No.597247

真・恋姫無双 ~新外史伝第108話~

今回は都合主義的な面が出ていると思いますが、それでもいい方は読んで下さい。

そしてまた紫苑がやってしまいました(笑)。

では第108話どうぞ。

2013-07-13 17:17:31 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4378   閲覧ユーザー数:3711

一刀と紫苑は璃々から夏侯淵の発見の報告を聞いて驚いていた。

 

「それで夏侯淵さんは無事なのか?」

 

「今、翠お姉ちゃんと星お姉ちゃんが現場で応急処置をしてから城の医務室に連れて行くけど…、どうも意識

 

がない上に傷も深いみたいで…。それで二人がご主人様への報告の為、私に先に城へ戻る様にと言われたの」

 

「そうか…」

 

「それで璃々、周りに他の曹操軍の兵たちの姿や死体などはあったの?」

 

「お母さん、それは無かったよ」

 

紫苑は倒れていた場所の周辺において夏侯淵が襲撃されたのではないかと一瞬疑ったが、発見された様子から

 

見て、味方が無事撤退する為に自ら囮となりこちらに逃れて最後に発見された現場で力尽きた状態になったの

 

ではないかと推測したが、それについては本人が気付いた時に判明できるだろうと。

 

取り敢えず、急いで来た璃々を休憩させる為、一刀は労いの言葉を掛けた後、璃々を下がらせたが、璃々が下

 

がってから急に紫苑が

 

「ここの外史は色々とありますわね」

 

「?」

 

一刀は紫苑の言葉の意図が分からなかったので、疑問の声を上げるが紫苑は微笑みながら

 

「あらご主人様、悪い意味で言った訳ではないですわ。正史では本来私が夏侯淵殿を定軍山で討ち取っている

 

のが、ここでは命を救うことに。本当にご主人様と一緒に居たら、人生色々とあって飽きがこないですわ」

 

紫苑の説明に邪気がない事が分かり一刀も安心して

 

「そうだね。俺も紫苑と一緒に居るから、人が経験出来ないことができて面白いし、このような出会いがあっ

 

たからこそ紫苑と璃々に出会う事ができたのだから」

 

「あら、その言葉信じてもいいのですか?」

 

「紫苑、俺の言葉信用できないの?」

 

「いいえ、ご主人様の言葉は信用できますが、でも言葉だけでは物足りませんわ」

 

紫苑が甘えた声を出し微笑を浮かべながら一刀に近付くと、一刀も紫苑の表情等を見て紫苑が望んでいること

 

が容易に判断できたので、

 

「仕方ないな…まだ昼だから…」

 

そう言いながらも一刀も満更ではない表情をしながら紫苑の頬を両手で優しく包み込みながら

 

「うん・・・んんっ、ちゅる、ちゅる、あっ、はぅ、じゅる・・・んはぁ・・・んんんんんっ」

 

躊躇なく熱い口付けを交わす。

 

しばらくすると紫苑は

 

「フフフ、ご主人様から口付けされたのは嬉しいですが……この火照りをどうしてくれますか?」

 

紫苑を宥めようとして口付けしたのは良かったが、その後お互いに生じる弊害を考慮していないのは一刀の失

 

敗であった。それを見て一刀も観念したのか

 

「……この後の事もあるし、今晩責任を持つので今は我慢してくれない…かな?」

 

「フフフ。分かっていますわ。約束ですよ……ご主人様」

 

紫苑にそう告げると紫苑はしてやったりの表情を浮かべていた。

その後しばらく二人は執務を続けていると翠が現れ

 

「ご主人様に紫苑、ここにいたのかよ。璃々から話は聞いているか?」

 

「ご苦労さん、翠。璃々から話は聞いているけど」

 

「それなら話は早いや。それでこっちに運んで治療が終わった頃に夏侯淵の奴、目を覚ましたんだけどよ…。

 

ちょっと様子がおかしいんだ」

 

翠が珍しくはっきりとしない説明だったので、

 

