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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第九十回 第五章B:御遣い奪還編⑥・不統一な旗色に烏の一文字です!!

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

我が家の英雄譚+PLUSがやってきました!

猫耳白蓮、、、これで勝てる!と思いましたが戦国恋姫が終わるまでお預け、ぐぬぬ、、、

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2016-08-07 00:17:09 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3279   閲覧ユーザー数:2946

 

 

【豫州、潁川郡、許城】

 

 

曹操兵「伝令!函谷関より、司隷一帯の関所が次々賊によって突破されているとのこと!間もなく函谷関に攻め込まれるだろうとのこと!」

 

 

徐晃「函谷関・・・洛陽、いや、やはり賊が目指すのはここ許でしょうね・・・郝昭から伝令を受けてまだ二日と経っていませんのに・・・

 

凄まじい速さですね・・・」

 

 

 

函谷関からの伝令を受けた徐晃は、凄まじい速さで次々と自領の関が突破されていくという報を聞き、

 

蚊の鳴くようなか細い声で思考を呟き、きれいに鼻頭の辺りで切りそろえられた前髪の奥から鋭く瞳を煌めかせながら、

 

こめかみに嫌な汗を感じていた。

 

 

 

張郃「きゃはは、公明ちゃん、アタシもう待てないヨ!今カラ函谷関行テ迎え撃―――!」

 

徐晃「いけませんチョコさん!チョコさんは絶対安静と華琳様が仰っていたではありませんか、すいません!」

 

 

 

しかし、徐晃とは対照的に、兵士の報告を聞いた張郃は耳障りな甲高い笑い声をあげると、

 

体中に巻いた包帯を引きちぎらんばかりの勢いで部屋から跳び出そうとするが、

 

徐晃が鈴の音のような小さな声で珍しく慌てた様子で叫び、寸前のところで張郃の腕を掴み、単身突撃を阻止した。

 

 

 

張郃「きゃはは、離すネ公明ちゃん!公明ちゃんカラ斬テしまうネ!」

 

徐晃(・・・普段よりも狂気の色合いが強まっている・・・!?)

 

 

 

しかし、徐晃に掴まれたその瞬間、張郃は敵に向けるような、狂気の色に染まったドロドロに濁った瞳を徐晃に向けると、

 

互いの顔面間10センチほどまで肉薄しながら脅しの言葉をかけた。

 

普段からネジが数本抜け落ちた戦闘狂な張郃ではあるが、その狂い度合いというか、瞳の濁り度合いが深まっているのではと徐晃は肌で感じ戦慄した。

 

 

 

郭嘉「何を騒いでいるのですか?」

 

 

 

しかし、一触即発のその刹那、郭嘉が普段の様な鋭くきびきびとした様子が抜けた、

 

ゆったりとした足取りで部屋に入り、その言葉だけで二人の動きを止めた。

 

 

 

徐晃「あ、稟さん。すいません、もう起きてきても大丈夫なのですか?」

 

 

 

郭嘉の登場に徐晃は驚きの表情を前髪で覆いながら郭嘉の体の具合を尋ねた。

 

というのも、本来、郭嘉はここにいるはずはなく、曹操と一緒に南征軍の軍師として従軍しているはずなのであるが、

 

いざ明日は出陣という日の夜に貧血を起こし、床に臥すこととなってしまったのであった。

 

 

 

郭嘉「ええ、もう大丈夫です。ご心配をおかけしました。それに、ずいぶんと賑やかなので目が覚めてしまいました」

 

徐晃「すいませんすいません!」

 

 

 

結果、曹操は郭嘉に養生するよう留守を言いつけたのであるが、後に曹操軍の中で伝説として語り継がれることになる、

 

“悪夢の血の海事件”から数日、ようやく歩けるほどに回復したのであった。

 

郭嘉は自身の健在ぶりを、冗談を交えてアピールするが、徐晃は言葉通りの皮肉ととらえ、張郃を捕まえながら全力で謝罪した。

 

 

 

張郃「きゃはは、稟ちゃん聞くネ!公明ちゃん、アタシ戦場ニ立たせテくれないネ!アタシ戦場ニ立てない死ぬト同じヨ!」

 

徐晃(ぅぅ・・・やっぱり言っている意味が分かりません・・・すいません)

 

 

 

