No.540693

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-02-06 12:01:08 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:710   閲覧ユーザー数:686

 

 

 

 

episode111 無力

 

 

 

 

「えっ!?隼人が連れ去られた!?」

 

防衛線が終わって後処理が終わったのは一日後であったために、専用機持ちにその事実を報告するのが遅れてしまった。

 

「どういうことなんですか!?織斑先生!」

 

箒が千冬に聞く。

 

「我々がバインドと戦っている最中に、施設の地下にあった災害時に使う地下通路を利用して亡国機業が侵攻していたようだ」

 

「亡国機業が・・・」

 

「じゃぁ、隼人の姿が途中で見なくなったのは・・・亡国機業の進行を阻止するために一人だけで地下通路に・・・」

 

「いくらなんでも・・・無茶や」

 

 

「それも、度々我々に襲撃をした亡国機業の別働隊・・・『ナンバーズ』による仕業であると判明した」

 

「ナンバーズ・・・」

 

「あいつらが隼人を・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

「織斑先生。現場には証拠となる物は残されていなかったんですか?」

 

「いいや。代わりに現場には神風の血痕とバンシィのブレード。後は戦闘の後しか残されてない」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「でも、何だって隼人を連れ去ったんだ」

 

「私に聞くな。分かる訳が無いだろ」

 

「・・・・」

 

「兄さんがISを動かせると言うのもあるかもしれない・・・。けど・・・」

 

 

「何か知っているのか、颯?」

 

箒は怪訝そうに聞く。

 

「い、いいえ。特にこれと言ったものは」

 

颯は隼人が連れ去られた本当の目的を伏せた。

今は話すべきではないからだ。

 

 

「・・・・」

 

「なぁ、颯。ナンバーズが隼人を連れ去ったのなら、そいつらの居場所とかは分からないのか?」

 

一夏は颯に聞いた。

 

「ごめんなさい。ナンバーズは毎回同じ場所には居座らないの。だから今何所に居るかは分からない」

 

「そ、そうか・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「手掛かりは一切無し。それに加えてこちらは消耗が大きい」

 

「そうだな。特に今回の防衛線では死傷者が十人以上出ている」

 

死傷者のほとんどは各国のISのパイロットである。

中にはIS諸共無残にも破壊され原形が留めてない者もいる。

 

「幸い学園側で死傷者は出てない。だが、その中にボーデヴィッヒの部隊の一人が入っている」

 

「そうやったんか・・・」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

ちなみに言うとこの場に居る専用機持ちは一夏、箒、颯、エリーナしかいない。

 

残りは代表候補生であるためにそれぞれの国に一時帰国して状況報告や戦死したパイロットの追悼式に参列している。簪の場合は政府の方に赴いている。

 

 

 

 

「隼人・・・」

 

「くそ!このまま黙っている訳にいくかよ!」

 

「一夏さん・・・」

 

 

「皆が神風の心配をするのは分かる。だが、それだからと言って勝手な行動は許さんぞ」

 

「織斑先生」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

「言っておくが、福音の時は軽く流したが、今度勝手な行動を起こした時は・・・退学もありうるからな」

 

「・・・・」

 

そうして千冬はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!俺達にはどうする事もできないのかよ!」

 

一夏は右手を握り締め左掌に叩き付ける。

 

「悔しいのは私だって分かる。だが、今悔やんでもどうする事もできないだろ」

 

箒が一夏を宥める。

 

「せやな。情報は一切無し。仮にあってもどうやって助けに行く?」

 

「・・・・」

 

「それに、もし国の国境付近にあるのなら、その国同士で問題が起こりうる」

 

「確かに・・・」

 

「本当に歯がゆいなぁ。何にもできへんっていうのは・・・」

 

 

 

 

 

 

「・・・兄さん」

 

「颯・・・」

 

箒が心配そうに颯に寄り添う。

 

「隼人なら・・・きっと大丈夫だ」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

(もしかしたら・・・兄さんと敵対する事になるかもしれない。かつての私のように・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、お前達もサミットの襲撃があることは予想して付近に潜んでいたって事か」

 

「あぁ」

 

別室で輝春、千冬がアーロンに話しを伺っていた。

 

「まぁバインドが現れたのは予想外だったがな」

 

「そうだな。だが、お前と部下二人のISの外見が変わっていたな」

 

「今回は周りの目を考慮して、束が考えたものでな」

 

「あいつがか。らしいな」

 

「確かに白くなって外見も若干変わっているが、効果あったのか?」

 

「少なくとも俺に対して攻撃する輩は居なかったが」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

「だが、まさか隼人が連れ去られるとはな」

 

「そうだな」

 

「アーロン。気付いていたのなら、なぜすぐに助けに行かなかった」

 

「俺もナンバーズの一員と戦っていたのでな。助けに行く暇が無かった」

 

「・・・・」

 

千冬も輝春も事実であるために何も言えなかった。自分達も同じ状況であった。

 

 

「・・・そこで衝撃の事実を知ることになったがな」

 

「・・・・?」

 

「どういうことだ?」

 

「・・・・」

 

アーロンは少し考えて―――――

 

 

 

 

 

 

 

「織斑千冬。第一回のモンド・グロッゾの決勝戦を覚えているか」

 

「・・・?まぁ、覚えてはいるが・・・」

 

「それがどうしたんだ?」

 

 

 

「その決勝戦の相手は覚えているな」

 

「あぁ。確か・・・神風・・・クライン」

 

すると千冬はハッと驚く。

 

