No.402733

そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~ 第4話『不死身のM/新たな天使』

蒼き星さん

そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~!

前回起こった3つの出来事!!

1つ、イカロスが刹那達の学校に(不正)転校してきた

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2012-04-04 18:34:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:928   閲覧ユーザー数:920

【工藤家、刹那の自室・13:30】

 

昼食後、ベッドで昼寝していた刹那は目が覚めた。

 

「そろそろ起きるか」

刹那は背伸びしようとするが、体が動かず、引っかかりを感じた。

疑問に思った刹那がシーツをめくると、

 

「……もう起きるんですか」

 

何故かパジャマ姿のイカロスが刹那に抱きついて寝ていた。

 

「イ、イカロス、何故ここで寝ている?」

 

奇襲に取り乱しながらも刹那は尋ねる。

 

「愛し合う者同士は一緒に寝るものだとアインハルトさんが言っていました」

「あいつか…」

 

向こうにいる最後の夜天の主にいろいろと吹き込まれた古代ベルカの戦姫を思い浮かべ、刹那は頭を抱える。

 

「駄目でしたか…?」

「いや、むしろ嬉しいんだが…、寝ている最中に襲われるとか思わないのか?」

「大丈夫です…、あなたはひどいことをするような人じゃないと信じていますから」

 

静かだけれど、強い思いがこもった台詞を発しながらイカロスはより一層刹那に密着した。刹那は戸惑いながらも抱き返した。刹那にとってイカロスの感情や仕草の1つ1つが嬉しかった。

 

「そろそろ起きるぞ、イカロス」

「はい」

 

2人はベッドから降りて、私服に着替えた。

その時、イカロスが刹那の目の前でいきなり着替え出し、刹那がオーバーヒートを起こして気絶しかけたのは別の話だ。

 

 

★★★★★

 

 

1階のリビングに入った時、刹那が見たのは、明るい空色のツインテールを持つ小柄な少女と

 

「はむはむ。これ、いけますね」

「喜んでいただけて嬉しいです」

 

トリュフチョコを食べている腰まで届く長い金髪の少女がリインと一緒にいるところだった。

 

「おはようございます、2人とも」

「リイン、この2人は誰だ?」

 

未確認の存在を警戒しながら刹那は質問した。その質問に、リインではなく小柄な少女が答えた。

 

「アンタが工藤刹那ね。私はニンフ、イカロスの幼馴染よ。で、そこの大食いは同じく幼馴染のアストレアよ」

「はむはむ。よろしくお願いしますね」

「アンタ、少しは周りのことを考えなさいよ」

 

ニンフはアストレアを慌てて制止する。

 

「ニンフ…、アストレア…、久しぶり」

「まあね」

「イカロスさんが元気そうで良かったです」

 

イカロスの挨拶にニンフとアストレアが元気よく返事する。

 

「個性的な友達だな、イカロス」

「えぇ、クセはありますが、良い友達です」

 

刹那は笑みを浮かべて喋りながら空いてる席に座る。イカロスはその隣に座ろうとするが、リインが電光石火の速さでその場所を占拠した。

 

「リイン、そこをどいて…」

「私はまだお兄ちゃんを諦めていません!!」

 

2人は睨みあい、両者の間で火花が散る。

 

「アンタ、イカロスだけじゃなくて妹にも手を出しているんだ」

「実の両親が死んで心細かったせいかもしれんが、リインは出会った頃からこんな感じだった」

「ふぅん、光源氏計画でも企んでいたの?」

「断じて違う!!」

 

ニンフは睨みあいを続ける2人を好奇の視線でじっと見つめる。

 

「そんなに面白いか?」

「面白いわよ、いつドロドロした人間関係になるのかワクワクするじゃない」

「当事者の1人はお前の幼馴染なんだぞ」

「そんなこと、とっくの昔に知っているわ」

「ニンフさんは昼ドラが大好きですからねぇ」

 

祭りでも楽しみにするかの様なニンフに刹那は突っ込みを入れ、アストレアは湯呑に入っている緑茶を飲みながら捕捉する。刹那がため息をついた時、携帯が鳴った。

 

