No.408810

ACE学園小説連載1周年記念話その2『戦乱〜とうそうちゅう〜』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-15 10:55:11 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:894   閲覧ユーザー数:889

【ACE学園高等部・グラウンド】

 

 

「はあっ!」

 

 

MS少女化したアインハルトが脚部ビームサーベルの回し蹴りでライオトルーパーの頭部に直撃させ、昏倒させる。正面からはさらに治安維持担当のゼクトルーパー部隊が出てきた。完全に職務を遂行する気はない。

 

 

「次から次へと……キリがないよ!!」

 

 

デスティニーヴィヴィオは背中のビーム砲でオルフェノクを1人撃墜する。その後、地上に降りてアインハルトと背中合わせになる。

 

 

「士樹は大丈夫でしょうか?」

 

 

アインハルトが不安そうに漏らす。そんなアインハルトにヴィヴィオが明るく話しかける。

 

 

「大丈夫ですって、アインハルトさん。通りすがりの怪盗の弟子であり戦姫の騎士でもあるあの人がアインハルトさんを置いて逝くわけないじゃないですか」

 

 

ヴィヴィオが朗らかに言うと、アインハルトが微かに笑う。

 

 

「確かにそうですね。いざという時は平気でえげつない行動を取りますし」

 

「私もレイのことが心配ですけど、その前に自分の身を守らないといけませんし」

 

 

ヴィヴィオがサムズアップしながら答える。

 

 

「確かにその通りですね。まずは、ここを突破しましょう」

 

 

アインハルトは決意を胸に空を見上げた。

 

 

(士樹、無事でいてください)

 

 

 

★★★★★

 

【ACE学園高等部・図書館】

 

 

アクエリアスと歩はミラーワールドを抜けた後、ライドシューター(持ち主は佐野満)を爆破して囮に使い、図書館に無事潜り込んでいた。

 

 

「ひとまず一件落着だな」

 

 

歩は危機的状況を一時的に切り抜け、ホッと一安心する。

 

 

「歩」

 

 

アクエリアスはアサルトライフルに、ハンドガン、手榴弾などの武器を歩に手渡す。

 

 

「さっきくすねた物だ。今は、手ぶらでうろつくのは危険すぎるからね」

 

「サンキュー」

 

 

バイオハザードに巻き込まれたも同然な状況のため、アクエリアスは警戒を促す。

 

 

「それにしても静かだな。外はあんなに騒がしいのに」

 

「とはいえ安全性が確保されたわけじゃない。少しは動いた方がいい」

 

 

歩が頷くのを確認し、アクエリアスは銃を構えながら辺りを探索する。このお祭り騒ぎの中、普段いる司書の姿すら確認できない。その沈黙が、現状がいかに普通じゃないかを語っていた。一歩一歩静かに歩いていると、人影が本棚の影になっているのが見えた。いったん動きを止め、歩に目で語りかけ、戦闘準備をさせる。

 

 

「そこに誰かいるの?」

 

「その声は士樹か」

 

 

アクエリアスが銃口を向けながら聞くと、壁にもたれ掛かっているルルーシュとその看病をしていると思われる音無がいた。

 

 

「どうしたんだ、ルルーシュ!? 怪我してるじゃないか!!」

 

「カレンにやられた……くっ……」

 

「ニブチンとはいえルルーシュがここまでやられるってことは……聖天八極式を持ち出しているのか!?」

 

 

アクエリアスの頭に最悪に近い事態の1つがよぎる。

 

 

「そうだ。お前達が屋台エリアで起こした爆発と盾になってくれた暁隊のおかげでなんとか逃げられた」

 

「ルルーシュ……」

 

 

悲しそうに呟く音無の側でルルーシュは痛みとは別の要因で悲痛な表情をする。カレンは黒の騎士団で最強のパイロットだ。量産機程度では見るも無惨な状態になるのは容易に想像できる。だが、彼らに悲しむ時間は無かった。

 

 

「ッ、みんな伏せろ!!」

 

 

歩の叫びと共に咄嗟に本棚の影に隠れると同時に窓ガラスの大半が割れ、赤い悪魔とごつい顔の騎士が入ってきた。

 

 

「本当にルルーシュがここにいるのか?」

 

「えぇ、そのはずよ」

 

(あれは、カレンの紅蓮に……ジノのトリスタン・ディバイダー!!)

