No.179747

黙々・恋姫無双 漆之奥黙

TAPEtさん

漆之奥話です。

まだ根本的には何も解決できてはいませんけどね。

2010-10-22 18:59:51 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3892   閲覧ユーザー数:3176

<<警告>>

 

 

はぁー……

 

 

 

 

 

 

 

朝の空気ウマス

 

べしっ!

 

うわっ!石!次元越えで投げないでください。

 

僕もいい加減疲れたんですよ。

 

僕だって一日二十四時間一刀ちゃんと一緒に居られるわけじゃありませんよ。

 

特に今回は。

 

 

 

ちなみに今一刀ちゃんの部屋に入るとこんな感じです。

 

【$%#(&%(@!(@#@)$&^*&%!@^%$^!#*@&%)@*&!^(#*%&^@($&*^@($%#&】

 

三日ぐらい前の一刀ちゃんの考えの録音です。

 

考えが早すぎて読めませんので1/100倍速にしてみました。

 

【いや、でもお母さんはお母さんだし、華琳お姉ちゃんは確かにいい人だと思うし優しいし感謝はしてるけどだからってお母さんとかそういうのはないでしょうというか死ぬそんなこと言ったら殺されるそんなこと華琳お姉ちゃんの耳に入ったらその場で大鎌で首飛ぶ。大体ボクはお母さんいるじゃない華琳お姉ちゃんは息子か養子という問題以前に結婚もしてないでしょうが何を凪お姉ちゃんは馬鹿のこといったのよというかここでこうしている行動自体が皆に迷惑その上いないじゃない。今頃ボクのことでいい加減皆心配する頃だしそろそろ心を決めていつもどおりに戻らないと不味いでしょうに。…でももし華琳お姉ちゃんがお母さんだったらぁいやいやいや落ち着け気を確かに持ちなさいよ、ボク。お前のお母さんは最初から一人しかいないよ他の世界であんなことになってるけどボクのお母さんは……】

 

 

ここだけが先の文で【$%#(&%】のパートです。

 

とりあえずめちゃくちゃ正気じゃないことだけは解りますね。

 

その後もこれだけで「華琳お姉ちゃんがお母さんでも良いではないか」という題目の論文を出してもいいくらいの量の展開がありますが、これ以上書くとは面倒くさすぎるので勘弁してください。

 

というかあれ直に聞いてると頭が痛いです。

 

18000Hzの音を耳元から囁いてるみたいです。

 

というわけで今暫くは一刀ちゃんのことはほっといてあげましょう。

 

 

「それで、その後一刀の様子はずっと?」

 

「はい、そのまま部屋に篭っているようで、誰かが入ろうとしても開けてくれないようです」

 

その後、秋蘭さんが言った通り、一刀ちゃんはそのまま部屋に篭って、華琳さんたちが戦いを終えて戻ってくる際に向かいにも来ず、その後もずっと部屋の中にいました。

 

ああ、食事とかは外においていくと食べます。ご都合主義です。

 

「まったく、あ奴は本当にわけがわからん。戦場で急にいなくなったかと思ったら、城に帰ってきては部屋から顔も出さないではないか」

 

特に春蘭さんがそれで困ることがあるとも思いはしませんが…

 

「華琳さま、何かあったのですか?」

 

「別に思いつくことはないわね。私が知っていた時はもうどこか変だったし、それ以前に何かあったとしか」

 

「その前でしたら……」

 

「確か凪と一緒に偵察に行ってたわね。その以前には寝ていただけだから特に何もなかったでしょうし」

 

凪さんたちは現在、警邏の仕事を任されて、そちらの任務を務めています。

 

「秋蘭、ちょっと凪を連れてきてくれないかしら」

 

「……」

 

「秋蘭?」

 

「あ、はい」

 

何かを悩んでいるようだった秋蘭さんは、華琳さんが二度目呼んでからやっと返事をしました。

 

「凪に行って、何か心当たりがあるか聞いて見なさい。凪たちはまだ一刀のことを良く知らないから、何か不味いことを言ったのかも知らないわ」

 

「御意」

 

 

「……」

 

そして、凪を探しに街に向かう秋蘭さんでしたが、

 

不味いとことと言えば、確か秋蘭さんにも心当たりがありますね。

 

「…もしかしてあれのせいで……」

 

確かにその後、返していませんね?というかそんな機会もなかったし。

 

