No.404209

ACE学園 第2話『シスコン戦争』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
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プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-07 16:15:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2073   閲覧ユーザー数:2056

「ナナリーの方が可愛いに決まっているだろ! この馬鹿が!!」

「何を言っている!? 樹花の方が数倍可愛い!!」

 

のっけから高等部の校舎の廊下で口げんかして注目を浴びている高等部2年のルルーシュ・ランペルージと天道総司。

2人が口に出しているのは明らかに女の名前だが、恋人ではない。

 

「ナナリーがこの世界で1番可愛い“妹”なんだよ! 何故分からないんだ、総司!!」

 

そう、たった今ルルーシュが口走った通り、恋人ではなく妹である。

2人は妹至上主義なシスコンなのである。

余談だが、天道の方は血が繋がっていない。

妹のことが話題に上がるといつもこうなる2人をそれぞれの親友である枢木(くるるぎ)スザクと加賀美(かがみ)(あらた)は苦笑いを浮かべて見ている。

周囲にはルルーシュと天道の喧嘩を見物している一般生徒が多く、スザク達の近くにも2人いた。

この小説の主人公である士樹とヒロインのアインハルトである。

士樹はため息をつくとつぶやいた。

 

「どうしてこうなったんだ…?」

 

士樹の呟きが聞こえたスザクと加賀美はその問いに答えた。

 

「事の発端は30分ほど前なんだ。最初は普通に4人で仲良く話していたんだけど、僕がナナリーの様子をルルーシュに尋ねてからだんだん雰囲気が悪くなっていって…」

「知っての通り、2人は負けず嫌いだからな」

「それで、現在の状況になったわけですね」

 

スザクと加賀美の説明にアインハルトは納得し、頷く。

外野が話している内にルルーシュと天道の喧嘩はますますヒートアップしていった。

 

「口で言っても分からないようだな、総司! こうなったら力づくでも分からせてやる!」

「ほう、やれるものならやってみろ!」

 

天道は腰に赤いベルトを巻き、カブト虫を模して作られた赤いカブトゼクターを右手に持つ。

ルルーシュの周りには黒い歪みが生まれてきている。

 

「ちょっと、2人共! こんなところで戦うつもり!?」

 

見かねたスザクが2人を止めようとするが、完全に無視されている。

一触即発の空気が流れる中、それでも士樹達は普通に見ている。

むしろ、士樹はアインハルトと手をつないで甘い空気を周囲に放出しながらわくわくしている。

ACE学園ではこのような喧嘩は日常茶飯事なため、風紀委員とその関係者を除いてほとんどの人が危機意識を持っていない。

 

『変身!』

≪HENSHIN≫

 

天道はカブトゼクターをベルトのバックルに装着すると銀色の分厚い鎧に包まれ、仮面ライダーカブト・マスクドフォームに変身する。

ルルーシュも全身黒ずくめのマスクとマント、強化装甲服を纏って魔王ゼロへと変身する。

変身した天道はいきなり「くたばれ!」と言わんばかりにゼロにハイキックを放つ。

 

「いきなりですね」

「妹のことになると相変わらず怒りっぽいな、あの2人」

 

アインハルトと士樹が2人仲良く観戦している中、ゼロはカブトのハイキックを避けると右手から紋様が描かれたビームを天道に向かって放つ。

天道はそれを難なく避けるが、

 

「ん?」

 

流れ弾を食らった一般生徒の野田が急に意識を失って床に倒れる。

 

「野田君、しっかり!」

「すぐに保健室へ!!」

 

野田は一緒にいた大山と高松によって速やかに担架に乗せられ、運ばれていった。

 

「ルルーシュ、一般生徒を『キャストオフ』えっ!? ≪CAST OFF≫」

 

スザクの台詞を遮るようにカブトはカブトゼクターを操作して装甲をパージした。

「ごふっ!」

「がはっ!」

 

散弾の如く放たれた装甲で次々と辺りの一般生徒や廊下、その他学校の備品などが犠牲になっていく。

話の途中で不意を突かれたスザク、反射神経がそれほどでもない加賀美は装甲が直撃して床に倒れる。

士樹とアインハルトはとっさに近くの柱を盾にしたので無事だ。装甲の嵐が終わった頃、そこにいたのは赤い細身のライダーだった。

 

≪CHANGE BEETLE≫

「大丈夫か、アインハルト?」

「これぐらいどうってことないです」

 

ゼロとカブトはそのまま割れたガラス窓から外に飛び降りて撃ち合いながらグラウンドへと走っていった。

 

「あっちに行ったぞ!」

「追えー!」

 

生き残っている野次馬たちはゼロ達を追って、急いで階段を降りてグラウンドへと駆けていった。

ちなみに、スザク達はほったらかしである。

 

 

 

★★★★★

 

「お前、なかなかやるな」

「そっちこそ」

 

ぶつかり合ったゼロとカブトは若干怒りのボルテージが下がってきているようだった。

周りは被害にあって倒れている生徒の小山があった。

それでもまだ生き残っている数多くの生徒が遠慮なしにビームと爆発が飛び交う2人の戦いを面白半分で見物している。

士樹が周りを見ると、賭け事をしている生徒もいた。

 

「まだいけるな、ルルーシュ?」

「フッ、愚問だな」

 

2人は何故戦いを始めたのか完全に忘れ、けんかに没頭し始めていた。

 

「士樹、そろそろ止めた方がよくないですか?」

 

デコボコになり、穴が開いているグラウンドに生徒の小山を見てさすがにそろそろ止めた方がいいと思ったのか、アインハルトが士樹に提案する。

 

「そうだな。じゃあ、あいつらに止めてもらうわ」

 

士樹は携帯を取り出してどこかにメールを送った。

数分後、ルルーシュの携帯が鳴り、ルルーシュは電話に出た。

 

「もしもし」

『お兄様、また天道さんと喧嘩しているんですか!? しかも、周りに大被害をもたらしているそうですね!?』

 

ルルーシュに電話を掛けたのは、彼の妹であるナナリーだった。

 

「ナ、ナナリー。何故お前が『そんなお兄様は嫌いです! しばらく話しかけないでください!!』ナ、ナナリー! ナナリー!!」

 

ルルーシュに遅れて天道の方にも電話がかかった。

二言三言話した彼は仮面越しでも分かる位に慌てていた。

 

「樹花! 嘘だと言ってくれ!! 頼む!!」

 

2人は愛する妹にかけられた言葉でパニックになり、もはや喧嘩どころではなかった。

2人の様子を見ている士樹は笑みを浮かべていた。

 

「帰ろうか、アインハルト。後は、学園の教師とかがなんとかしてくれるだろ」

「2人の間に割って入って止めるのが私が抱いている主人公のイメージなんですが…」

「それだけが全てじゃないよ。それに、これが2人を止める1番良い方法なんだから」

 

2人は騒ぐ集団を後にして帰路に着いた。

 

 

 

この後、グラウンドに駆けつけた紅薔薇撫子にルルーシュと天道が説教されたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[(STS風)次回予告]

 

士樹「放課後、僕はクラスメイトと一緒に死んだ世界戦線に遊びに行っていた」

アインハルト「そこで私達はいつも通りの平和な日常を過ごしていた……はずだった」

士樹「突如として現れた脅威。僕達はそれにどうやって立ち向かっていくのか?」

士樹、アインハルト「「次回、ACE学園第3話『クッキング・ハザード』テイクオフ!!」」


 
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