「翠ちゃん、様子がおかしいって…」

 

紫苑は驚きながら呟いたが、翠はそれを無視するような形で

 

「取り敢えず、口で説明するより見た方が分かるから付いて来てくれよ」

 

一刀と紫苑は翠から言われると黙ったまま翠の後を付いて行く。

 

部屋に入ると医者の姿が無く、代わりに夏侯淵の横に星が座っていた。

 

星は一刀の姿を見て

 

「まずは主、こちらに」

 

自分が座っていた椅子を一刀に譲り、寝ている夏侯淵と直接対話できる様にした。

 

「大丈夫?夏侯淵さん。怪我が治ったら、曹操さんのところに引き渡す様にするよ」

 

一刀が話すも秋蘭の反応は鈍く、そして漸く言葉を発したが、その言葉の内容に驚いた。

 

「……夏侯淵……。さっきの者も言っていたが、それが私の名前なのか?」

 

「……えっ?」

 

「星ちゃん、これは…」

 

「はい、夏侯淵殿は記憶を失っている状態で自分の名前すら覚えておりませぬ」

 

星が夏侯淵の状態を説明する。すると夏侯淵が懇願するかの様に一刀に声を掛ける。

 

「……申し訳ないが、あなたたちが言っている夏侯淵というどの様な人物か教えてくれないか」

 

本人から言われると一刀と紫苑は知り得る限りの説明をしたが

 

「そうか……すまない……説明を聞いても全く覚えがない…」

 

夏侯淵は一刀たちの説明を聞いても自分の記憶を思い出すことが出来なかった。

 

「……夏侯淵さん。まずは怪我が治るまで面倒を見るから、今はゆっくりと休んで」

 

「……申し訳ない。その言葉に甘えさせていただく」

 

一刀たちは秋蘭の疲労を考え、部屋から退出した。

そして部屋から退出した後、夏侯淵の今後について話し合いが行われたが、将たちは一刀たちの報告を聞い

 

て、皆複雑な表情を浮かべていた。

 

「ご主人様。夏侯淵殿の記憶を戻すには何か良い方法はないのですか?」

 

愛紗の質問に一刀は

 

「頭部を負傷していたので、何らかの形で頭を打った際記憶に記憶を無くしたと思うんだが、残念ながら、こ

 

れという治療法がないんだ。時間を掛けて徐々に思い出すのを待つしかない」

 

「だったら頭を打ったのだから、もう一度頭を殴ったら治るかもしれないのだ」

 

「ほう…だったら鈴々。お前にも同じ様に頭を殴ったら少しは物覚えが良くなるかもしれんな」

 

「うっ……それは流石に嫌なのだ……」

 

愛紗の容赦のない回答に流石の鈴々も引いてしまう。すると

 

「フン。董卓様に弓を引いた曹操の将ではないか。いっその事、討ち取った方がいいのではないか」

 

華雄の乱暴な意見に霞と月が咎める。

 

「なあ華雄。アンタが月を想う気持ちは分かるが、夏侯淵が怪我している状況で討ち取って、その功を誰に対

 

して誇るんや。アンタらしくない意見やで」

 

「華雄。貴女が私に対する忠義は分かりますが、あまりそれが過ぎると周りが見えなくなります。だから武人

 

らしく何時もの様に正々堂々とした態度を見せて下さい」

 

信頼する二人から言われると華雄も

 

「……申し訳ありません董卓様。それに張遼。すまん私が思い違いをしていた」

 

華雄は武人らしく潔く誤りを認め謝罪したので、皆はこれ以上の事は言わなかった。

 

「じゃ怪我が治った時点で、魏に送り返すというのはどうなのだ?」

 

「白蓮さん、それも考えましたがそれも問題が……」

 

「問題?」

 

「ええ、魏まで送り届けるには晋を横切らないといけません。現在、我が国は晋と敵対こそしていませんが晋

 

と魏は今だ交戦中です。その中夏侯淵さんを連れて行くのは危険ですし、万が一露見して応対を間違えれば国

 

