおもいます。

 そうおもいながらイカロス先輩のようすをみます。

「……マスター、こんな所でなんて、恥ずかし過ぎます。えっ? そんな……はい、わかりました。私は、マスターの忠実な、妻エンジェロイドです」

 イカロス先輩はかおをまっ赤にしながらおしりをつき出すようなかたちで、前かがみになってガスコンロに手をついています。

 どこかぐあいでもわるいのでしょうか?

「……今日は、とても激しくだなんて……私、私は、私はもう……ブッ!!」

 とおもったら先輩はせいだいなはなぢをふき出しました。

 

 台所のすべてをまっ赤にそめあげながらイカロス先輩がゆっくりとこをえがいてあおむけにたおれていきます。

 桜井家でときどき食事がまっ赤にそまったときがあったのは、辛いものずくしだったからじゃなくて、先輩のはなぢだったんだってはじめてしりました。

 って、なっとくしているばあいじゃありません。

 イカロス先輩のようすをはやくみないと!

「イカロス先輩っ、大丈夫ですか!?」

 あわてて先輩をだきおこしながら、ようすをたしかめます。

 先輩は瞳とほおだけとてもキラキラと光らせていましたが、あとはもうぜんしんまっ青でたいへんなじょうたいになっていました。

「……自己修復モードに入るから、大丈夫。体の血液の、99%を、今の鼻血で失ったけど、100万年も経てば、元気になれるから……」

「100万年は長すぎですよぉっ」

 わたしたちエンジェロイドにとって100まんねんのじかんはそんなにながいものではありません。

 でも、にんげんはちがいます。

 にんげんのじゅみょうはせいぜい100ねんぐらいとアイツはいっていました。

 だから、先輩が100まんねんごに目をさましても、もうアイツはいないんです。

 そんなの、かなしすぎます……。

「……人妻モードは、諸刃の剣。役に入り過ぎると、私みたいになるから……アストレアは気を付けてね」

 光がよわくなってきたひとみでイカロス先輩がひっしにわたしにアドバイスをくれます。

「はいっ、わかりました」

 わたしはなみだをながしながら、イカロス先輩の手をひっしににぎりかえします。

「……桜井家の家事を、人妻を頼んだわよ…アストレア」

「はいっ! お任せください。だから、眠っちゃダメです、イカロス先輩っ!」

 わたしは先輩が100まんねんかかるじこしゅうふくモードに入らないようにひっしにはなしかけました。

「……マスター…ずっと一緒にいられなくて……ごめんなさい…………ガクッ」

 でも、むじょうにもイカロス先輩は目をとじ、にんげんにとってはながいながいねむりについてしまったのです。

 わたしはねむりについたイカロス先輩をそっとゆかにねかせます。

 そしてわたしは先輩にむかってちかいをたてたのです。

「先輩の分まで、私が立派な人妻になってみせますっ!」

 わたしのけついはほのおとなってせなかからふき出したのでした。

 

 

「智樹っ! 夕飯ができたわよ!」

 イカロス先輩のとむらいがっせんというべき、夕飯のじかんがやってきました。

 わたしはイカロス先輩から桜井家のかじをまかされました。

 そしてかじのごくい人妻モードもでんじゅされました。

 今こそ、そのしんかをはっきするときなのです!

「今日はアストレアが作ったのか。イカロスはどうしたんだ?」

「それは後で説明するからまずは食べてよ」

 智樹がくびをかしげながらわたしのつくった肉じゃがを口に入れます。

 好きな人に自分の料理を食べてもらうのはやっぱりドキドキします。

 さて、はんのうは?

「歯ごたえも煮方も悪くないな」

 智樹がえがおをみせてくれました。

 これって、これって!

「後、この隠し味になっている洗剤みたいな味が……って、ブッ!?」

 智樹はかんそうのとちゅうであおむけにたおれてしまいました。

 口からはあわをふいて、かんぜんに気絶しています。

「う~ん、間違えたかしら?」

 くびをひねってかんがえなおします。

 美味しい出汁をとろうとおもって、おふろにはいるさいにトイレ用せんざいをたくさんつかって体のすみずみまであらったのがなにかまずかったのかもしれません。

「私の求める人妻モードはまだまだ遠いわね。フッ」

 ほしのかがやきはじめた空をみながらわたしは自分のもんだいてんを口に出してみせます。

 今日はしっぱいしてしまいました。

 でも、明日こそはしっぱいしないようにしたいです。

 明日はおふろ用せんざいで体をあらって出汁をとりたいとおもいます。

「イカロス先輩っ、私、頑張りますからっ!」

 空美ちょーの夜空にイカロス先輩が笑顔でキメながら、わたしをやさしくみまもってくれていました。

 

 

 

 


 
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