No.539940

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!


2013-02-04 12:55:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:692   閲覧ユーザー数:668

 

 

 

 

episode110 本当の目的

 

 

 

 

「っ!」

 

一方地上でバインドの迎撃をしていた簪はふと辺りを見回す。

 

(何・・・この胸のざわつきは・・・)

 

簪は不安な表情を浮かべていた。

 

(嫌な予感がする・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!」

 

それは颯も感じ取っていた。しかし、彼女の場合は簪より明確にそのざわつきを感じ取っていた。

 

 

 

「そ、そんな・・・」

 

颯は驚愕して、動きが鈍った。

 

「兄さん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とか無力化は出来ましたわね」

 

そうしてシスターは壁にもたれかかって俯いているバンシィに近付く

 

「しかし、ここまでやる必要はなかろう」

 

リアスは腹部にグラディウスが突き刺さったバンシィを見る。

 

刺された箇所から血が流れ出ていた。

 

「さすがに意識を保ったままですと何をしでかすか分かりませんから、やる事はやるのですよ」

 

「・・・・」

 

「心配無いですわよ。タイプゼロはコアと頭部が破壊されない限り、死ぬ事などありませんから」

 

と言って、シスターはバンシィからグラディウスを引き抜いてその辺りに捨てた。

 

「もしくは、身体を構成するナノマシンとマイクロコンピュータに寿命が来れば、ですがね」

 

「・・・・」

 

「さてと、タイプゼロを連れて帰りますわよ」

 

「襲撃はどうする」

 

「構いませんわ。そもそもあれは亡国機業が得することですから、ナンバーズには関係ないですわ」

 

「・・・・」

 

そもそも今回の襲撃は亡国機業が別働隊であるナンバーズに作戦を伝えて遂行するものであった。

しかしアンノウンと黒獅子と言うイレギュラーの出現で一部が狂ったが、むしろ嬉しい誤算となって作戦がスムーズに遂行されていた。

 

ナンバーズには本作戦がどうなろうが、どうでもいいのだ。

 

 

「それに、ドクターはきっと大喜びですわね。ようやくタイプゼロが回収できるのですから」

 

「そうだな」

 

「では、ロスト。タイプゼロを連れて行きなさい」

 

「・・・・」

 

そしてユニコーンがバンシィに近付いて手を掛けた瞬間、突然バンシィの右手が上がってユニコーンの頭部を持った。

 

「「っ!?」」

 

さすがにこれにはシスターとリアスは目を見開いて驚いた。

動くはずの無いバンシィが動いたからだ。

 

 

 

 

 

(この時を待っていたよ)

 

その一瞬の間に、バンシィはユニコーンとロストにデータを送りつけてデータ修復を行った。

 

(これで・・・全てが揃った)

 

と、バンシィの意思は呟いた。

 

(これで最後のピースへの鍵を手にした・・・。後は時の流れに任せよう)

 

そうしてバンシィの意思は眠りに付いて、そのままユニコーンの頭から手がずり落ちた。

 

 

 

 

 

「な、何が・・・」

 

「・・・・」

 

「し、しかしまぁ・・・問題はなさそうですわね」

 

シスターは何とかいつもの調子に戻した。

 

「ロスト」

 

 

 

 

 

しかしロストは返事をしなかった。

 

 

「どうしたのです?」

 

 

 

 

「・・・何でもない」

 

と、ロストはそのまま隼人を抱えて立たせると、後ろに回りこんで両脇に腕を回して抱えた。

 

「では、参りましょう」

 

「・・・・」

 

そうしてシスター、リアス、ロストは隼人を連れて地下通路を通って撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ!」

 

アーロンはビットを必死に避けていくが、一部がシールドに直撃して爆発し、更に右肩のバインダーに直撃してキャノン諸共爆散した。

 

「クライン!例え改造されても、意識はあるはずだ!目を覚ますんだ!!」

 

アーロンは一気に飛び出してビームサーベルを振るうがクラインは左掌のビームサーベルを前に出して攻撃を受け止める。

 

その直後にアーロンを押し返して腹部のビームバスターを放ったが、アーロンは左腕のシールドをパージしてビームを防ぐと、一気に飛び上がって急降下しビームサーベルを振るうがクラインは後ろに飛んでかわし右手のビームライフルを放つ。

 

「くっ!」

 

アーロンは胸部スラスターを全開にしてビームをかわして一回転し、左手のビームキャノンを放つがクラインはビームサーベルを振るってビームを切り裂く。

 

(やはり記憶も完全に消されているのか。いや、それだけじゃない)

 

クラインはシールドからビットを出してアーロンに向かって飛ばしてくるが、アーロンはスラスター全開でビットをかわしていき、脹脛よりミサイルを放ってビットを撃ち落した。

 

(感情も全て消されている。もはや完全に機械じゃないか・・・)

 

アーロンは奥歯を噛み締める。

 

(やつは人間を何だと思っているんだ!)