 

(嘘だろ……! ナイト・オブ・スリーまで敵に回るのか!!)

 

「ところでさ、気づいてるんなら答えてくれてもいいんじゃないかな?」

 

「何のこと?」

 

 

カレン達の会話を盗み聞きしようとアクエリアス達は意識を集中させる。

 

 

「本棚の後ろに隠れている4人組さん!!」

 

 

トリスタンはそう言いながらスラッシュハーケンを4人のいる方へと放ってきた。

 

 

「ちぃっ!」

 

《KAMEN RIDE:AGITO・FLAME KUUGA・PEGASUS PSYGA》

 

 

アクエリアスは高い機動力を持つ2機に対抗すべく察知能力に長けたアギト・フレイムとクウガ・ペガサス、空戦能力を持つサイガを召喚する。

 

 

「俺達も応戦するぞ!!」

 

「ああ!」

 

 

音無はハンドガン、歩はアサルトライフルをトリスタンに向けて連射する。

 

 

「あ〜ら、よっと」

 

 

トリスタンは軽やかな動きで襲いかかってくる弾丸を次々とかわしていく。

 

 

「音無!! 歩!!」

 

「あんたの相手はこっちよ!!」

 

 

紅蓮がフリスビー状の輻射波動砲をアクエリアスに向けて投げた。アクエリアスはなんとか左によけるが、後ろにあった本棚は真っ二つに割れてしまった。その隙を突いてアギトFが斬りかかり、クウガPが狙撃する。

 

 

「その程度でっ!!」

 

 

紅蓮はエナジーウイングを盾代わりにして狙撃を防ぎ、斬りかかってきたアギトFの頭をつかみ、輻射波動砲を照射して消滅させる。

 

 

(クウガPの狙撃に反応するだと!?)

 

 

アクエリアスは驚きながらも次のカードをドライバーに装填する。

 

《KAMEN RIDE:RIO TROOPER》

 

 

アクエリアスは5体のライオトルーパーを新たに召喚し、サイガと共に牽制させ、自身もアクエリアスドライバーをMモードにして連射する。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「ほらほら、どうした? まるでかすりもしていないぞ」

 

「クソッ! こんなことならミストルティンをハルナから借りておくんだったよ」

 

 

歩はアサルトライフルを撃ちながら愚痴をこぼす。

 

 

「駄目だな。動きに無駄が多すぎる」

 

 

トリスタンは右腕のブーストハーケンを歩の腹部に向けて放つ。ゾンビとはいえ基本的に一般人である歩にはかわせず、腹パンは見事に決まって壁まで叩きつけられた。

 

 

「がはっ!!」

 

 

歩は口から唾を吐き出し、腕をだらりと下げる。追撃をするべく歩に接近する途中、一本のワイヤーを切ってしまった。その瞬間、無数の鉄球がトリスタンに襲いかかり、爆煙が発生した。

 

 

「やったか!?」

 

 

一時的に離れていた音無が現場に現れて状況を確認する。

 

 

「さすがにナイトメアとはいえクレイモアの直撃を食らったらまともに立てない――」

 

「残念でした」

 

 

台詞と共にワイヤーが音無に襲いかかり、がんじがらめにする。その上空には所々煤けているトリスタンがいた。

 

 

「相川を囮にしてクレイモアを食らわせる作戦か。なかなかよかったが、それだけじゃこの俺は倒せない」

 

「くそッ!! 離せ!!」

 

 

音無がじたばたするが、ワイヤーはびくともしない。

 

 

(どうする? ルルーシュには元々単独でラウンズクラスと戦うような戦闘力はないし、紅蓮との戦闘で負傷しているから当てには出来ない。士樹もこの広さじゃよくて紅蓮を遠ざけるのが精一杯だ。いったいどうやったら奴に勝てる?)

