No.407292

劇場版仮面ライダーアクエリアス エピソード・オブ・ベルカ EPISODE3

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

続きを表示

2012-04-12 21:38:08 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:855   閲覧ユーザー数:854

[予告編]

 

「やあ、士樹」

 

「あ、ユーノさん」

 

「何を読んでるの?」

 

「古代ベルカを生きていた覇王の伝記を読んでいたんですよ」

 

 

 

―それは、1人の少年が好きな人についてもっと知りたいと思ったことがきっかけだった―

 

 

―少年が司書と話しながら本のページをめくっていくと、

 

 

 

“助けて”

 

 

 

突然謎の声が助けを求めた―

 

 

―その数秒後、少年は本に吸い込まれて気を失った―

 

 

 

「ここはいったい…?」

 

「どうやら気が付いたようだな」

 

 

 

―本に吸い込まれてたどりついた先は古代ベルカの覇王領―

 

 

 

「クラウス・G・S・イングヴァルトだ、よろしく頼む」

 

「前杉士樹です。助けてくれてありがとうございます」

 

 

 

―そこで出会ったのは、少年にとって何ものにも代え難い人物の先祖だった―

 

 

 

「聖王と覇王、冥王が仲良く学園生活を送っている!?」

 

「信じられませんか?」

 

「今の状況からは信じがたいが、この写真を見れば信じざるを得ないだろう」

 

 

 

―少年が現代のこと、覇王や聖王の末裔について話したことをきっかけにして2人は次第に打ち解けていった―

 

 

―だが、その平和も長くは続かなかった―

 

 

 

「町の人達が怪物に襲われている?」

 

「ああ、魔力反応が無い上に並の兵じゃ歯が立たん」

 

 

 

―そして現れたのは、かつて世界の破壊者達によって倒されたはずの悪の秘密結社―

 

 

 

「何故だ!?何故お前が生きている!?アポロガイスト!!」

 

「言ったはずだ、宇宙で最も迷惑な奴として蘇るとな!」

 

 

 

―少年は鎧をまとい懸命に戦うが、強化変身したその怪人に歯が立たなかった―

 

 

―それでも少年は諦めようとしなかった―

 

 

 

「もういい!!君がそこまでして戦う必要はない!!」

 

「あなたの死は、僕の恋人の消滅を意味します!それを受け入れられる事が出来ないから戦うんです!!!」

 

 

 

―必死の思いで戦う少年の危機を知り、終焉者が助けに来た―

 

 

 

「大樹さん…」

 

「君がこんな無茶をするなんて珍しいね。ま、彼女の存在がかかってるんじゃ無理ないけど」

 

 

 

―少年は終焉者から手渡された1枚のカードを手に再び立ち上がる―

 

 

 

「見せてあげるよ、アクエリアスの……終焉を継ぐ者の真の力を!!」

 

≪FINAL KAMEN RIDE:AQUARIUS≫

 

 

 

―少年が手にしたのは、あらゆる障害を撃ち滅ぼすための銃と未来を予知する第六感―

 

 

―今ここに未来をかけた壮絶な戦いが始まる―

 

 

 

 

 

 

 

[EPISODE1]

 

【ACE学園高等部図書室】

 

 

「やあ、士樹」

 

 

司書であるユーノ・スクライアが本の整理をしていると、読書中の士樹と出会った。

 

 

「あ、ユーノさん」

 

「何を読んでるの?」

 

「古代ベルカの覇王の伝記ですよ。ふと読みたくなったんですよ」

 

「なるほどね」

 

 

士樹は本を左手で持ちながらユーノと話す。

 

 

「ところで、今はどの辺りを読んでるんだい?」

 

 

ユーノが士樹の肩越しに本を覗きながら言う。

 

 

「まだオリヴィエがゆりかごに乗り込む前ですね」

 

 

士樹がユーノに答えながらページをめくっていくと、

 

 

 

“助けて…”

 

 

 

何処からか声が聞こえてきた。士樹は周りを見渡すが、自分の近くにはユーノしかいない事を確認する。士樹の様子に気づいたユーノが声をかけてくる。

 

 

「どうしたの?」

 

「…今何か聞こえませんでしたか?」

 

「? いや、何も聞こえなかったよ」

 

(空耳にしては妙にはっきりしているな。いったい誰が?)