一方、郭嘉の姿を確認した張郃は、あたかも徐晃が悪いような言いぶりで超理論を展開するものだから、徐晃は心の中で嘆くのであった。

 

 

 

郭嘉「ですがチョコ、確かあなたは、華琳様から傷を癒すことに専念するよう言いつけられていたのでは?でしたら、戦場には赴かず、

 

城の中で大人しく養生しておくのが筋ですよ」

 

 

張郃「・・・きゃはは、稟ちゃん手厳しいネ」

 

 

 

しかし、郭嘉が先ほど徐晃が言った内容と全く同じことを張郃に言ったところ、

 

張郃の興奮は冷めてしまい、徐晃を振りほどこうとするのをやめてしまった。

 

 

 

徐晃(ぅぅ・・・私なら聞かないのに・・・すいません・・・)

 

 

 

そして、郭嘉にあっさりと張郃を説得させられてしまい、徐晃はズーンと沈むのであった。

 

 

 

郭嘉「ところで公明殿、チョコがこれほどまで気が立っているということは、何かありましたか?」

 

 

徐晃「はい、実は司隷一帯の関が賊によって次々突破されているようで、そのまま函谷関に攻め込むようなのですが・・・恐らく狙いは

 

ここ許城だと思われます、すいません」

 

 

郭嘉「・・・なるほど、チョコが暴れたくなるのも頷けます」

 

 

 

自領が攻め込まれているという情報を聞き、郭嘉は嘆息しながらも張郃が暴れているのに納得すると一変、

 

眼鏡のずれを持ち上げ、レンズの奥に映る瞳を爛々と光らせながら思考の渦に飛び込んだ。

 

 

 

郭嘉(涼州軍の侵攻か、或は北郷軍の仇討か、その両方か、というのが妥当な線でしょうが・・・確か、報告によれば、内部分裂状態の

 

北郷軍の中、仇討をと主張していたのは魏延と法正だったはず・・・その場合、孫策軍と合流するという偽の情報を流し、背後を突こう

 

という法正の策といったところか―――いや、呂布たちの失意すらも偽情報というのも考えられなくもないか・・・)

 

 

 

賊の正体とその目的・思惑・策のやり取り、可能性を列挙しては肯定・否定を繰り返し、

 

郭嘉は頭の中で現状の分析及び整理を行っていった。

 

 

 

徐晃「一応、現在用心のために城下の民たちには避難準備令を出し、あと、賊が騎馬軍ということらしいので、城の外周に馬防柵を敷く

 

よう指示を出しています、すいません」

 

 

 

そのように郭嘉が一人思考の山に埋没している中、徐晃は恐る恐るといった様子で現状自身がうった対応をか細い声で報告した。

 

 

 

郭嘉「ふむ、さすがは不敗将軍。手回しが早くて助かります」

 

徐晃「すいません、神算鬼謀の才能をお持ちと謳われる稟さんにお褒め戴けるなんて恐縮です、すいません」

 

 

 

徐晃の先を見据えた手堅い対応に郭嘉は素直に徐晃のことを褒めるが、対して徐晃は、

 

事実上曹操軍で最上の頭脳を持つと言って間違いない郭嘉からの称賛に、か細い声をさらにか細くさせながら縮こまった。

 

 

 

郭嘉「とにかく、すでに手は打ってあります。郝昭に渡しておいた密書が劉表と烏丸に届けば、後は函谷関で足止めを喰らっている賊を、

 

北から烏丸が、南から劉表軍が挟み撃ちにし、それで終わりです」

 

 

 

 

 

 

【司隷、函谷関】

 

 

謎の賊が曹操軍領の関所を突破したという報が届いてから数日後の明朝、

 

物見より西の方角をじっと観察していた見張りの兵士が巨大な軍団の影を確認し、すぐさま関所内に伝えていた。

 

 

 

曹操兵1「おい、オレは夢でも見ているのか・・・?」

 

曹操兵2「何て数だ・・・」

 

曹操兵3「深紅の呂旗、紺碧の張旗、高旗、それに、翠緑の馬旗・・・間違いない、北郷軍と涼州軍だ・・・」

 

曹操兵4「くそ、アイツら、おれ達がすでに情報をつかんで奇襲は無理だと腹をくくって、今度は堂々と旗を掲げてやがる・・・!」

 

曹操兵長「それは違うな」

 

曹操兵「「「「兵長!!!!」」」

 

 

 

