No.614417

太守一刀と猫耳軍師 第11話

黒天さん

今回は桂花さんがデレます。

ただし酒の力でこうなってるので今回限り。

なかなかこうニヤニヤできるシーンを書くのは難しいです。

2013-08-31 14:38:18 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:10115   閲覧ユーザー数:7642

今日から3人会議から4人会議になった。

 

司馬懿こと紫青も今回から参加しているのだ。

 

しばらく話してみたこの子の印象。言葉はハッキリと話す明るい感じの子。軍師3人のなかだと一番年上な感じがする。

 

年齢聞いてみたわけじゃないから実際の所はわからないけど。

 

「軍屯田と同じように軍を使って塩田を作ろうという案ですけど……ええと……」

 

今議題に登っているのは海沿いの塩田について。というか塩田っていう言葉がなかったのに驚いたんだけど。

 

塩の作り方を聞いてみた所、いわゆる現代人の思う塩田と全く違う。いつぞやテレビで見たあの田んぼのような姿ではなく、なんといえばいいか……。

 

海藻を使って作ってるらしい……? ここにきて結構早い時期から塩田を桂花と朱里で考えてはいたんだけど、中々実現にいたってなかった。

 

形を知ってるだけだからなぁ……。そういう形のものがある、って知ってるだけで。あと理科系の知識を少々。

 

そこらも合わせて試行錯誤したらどうにか形になるようになったんで、実際運用するか否か、というあたりの相談中だ。

 

3人にそれぞれ収支をざっくりと試算してもらった結果、だいたい黒字は確定するので良さそうだ。

 

塩田についてはGOサインを出して、そろそろ休憩の頃合いか、なんか朱里と桂花は物言いたげ~な雰囲気をかもしてるし。

 

「さて、そろそろ休憩にしようか」

 

俺は立ち上がってお茶の準備をしに部屋を出る。紫青も桂花と朱里とは仲良くなれたようで、

 

正史の事を思うと、朱里と紫青は相性が悪いと思ってたから最初は組んで仕事をしてもらうのにかなりビクビクしてたけど。

 

紫青も俺と話してても最初みたいなどこか硬いふうな表情じゃなくなってきたので一安心。

 

お湯を沸かして部屋に戻ると、3人きっちり並んで座ってるんだが、俺の対面に3人並ばれるとなんか面接みたいですごいヤなんだけど。

「誰かこっちに来ればいいのに……」

 

「え、ええ! ご、ご主人様の隣にですか?」

 

と、慌てる朱里。

 

「イヤよ、そっちに行くとあなたと近くなっちゃうから」

 

いつもどおりのツン桂花。

 

「紫青はどこでも構いませんけれど」

 

にこやかな紫青。この子はこの子でいっつもにこにこしてる気がするなぁ……。フレンドリーな感じで。

 

「んーじゃあ……。朱里こっちにきなよ」

 

一番そっち行きたいっていうオーラ出てるし。俺がそう声をかけると朱里は嬉しそうにこちらにくる。で、桂花が俺の正面、紫青が斜め前になる。

 

「は、はい!」

 

隣に座って頬をうっすら朱に染める朱里が可愛いなぁ、まぁ隣だと顔をじっくり見れないのが残念だけど。

 

いつもどおり桂花にお茶を入れてもらってそれをすする。一応疲れた脳みそに糖分補給ってことでお茶菓子ももってきたし、それを4人で仲良く食べる。

 

この4人会議の休憩の時間って俺にとって結構楽しみな時間になりつつある。

 

1回用事で俺の部屋に来た愛紗にすっごい嫉妬されて困ったけど、軍事関係は忍者隊の育成ぐらいしかやってないから一緒になる事もないからなぁ……。

 

その時は、軍師2人に口で敵うはずもなく、愛紗が追い出されちゃったんだけど、後でごきげん取るのものすごく大変だったんだよな

 

「ご主人様、聞いてますか?」

 

「あ、ゴメン、他ごと考えてて全然聞いてなかった」

 

「むぅ……。紫青の話しは聞いてくださらないのですか?」

 

そんな寂しそうな顔するのはやめて!?

 

「朱里の方じーっと見て、何考えてたのかしらね、けだもの、変態」

 

「はわわわ……」

 

桂花の言葉に朱里はもっと赤くなっていくし……。

 

「ご、ごめんって」

 

慌てる俺の顔を見ると、

 

「ふふ、冗談です」

 

紫青の顔がぱっともとのにこやかな顔に戻る。

 

か、からかわれた!? そういうキャラじゃないと思ってたのに……。

 

「このケダモノを良いようにあしらえるんだから安心よね、ある意味」

 

桂花が俺に向ける視線が若干冷たい気がする。今に始まった事じゃないけどいつもより冷たいきがする。

 

い、いつももっと和やかなのになんだか今日は雰囲気が違うな、紫青が入ったからか……?