 

 

士樹が視線を本に向けたまま右手を顔に当てて思案する。すると、突然本が光り出した。

 

 

「本が!?」

 

“助けて……誰か助けて”

 

(まただ!この本が僕を呼んでいるのか?)

 

 

ユーノが叫び、士樹がそう考えたとたんに本の輝きが強くなり、士樹を包み込んだ。

 

 

「士樹!!」

 

 

光が収まり、ユーノが呼び掛けた時そこにいるはずの少年は存在せず、ただ分厚い本が床に落ちる音だけが響いた。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

それからいくばくの時間が経過した後、士樹は目覚めた。起きた士樹は現在の状況を理解することを始めた。それで、自分が今ベッドに寝ていて、その部屋―恐らく建物全体―が石造りであることが分かった。

 

 

「ここはいったい…?」

 

「気がついたようだな」

 

 

士樹が声の方に振り向いた時その表情は驚愕に包まれた。何故なら彼の恋人と同じ碧銀の髪を持つその人物はとうの昔に死んでいるはずだからである。

 

 

「私はクラウス・G・S・イングヴァルトだ。ここはベルカの覇王領で、君は私の白の前で倒れていたところを警備の者が保護したんだ」

 

「(なるほど、そういう事だったのか…)僕は前杉士樹です。助けてくれてありがとうございました」

 

 

士樹は、自分が置かれた状況を把握し、頭を下げて礼を言う。ちなみに、慌てていないのは、単に場慣れしているだけである。

 

 

「それで、君はどうしてあんなところで倒れていたんだ?」

 

「実は…」

 

 

士樹はここに来るまでの経緯、自分が遠い未来の別世界から来たのであろうことをクラウスに告げた。

 

 

「未来か…。信じがたいが、君の銃に使われている技術から考えるとあながち嘘ではないだろう」

 

 

クラウスは士樹にアクエリアスドライバーとカード入れを渡しながら言った。

 

 

「未来の生活がどうなっているのか興味がある。話してくれないか?」

 

「僕が現在住所を置いている世界ではいろんな出自の人や種族による平和的な共存を模索し、そのための学園が作られました」

 

「ほう」

 

「ちなみに、聖王と覇王の子孫、冥王本人も生徒として普通に暮らしています」

 

「現在の戦乱の世界からは考えられないな…」

 

「証拠写真を見せますよ」

 

 

クラウスはあまり表には出していないが、内心では驚いていた。そんなクラウスに士樹はどこに持っていたのか普段接することの多いリリカルメンバーと撮った写真を見せた。

 

 

「随分と女性が多いが、君はハーレムでも築いているのか」

 

「違いますよ。僕が付き合っているのはアインハルトだけです」

 

 

士樹は写真の中で自分と腕を組んでいるアインハルトを指差す。

 

 

「これは私の子孫だな」

 

「そうですよ」

 

「この活発そうな女の子はオリヴィエの子孫で、この内気な女の子は冥王か」

 

「性格にはヴィヴィオはクローンですけどね。ヴィヴィオとは時々アインハルトを巡って争奪戦を繰り広げることもあります」

 

「平和な世界じゃなかったのか?」

 

「たまにゾンビが発生する等の事件が起こって命の危険を感じることはありますが、基本的に平和です」

 

「それは本当に平和というのか」

 

 

しれっと言う士樹にクラウスは呆れ気味になる。2人が話していると、1人の女性が部屋の扉をノックした。

 

 

「クラウス、入っていいですか?」

 

「良いですよ」

 

 

入ってきた女性の顔を見たが、現在地が古代ベルカの覇王領だという時点である程度予測していたために士樹は驚かずにすんだ。

 

 

「オリヴィエ・ゼーゲブレヒトです。以後、よろしくお願いします。クラウスの呆れ声が聞こえてきたのですが、何を話していたんですか?」

 