「隼人と同じ名字じゃねぇか。いや、同姓か?」

 

「いや違う。神風クラインは隼人の腹違い母になるな」

 

「隼人の腹違いの?ってことは――――」

 

「綾瀬の母親なのか」

 

「そうだ」

 

「だが、それがどうしたんだ」

 

 

「そのクラインが・・・俺が戦っていたナンバーズだったんだ」

 

「な、なんだと!?」

 

「馬鹿な!?」

 

「正直信じられなかった。いや、信じられるわけが無いんだ」

 

「なに?」

 

 

 

「クラインは数年前に・・・もう死んでいる」

 

「なっ!?」

 

「ど、どういうことだよ!?まさかゾンビになって戦っているって訳じゃないだろ!」

 

「・・・それに近い状態だった」

 

「なん・・・だと?」

 

「どういうことだ」

 

 

 

「・・・クラインは・・・戦闘機人に改造されていた。それも完全な機械としてな」

 

「戦闘機人に・・・だと!?」

 

「それもサイボーグに?しかも死人をベースにって・・・」

 

「仮死状態だったから可能となっていたかもしれんが、どちらにしてもクラインはもう完全に機械となっていた」

 

「もはや人がやる事じゃないな」

 

「そうだな」

 

輝春と千冬の声に怒りが混じっていた。

 

 

 

 

「この事は綾瀬には伝えているのか」

 

「いいや」

 

「そうか。あいつにはよくは無いが、伝えない方がいい」

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

「アーロン。お前でもやつらの居場所は分からないのか」

 

「すまんな。俺でもやつらの居場所は分からん」

 

「そうか」

 

「結局手詰まりか」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かるよ。やつらの居場所は」

 

「「「?」」」」

 

すると扉が開かれて誰かが入ってきた。

 

「お前は・・・」

 

千冬は少し驚いた表情を浮かべた。

 

 

 

「やはり来たのか・・・・・・ティア」

 

そこには特殊部隊のような黒い軍服に身を包んだティアがいた。

 

「ゼルノグラード?」

 

「お久しぶりですね、織斑先生」

 

ティアは千冬に向けて敬礼する。

 

「何でお前が・・・」

 

「織斑戦術教官も・・・お久しぶりですね」

 

「・・・どういうことだ?やつらの居場所が分かるって」

 

 

 

「僕も周辺に潜んでナンバーズの動きを見ていたから。無論、隼人が連れ去られた所も」

 

「なんだと」

 

「そうか」

 

 

「見ていたのか・・・ティア」

 

「はい」

 

「・・・助けに入れる状態ではなかったのか?」

 

「えぇ。三機以上居たので隼人を救うのは難しいと判断して、見送る事しかできませんでした」

 

「・・・・」

 

「でも、場所は判明しました」

 

「さすがだな」

 

「・・・でも、戦力もあるけど、一番の問題は場所にもあるの」

 

「・・・国家問題に繋がりかねないのか」

 

「うん。だからIS学園の専用機持ちへの協力はできない」

 

「・・・・」

 

「下手をすれば国同士に争う事態に繋がりかねない」

 

「そうなるか・・・」

 

 

「アーロンに頼みたいけど、戦力的にも無理がある」

 

「・・・・」

 

事実であるためにアーロンは静かに唸る。

 

「だが、どうやって隼人の救出に行くんだ。まさかお前一人で行くって訳じゃないだろうな」

 

「大丈夫。どの国家にも、どの組織にも所属してない強力な協力者を見つけたから」

 

「なに?」

 

「どこにも所属してないだと?」

 

「どういうことだ?」

 

「教えたい所ですが、その協力者達の事は一切言えません。それが向こうが協力する条件ですからね」

 

「そうか・・・」

 

「僕とその協力者で隼人の救出に向かいます」

 

「お前だけでだと?」

 

「・・・・」

 

「なぜだ、ゼルノグラード」

 

 

「アーロン達にはまだやるべき事があるから」

 

「・・・・」

 

「じゃぁ、僕は準備に掛かりますから・・・これで」

 

と、ティアは部屋を出ようとした。

 

 

 

 

 

 

「ゼルノグラード」

 

千冬がティアを呼び止めた。

 

「お前は何をしようとしている」

 

「千冬?」

 

輝春は千冬の意図が分からなかった。

 

「・・・罪滅ぼし・・・でしょうか」

 

「・・・・」

 

(罪滅ぼし?)

 

 

「では、僕はこれで」

 

そうしてティアは部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーロン。ティアとどういう・・・」

 

「ティアはバシリスタの情報捜査員だ」

 

「何だって?」

 

「・・・・」

 

「元々は亡国機業に送ったスパイだったが、亡国機業もIS学園にスパイとして送り込んだんだ。データを得るためにな」

 

「二重スパイか」

 

「なんてことだ。あんな年でそんな事を・・・」

 

「だが、亡国機業に正体がばれそうになって、IS学園を去って世界中を転々としながら俺達と交信していた」

 

「・・・・」

 

「では、イタリアへは帰ってないのだな」

 

「あぁ。どちらにしても本国で亡国機業への関与が発覚し、IS強奪の罪で今も指名手配中だ」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

 

 

「そろそろ行くぞ。外で二人を待たせているからな」

 

そうしてアーロンは部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

「その間俺達は何も出来ない、か」

 

「・・・・」

 

「悔しいな」

 

「あぁ。これほど悔しい事は無い」

 

 

「・・・できれば、無事で帰って来て欲しいものだな」

 

「あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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