 

 

 

 

「・・・・」

 

クラインが顔を上げて突然動きを止める。

 

「・・・・?」

 

するとクラインはビットを前面に大量に出して一気に爆発させて光を放った。

 

「くっ!」

 

その光にアーロンは目を瞑ってしまう。

 

 

「クライン!!」

 

光が晴れた時には、既にクラインの姿は無かった。

 

「・・・・」

 

アーロンはそのまま俯いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

すると一夏と刃を交えていた闇一夏は別の方向を見る。

 

 

(潮時か)

 

 

 

そして闇一夏は一夏を強引に押し返した。

 

「くっ!」

 

一夏はとっさにウイングスラスターを噴射して体勢を保つ。

 

「運が良かったな、オリジナル」

 

「なに?」

 

「どうやら向こうじゃ目的が果たせたようだな」

 

「向こうだと!?どういうことだ!?」

 

「そいつは言えねぇな!」

 

闇一夏は背中の左側からキャノンを脇から出して展開し、高出力ビームを放った。

 

「っ!」

 

一夏はとっさに不知火をシールドモードにしてビームを防いだが、いつもより強力であったために吹き飛ばされる。

 

「オラァッ!!」

 

更に闇一夏は飛び出すと左掌を光らせて不知火を掴むと、ゼロ距離でビームを放って更に一夏を吹き飛ばした。

 

 

「次に会った時はケリをつけようぜ」

 

そうして闇一夏は一気に戦域から離脱した。

 

 

 

すると闇一夏に従うように他のバインドも攻撃をやめて戦域から離脱して行った。

 

 

 

「何で・・・」

 

一夏は撤退したバインドの意図が分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バインドが撤退したか」

 

「そのようだな」

 

千冬と輝春も撤退していくバインドを見る。

 

「だが、なぜこのタイミングで」

 

「私が分かるわけないだろ」

 

「だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

楯無は周囲を警戒しながらバインドを見る。

 

(妙ね。退き際が良すぎるわ)

 

バインドの退くタイミングに違和感を持っていた。

 

(あのまま攻めれば落とせるのは目に見えていたはず。なのになぜ撤退したの)

 

全身装甲なので楯無の表情は見えないが、眉間にしわを寄せていた。

 

(まるで今まで時間を稼いでいたような・・・)

 

そう考えながら簪に近付く。

 

「大丈夫、簪ちゃん」

 

と、楯無は聞くが――――

 

 

 

「・・・・」

 

簪は呆然としていた。

 

「どうしたの?」

 

しかし返事は無い。

 

「簪ちゃん!!」

 

 

「っ!」

 

と、簪はハッとしてようやく気付いた。

 

「お、お姉ちゃん・・・」

 

「どうしたの?」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「胸が・・・苦しいの」

 

「え!?どこか怪我をしたの!?」

 

「ち、違うの・・・。痛みとかじゃないの」

 

「じゃぁ、一体?」

 

「・・・嫌な予感がするの」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「隼人君。すぐにこっちに来てくれるかしら」

 

と、楯無は隼人に通信を入れる。

 

 

 

 

「・・・・?」

 

しかし返事は一向に返ってこない。

 

「隼人君。返事をしなさい!」

 

楯無は何度も呼びかけるが、返事は返ってこない。

 

(おかしいわ。隼人君が返事をしないなんて・・・)

 

 

 

「お姉ちゃん」

 

さっきの楯無の声でただならぬ状況だと分かったのか、簪の表情に不安な色が浮かぶ。

 

「隼人の身に・・・何かあったの?」

 

「・・・・」

 

「お姉ちゃん!」

 

 

 

「・・・隼人君から返事が無いの」

 

「・・・っ!」

 

「・・・まさかと思うけど・・・」

 

 

 

 

そして楯無の予感は的中した。

 

 

 

 

 

 

『楯無さん!』

 

すると一夏より通信が入る。

 

