No.660823

真恋姫無双〜三国に舞う鬼龍〜part7

ひぐらしさん

part7です。
かなり短めですが、前回かきれなかった季衣登場シーンです。

2014-02-05 22:36:20 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1769   閲覧ユーザー数:1658

目的は果たし、陣を払い陳留へ帰る途中のことだった。

 

 

「伝令っ!この先の村で盗賊が現れた模様!」

 

「なに!華琳様!」

 

 

その報告を受け、春蘭が華琳の許可をもらいその村へ行こうとしたとき

 

前方でなにかが何人か吹っ飛ぶのが見えた。

 

 

あれは....

 

「人が吹っ飛んでるな。」

 

「そのようね、春蘭様子を見にいってらっしゃい。」

 

「はっ!」

 

ただし、連戦だから極力戦闘は避けるようにとの注意をちゃんと聞いたあと春蘭は兵を連れていった。

 

 

「あの様子だと大丈夫そうだな。」

 

「そうねあなたが大分お灸を据えたおかげね。」

 

 

どこで聞いたんだとばかりにじっと見つめてやってら

 

「私の愛しい姉者を引っ叩いたのだから、華琳様に報告するのは当然であろう?」

 

「引っ叩いたって....いやその通りですごめんなさい。」

 

 

意地悪そうに微笑む秋蘭からは怒りとかそういうのが感じられないので別段俺も怒りはしない。

 

秋蘭は"春蘭"とちがって頭がいいからな。あのときの俺の行動も理解はしてくれているんだろう。

 

 

「ふふっ...」

 

......理解してくれているだろう!!

 

顔に影が差し、うつむいて微笑む秋蘭をみて俺はそう願わざるを得なかった。

 

 

「あなたたち随分仲が良くなったのね。」

 

「なっ!?そ、そんなことはありません華琳様!」

 

珍しく熱くなって反論する秋蘭を見て、華琳の意地の悪い笑みに拍車がかかる。

 

 

「あら、珍しいわねあなたがそんなに熱くなるなんて。」

 

「申し訳ありません...つい。」

 

「いいのよ私はむしろうれしいのだから。ねぇ皇矢?」

 

ふふっと微笑み俺を見られても困ります華琳様。

 

そりゃあまあ、否定されたわけだけどそれがあんなに慌てられると逆に嬉しくなってくる。

 

 

「そうだな、慌てる秋蘭もかわいいじゃないか。」

 

だからこそ、そこで秋蘭に追い打ちかける。

 

「うっ....皇矢ぁ。」

 

そう言って見上げる秋蘭はまるで春蘭のようで、普段とのギャップでやばい。これはかわいい。

 

 

「ふふっ...皇矢もまだまだだな。」

 

「なっ!ま、まさか演技だとでも!?」

 

「さあ?どうであろうな。」

 

ちくしょおおおおお

純粋な少年心を弄びやがってええええ!!

 

 

「もう少年という年ではないでしょう。」

 

「なに普通に心読んでるの!?」

 

 

ここの人たちは普通に心を読んでくるから怖い。下手なこと言われたら首スパーってやられそう。

 

..............ちっさ「あら?死にたいの?」

 

「滅相もございません。ですので、その絶を下げてはもらえませんか?」

 

「しょうがないわね。」

 

 

しょうがないじゃないよ!!

 

 

「華琳様!ただいま戻りました!」

 

 

「ご苦労様春蘭。」

 

 

そうこうしている間に春蘭がピンク色の髪で小さな女の子を連れてもどってきた。

 

「姉者、その子は?」

 

「ああ、さっきの盗賊どもとひとりで戦っていたから連れてきた。」

 

 

ひとりで?こんな小さな子が?と三人とも疑問におもったが

 

よくよく考えてみれば華琳も....いややめようこの先は危険すぎる。

 

 

「そう、貴女の名前は?」

 

「ボクは許褚だよ、お姉さんたちってもしかして官軍のひと?」

 

「ええ、そうよ。」

 

この先の陳留って街で刺史をしているのと華琳が言おうとする前に手にもっていたハンマーのようなもので襲いかかってきた。

 

もし、春蘭がとめなかったらそのまま殺されていたかもしれない。

 

 

「ぐぅ...おもい....貴様!!いきなりにをする!!」

 

「官軍なんてなにもしてくれないくせに税ばっかりとってみんなを苦しめて!官軍なんていなくてもボクがみんなを守る!!」

 

 

それはこの子のだけの叫びではなかった。この国に住む人々の叫びだった。

 

 

「華琳様!お下がりください!」

 

「いいのよ春蘭。」

 

 

華琳が許褚の近くに歩み寄っていく。

 

「ごめんなさい。」

 

 

華琳が謝った.....

 

その事実は俺や春蘭、秋蘭はもちろん。謝られた許褚も驚いているようだ。

 

覇王たらんとする華琳が人に頭を下げるなんて...

 

 

「私は山向こうの陳留で刺史をしている曹操という者よ。官軍を代表して謝るわ。ごめんなさい。」

 

 

でもそれが華琳の良いところなんだろうなと思うと口元が緩むのも仕方ないだろう。

 

「え!?山向こうの?ご、ごめんなさい..山向こうの刺史さんはちゃんとしてるって。」

 

「それでも私が貴女たちの村を守れてなかったのは事実。許褚と言ったわね?」

 

「は、はい。」

 

「私はこの大陸の全てを手に入れる。そしてこの大陸に住む全ての民に平穏をもたらす。そのためにその力貸してくれないかしら?」

 

「ボクが手を貸したらみんな陳留みたいに平和になるの?」

 

「ええ、必ず。」

 

「ならがんばるよ!」

 

 

それは戦乱に飛び込むことを意味するわけで、正直こんな小さいのに...とかガラにもなくふと思った。

 

でも

 

「そうなら許褚、あなたに私の真名を授けるわ。華琳と呼びなさい。」

 

「わかりました華琳様!ボクは季衣っていいます!」

 

 

その小さな体にわずかにだが、覇気を感じた。

 

認識を改める必要があるな。彼女は立派な仲間だ。

 

 

 

 

 

 


 
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