賊の出現に、兵士たちは一目見ようと物見台に集まるが、視認して分かったことは絶望の二文字。

 

謎の軍団の正体が北郷軍と涼州軍であることが確定したものの、およそ3万という数の暴力を目の前に、

 

兵士たちは騒然としていたが、背後から発せられた兵長の一声で兵士たちはいっせいに兵長に注目した。

 

 

 

曹操兵長「確かにすでに情報が俺たちに伝わっているからというのもあるだろうが、腹をくくってなどとんでもない。あれは旗を掲げる

 

ことで俺たちに揺さぶりをかけているのだ」

 

 

 

確かに兵長の言うように、兵士達は呂布や張遼といった名立たる武将の旗印を名指し、それを視認し、名を聞くだけで震え上がっていた。

 

それだけ、一騎当千たる猛将の旗印というのは、その存在だけで絶大な効果を持つものなのである。

 

 

 

曹操兵1「しかし兵長、あれほどの猛将ぞろいに加えてあの数、いくら函谷関が堅牢とはいえ、我々ではとても太刀打ちできません!」

 

 

 

事実、現在函谷関には呂布や張遼はもちろんのこと、高順や馬超相手に太刀打ちできるような、

 

例えば夏候姉妹や典韋許緒といった将は、皆曹操と共に南征に向かっているか、

 

或は、本拠である許城に残っているかのどちらかであり、とても関所内にいる兵ではどうしようもない状況であった。

 

 

 

曹操兵長「馬鹿者、貴様、馬鹿正直に我々だけで真正面からぶつかっても、太刀打ちできないに決まっているだろう。これから俺たちに

 

求められているのは籠城戦。時間稼ぎだ」

 

 

 

しかし、兵長は太刀打ちできないことを自覚の上で、自分たちには籠城戦という時間稼ぎができることを説いた。

 

 

 

曹操兵2「時間稼ぎ?」

 

 

曹操兵長「そうだ。すでに軍師様が烏丸族と劉表軍に対して援兵を求める書状を送っている。俺たちは、援兵到着までの間、賊の足止め

 

をしていればそれでいい。この関所は籠城戦にはうってつけの場所だからな」

 

 

 

函谷関は虎牢関と並び称される堅牢な関所として有名だが、その理由として、南北の山脈により作られる峡谷の間に建造され、

 

三重に張り巡らされた城壁の高さは60メートルを裕に越すと言われ、正面からの突破は非常に困難である点と、

 

何より、背後に洛陽があるため、兵糧に困ることがまずないという点。

 

この2点に尽きた。

 

つまり、都を守る関であるだけのことはあり、長期戦、籠城戦において函谷関はまず破れないのである。

 

 

 

曹操兵長「ふん、賊の兵糧が尽きるのが先か、援兵に挟み撃ちにあい討死するのが先か、少なくとも、俺たち曹操軍に手を出したことを

 

後悔することになるだろう」

 

 

 

 

 

 

【司隷、函谷関side北郷涼州連合】

 

 

馬超「あー、駄目だ。相手はビビってるっぽいんだけど流石に開門には応じてくれないな」

 

 

 

函谷関の城門前に躍り出て、開門要求をしていた馬超であったが、

 

相手から一切の返事が返ってこないため、面倒くさそうに頭をかきながら戻って来た。

 

 

 

陳宮「むむ~、やはり籠城の構えに出ましたな・・・」

 

 

 

函谷関前に到着した呂布たちであったが、曹操軍の対応は、これまでのように敵兵が出陣して応戦してくるといった様子は一切なく、

 

城壁や楼閣の上から弓矢で狙いを定めるといった脅しにとどめていた。

 

 

 

鳳徳「援軍ッ!」

 

馬岱「だろうね。なら、援軍が来る前に早く強攻しないとどんどん長期戦に持ち込まれちゃうよ」

 

 

 

籠城戦による長期戦で呂布軍を足止めし、更に兵糧を消費させ、援軍を待つ。

 

敵の目論見が明らかなだけに、馬岱は鳳徳の指摘に呼応するように若干の焦りを見せていた。

 

 

 

張遼「せやったらここは短期決戦の鬼、陥陣営様の出番っちゅーことやな」

 

高順「いや、さすがに私でも函谷関をそう易々と突破なんてできませんよ・・・」

 

 

 

周りの焦りが伝播したのか、張遼は高順に割と真面目に頼ってみるが、高順にとっては無茶ぶりもいいところであった。

 