「翔兄か……。もしも『フォルスが出てきた! すぐに来てくれ!!』分かった」

 

敵襲の知らせに刹那は目つきを変えた。

 

「悪いが、これから出てくる」

「何かあったの?」

「説明は後だ!」

 

そう言うと、刹那は家を飛び出した。

 

 

★★★★★

【公民館前】

 

「くそっ! 厄介だな」

 

左翔太郎とフィリップの精神体(・・・) が変身する、赤と銀に塗り分けられたライダー……仮面ライダーダブル・ヒートメタルは棍型の武器であるメタルシャフトを使い、複数のソルジャーフォルスを同時に翻弄していた。

 

【この手ごたえ、さすがはテロリストだね。ミュージアムのマスカレイドよりもてだれだ】

「感心している場合か!!」

 

フィリップは冷静に敵を分析する。その分析を証明するかのように敵のリーダーが指示を出す。

 

「距離を取れ! 遠距離戦に持ち込むんだ!!」

『了解!』

 

ソルジャーはダブルと距離を取り始め、剣と一体化しているマシンガンを撃ち始めた。ダブルは素早く近くの柱に身を隠した。

 

「銃には銃だ!」

 

ダブルは黄色のメモリと青いメモリを取り出し、バックルに装填されている2本のメモリと交換する。

 

≪LUNA TRIGER:LUNA・TRIGER≫

 

電子音と共にダブルの色は金と青に変わった。

 

「はっ!」

 

フォームチェンジしたダブルはトリガーマグナムという名の銃を構え、柱から出て乱射した。放たれた弾丸は変幻自在に軌道を変え、次々とソルジャーを撃破していった。

 

「よし!」

【智樹の方はどうなっているかな…】

 

ダブルがそんなことを分かっていると、その背後に智樹が変身する龍騎が吹っ飛んできた。それを追うように甲羅とカタツムリの様な目を持つフォルスが現れた。

 

「いててて」

「おい、大丈夫か!?」

「はい、なんとか」

 

ダブルは龍騎に手を貸して立ち上がらせた。

 

「1日で仮面ライダーを2人始末できるとはな、こいつはラッキーだな」

 

フォルスは2人に攻撃するべく右腕を引きながら一気に距離を詰める。が、横から雨あられと降り注ぐ弾丸によってそれは阻止された。

 

【この弾丸は…】

「ようやく来たか」

 

ダブルと龍騎が弾丸が飛来してきた方向を見ると、搭載しているガトリングから煙が立ち上っているゲイズチェイサ―で接近してくるゲイザーの姿があった。

 

「「刹那!」」

【遅刻だよ】

「悪い、遅くなった」

 

近くにバイクを停めて降りたゲイザーはライドブッカ―Ⅱをソードモードにして構えて一気に踏み込み、袈裟に斬る。

しかし、フォルスは左腕を盾にしてその攻撃を軽々と防いだ。

 

「なら、これで!」

≪ATTACK RIDE:SLASH≫

 

ゲイザーはカードを使って強化した斬撃を連続で放つが、たいしてダメージは与えられていない。

 

「ふん!」

 

フォルスは攻撃直後の隙を狙い、ゲイザーを殴り飛ばす。

 

「刹那!」

 

殴り飛ばされたゲイザーを龍騎が受け止め、ダブルもその横に並んで戦闘態勢を整える。

 

「(今の防御方法、どこかで見たことがあるな)智樹、助かったよ」

「気にするなよ」

 

ゲイザーは龍騎に礼を言う。

 

【あのフォルス、ジュエルドーパント並の防御力だね。おそらく普通の必殺技じゃ跳ね返される】

「おいおい、それじゃいったいどうやって奴を倒すんだ?」

 

フィリップが冷静に言い放った言葉は、一同に危機感をもたらせた。

 

「さすがに3対1はまずいな。今日はひとまず撤退するか」

「おい、待て!」

 

ダブルが敵の逃走を止めようとするが、フォルスは右手から大きな鉄塊をゲイザー達の足元に発射し、塵煙を発生させ、視界を覆う。

 

視界が晴れた時、フォルスは既にいなかった。

 


 
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