交問題に発展する恐れがあります。それに、夏侯淵さんが記憶喪失のまま帰国させるのもどうかと……」

 

朱里が理と情の面を踏まえて事情説明をすると白蓮も納得するしかなかった。

 

一通りの意見が出て、紫苑は一刀の取る方針について内心分かっていたが、敢えて一刀に聞く。

 

「それで…ご主人様の考えを聞かせていただけますでしょうか?」

 

「うん。夏侯淵さんの処遇だけど、俺の意見としては、まず治療に専念させる方向で、それで記憶が治るまで

 

はここに留まって貰おうと思っている」

 

「しかし主、怪我が治り、もし本人が記憶を無くしたまま、魏に戻りたいと言った時はどうするおつもりです

 

か?」

 

「その時は留まる様説得してみるが、捕虜ではない以上、本人の意志に任せようと思っている。まずは怪我の

 

回復が先だけどね」

 

「じゃあ、ご主人様。夏侯淵さんを助けたことを魏に知らせるの?」

 

璃々の質問に

 

「そうだな…。俺は知らせないでおこうと考えている。もし夏侯淵さんを助けた事について魏に知らせると勿

 

論、魏は返還を求めてくると思う。しかし今の状況で夏侯淵さんを魏に送り返すことは危険な事だし、それに

 

記憶を無くした状態で、魏の戦局が悪化して万が一に夏侯淵さんを戦場に立つ可能性は否定できない」

 

「本来なら魏に連絡を取るのが筋だろうけど、今の状況を考えるとこれが一番安全な策だと思う」

 

現状では無理して秋蘭を魏に送り返すよりは、まずは治療に専念させるという一刀の説明に特に大きな問題も

 

無かったので当面は客人扱いとして預かることが決まった。

そしてその夜、一刀は約束通り紫苑と夜の営みが行われていた。

 

営みが一段落して紫苑が一刀に語りかける。

 

「ご主人様、昼のお話覚えていますでしょうか?この外史には色んな事があるという…」

 

「ああ、覚えているよ。それがどうしたの?」

 

「私…偶に不安になることがあるのです。今はこうしてご主人様と一緒にいますが、もしかしたらご主人様が

 

私たちを置いて、違う外史に消え去ってしまうのではないかと」

 

「だからこそ私はご主人様と一緒にいる時とはご主人様との繋がりを確信したいがこそ激しく求めてかもしれ

 

ませんわ……」

 

紫苑から語られた不安な言葉に

 

「紫苑…」

 

一刀は静かに紫苑を抱き締め、

 

「紫苑もそう考えていたのか…。実は俺も紫苑と同じ事を考えていたんだよ。朝、起きた時にひょっとしたら

 

紫苑と璃々が消えていなくなったのではないかと。そして今までの事が幻の様に消えてしまうという不安

 

に…」

 

「でも……俺は決して紫苑と璃々を離したくない。もしそんな事があっても絶対に二人を手放さない様、神様

 

を敵に回してでも足掻き続けるからさ」

 

一刀の言葉を聞いて

 

「……嬉しいですわ。ご主人様…本当に貴方と出会えて良かった…」

 

紫苑は感激したのかいつもと違う雰囲気を醸し出しながら一刀に抱き付く。一刀もそれに答えると同時になぜ

 

か下半身も再び元気になっていく。

 

「あら…ご主人様。また元気になっていますわよ」

 

「それは紫苑がそんな事をしたら元気になってしまうに決まってるだろう」

 

一刀の返事に満足したのか紫苑は艶やか表情を浮かべて

 

「フフ……ご主人様、今宵は感謝の気持ちを込めてじっくりとご奉仕させていただきますわ」

 

紫苑は職人顔負けの技を使い、じっくりと一刀に奉仕をしたのは言うまでも無かった…。

 

そして翌朝、紫苑のツヤツヤな肌を見て、

 

「あっ!お母さんずるい―――!」

 

と璃々が文句を言ったのは別の話である。

 


 
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