No.598154

ミライノ・ホシカラ!ヴィーボちゃん登場の巻(Aパート)

古淵工機さん

ようやく本編が動き出した!
ヴィーボちゃん待望の第1話、いよいよ公開です。

2013-07-16 00:02:22 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:785   閲覧ユーザー数:764

それは今からちょっとだけ未来のお話。

人間とロボットが平和に暮らす、小さな島があった。

その名を唐栗島(からくりじま)。まったくと言っていいほど平和なこの島に、

物語の始まりを告げる流れ星が近づいていた……。

第1話『ミライノ・ホシカラ!ヴィーボちゃん登場の巻』

                     (その1)

さて、島の一角では、なにやら小学生たちが集まっていた。

望遠鏡を持って、みんなで星空観察に来ているようだ。

「今日は晴れてるから、きれいな星空が見えるはずだよ」

と、みんなを案内してきたのは『ヒデくん』こと、中津(なかつ)ヒデトシ。

「ほんと!?カシオペアに北斗七星、オリオン座も見えるかなあ」

「ね、早く見ようよ!」

それに続いてきたのは『ミカちゃん』こと中山(なかやま)ミカ、そして宇宙大好きな女の子『ナナちゃん』こと相川(あいかわ)ナナミだ。

彼らはこうして時折、星空観察に出かけるのが趣味だった。

望遠鏡をセットし、いつものように星空観察をしていた子供たち。

 

「あ、流れ星だ」

と、呟くナナミ。だが、子供たちが見ていた流れ星はどうも様子が違う。

ゆっくりと赤い尾を引きながら、そのまま地上へと向かってきたではないか!!ヒデトシが叫ぶ。

「あぶない!みんな逃げろ!」

その合図とともに近くにあった茂みへと隠れた三人は、その流れ星を心配そうに見つめていたが…。

次の瞬間、強烈な衝撃音とともに『それ』は地上へと激突した…。

謎の物体衝突から数分。辺りは煙に包まれている。

「…な、何が起こったの?」

「暗くて何も見えないよ…」

やがて、煙が少しずつ晴れていくと、目の前に落ちている物体が少しずつその姿をあらわにした。

「あれは一体?」

と、ミカがヒデトシに訊ねる。

「飛行機かな?翼があるし、ロケットエンジンらしいものもついてる」

「でもあんな形の飛行機見たことないよ…もしかしたら!」

と、ナナミが手をポンと叩く。

 

「宇宙船よ!」

「宇宙船!?」

その言葉に驚くミカとヒデトシに、ナナミはさらに力説する。

「だってこんな形の飛行機なんてどこにもないでしょ?きっと宇宙船だよ!」

「うーん、そうかなぁ…」

「ちょっと待って!パパを呼んでくる!!」

と、ナナミは目をらんらんと輝かせながら、一度家のほうへと走っていったのだった。

さらに数分後、ナナミが戻ってきた。

「ちょ、ちょっと、ナナ、どうしたんだ急に」

「いいからいいから!すごい物が落ちてるのよ!」

ナナミに引っ張られてやってきたのは、彼女の父親にして天文・宇宙学者の相川ユメジ博士である。

「あ、ナナちゃん!」

「それに博士も!」

「なんだ、ナナのお友達か。それで、例の宇宙船っていうのは…」

「たぶん、アレのことだと思うんですけど…」

「ふむ…」

そう言うとユメジは、その宇宙船を覗き込むように眺める。

その隣でやはり宇宙船を覗き込む子供たち。

「あ、見て!誰かいるよ!」

と、ミカがその宇宙船の前頭部分を指差す。

窓らしき部分には濃い色がついていて何者かは判然としないが、

小学5年生ぐらいだろうか、人の形をした影が確認できた。

するとその時、その窓の部分から強烈な煙が発せられた!

「うわ!?なんだ!?」

突然の出来事に驚き、ユメジの後ろに隠れる子供たち。

「あっ…あれ見て!」

ふと、ナナミが宇宙船を指差す。

キャノピー部分がゆっくり開いていき、中の人影がその姿を現す。

「…キュピィィー…着陸失敗しちゃった…ちゃんと地球に着いたのかな…」

と、痛そうに頭を押さえて出てきたのは…少女の姿をしたロボットだろうか。

 

「あ」

「キュピ?」

一瞬、辺りが静寂に包まれる。

お互いをみつめ合ったまま身じろぎをしない4人と、謎のロボット少女。

すると先に静寂を破ったのは、そのロボット少女のほうであった。

「…ど、どうも…宇宙人です、って言えばいいのかな、こういう場合…」

 

そう、どう見てもロボットにしか見えない彼女こそ、この物語の主人公・ヴィーボなのであった…。


 
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