僕もあの時はGのせいでちょっと頭が回ってなかったので良く思考できなかったんですが、後でよく考えたらあの時、結構不味かったんじゃないでしょうか。

 

一刀ちゃんはGがあるから早く戸を閉めてっていう意味で言ったのですが、秋蘭さんからすると、写真がいなくなったことに気付いた一刀ちゃんが部屋の中を散かしてまで探して、その上にも見つかるはずもない写真をなくしたことに元気を失っているように見えたでしょう。

 

そして、その原因が自分の一瞬の間違いから生まれたと思えば…

 

これはすごい重圧感です。

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、勘違いなんですけどね、はい。

 

「むっ、あそこにいるのは……」

 

おろ?凪さんがあんなところに……

 

子供たちに囲まれて……

 

え?あれ?

 

「こ、こらぁ、放してくれ。私は今任務中……」

 

「ねぇ、ねぇ、お姉ちゃん、ボクたちとあそぼ」

 

ぐい

 

「なっ!引っ張るな」

 

なにあれ、ちょー面白いんですけど。

 

子供たちに囲まれて困っている凪さん。かわいいです。

 

「あーそーぶー」

 

そして、この街の子たちは、僕が知ってる限りすごく我儘です。しかも数の暴力、怖いです。

 

「わかった、わかった。遊んであげるから髪を引っ張るのはやめいだだだだ」

 

ああ、それにしてもかわいいです、いじめられる凪さん、げふんげふん。

 

えっと、普段ならあんな風に人を襲ったり(?)はしないんですけど、最近一刀ちゃんもいませんからね、遊ぶ相手に餓えているのではないかと思います。

 

 

 

 

 

「あああああああ、何でこう仕事がおおいねーん!」

 

ちなみに今のは街からの陳情書を整っている真桜さんの叫び声です。

 

八割以上は、一刀ちゃん最近なんで来ないのですか?という内容です。

 

一刀ちゃんがいないと街の警備システムが麻痺します。

 

 

 

 

え?沙和さんですか?

 

あの人は仕事があってもなくてもサボるでしょ。

 

 

 

 

「凪、ちょっと良いか」

 

「あ、秋蘭さま?」

 

「夏侯淵さまー」

 

「夏侯淵さまだー」

 

新しい遊び相手を見つけた餓えた子オオカミたちが秋蘭さんに集まってきます。

 

「夏侯淵さまー、一刀お兄ちゃんは?」

 

「一刀お兄ちゃん、何で最近遊びに来てくれないの?痛いの?」

 

「え?一刀お兄ちゃんいたい?」

 

「えー!?」

 

「陳留オワタ」

 

「お見舞い行こう」

 

「ぼくお母さんに言って美味しいもの持っていく」

 

「あ、じゃああたしも」

 

誰も一刀ちゃんが病気だと言ってないがな。何と落ち着きのない子たちだ。

 

「……」

 

そんな姿を暫く見ていた秋蘭さんは、

 

「大丈夫だ。北郷は痛くない。ただ、最近城が忙しくてな、もうちょっとあったら皆と遊ぶに来るだろう」

 

「ほんと?」

 

「ああ」

 

 

 

「秋蘭さま、どうかなさいましたか」

 

子供たちを一旦落ち着かせて帰らせてから、凪さんは秋蘭に声をかけました。

 

「ああ、実は、北郷のことでな」

 

「…一刀様は、まだ部屋の中に」

 

「ああ、それでだが、何か心辺りはあるか?」

 

「心辺り、ですか?」

 

「ああ、何か、あの時一刀と偵察に行った時に、一刀に何か話したこととかはないか?」

 

「あ……」

 

それを聞いた凪さんは少し恐縮な顔。

 

「いや、別にお前に原因があるという話ではないのだが、ただ、あれで北郷は、色々と事情が深い子でな」

 

「事情、ですか?」

 

「ああ、話すと長くなるが……いや、その話は今はいい。あの時、一刀と何の話をしたか教えてくれ」

 

「特にこれといって話と言えるものをしたことは……自分はあまり話す口ではありませんので」

 

「そうか……」

 

それではやはり…とか考えているんでしょうね、秋蘭さん。

 

「わかった。すまんな、仕事の邪魔をしてしまって」

 

「いいえ、私も、まだ右も左も解らなくて迷ってばかりいるところでしたから…それにしても、すごいですね、一刀様は。こんな街を毎日回っていらっしゃったなんて」

 