 

 

陳宮「むむむ~、やはりここは正攻法で、衝車部隊を援護しつつ、正面突破といくか、或は・・・虎牢関のように―――」

 

 

 

そのように、今は時間が一分でも惜しい時、徐々に焦りが広がりつつある光景を鑑み、

 

ここは急がば回れの基本に立ち返り、正攻法で正面突破すべきか、

 

或は虎牢関の時に曹操軍にやられたような奇策に打って出るか、と陳宮が焦りながらも慎重に思案していると、

 

 

 

曹操兵「撃てぃ!!!」

 

 

 

こちらの動きに対して全く反応を見せなかった曹操軍が突然、何の前振りもなく投石、そして矢による一斉射撃を開始したのであった。

 

 

 

馬岱「うひゃっ!?」

 

張遼「ぅあっぶなッ!?なんやアイツら急に撃ってきよったで!?」

 

 

 

突然の攻撃に、馬岱は軽い悲鳴を上げながら頭を抱えて馬上で伏せ、辛うじて矢を避け、

 

張遼も頭上に飛んできた巨石を、上手に馬をいなして回避する。

 

 

 

馬超「んにゃろー、考えていても埒が明かない。玲衣、あたし達も応戦するぞ!」

 

鳳徳「応戦ッ!」

 

涼州兵「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエエィッッッ!!!!!」

 

 

 

そして、このままあれこれ考えていても始まらないと、馬超は飛んできた矢を槍で弾き落とし、応戦すべく仲間に声をかけると、

 

鳳徳は背負った棺桶で巨石を防ぎながら一言短く号令をかけ、

 

少しアウトローな感じの勇ましい弓を持った涼州兵たちが前に出てき、射撃を開始した。

 

 

 

高順「くっ、今は時間が惜しい、やるしかないですね・・・!」

 

呂布「・・・(コクッ)」

 

 

 

さらに、高順もやむを得ないと仕込み弩で矢を打ち落とし、呂布も方天画戟で巨石を打ち飛ばすと、無言で頷いた。

 

 

 

陳宮「(しまった、先に相手から仕掛けられてしまったです、これでは相手の土俵に立たされたも同じなのです・・・!)」

 

 

 

相手の動きに流されるままに戦闘に入ってしまったことに、陳宮は歯噛みしながら焦燥を覚えていた。

 

 

 

 

 

 

【豫州、潁川郡、許城】

 

 

張郃「きゃはは、そノりゅーひょートうがんハ強いネ?」

 

 

 

郭嘉が援軍要請をしたという劉表と烏丸のことに興味を持ったのか、

 

張郃は戦闘時と比べたら幾分マシな独特の濁った瞳を輝かせ、うずうずした様子でその実力を尋ねた。

 

 

 

郭嘉「劉表が強いかどうかと問われれば、武については正直に言って弱いです。ですが、彼女の本領は世渡り巧みな政治手腕にあります。

 

何せ、彼女は荊州という、全方位を他勢力に囲まれている地域を治めておきながら、この戦乱の世で一度もその領土を失っていません。

 

我らと対峙した時も、早々と恭順の意を示し、荊州の地を守っています」

 

 

 

劉表は孫策や曹操といった、元々の武力値が高いタイプの君主ではないが、しかし、この戦乱の世の始まるころから、

 

今に至るまで自領を守り切っているという意味では、決して弱いとは言えないだろう。

 

 

 

張郃「きゃはは、つまり弱いネ!それじゃあアイツら止められないネ!やっぱりアタシ行くヨ!」

 

 

 

しかし、当然今の場合曹操軍に求められているのは賊に対抗できる単純な武力。

 

張郃の言うように劉表一個人は弱いと一蹴されるのもまた、やむを得ないことであった。

 

 

 

郭嘉「まぁ落ち着いてください。弱いと言っても劉表の場合、莫大な兵糧があります。個の力がなくとも数で補えるのが劉表軍の武での

 

強みです。それに、もう一勢力、烏丸族は武芸に秀でており単純に強いですよ。騎射に巧みな彼らは、非常に好戦的で、私達も降すのに

 

一苦労したものです」

 

 

 

一方で、烏丸族といえば、幽州で公孫賛軍とぶつかった北方系の異民族であり、涼州系の羌族や氐族とはまた別の系統の異民族であるが、

 