 

 

歩がトリスタンを睨みながら頭の中で打開策を考えようとするが、すればするほど絶望に包まれていった。

 

 

「さて、次はお前を確保するか」

 

「歩、逃げろッ!!」

 

 

トリスタンはスラッシュハーケンを歩に向ける。その時、全校放送の始まりを示すチャイムが鳴り響いた。

 

 

『ターゲットの1人、ルルーシュ・ランペルージはシャーリー・フェネットと結ばれました。これ以降、2人は結界の外に弾き出されます』

 

「何だって!?」

 

「ほお、いつの間に入ってきたんだ?」

 

 

紅蓮はこの場にいないはずのシャーリーに驚愕し、トリスタンはあくまで楽しそうにしている。その2人に光の雨が降りかかった。2人は攻撃を回避すべく散開する。トリスタンは奇襲により音無を落としてしまった。

 

 

「うわッ!!」

 

「音無!!」

 

 

落とされた音無は歩がダイビングキャッチでなんとか受け止めた。刹那、紅蓮に6枚の翼を生やした白騎士が2本のMVSで強襲をかけた。

 

 

「スザク……!! なぜこんなところに!?」

 

「友達を助けるのに理由なんていらない!!」

 

「お前だってターゲットの1人だろうに!!」

 

「そんなの関係ない!!」

 

 

白騎士……ランスロット・アルビオンに搭乗したスザクは苛烈な攻撃で紅蓮を追い立てていく。

 

 

「スザク……」

 

 

紅蓮によって負傷し、強制的に変身解除させられていた士樹がランスロットに声をかける。

 

 

「ここは、“俺”が引き受ける!! 君達はルルーシュを連れて逃げてくれ!!」

 

「……分かった」

 

 

ランスロットの強い意志を感じ取った士樹は歩達に近寄った。

 

 

「……撤退するよ、2人とも。この状況では、僕達はただの足手まといだ」

 

「そうみたいだな」

 

「クソッ! 俺達があまりにも不甲斐ないばっかり『大丈夫』ユー?」

 

 

シャーリー共々どうやって入ってきたのか長い銀髪に青い瞳を持ち、プレートアーマーを装着している美少女ユークリウッド・ヘルサイズが目の前にいた。

 

 

「スザクは絶対に勝つ(・・・・・)よ。だから、心配しないで」

 

「いったい何を根拠に……?」

 

「すぐに分かるよ」

 

 

士樹がランスロット達の方を指さす。さすがに2対1なため、スザクが押されている。

 

 

「これで止めだ!!」

 

 

紅蓮がランスロットに止めを刺そうと大きく腕を振りかぶりながら接近するが、急にバチバチを音を立て機能を停止した。

 

 

「くッ! こんな時に整備不良か?」

 

「俺もだ。なんでこんな時に……」

 

 

紅蓮とトリスタンは機能を停止し、歩くことさえままならなくなった。

 

 

「なっ?」

 

「反則過ぎるだろ、これ……」

 

 

魑魅魍魎が集まるACE学園の中でもあまりにも度を超えたチートに音無は唖然とする。敵ナイトメアの機能停止を確認した歩は真剣な表情でユークリウッドにゆっくりと歩み寄る。

 

 

「ユー」

 

 

歩の真剣な眼を見てその思いが分かったユークリウッドは自分の頭に乗っている帽子を差し出す。歩はそれを受け取り、自らの頭の上にかぶせた。

 

 

『ターゲットの1人、相川歩はユークリウッド・ヘルサイズと結ばれました。これ以降、2人は結界の外に弾き出されます』

 

 

アナウンスが流れた後、2人の姿はまるで最初から存在していなかったかのように消えた。

 

 

 


 
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