あの子の場合回ってるだけでも警邏になるのがすごいんですよ。

 

「すごいですね、一刀様は」

 

「…そうだな」

 

大事なことなので二回言う凪さんを見て、秋蘭さんは微笑みました。

 

 

いや、あるいは苦笑だったのでしょうか。

 

 

 

 

その後秋蘭さんは華琳さんの部屋に行って報告をしました。

 

「そう、凪にも心当たりがないのね。…だとしたら、どういうことかしら。もっと前のことが原因なのかしら」

 

「………」

 

「…秋蘭」

 

一瞬でも曇りを見せた秋蘭さんの顔を、華琳さんが見逃すはずがありません。

 

「はい」

 

「何か、心当たりがあるのだったら言いなさい」

 

「………」

 

「言ってくれなかったら解らないじゃない。……それとも、原因はあなたにいると思ってるのかしら」

 

「…はい、実は」

 

「言わなくていいわ」

 

「はい?」

 

自分の考えを言おうとする秋蘭さんを、華琳さんは止めました。

 

「あなたが何を考えているかは解らないけど、一刀が篭っていることはあなたのせいじゃないわ。あの子はそんなことでこんな行動をする子じゃないわ」

 

「それはそうですが…しかし」

 

「それでも気になるなら、悶々としてないであの子に堂々と言いなさい。私は手伝ってあげないわ」

 

「……」

 

「もういいわ。下がりなさい」

 

「…御意」

 

ある意味、原因に直接関わってる人がそんなこと言ったらちょっとあれですね。自覚はありませんが。

 

とにかく、秋蘭さんはそのまま華琳さんの部屋から下がりました。

 

それにしても案外華琳さんが冷たいですね。

 

何かあったのでしょうか……。

 

「……」

 

…?

 

 

・・・

 

・・

 

 

「……」

 

その後秋蘭さんが向かった場所は当然一刀ちゃんの部屋です。

 

ところで僕はここ三日ぐらいは一刀ちゃんに会ったことがないのですが、中では一体何が起きているのやら……

 

ドタタタタダッタッタン

 

!?

 

この崩れる物音はまさか……

 

「北郷!」

 

がらっ

 

「!!」

 

「……ぅ…」

 

一刀ちゃん、いつかのように棚につぶされています。

 

だからあの棚片付けたほうがいいって言ったのに。

 

無駄にでかいし良く崩れるし。

 

「北郷、大丈夫か?」

 

秋蘭さんが急いで本棚を上げて一刀ちゃんを救いました。

 

ところで、一刀ちゃん今度は何でこうなったんですか?

 

「……っ」

 

一刀ちゃんどうしました?焦っているようですけど。

 

【さっちゃん、写真なくしたの!】

 

写真?ご両親の写真ですか?

 

「(こくっ)」

 

今更何でそんなものを……

 

【それはどうでもいいじゃない。あれがなかったらボク…ボク今本当にどうかなっちゃいそうなのに、なのに、ちゃんと鞄の中にいれといたのに、いないどうしようどうしよう】

 

人として壊れ寸前ですね、こりゃ。

 

まぁ、まぁ、取りあえず落ち着いてくださいよ。

 

「ぁぅ……」

 

「怪我はないみたいだな……あの棚は片付いておいたほうがよさそうだな。大体の部屋にはあるものなのだが……そのままおいておくのも危なさそうだ」

 

大体棚に何もおいていないことが原因なんですけどね。

 

「それにしても北郷」

 

「!」

 

その時になって一刀ちゃんは自分が秋蘭さんにくっついていることに気付いたのか直ぐに後ずさりで距離を取りました。

 

 

 

うん?後ずさり?

 

いつもみたいに瞬間移動じゃなくて?

 

「どうしたんだ、北郷」

 

「……」

 

とにかく自分から離れようとする一刀ちゃんを見て秋蘭さんは取りあえずそのまま床に座ったまま話を続けました。

 

「華琳さまは皆も心配しているぞ」

 

「……」【わかってる】

 

話は聞いては居ますが、視線は避けています。

 

ここ数日、一刀ちゃんは華琳さんと実のお母さんの中から右往左往していました。

 

これ以上自分の感情が紛らわしくなるのがいやなのでしょうけど、

 

いや、それ何も解決していませんからね、一刀ちゃん。

 

でもまあ、こちらとしては断然こっちの方に慣れてもらったほうがいいのですが。

 

お母さんだと言ってももはや他人よりも疎い関係ですし、こちらの人たちはもうすっかり北郷のことを可愛がって居ますし。

 

前にあったあの占い師も言ってたじゃないですか。これからは自分の幸せは自分で掴まえられるって。

 

一刀ちゃんは、今までの出来事が楽しくなかったんですか?