 

なんだか落ち着かないままに休憩時間が過ぎた。お茶とお菓子はいつも通り美味しかったけど。

 

会議が終わってその夜……。会議が終わって、会議で新たに出てきた仕事をどうにか処理したころにはすっかり遅くなってしまった。

 

「やっぱり俺の仕事の速度じゃこの時間になるよなぁ……」

 

外にでるとすっかり日が暮れている。軽く飲んで寝るか、そんなことを考えながら酒を引っ張りだしていると、ふと、前に桂花と2人で飲んだ事を思い出す。

 

確かあれは、遠征から帰ってきた日の夜だったかな。

 

そういえばあれから、2人で話ししたことあったっけ? 大抵誰かと一緒か、仕事がらみでちょろっと話したりするぐらいでそんな時間取れてないような……。

 

「まだそんなに遅いわけでもないし、行ってみるか」

 

思い立ったらすぐいくか、というわけで徳利と酒器を携えて、ぶらりと桂花の部屋の前へ。

 

コンコンとノックしてみれば、中から開いてるわよ、と返事。

 

「何か用かしら?」

 

「いや、これといって用はないけど、たまには2人で飲みたいと思ってさ」

 

桂花は少し考えるような素振りを見せてから俺を部屋に招き入れてくれた。

 

「今日の仕事はキッチリ終わらせてるんでしょうね?」

 

「会議で出てきたやつは全部片付けたよ」

 

そういいながら、桂花の杯に酒を注ぐ。

 

「ならいいけど」

くいっとその酒を桂花があおる。おいおい、随分勢い良くいくな、今日は……。

 

あいた杯に酒を注いだら、次は俺の杯にも桂花がお酌してくれた。

 

「この部屋に来るのも随分久しぶりだなぁ……」

 

自分は酒に強くないのを知ってるのでちびちびと、舐める程度。

 

「私の足が治ってからは仕事の他じゃ寄り付かないじゃない」

 

「一応気はつかってるんだぞ、桂花が男嫌いなの知ってるし」

 

今日は桂花の酒のペースが早い。悪酔いしなきゃいいけど。酒が入るといつも以上に饒舌で、俺を罵るのも忘れて話す。

 

話しながら結構飲んでるような……。もう持ってきた半分ぐらいになってるし、お酒。

 

「そろそろ桂花も眠そうだし、このへんで失礼しようかな」

 

「一刀」

 

片付けて立ち去ろうとするとガッシリと、桂花が服の裾を握りしめてきた。しかも初めて名前で呼ばれた

 

「え?」

 

思わず振り返ると今まで1回も見たことのない、すごく寂しそうな桂花の顔。いや、桂花さんその表情は反則です。

 

仕方なく座りなおして桂花の方に向き直る。

 

「もうちょっと居て」

 

「え、いや、うんまぁいいけど……」

 

思い切り狼狽するが、桂花は素知らぬ風で、椅子を近くに寄せてきて、俺にもたれかかるようにしてくる。

 

見上げてくる視線にドキリとしたり。でもこれ、絶対酔ってるよなぁ……。

「どうしたの? 急に。というか、桂花って俺のこと怖がってなかったっけ?」

 

それなのに何故? 酒のせいだか思考がよく口からこぼれ落ちる。

 

「私を最初に助けてくれたあの時の一刀はすごく怖かったわよ。

 

私には遊びで殺しをやってるように見えたの、きっとそのまま私も殺されるって思ったのよ、本気で」

 

たしか、最初のころって、俺とあうたびにこう、ビクってなってた気がする。

 

他の男衆より罵られ方が随分優しいとおもってたけど、こう考えると愛紗だけじゃなく俺にも原因があったのか。

 

「相変わらず、急に出会ったらびっくりするけど、前みたいに怖い感じって無くなってきたわね」

 

「それはなにより。でもいくら怖くないからっていいの? こんな風に俺にもたれて。俺男だよ」

 

桂花の髪の匂いとか、体温とかを間近に感じて意識してしまって、色々やばい。

 

「何よ、嬉しくないの? それに、こうしてれば逃げれないでしょ」

 

口調はいつもと変わらないのに、すごく素直で可愛くて……。

 

「ちょっと寂しかったのよ。一刀は大抵他の子と話ししてるし、華雄や霞と街にいったのも知ってるんだから」

 

唯一いつもと違うのは俺の呼び方か。

 

「私とはまだ一緒に街を歩いたことないのに」

 

そう言われれば、とふっと思い出してみる。愛紗や鈴々あたりとは街でよく出会ったりするけど、確かに桂花とは街を歩いたことないなぁ。

「ん、じゃあまた近いうちに誘わせてもらおうかな」

 

「絶対よ? 嘘ついたら許さないから」

 

「肝に銘じとく」

 

桂花の髪に軽く触れて撫でると、前はケダモノだなんだと言われたきがするけど、何も言わず、心地よさそうに目を細めて軽く俺の手に押し付けるようにしてくる。

 

「他に俺に言いたいことは?」

 

「たまにはこうやって部屋に来てくれないとイヤ」

 

「わかったよ」

 

苦笑しつつも、桂花の髪を撫で続ける、そうしていると本当に心地よさそうで。

 

「一刀は私に何か言いたいこととかないのかしら?」

 

「素面の時もこれぐらい素直だったらなーとか」

 

「バカ」

 

ずっとこうしていたい誘惑に駆られるのはきっと俺だけじゃないはず。

 

でもこれ、うっかりこのまま寝て明日になったりしたらえらい目に合うんだろうなぁ。

 

しばらく話すうちに、桂花がうつらうつらとし始める。

 

「桂花?」

 

声をかけても返事がない。すっかり眠ってしまった桂花をそっと抱きかかえて寝台へと連れて行き、寝かせる。

 

「おやすみ、桂花」

 

名残惜しい気分になりながらも、俺は部屋から出ていった。なんだか今日は悶々としてねれなそうだなぁ、なんて思いながら。

 

ちなみに、翌日になったらこの酔っていた時の事を綺麗サッパリ忘れているようで、前日までと全く変わらない桂花に戻っていた。

あとがき

 

どうも、黒天です。

 

今回はちょっと短め、今後の予定としては、次に紫青メインのお話を少ししてから袁紹戦になるかなー、みたいな感じです。

 

今回はあんまりあとがきに書くことがないですねー……。

 

デレ桂花さんはいかがでしたか? ってところでしょうか。

 

では、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

追記:片目メガネはなかったことになりました。


 
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