やはり例に違わずの曲者ぶりで、特に騎射でその勢力を拡大してきた民族である。

 

 

 

郭嘉「あの烏の一文字を掲げた騎馬軍が一斉になだれ込んでくる様は、今思い出してもぞっとしますよ」

 

 

 

 

 

 

【司隷、函谷関】

 

 

曹操兵1「伝令!賊の後方に一軍を確認!不統一な旗色に烏の一文字です!!」

 

曹操兵長「ようやく来たか!!」

 

 

 

呂布軍の攻城に対して、矢や投石で応戦し、膠着状態になっているときに、いくら自軍の役割が時間稼ぎと言っても、

 

戦局が大きく動かない状態が長く続くとやはり不安に駆られるものであり、援軍はまだかとそろそろ焦りを募らせていたその時、

 

物見台から駆け下りてきた兵士が告げた援軍到来の報に、兵長は膝を打って喜びをあらわにしながら呂布軍の後方を注視した。

 

 

 

曹操兵2「本当だ、おっかねぇ・・・けど、味方になると心強いな!」

 

曹操兵3「数は、千・・・いや、もっとか・・・少数精鋭の猛者たちが援軍にやって来たぞぉ!!」

 

 

 

他の兵士たちも、矢を打ち、投石機を動かしながら呂布軍の遥か後方にうごめく烏の旗印を視認し、士気を上げた。

 

3万の賊に対して数千の援軍。

 

数だけ聞けば何をそこまで喜ぶのかと思えるかもしれないが、それを可能にするのが烏丸族という存在であった。

 

 

 

曹操兵長「よし、烏丸が到着次第挟撃に移る!俺たちも本格的に迎撃態勢に入るぞ!いずれ劉表軍も合流すれば数でもこちらが圧倒する

 

ことになるだろう!あとは愚かな賊を駆逐するだけだ!貴様ら、銅鑼を打ち鳴らせ!!気勢をあげろ!!反撃の時間だ!!!」

 

 

 

 

 

曹操兵「おぉおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 

待ちに待った援軍の到着に、兵長は兵たちを鼓舞すべく檄を飛ばし、兵士たちも自軍を鼓舞すべく銅鑼を打ち鳴らし鬨の声を上げた。

 

 

 

 

 

 

【司隷、函谷関side北郷馬騰連合】

 

 

張遼「な、なんや!?敵さん急に騒がしくしよってからに!?」

 

 

 

特に何か戦局が動いたわけでもないのに、何の脈略もなく突然曹操軍から銅鑼の音や鬨の声が上がるものだから、

 

張遼は驚いてキョロキョロと周囲を見回しながら、陳宮のいる衝車部隊の所に駆け込んできた。

 

先ほど戦闘途中で、重要な話があるからと陳宮に呼び出されたのである。

 

 

 

陳宮「みな、落ち着いて聞くです!先ほど伝令より、後方から騎馬の一群がこちらに迫ってきているとの報告があったのです!」

 

 

 

張遼の到着で幹部クラス全員の集合を確認した陳宮は、伝令からの報告を落ち着いた様子で、

 

しかしその声色には明らかに焦りの色が見えた様子で伝えた。

 

 

 

呂布「・・・・・・・・・!」

 

高順「旗印は・・・誰の旗ですか?」

 

陳宮「旗色は不統一ですが、その全てに烏の一文字が描かれているそうなのです!」

 

馬超「烏だって!?」

 

 

 

旗印が烏の一文字であるという情報を聞いた瞬間、馬超が驚きの声を上げた。

 

 

 

陳宮「心当たりがあるですか!?」

 

鳳徳「烏丸ッ!」

 

馬岱「だね!東方の、えと、涼州から東だから、中央から見たら北方、幽州あたりだけど、異民族だよ!」

 

 

 

陳宮の問いかけに、感情の読み取れない平坦な表情で、短く、そして力強く答えたのは鳳徳であり、

 

そこに馬岱が異民族であると補足を加えた。

 

 

 

張遼「つまりはどーゆーこっちゃ、まさかアイツらも曹操軍に恨みあって、ウチらが攻めたのに便乗したんかいな!?」

 

 

 

急に背後から謎の軍団が迫ってきていると聞かされ、若干混乱している張遼は、

 

逆ギレ気味に本気なのか勢いで冗談を言っているのか微妙なことを喚いていた。

 