 

幸せじゃないんですか?

 

「……」

 

 

 

 

「それと、……これ、北郷のだろ」

 

「!!」

 

秋蘭さんが持ってきたものは一刀ちゃんがご両親と一緒に取った写真です。

 

おそおそそれに手を伸ばしてその写真を持っていきました。

 

「……」

 

そして写真をもらってから視線を秋蘭さんに移しました。

 

言ってはないですが「どうして秋蘭お姉ちゃんが持っていたの?」って顔です。

 

「別に持っていこうとしたつもりではないのだがな……返そうと思ったらこの前北郷が大声で私に出ていけと言って、私はあの時もう知っていたのだと思ったのだが、どうやら私の勘違いだったようだ」

 

「……」

 

また視線は秋蘭さんに固定。

 

「申し訳ない」

 

秋蘭さんが頭を下げて謝罪しました。

 

「……」

 

そしたら、一刀ちゃんは目を写真へと移して、しばらくその写真をじっと見ていました。

 

 

 

 

何せ、家族との思い出を思い出させるものはあれしかありませんからね。

 

あの写真は一刀ちゃんと、一刀ちゃんのお母さんを繋げる唯一の絆。

 

そして……

 

 

 

じーっとその写真を見ていた一刀ちゃんは、

 

すーっ

 

持っていた写真を両手で持って秋蘭さんに見えるようにしました。

 

「……?」

 

秋蘭さんは一瞬それがどういう意味かわからずキョトンとしていましたが、

 

チイイィー

 

次の瞬間、写真は一刀ちゃんの手で二つになっていました。

 

「…北郷?」

 

「………」『もう要らない』

 

そう言った一刀ちゃんは立ち上がりました。

 

そして秋蘭さんの方へ行って、

 

秋蘭さんの手を掴みました。

 

「……北郷」

 

「……」

 

一刀ちゃんは暫く秋蘭の手を揉んでいました。

 

「……」【さっちゃん】

 

はい?

 

【写真は…暖かいとかないよね】

 

…そうですね。

 

【…ボク、今までは辛いことがあるとあの写真見ながら元気出していたのにね。……もう、見ていても何も収まらない。胸がもって苦しくなるだけ】

 

そうだったんですか。

 

辛いですか?今。

 

……

 

【……ううん、ほっとする】

 

…ならいいですよ、それで。

 

【そうなの?】

 

はい、ああ、でもこれからは大変なことになりますね。皆さんに謝らなくてはなりませんし…先ずは目の前の秋蘭さんがいい加減手を揉まれすぎて頭に血が上りすぎているのでやめてください。

 

【え?】

 

「…ほ、北郷、そろそろ、やめて、もらえ、ないか?やめて、もら、え、な、いか」

 

ほら、何か言葉とか変になってますし。

 

【秋蘭お姉ちゃんが壊れてる】

 

誰のせいですか。

 

【何か面白いからもうちょっとだけ】

 

オイ

 

 

 

結局それからも三十分ぐらいそのままでした。

 

 

その後秋蘭さんに凪さんとあったことを説明しました。

 

事情が大体解ってる秋蘭さんなので、直ぐに理解しました。

 

「…そうだったのか」

 

『おかしいよね』

 

「確かに、ちょっとおかしいかもしれないな。そういうことで北郷が悩んでいても何も変わらないだろ」

 

『そうだけど、でも気分の問題は大事だよ。あぁ、華琳お姉ちゃんにはナイショで済むかな』

 

「さあ、そのことを知ったら華琳さまも北郷以上に混乱なさると思うんだが…とりあえずは私がなんとかしてみよう」

 

ちなみにこの会話が進んでる場所がベットの中だということを敢えて説明する必要はありませんね。一刀ちゃんの部屋ですが。

 

多分一刀ちゃんの部屋で誰が寝るのってこれが初めて?

 

 

 

…あ、違うか。この前華琳さんも来てたな。

 

残念でしたね、秋蘭さん。

 

 

 

『あ、後ね。実は……』

 

「うん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ボク、スッてするのできなくなった』

 

 

え?

 

「……なんだと?」


 
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