 

士樹とクラウスはかくかくしかじかとこれまでに話していたことを説明した。

 

 

「ずいぶんと楽しそうな学園ですね、私達もそんな風に出来たら良いんですが…」

 

 

オリヴィエは笑顔でそう言った。

 

 

「もっと詳しい話を――」

 

 

突然オリヴィエの話を遮るようにして乱暴に扉が開かれ、1人の兵士が入ってきた。

 

 

「どうしたんだ?」

 

 

クラウスが表情を引き締めて話を聞く態勢になる。

 

 

「大変です、覇王様!町に怪人が現れました!!」

 

「なんだと!?」

 

「怪人……」

 

 

兵士が報告した内容にクラウスは大声を上げた。士樹も己とは決して切り離すことが出来ないその単語に反応した。

 

 

「今怪人って言いましたよね?」

 

「えぇ、最近町にちょくちょく現れるんです。しかし、単体での戦闘能力が高くてベルカの騎士でも並の者じゃ歯が立たないんです」

 

「状況はどうなっている?」

 

 

オリヴィエが士樹に説明する傍らでクラウスは現状の把握に務めていた。

 

 

「城下町の南西部にて騎士団が交戦していますが、なかなか決定打を与えられません」

 

「南西部か」

 

 

士樹はカード入れとアクエリアスドライバーを持って窓に近寄る。

 

 

「士樹、何をしに行くんだ?」

 

「怪人と戦いに行きます」

 

 

士樹は窓枠に乗りながらさも当然のように言い放った。

 

 

「そっちは窓だぞ」

 

「時間が無いようなのでショートカットさせていただきます」

 

 

そう言いながら士樹は窓から飛び降りた。そして、重力軽減魔法を使って無事に着地した。

 

 

「ドライバーはどこも故障していないみたいだね。これなら十分戦える」

 

 

着地した士樹の側に蒼がベースで黒のラインが走っている専用バイクであるアクエリアスチェイサ―がやってきた。

 

 

「まるでゼクターだね」

 

 

バイクのエンジンは既に暖まっているようで主の搭乗を心待ちにしているように感じられた。士樹はアクエリアスチェイサ―に跨り、戦場に向けて発進した。

 

 

[EPISODE2]

 

【覇王領城下町南西部】

 

 

「第1、第2小隊全滅!!」

 

「第5、第7小隊もほぼ壊滅状態です!!」

 

 

町に現れた怪人と交戦している部隊の仮司令部とも言うべき場所で指揮官は伝令から報告を受けていた。魔力反応をいっさい用いない人知を超えた力を持つ存在に手こずらされている指揮官は苦い表情をした。

 

 

「近接戦闘が十八番のベルカの騎士でさえこのざまとは……」

 

 

騎士団と戦っている怪人の内十数体のアントロードが仮司令部の方へ向かってきた。

 

 

「隊長!!」

 

「ここは死守だ!!ネズミ1匹通すな!!」

 

『了解!!』

 

 

指揮官とその周りにいた騎士達が怪人を迎撃しようとデバイスを構えた時、

 

 

 

「はい、到着」

 

 

 

士樹のアクエリアスチェイサ―が先頭にいるアントロードを跳ね飛ばして指揮官に背を向ける形でバイクを停止させた。

 

 

『…………』

 

 

思わぬ乱入者に騎士達は目を点にしていた。

 

 

「邪魔だね」

 

 

当の士樹はバイク上にコンソールを呼びだして操作していた。

 

 

「逝ってらっしゃい」

 

≪FULL FIRE≫

 

 

電子音と共にアクエリアスチェイサ―に搭載されているミサイルランチャー、ガトリングガンから大量の砲弾が放たれた。それらの砲弾は十数体のアントロードを塵1つ残さず吹き飛ばした。

 

 

「思ったよりけっこういるね」

 

 

士樹はバイクから降りて、後ろを見る。

 

 

「騎士団の人達ですね。大丈夫ですか?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「貴様はいったい何者だ?」

 

 

騎士の1人が士樹に問う。

 

 