 

 

高順「霞、落ち着いてください。当然何もない訳がないとは思っていましたが・・・」

 

 

陳宮「烏丸族といえば、確か曹操軍に降っているはずなのです!つまり、曹操軍の援軍なのです!さすがに、あれだけ曹操領の関を突破

 

されれば、援軍を投入してでも止めに来るというものなのです!」

 

 

 

暴れそうな勢いの張遼を高順が冷静に窘め、陳宮が曹操軍の援軍であろうという考えを手早く述べた。

 

 

 

張遼「うわっ!?こらアカン!!正面からの攻撃も激しくなってきたで!!」

 

 

 

そのようなやり取りをしているうちにも当然函谷関からの猛攻は続いているわけで、

 

張遼は一気に5本もの矢に狙われ、慌てて偃月刀で払い落とした。

 

呂布軍の幹部たちが一所に集まっていることに加え、援軍到来による士気の高まりによって、

 

より一層矢や投石による攻撃が激しくなっているようであった。

 

 

 

陳宮「このまま烏丸族との挟撃に繰り出そうというわけでしょうな・・・烏丸族の実力は!?」

 

 

 

敵の士気の高まりから、いずれ二手から挟み撃ちにあうと、陳宮は嫌な汗を垂らしながら、対抗策を練るべく、烏丸族の実力を問うた。

 

 

 

馬超「甘くはないのは確かさ!白馬義従の多くは、その昔幽州で烏丸族と交戦した末、手練れを抜き取った結果生まれた軍団らしいけど、

 

虎牢関で白馬義従と直に戦ったことのあるっていうのなら、その実力はよくわかるんじゃないのか!?」

 

 

 

高順「なるほど、それだけ分かれば十分です・・・」

 

 

 

実際、公孫賛と直接戦ったのは、呂布軍の臧覇、曹性、侯成の三人であり、ここにいるものの誰一人として、

 

直接公孫賛と戦ったものはいないのだが、当然その実力は臧覇たちから聞いており、高順は苦い顔をしながら烏丸族の実力を悟った。

 

 

 

馬岱「数はだいたい二千ってところだね!」

 

 

 

馬岱の言うように、視認できる烏丸族の数は目測およそ二千。

 

自軍の数が3万ほどなので、数だけで言えば特に慌てることもないのだが、呂布軍や涼州軍の中に楽観視している者は一人もいなかった。

 

相手は少数精鋭の異民族。

 

やはり戦闘スタイルの違いから通常の相手を想定していては痛い目を見るばかりであり、

 

さらに援軍という立場と挟撃しているというアドバンテージも加味すれば、

 

3万という大軍は、果たして100%機能するかと問われればそうは言いきれず、

 

下手をすればただ数が多いだけの集団になってしまう恐れさえあるためである。

 

 

 

鳳徳「迎撃ッ!」

 

 

 

すると、鳳徳は皆の前に一歩進みでると、手にした大きな黒棺をわざとらしく地面に打ち下ろし、

 

トロンとした大きなスカイブルーの瞳を爛々と煌めかせた。

 

 

 

馬超「よし、わかった!みんな、ここは玲衣に任せてくれないか!?」

 

 

 

そのような鳳徳の意気を感じ取った馬超は、烏丸への対応を鳳徳に任せようと提案した。

 

 

 

張遼「大丈夫かいな!?」

 

鳳徳「余裕ッ!」

 

陳宮「・・・では、お願いするのです!」

 

 

 

鳳徳の実力をあまりよく知らない張遼の心配の問いかけに対する、鳳徳の平坦な表情ながらも自信に満ちた返事を聞き、

 

陳宮は馬超の提案通り鳳徳に任せることに賛同し、結果、そのまま烏丸族には鳳徳が当たることになった。

 

 

 

鳳徳「二千ッ!」

 

馬超「あぁ、任せたぜ!こっちもすぐに正門を突破する!」

 

鳳徳「了解ッ!」

 

 

 

そして、鳳徳は2千と短く叫ぶと、馬超は特段戸惑うことなく、それが2千の涼州兵を連れていきたいが良いか、

 

という問いかけであると瞬時に理解し、了承すると、出来るだけ鳳徳に負担がかからないよう、早急に函谷関を突破する旨を伝えた。

 

 

 

陳宮「しかし、本当に大丈夫でしょうか・・・相手が二千ほどなら、こちらは四千は兵がほしいところでしょうに・・・」

 

