数日馬を走らせ一刀一行は無事許昌に到着した。
「ぱぱ~ここは~?」
「ここはね華琳のお家がある街だよ」
花蓮はいつもと違う街に来て少し興奮気味だった。
紫苑と一刀も少なからず驚いていた。
自分たちが目指している街作りがそこにあった。
しかもそれ以上のものがあった。
警邏や交番,病院や薬局など生活に密着した街がそこにあった。
紫苑は数日前からある視線を感じていた。
「ご主人様…花蓮ちゃんと一緒に宿に行って下さい」
「どうして?」
「ちょっと寄りたい所があるもので…」
紫苑はその視線をつきとめる為一刀親子を宿に行かせた。
「わかった先に行っておくよ…花蓮」
「は~い♪」
一刀もなにも気にせず紫苑の言うとおり宿に向かった。
「さてと…出て来なさい!!」
一刀親子がいなくなったのを確認した紫苑は視線の方向に向かいそう言い放った。
すると視線の方向から居るはずのない3人が出てきた。
「紫苑オ姉サマ…」
「黄忠殿…」
「オ母様…」
紫苑は呆れながら聞いた。
「まったく…仕事はどうしたの!」
「仕事ヨリ一刀ニ悪イ虫ガ付カナイ方ガ大事ダト思ッタノデ」
「一刀様ニ叱ッテ欲シクテ」
「オ父様ニ……言エマセン」
蓮華と呉羽は堂々とした態度だったが璃々は何故か頬を赤らめて俯いた。
「要するにご主人様に会いたかったから仕事をサボったのね…」
「「「……ハイ」」」
「は~…とりあえず宿に行ってご主人様の判断を仰ぎましょう」
紫苑はとりあえず一刀に判断を任せることにした。
そして紫苑たちが泊まる宿に行った。
宿と言っても民宿みたいな宿ではなくペンションに近かった。
紫苑は一刀の部屋の扉を開けた。
「お帰り紫苑…ってえ~!!」
「しおんまま~…まま~~~~~~~♪」
一刀は驚いた。そして花蓮は喜んだ。
「ご主人様…もうしわけありません。3人とも付いて来てしまった様で…」
「一刀…」「一刀様…」「お父様…」
一刀は3人の表情を見て決めた。
「は~付いて来ちゃったのは仕方がない…このまま同行させるか」
「一刀~~~♪」「一刀様♪」「お父様~~♪」
「ただし!!お説教はあるから…紫苑すまんが璃々ちゃんを、二人は俺がする」
3人は嬉々としてお説教を受けた。
紫苑side
「璃々…まったく!どうして仕事をほったらかしにしてきたの」
「だって~お父様に逢いたかったんですもの」
璃々ったらもう少しその気持ちを抑えられないのかしら
「も~そうだとしても少し我慢すればいいだけでしょ」
「だって~」
は~…
小さい頃からご主人さまと一緒にいたせいなのかしら
「ホントに璃々は…誰に似たんでしょう」
「それはお母様です」
娘なだけはあるわね
「そうよね…」
「ええ…」
「とにかく!今回は大目に見ますけど今度やったらわかってるわね…あの刑をするわよ」
「え…あの刑って」
この刑はきっと嫌でしょうね~
「そう、一週間ご主人様に逢わさない刑よ」
「!!」
そうよね~
ご主人さまにべったりな子ですものね
「さてと、お説教はこれくらいにしてみんなで食事にしましょうか」
「はい」
一刀side
「まったく!!二人ともなんで来たの!!」
「だって一刀が~」
「そうだぞ一刀様が」
は~~~~
蓮華は甘えん坊な所はあったけど呉羽もだったとは…
「そういうことを言っているのではない!!」
「「!!」」
「二人ともそれなりの地位にある人なんだから他の者の見本にならなくてはいけないはずだろ」
「「…」」
今から大変になるのに…
「それに…蓮華、花蓮がこれ以上甘えたさんになったらどうするんだ」
「何でそうなるのよ」
もし学校に行くようになったらどうするんだ…
ただでさえ心配なのに
「まったく…それじゃあ説得力ないぞ」
「ぶ~」
膨れる前に腕に抱きつかないの………うれしいけど
「それに呉羽、君も駄目じゃないか蓮華を止めてくれなくちゃ」
「だって私も一刀様に逢いたかったんだもん」
説得しても駄目か…
仕方がない
「は~これはしたくなかったが今度同じ事をしたら」
「「したら?」」
「俺一週間旅に出るからな」
「「!!」」
「わかった?」
「「はい」」
やっぱりこれが効果てきめんだな…
「よろしい…じゃあみんなでどっか食べに行こっか?」
余談として食事に行った紫苑一行は驚いた。
中華しか食べられないと思っていたのだが許昌では和食,洋食何でもそろっていたからだ…。
翌日同盟を申し込む為城門まで来ていた。
「さてと…みんないいわね」
「「「「はい」」」」
「は~い♪」
「待ちなさい…あなた達は」
「私は永安の黄忠と言います…魏王曹操様に会いたいのですが」
「わかりました…どうぞこちらへ」
警備兵が玉座まで案内した。
そして紫苑一行は部屋に入った。
「失礼します…お初にお目にかかります。永安の黄忠と申します」