「一夏君?」

 

『隼人を見ませんでしたか!』

 

「え?」

 

その瞬間楯無は背筋に冷たいものが走った。

 

「隼人君を見てないの?」

 

『さっきから探しているんですけど見当たらないんです!』

 

「・・・・」

 

「そ、そんな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神風隼人が・・・」

 

マドカも通信を聞いて驚きを隠せなかった。

 

(まさか・・・やつらが・・・)

 

そして戦闘中にレギルスを目撃した事を思い出して、ある組織が思い浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

「何だと!?神風と連絡が取れないだと!?」

 

それを聞いて千冬は少し動揺を見せる。

 

『さっきから探したり連絡を入れているんですけど、全く繋がらないんです!』

 

鈴はあまりにも動揺しているからか、声が震えていた。

 

「そういえばさっきから隼人のバンシィを見てないぞ」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

『織斑先生』

 

すると颯から通信が入る。

 

「どうした?」

 

『兄さんは・・・地下に向かったんだと思います』

 

「なに?」

 

「なぜ地下に?」

 

 

 

 

「それはナンバーズが地下通路を進んでいたのだろう」

 

と、アーロンとフェイ、フィアが千冬達と合流する。

 

「やっぱり・・・アーロンだったのか」

 

「・・・・」

 

「それより、さっきのはどういうことだ?」

 

「さっきまで俺はナンバーズのメンバーと交戦していた。別働隊がいるのなら、恐らくこの施設の地下通路を通っているはずだ」

 

「っ!そうか!このセンターには災害時に使う地下通路があったはずだ」

 

輝春はその事を思い出した。

 

「だが、なぜ神風がいち早く気付けたんだ」

 

「それは分からんな。だが、バインドに押されていって地下通路に突入した所は見た」

 

アーロンの視線の先には、地下通路に入るための入り口の扉が破壊されていた。

 

 

「ともかく、今は地下に行こう。もしかしたら何か分かるはずだ」

 

「・・・・」

 

千冬は少し考えて――――

 

 

 

 

 

「急を要する。ボーデヴィッヒ!神風!更識!私に付いて来い!」

 

千冬は急いで飛び出してアーロンはその後についていき、ラウラ、颯、簪もその後について行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして千冬たちは地下通路で広い場所に出た。

 

「・・・・」

 

「やはりここで戦闘を行ったようだな。それもかなり激しく」

 

その場所には戦いの後が多く残されていた。

 

 

 

「これって・・・」

 

簪が見つけたのは、爆散したハイパーバズーカの残骸であった。

 

 

 

「・・・・」

 

ラウラの視線の先には、床に突き刺さった投げナイフがあった。

 

「ここに05が居たのか」

 

「じゃぁ、ナンバーズがここに?」

 

「なら上でメンバーの一人を見かけてもおかしくは無い。これなら辻褄が合う」

 

「だとしても、兄さんはどこに・・・」

 

 

 

 

「お、織斑・・・先生」

 

すると震えた声で簪が千冬を呼ぶ。

 

「どうした」

 

「あ、あれを・・・」

 

 

「・・・っ!」

 

簪が指差した方には、床にまだそんなに時間が経っていない血溜まりと壁に付着した血があった。

 

「これは・・・」

 

「かなりの出血だ」

 

アーロンは血溜まりに近付いて膝を着いた。

 

 

 

「これは・・・」

 

するとラウラは床に落ちていたある物を拾い上げる。

 

「何を見つけた、ボーデヴィッヒ」

 

「・・・師匠の・・・」

 

「なに?」

 

千冬はとっさにラウラの方を向くと、ラウラの両手には隼人が使っていたグラディウスがあった。

 

その刀身の半分から先端まで赤い血がべっとりと付いていた。

 

「ま、まさか・・・」

 

レッドフレームは全身装甲であるために表情を見えないが、千冬は驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

「血の色からそんなに時間は経っていない。それに色合いもそこの血溜まりとほぼ同じだ」

 

「・・・じゃぁ・・・この血って」

 

簪の表情は青ざめて、絶望の色が浮かぶ。

 

「恐らく・・・隼人のものだろう」

 

「っ!」

 

「・・・師匠の」

 

ラウラは声を震わせて言葉を漏らす。

 

「じゃぁ・・・兄さんは・・・」

 

「・・・やつらに連れ去られたようだな」

 

「なん・・・だと?」

 

「・・・・」

 

「隼人が・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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