 

 

2千の涼州兵を率い、迫る烏丸族を迎撃しに馬を走らせた鳳徳の後姿を見ながら、

 

しかし陳宮は本当に2千の兵で大丈夫だったのかと漏らした。

 

確かに、呂布軍涼州軍には、曹操軍領の関所を有り得ないほどのスピードで次々と攻略していっているという勢いがあるが、

 

函谷関という壁にぶつかり若干勢いに陰りが見え始めた中、敵軍の援軍の到来を受け、流れは曹操軍に来始めている。

 

そのような中、少数精鋭の烏丸相手に、同数で対応するというのはやはり不安の残るものであった。

 

通常であれば、倍以上の兵力があれば安全圏と言われるだけに、ここは函谷関攻略のための兵を少し割いてでも、

 

烏丸への対応に兵を割くべきだったのでは、というのが陳宮の心配である。

 

 

 

馬岱「大丈夫大丈夫♪相手と同じ兵力があれば、レイレイなら十分だよ♪」

 

 

 

しかし、そのような陳宮の心配など気にする必要はないと馬岱はにこやかに答えた。

 

一見楽観的な意見とも思えるが、馬岱の口ぶりは、楽観的というよりも、信頼からくる自信という意味合いが強いように思えた。

 

 

 

馬超「それにほら、玲衣は白馬に乗ってるだろ?確か烏丸族って公孫賛、白馬将軍を恐れてるって話だったはずだし、涼州の白馬将軍、

 

みたいなさ!」

 

 

呂布「・・・・・・・・・」

陳宮「・・・・・・・・・」

高順「・・・・・・・・・」

張遼「・・・・・・・・・」

 

 

 

しかし、馬岱の言葉に便乗して問題ないと主張しようとした馬超であったが、

 

その表現方法に難があったらしく(というか、馬超が何を言っているのか理解できず)

 

呂布陣営は、呂布含め、皆一様にポカンと口を開けながら馬超のことを白眼視していた。

 

 

 

馬岱「お姉様・・・それはさすがにないよ・・・」

 

 

 

そして、馬岱がとどめの一言を放った。

 

 

 

馬超「えぇ!?あ、あたしはこの場のピリピリした空気をいったんほぐそうとしてだな!」

 

 

 

自分では良いことを言ったつもりのはずが、周りを見渡せば自分が恥ずかしい人みたいな扱いを受けていると悟り、

 

馬超は甚だ不本意と苦し紛れの言い訳してみせるが、

 

 

 

陳宮「・・・白蓮殿の白馬将軍というのは、確か白馬義従を率いた将軍だからという意味で、単に白馬に乗っているからということでは

 

ないはずでは?」

 

 

張遼「ねね、狙ったボケに突っ込むんならまだしも、あれは天然ボケや。天然ボケに対して真面目にツッコむんは時と場合を選ばへんと

 

ウケへんし、本人にとっては酷っちゅーもんやで」

 

 

高順「霞、あなたの今の発言も十分酷ですけどね・・・」

 

恋「・・・・・・恋は、良かったと、思う」

 

 

 

そのような馬超必死の言い訳など誰も聞いておらず、呂布陣営は勝手に話を進めてしまい、

 

さらに呂布陣営にとっての馬超の残念指数が上昇する。

 

 

 

馬超「おい!人を残念な人みたいに語り合うな!」

 

陳宮「えー、それでは、背後の烏丸族は涼州の“白馬将軍”殿にお任せするとして、早急に函谷関を攻略しますぞ」

 

 

 

結局、馬超の話は流され(しかし、しっかり回収すべきところはそのままネタを引っ張りながら)

 

陳宮は函谷関を落とすべく号令をかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

【第九十回 第五章B:御遣い奪還編⑥・不統一な旗色に烏の一文字です!! 終】

 

 

 

あとがき

 

 

第九十回終了しましたがいかがだったでしょうか。

 

これまではまるでザルのように曹操軍領の関所をスピード攻略してきた恋たちですが、

 

そこに立ちはだかったのは要衝函谷関、そして背後からは烏丸族の増援。

 

一刀君救出のための強行作戦の中での、最初の山と言えるでしょう。

 

 

それでは、また次回お会いしましょう!

 

 

 

白馬将軍、かぶってるね白蓮・・・

 


 
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