「あなたが黄忠ね…ちょとごめんなさい。桂花と風,凛以外は少し席を外しなさい」
華琳の言葉により華琳及び軍師3名のみが残った。
そして花蓮は大好きな華琳,桂花の所に走り出した。
「かりんおね~ちゃ~ん、けいふぁおね~ちゃ~ん」
「「!!」」
「これこれそこの幼女よ…いきなり他人を真名で呼ぶとは…」
「そうですね…華琳様」
花蓮が華琳,桂花を真名で呼んだ事に残りの2人はすぐ花蓮を捕まえようとした。
初対面でいきなり真名を呼んでいると思っていた為当然の行動ではある。
しかし華琳,桂花は気にせず久しぶりの再会を喜んだ。
「元気そうね、紫苑,一刀,蓮華,華雄に璃々、そして花蓮」
「花蓮ちゃん元気そうね…あんたも大変だったらしいわね、蓮華もお疲れ」
その態度に軍師2人は驚いた。
「ほ~」
「ど…どういうことなのですか華琳様!」
「そうね説明してなかったわね…簡単に言ったら親友とその娘よ」
華琳が言うと紫苑一行は自己紹介をした。
「改めまして黄忠と申します」
「黄忠の娘の黄叙と申します」
「北郷一刀だ」
「北郷権よ」
「ほんごうとうです」
「華雄だ」
自己紹介が終わると華琳が驚いた。
「ちょっと待ちなさい…北郷ってどういうこと蓮華」
「話はいってると思うけど私は孫呉を捨てたわ。その時孫家の名前も捨てたの」
「なるほど…確かそんな話が来てたわね……けど名前を捨てるなんてすごい事をしたわね」
「花蓮ちゃん大丈夫だった?」
「うん♪」
孫家の次女,三女が袁術軍から数人家臣を引き連れ抜けたという噂が大陸に流れてはいた。
しかし名前まで捨てたという話までは流れていなかったのだった。
説明を聞いた2人は自己紹介をした。
「そういうことでしたか…ならば私の名は郭嘉、真名は稟です。そして」
「ぐ~」
「ねるな」
「おお!!私は程昱、真名を風といいます」
紹介を聞いて紫苑一行はびっくりした。
「真名を預けてくれるのですか」
「はい~華琳様の親友なら預けておいた方がいいと思いまして」
「それでは私達も預けますね。私は紫苑と申します」
「璃々です」
「蓮華よ」
「かれんです♪」
「呉羽だ…」
「真名は無いから適当に呼んでくれ」
「さてと…紫苑今日はどういう要件なの」
一通り顔合わせも終わったので華琳は要件を聞いた。
すると紫苑が口を開いた。
「ええ…単刀直入に言います。私達と同盟を結んでくださらないでしょうか」
「やっぱりね…私個人は賛成だけど」
「私も賛成です」
華琳がそう聞くと繋がりのあった桂花は賛成に回ったが2人は何か引っかかった。
「風はなんともいえませんね~」
「私も同感です…同盟するには我らにも利が無くてはいけませんから」
「なるほど…ならば紫苑、一刀をくれないかしらって冗談よ」
華琳がそういうと一刀連合の3名は恐ろしい殺気を放った。
特に蓮華と呉羽は異常だった。
さすがの華琳も引いてしまった。
しかし風,稟は疑問に思った。
「?華琳様どういうことですか?」
「彼の刀の技術はすごいって事よ…蓮華、愛あるかしら」
「ええ…」
華琳がそういうと蓮華は愛を鞘から抜き華琳に渡した。
「見なさい。いくらいい物でも手入れをちゃんとしなくては物はすぐ壊れるわ…けどこの刀は刃こぼれ一つ無いでしょ」
「確かに…」
「ほほ~」
「これを手入れしているのが一刀なのよ」
そういうと華琳は蓮華に愛を返した。
そして2人は驚いた。
見た目は平凡に近い一刀がこれだけの技術を持っており華琳が自分の下に置きたいというのも納得した。
「だからこの同盟には意味があるのよ。それに周喩に陸遜,甘寧などの勇将知将もいるしね」
「なるほど…」
「だから賛成なのいいかしら」
「「御意」」
華琳及び軍師3名は同盟に賛成した。
しかしなにもなしで同盟させるわけにはいかなかった。
「だけど他の武将にも認めさせる為に一刀、この技術を誰かに教えなさい」
「それはいいけど材料は」
「問題ないわ…鋼や玉鋼など一通りあるわ。作業場も問題ないわよ」
「わかった…あと一つ」
「わかっているわよその間みんなと一緒にいたいんでしょ…問題ないわ。その代わり監視は付けるわよ」
「ああ」
華琳の発言にみんな少し落ち込んだ。
それを見越して華琳は付け加えた。
「心配しないでみんな知っている娘にするから」
「ありがとう華琳…」
そして数日間一刀はカラクリに詳しい武将に技術を継承し無事同盟は結ばれた。
つづく
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魏軍登場です…とりあえず軍師かな
うまく書けたかな…?
不安です…。
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