「終焉を受け継ぐ仮面ライダーです。変身!」

 

≪KAMEN RIDE:AQUARIUS≫

 

 

士樹はアクエリアスドライバーから発生した複数のシルエットが重なると共に蒼の鎧を身にまとい、仮面ライダーアクエリアスへと変身した。

 

 

「仮面ライダーだと!?」

 

「この時代にはいなかったはずだぞ!?」

 

 

アクエリアスの姿を確認したオルフェノクとグロンギが何体か突っ込んできた。アクエリアスは振り向かずにそのままカードを1枚使用した。

 

 

≪ATTACK RIDE:CLOCK UP≫

 

 

怪人の攻撃が触れる直前にアクエリアスの姿は消え、人間では認識できない速さで動きだした。

 

 

「消えただと!?」

 

「いったいどこへ行っ――ぐはっ!?」

 

 

オルフェノクは台詞の途中でグロンギと共に空中に吹き飛び、散弾による集中砲火を受けて爆散していった。その後、他の怪人達の一部が死を認知する間もなく倒れていった。騎士達は自分達が手も足も出なかったアクエリアスの戦闘力から目を離せなかった。

 

 

≪CLOCK OVER≫

 

 

クロックアップが時間切れになったアクエリアスは再び騎士達の前に姿を現した。

 

 

「次は、これだ!!」

 

≪KAMEN RIDE:SEED BIRTH≫

 

≪FAFNER RIDE:MARK FUNF≫

 

 

アクエリアスは3枚のカードを使い、メタルブラックが特徴的な仮面ライダーシード、黒くて体中に球体状のアタッチメントが付いている仮面ライダーバース、紫色の機動兵器……マークフュンフを呼びだした。

 

 

「し、召喚だと!?」

 

 

アクエリアスの特殊能力にベルカの騎士達は驚愕した。

 

 

「戦えない人達はその後ろに隠れてください!!」

 

 

アクエリアスがそう言うと、マークフュンフは騎士達に近寄り、壁となるべくイージスと呼ばれる特殊シールドを展開した。その後、1番格闘に長けたシードが敵に殴り込み、アクエリアスとバースが援護する形で怪人達を蹴散らしていった。怪人の数はどんどん減っていき、最後にはドラゴンオルフェノクだけが残った。

 

 

「お前で最後だ」

 

「このっ…、なめるな!!」

 

 

余裕たっぷりに言うアクエリアスにドラゴンオルフェノクは突っ込んできた。

 

 

「チェックメイトだ」

 

≪ATTACK RIDE:CROSS ATTACK≫

 

 

電子音が響くと、バースとシードが必殺技を放つ体勢に入った。シードがライダーパンチ、バースがセルバースとした上でのドリルアームによる必殺攻撃をドラゴンオルフェノクへと放つ。ドラゴンオルフェノクは両腕の装甲でそれを防ぎ、両者は拮抗するが、

 

 

≪FINAL ATTACK RIDE:D・D・D・DRAKE≫

 

 

アクエリアスがディエンド譲りの高速移動で背後に回り込み、ドレイクの必殺技であるライダーシューティングを放った。さすがに必殺技による挟撃には耐えられなかったのかドラゴンオルフェノクは爆発した。戦闘の終了を確認したアクエリアスが変身を解除しようとしたら突然白いタキシードを着た1人の男性が歩み寄ってきた。

 

 

 

「ほう。ライダーを召喚する青いライダーがいると聞いたが、ディエンドではなく貴様だったのか」

 

 

 

アクエリアスはその男性を警戒し、再び気を引き締める。

 

 

「何故だ!?何故お前が生きている!?アポロガイスト!!」

 

「言ったはずだ、私は宇宙で最も迷惑な奴として蘇るとな!!」

 

「なら、さっそく地獄に帰ってもらおうか」

 

 

アクエリアスと召喚されたライダー達がアポロガイストをいつでも攻撃できるよう体勢を整える。

 

 

「まあ、待て。今回私は戦いに来たわけではない」

 

「何? じゃあ、いったい何が目的なんだ!?」

 

