No.417076

そらのおとしもの〜天使と仮面騎士の物語〜 第16話『ブーステッド・フォルス』

蒼き星さん

今回、話の都合上そらおと要素はかなり少なめです。


[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
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2012-05-02 09:57:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1030   閲覧ユーザー数:1022

パニッシャーが敗北した後、刹那達は鳴海探偵事務所の地下に集まっていた。

 

 

「アロガンスの新しい仮面ライダー……」

 

「刹那がガチで負けるなんて相当ヤバイな」

 

仮面ライダーが本気で敵とやり合って負けた。その事実は、照井と翔太郎の気を重くするのに十分だった。そこに、検索を終えたフィリップが話しかけた。

 

 

「パニッシャー……断罪の記憶と考えるのが妥当だが、該当データが一致しない」

 

「キーワードが足りないのか?」

 

「そうかもしれないね。恐らく、元となったデータにかなり手が加えられているのだろう。それと、刹那……」

 

フィリップの視線が沈黙を保っていた刹那に向けられた。

 

 

「今後、パニッシャーと激戦を繰り広げるのは間違いない。もはや、躊躇していられる状態じゃない。マテリアルの封印を解くんだ」

「マテリアル? 何だ、それは?」

 

 

照井竜が突然出てきた新ワードに首を傾げる。

 

 

「ゲイザーの強化フォームさ。アレの運動性はサイクロンジョーカーのそれを凌駕する」

 

「そんな切り札があるならなぜ使わない?」

 

 

「使えば、アロガンスが全力で潰しにかかってくる可能性があるからです」

 

 

照井竜の疑問に答えるため、刹那が沈黙を破った。

 

 

「マテリアルの元になつた存在は、奴らにとっては全力で消し去りたい存在です。もし、その存在がバレれば……」

 

 

照井は刹那の目が恐怖に染まっているのを感じた。かつて、自分の家族を失った時と同じそれが宿っているのを……。

 

 

「そういうことなら仕方がないな」

 

「次は、この娘達についてだ」

 

 

翔太郎がホワイトボードに張ってあるガルデモメンバーの写真を示した。

 

 

「確か、この娘たちは、この間お前が行方不明だった時に出会ったんだよな?」

 

「そうだ」

 

「あいつらはライダーでも怪人でもないみたいだしな。何で狙われていたんだ?」

 

「確かに智樹の言う通り気になるな。わざわざ切り札を投入してまで狙う理由が分からない」

 

 

翔太郎の発言を最後に、話し合いはいったん終わりになった。

 

 

 

★★★★★

 

【風都タワー・展望台】

 

 

人もまばらになる夕暮れ時、刹那は1人町を眺めていた。

 

 

(俺はどうするべきだ?)

 

 

刹那は自問自答していた。

 

 

(マテリアル……母さんの力を使えば奴らが何をしてくるか分からない。だが……)

 

 

刹那が握り拳を作っていると、背後から若槻遼三が声をかけた。

 

 

「どうしたんだ? ずいぶんと元気がないようだが」

 

 

若槻はさりげなく刹那の側により手すりをつかむ。

 

 

「君は、この間遊園地で天使の女の子とデートしていた高校生だね。喧嘩でもしちゃったの?」

 

 

その問いに対し、刹那は首を横に振る。

 

 

「今、迷ってるんです」

 

「何を迷ってる?」

 

 

「現状を打破するには本気を出さなければいけない。しかし、それをすればはるかに困難な壁がやってくるのが見えてくるんです」

 

「なるほど。だが、俺は君を理解できない」

 

工藤刹那と若槻遼三……2人のライダーは、互いの正体を知らぬまま心情を吐露していく。

 

 

「なぜあんな人外と付き合ってる? 俺には訳が分からない」

 

「イカロスは『俺の家族は、奴らのせいで死んだ』えっ?」

 

「ただ平和に暮らしていただけだった。だが、奴らが……奴らが俺の家族を死に追いやった!!」

 

「皆が皆、悪い人では――」

 

 

刹那の反論は、警報によって妨げられた。外を見ると、煙がモクモクと上がっている。

 

 

「フォルス!? こんな時に!! 話は、また今度で」

 

「あっ、君」

 

 

若槻が呼び止めようとするが、刹那はそれを振り切った。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「目標は、全て確保しました」

 

「よし、撤収だ!!」

 

 

ソルジャー部隊とサイ型のズ・ザイン・ダが撤収しかけた時、ゲイザーのゲイズチェイサーがたどり着いた。

 

 

「グロンギタイプか。再生能力が厄介だな」

 

「遅かったな、仮面ライダー。我々の用はもう済んだ」

 

「いったい何をしていた?」

 

「我々が素直に話すわけないだろ。やれ!!」

 

ザインが号令をかけると、ソルジャー部隊はマシンガンを構えて集中砲火してきた。

 

 

「いっきに切り崩す!!」

 

《ATTACK RIDE:METAL》

 

 

ゲイザーは敵の銃弾をかわしながらカードを使って身体を硬化させた。

 

 

「銃弾が効かない!!」

「撃て!! 撃ちまくるんだ!!」

 

 

ソルジャーが果敢に反撃するが、ゲイザーに有効的なダメージを与えることは出来ない。ゲイザーは被弾を無視して最短距離で詰め寄り、ライドブッカーⅡで1体を真一文字に切り裂く。続けて、間近にいた2体目を逆袈裟に斬る。部隊の第二陣がブレードで接近戦を挑む。

 

 

「剣でこの俺に挑むか!!」

 

《ATTACK RIDE:FLAME SAVER》

 

 

ゲイザーはフレイムセイバーを召喚して左手に構え、敵部隊を迎え撃つ。ライドブッカーⅡとフレイムセイバーで巧みに斬り伏せていく。

 

 

「さて、後はお前だけだ」

 

 

ゲイザーはライドブッカーⅡを突きつけて宣告する。

 

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

ザインは頭部を突き出して突進する……が、横からゲイズチェイサーによってはね飛ばされる。

 

 

「さすがに基本フォームで真正面からやり合うのは危険すぎるな」

 

ゲイザーはバイクに乗ると、コンソールを操作して前部のレーザーブレードを展開する。それを見たザインの目がギョッとする。

 

 

「待て!! 話せば分か――」

 

「確かスティグロ……だったか? これの元になっているのは」

 

 

ゲイザーはスルースキルを発動してアクセルを入れる。ザインはそのまま再度はね飛ばされる。

 

 

「予想以上に頑丈だな」

 

 

ザインはよろよろになりながらもまた立ち上がる。

 

 

「こうなったら、これを使うしか」

 

 

ザインは右手で1本のメモリを取り出す。

 

 

「ガイアメモリ……? 止せ!!」

 

 

ただでさえドライバーを介さないメモリの使用は死のリスクを伴う上にフォルスは身体その物がガイアメモリといって過言ではない。ゲイザーが慌てて制止するが、ザインはそれを振り切った。

 

 

《T-REX》

 

 

首にガイアメモリを挿入したザインはその姿を変えた。大きな尻尾が生え、恐竜の意匠が身体中のあちこちに現れ、頭部も角がより大きく鋭くなり、頑丈な上顎が現れた。

 

 

「フォルスに変身したままドーパントになっただと!?」

 

「仮面ライダー……貴様だけはぁぁぁぁ!!」

 

Tザインは強化された脚力を使い、ゲイザーに突っ込んだ。

 

 


 
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