「この世界にいる騎士とやらの様子見だ。だが、もうそれも終わった。次は、全戦力でこの国を攻め滅ぼし、スーパーショッカー復活の糧とする!!」

 

 

アポロガイストは両手を広げながら大仰に叫ぶ。

 

 

「くたばれ」

 

 

アクエリアスは発砲するが、2人を遮るようにしてオーロラが現れてアポロガイストをそのまま包み込んでしまった。

 

 

『また会おう、仮面ライダー』

 

 

アポロガイストが捨て台詞を放った後、アクエリアスは変身を解除し、それと共に召喚されたライダー達は消滅した。

 

 

「逃がしたか……。厄介な事が起こったね」

 

 

士樹は苦々しげにそう吐いた。

 

 

「城に戻ってクラウスさん達と相談しないといけないな」

 

 

士樹はアクエリアスチェイサ―に乗り、来た道を戻っていった。

 

 

 

 

 

[EPISODE3]

 

士樹が町に現れたスーパーショッカーの残党を撤退させた後、クラウスの城で高官達を交えた話し合いが行われていた。何故かオリヴィエもいるが、気にしてはいけない。

 

 

「なるほど、敵は文字通り我らを自らの糧とするべく侵攻しようとしているのですね、前杉さん」

 

「はい」

 

「そして、この国だけでなく全宇宙をも支配しようとしている……迷惑極まりない組織だな」

 

 

クラウスが心底うんざりだと言いたげな表情をする。

 

 

「前杉さん、この世界にライダーシステムはありません。それ以外にスーパーショッカーと対抗する方法はありませんか?」

 

「各怪人のデータは既にここに集まっている方々のデバイスに送っておきました。まずは、それを見てください」

 

 

士樹がオリヴィエの質問に答える形で話を進め、各々のデバイスに送られてきたデータを確認する。

 

 

「おお」

 

「ここまで細かいとは……」

 

「これらのデータと更なる情報収集、現在の戦力を頭に入れ、皆で作戦を練りましょう。中には、グロンギなどの様に回復力の高い怪人もいますので死亡が確認できるまで徹底的に攻撃を加えるのが基本的です」

 

 

士樹が話し終わった後、クラウスが立ち上がった。

 

 

「技術部はこのデータを元に大至急対怪人用魔法の術式と装備を準備しろ。敵はそう待ってはくれない! 近い内に必ず攻めてくるぞ!!」

 

「了解しました!」

 

「次は、間違いなく決戦になる! 皆、絶対に生きて帰るぞ!!」

 

『分かりました』

 

 

覇王領の人々は生き残るべく怪人という圧倒的な存在に対して抗おうとしていた。

 

 

 

★★★★★

 

【3日後、覇王領城下町前の荒野】

 

 

アポロガイストは覇王領を落とすべく荒野を進軍していた。その後ろには、様々な怪人から構成された大部隊がいた。

 

 

「全軍前進! これよりあの国を落とし、スーパーショッカーの復活を宣言するのだ!!!」

 

 

先頭を行くアポロガイストの一声でスーパーショッカー構成員の士気はいやおうなしに向上していく。

 

 

「我らとまともに戦えるのは、アクエリアスたった1人!! それさえ潰してしまえばこの戦は勝ったも当ぜ」

 

 

アポロガイストの台詞を遮るように部隊の後方で爆発が起こった。

 

 

「な、何があった!?」

 

「な、内乱です!! 怪人部隊の一部が味方を無差別に攻撃し始めたせいで現在部隊が混乱の真っただ中に陥っています!!」

 

「内乱だと!! 何故こんな急に――待てよ。確かシンケンジャーの世界で……」

 

 

アポロガイストはこの内乱の原因に思い当たり、指示を飛ばした。

 

 

「3個小隊を仮面ライダーの捜索と排除に回せ!! 内乱を起こした怪人は奴の能力で召喚されたものだ!!」

 

「りょ、了解」

 

 

アポロガイストの側から報告をしていた怪人が離れると、今度は砲撃の嵐が降り注いだ。砲撃の嵐は怪人の命をいとも簡単に狩りとっていく。

 

 

「くそっ! やはり一筋縄ではいかないか…」

 

 

★★★★★

 

 

 

「さあて、そろそろ行きますか」

 

 

今回の戦闘において士樹達が取った戦法はこうである。まず、カイジンライドで何体か怪人を召喚し、開発中だったステルス性の高い無人機(現代では、ガジェットⅣ型と呼ばれている)と一緒に紛れ込ませて騒ぎを起こして敵を混乱に陥れる。その後、砲撃部隊による一斉射を行い、主力部隊が敵部隊に攻撃するというものである。アクエリアスに変身していた士樹は近くの岩陰から出て敵の大将であるアポロガイストめがけて一気に駆け出した。ほぼ同時期にクラウス率いるベルカの騎士団がスーパーショッカーに突撃した。

 

 

「邪魔だよ」

 

≪FINAL ATTACK RIDE:A・A・A・AQUARIUS≫

 

 

アクエリアスはディメンションシュートⅡで強引に突破口を開いてアポロガイストの所までたどり着いた。

 

 

「アポロガイスト、僕達が用意した歓迎のプレゼントはどうだった?」

 

「……辛口過ぎるぞ。もう少し客のことを考えるべきだな」

 

「悪の秘密結社を迎えるにはこれぐらいがちょうど良いさ」

 

「なら、こっちもそれに答えよう! スーパーアポロ・チェンジ!!」

 

 

アポロガイストは白いマントと顔に付いている特徴的な青い装飾(?)、銅色と黒色の体のスーパーアポロガイストになった。アクエリアスはかつて破壊者一行を圧倒したことがあるその存在に一瞬たじろぐが、すぐに行動した。

 

 

≪ATTACK RIDE:ILLUSION≫

 

 

アクエリアスはカードを使い、4体の分身を作り出した。

 

 

「数を増やしたぐらいで!!」

 

 

アクエリアス達は巧みに近接、援護、同時射撃を組み合わせたコンビネーションを繰り広げるが、アポロガイストは左腕に付けた刃付きの盾と右手の剣で軽くいなしていく。

 

 

「フンっ!」

 

 

それだけでなく剣で切り裂き、盾を投げるなりして分身を次々と消していった。

 

 

「さすがに一筋縄ではいかないね」

 

 

アクエリアスはMモードのアクエリアスドライバーで距離を取りながら弾をばらまいていく。Sアポロガイストは盾を斜めに構えて受け流し、右手に構えた銃でアクエリアスに向けて的確な射撃を加え、吹き飛ばす。

 

 

「くっ!」

 

 

Sアポロガイストは追い討ちをかけるように射撃を加えるが、アクエリアスは横に転がって回避し、すぐに起き上がって反撃するが、

 

 

「無駄だ!!」

 

 

Sアポロガイストは盾で弾を防ぎながらアクエリアスに近づき、右手の剣でさみだれ斬りにする。

 

 

「ぐはッ……!!!」

 

 

Sアポロガイストの猛攻によるダメージでアクエリアスは変身解除してしまう。

 

 

「士樹!! このっ!!」

 

 

近くにいたクラウスが士樹を助けるべくSアポロガイストに接近して拳を打ちこむ。そのままSアポロガイストといくらか打ち合うが、蹴り飛ばされてしまった。

 

 

「クラウスさん」

 

 

士樹は体に鞭を打ち、クラウスをかばうようにして前に出た。

 

 

「士樹……」

 

「この人には指1本触れさせるない!!」

 

「無駄な事を……。どちらがより早く死ぬかの違いしかないぞ」

 

 

Sアポロガイストは冷酷に告げる。だが、士樹の目はまだ死んでいなかった。

 

 

「弱いこと、運が悪いことは何もしない言い訳にはならない」

 

「? 何か言ったか?」

 

「たとえどれだけ多くの軍勢が現れても、それだけ強い敵が現れたとしても……最後まで守るべきもののために戦い続ける!! それが、仮面ライダーだ!!!」

 

 

そう言って、士樹がアクエリアスドライバーを構えてSアポロガイストに発砲しようとした瞬間何処からか撃たれたシアン色のエネルギー弾がSアポロガイストに直撃した。

 

 

「今の弾丸、まさか……」

 

 

士樹とSアポロガイストは弾丸が飛来してきた方向を見た。そこには、士樹の師匠兼命の恩人である海東大樹が変身する仮面ライダーディエンドだった。

 

 

「大丈夫かい、士樹?」

 

「大樹さん……」

 

「図書室に忘れ物をしていたから届けに来たよ」

 

 

そう言って、ディエンドは士樹に近づいて1枚のカードを手渡す。それは、どんな手段を使ったとしても士樹以外は使うことが出来ないライダーのカードだった。

 

 

「これは……!!」

 

「後は、君でなんとかしたまえ」

 

≪ATTACK RIDE:INVISIBLE≫

 

 

ディエンドは透明になり、どこかへ消えてしまった。

 

 

「話は終わったか?」

 

 

珍しく空気を読んでいたSアポロガイストが再び喋りかけてきた。

 

 

「ずいぶんと空気を読むじゃないか、士さんの時とは大違いだ」

 

「冥土の土産代わりに待ってやったのだ」

 

「そうかい。なら、こっちも冥土の土産をあげなくちゃいけないな」

 

「どう言う意味だ?」

 

「見せてあげるよ、アクエリアスの真の力を……!!」

 

 

士樹はディエンドから手渡された1枚のカードをアクエリアスドライバーに装填した。

 

 

≪FINAL KAMEN RIDE:AQUARIUS≫

 

 

電子音と共に士樹は白銀の翼に包まれ、姿を変えていった。蒼色だった部分は深海の如く深く黒い蒼になり、より硬い装甲を身にまとっていき、背中には白銀の大きな翼が装着された。最後に、アクエリアスドライバーも大型ライフル……アクエリアスバスターへと変化し、深海の天使[仮面ライダーアクエリアス・ゼロフォーム]への変身を完了した。

 

 

「終焉の後継者の名の下にお前を狙い撃つ!!」

 

「調子に乗るな!!」

 

 

Sアポロガイストはアクエリアス・ゼロに接近し、右手の剣を振るう。だが、その攻撃をまるで最初から分かっていた・・・・・・・・・・かの様な動きでアクエリアス・ゼロは避けた。続けてSアポロガイストは連続で斬りかかるが、アクエリアス・ゼロは折り畳んだアクエリアスバスターの銃身でそれを受け止めた。

 

 

「何!?」

 

 

Sアポロガイストが驚いている間にアクエリアス・ゼロは同形態のアクエリアスバスターを召喚し、左手で持った。そのバスターをSアポロガイストの腹部に突きつけて連射し、引き離す。

 

 

「ッ!? スーパーマグナムショット!!」

 

 

Sアポロガイストは銃で攻撃するが、アクエリアス・ゼロは背中の翼を展開して防御する。

 

 

「この程度じゃ今の僕には傷1つ付けられないよ」

 

 

アクエリアス・ゼロは両手の銃を構えながらSアポロガイストに接近する。

 

 

「アポロガイスト様!!」

 

「今お助けします!!」

 

 

ピンチに陥っているSアポロガイストを助けようと大勢の怪人がアクエリアス・ゼロに駆け寄ってくる。

 

 

「チェックメイトだ」

 

≪FINAL ATTACK RIDE:A・A・A・AQUARIUS≫

 

 

アクエリアス・ゼロは右手のアクエリアスバスターにカードを装填してから両手のアクエリアスバスターを展開してバスターモードに戻す。それから2丁のアクエリアスバスターを合体させ、両手でしっかり構えて目の前の軍勢に狙いを付けてエネルギーチャージし、引き金を引く。合体したアクエリアスバスターから放たれた巨大なエネルギーの奔流[アクエリアス・ラグナロク]は目の前の軍勢を丸ごと呑み込んだ。

 

 

「スーパーショッカーに栄光あれぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

Sアポロガイストの断末魔の叫びと共にスーパーショッカーは再び壊滅した。

 

 


 
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