No.532182

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!


2013-01-15 16:58:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:829   閲覧ユーザー数:799

 

 

 

episode103 戦いで得た物

 

 

 

 

そうして冬休みが終わる一週間前。

 

 

 

 

――――第三アリーナ――――

 

 

 

 

「・・・・」

 

マドカはISスーツを着て手錠をしたままピットにいた。

 

隼人は千冬から渡されていたキーでマドカの手錠を外した。

 

「俺の希望で監視は居ないが、それでも教師二人がモニターに着く」

 

「・・・・」

 

マドカは手錠がされていた手首を摩る。

 

 

 

「俺はあんまりこういうのは趣味じゃないが、向こうは保険としているからな」

 

マドカの首には電子機器が付いたチョーカーがされていた。

 

「アリーナを出た途端にそれが起動して強力な電流を流れて、それによってお前は気絶するようになっている。もしかしたら後遺症が残るかもしれんがな」

 

「・・・・」

 

「それ以前に、俺がISの安全装置で緊急停止させて逃亡を阻止するがな」

 

「妙な所では優しいのだな」

 

「どうかな」

 

 

 

そうしてマドカはピットの奥に置かれていたストライクRを見る。

 

「全身装甲型のISか・・・」

 

するとストライクRは各所の装甲が展開して各パーツに分かれる。

 

「フィッティング作業に入る。時間は限られているから手早くやるぞ」

 

「・・・・」

 

マドカはストライクRの装着に入る。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

その頃モニタールームでは千冬と山田先生がその様子を窺っていた。

 

「それにしても不思議ですよね」

 

「あぁ。上層部があんな条件に許可を出すなど」

 

ダメ元で上層部に頼みに行けば、あっさりと承諾したのだ。

 

「神風君の要望でアリーナには見張りとガードを一切配置していませんが、よろしいのですか?」

 

「神風が言うからな。『あの者は逃げない』。どこか根拠のありそうな言い方だ」

 

「しかし・・・生徒でこんな事は――――」

 

「忘れたか?あいつは生徒会長助手だ。ある程度の権限は使える」

 

「だとしても、捕虜にこんな事をさせるなんて・・・」

 

「だからこそ上層部が認めなければ諦めるといった。だがその上層部が認めれば、こちらに言い分が無いからな」

 

「・・・・」

 

「様子を見る。今はそれしかない」

 

「・・・はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、継ぎ接ぎのISでここまでやるとはな」

 

マドカはストライクRを纏い終えて、システムを確認する。

 

「どうだ?ある程度は分かるか」

 

「独房でずっと寝ていたわけではない。お前から渡されたデータを見ていた。感覚を除けばすべて把握している」

 

「勤勉で何よりだ」

 

「・・・・」

 

マドカは動作確認をする。

 

「動作に問題ない。いきなり実戦か?」

 

「あぁ。少ししたら入って来い」

 

そうして隼人はバンシィを展開してPICで宙に浮いて後ろを向きスラスターを噴射してアリーナに入っていく。

 

 

 

 

(戦えば答えが出る。そう言いたいのか、やつは・・・)

 

少ししてからマドカはPICで宙に浮いてスラスターを噴射してピットから出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが神風君が作り上げたストライクR・・・」

 

モニタールームでマドカが出て来た事を確認する。

 

「よくうまく繋ぎ合わせた物だな。鉄屑同然だった残骸を」

 

「・・・・」

 

「モニターを続けろ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だいぶ慣れてきたか」

 

「あぁ」

 

そうしてアリーナ内で二人は向かい合った。

 

 

 

「これでお前が言う答えが見つかると言うのか?」

 

「それはどうかな」

 

「・・・・」

 

「お前次第だ。答えが見つかるのは」

 

「ふん」

 

 

 

 

 

そして模擬戦開始のブザーが鳴り響く。

 

その直後に隼人が右腕のアームドアーマーBSを展開してマドカに向けてビームを放ったが、マドカはスラスターを噴射して横に飛んでかわすと右腕のトリケロスを隼人に向けてビームを放つ。

 

隼人もスラスターを噴射してビームをかわすとアームドアーマーBSを連続で放っていくが、マドカは左腕のシールドで防ぐ。

 

「・・・・」

 

その直後にシールド先端を隼人に向けてビームを放つも隼人は上に飛んでかわす。

 

しかしその直後にマドカは背中のバックパックのキャノンを機体の上に展開して高出力のビームを放った。

 

「っ!」

 

隼人はアームドアーマーVNを前に出して防ぐが衝撃で弾き飛ばされる。

 

それを狙ってマドカがトリケロスを放つが、隼人はとっさにスラスターを噴射して一気に下の方に降下してかわした。

 

「やるな!」

 

隼人はすぐに体勢を立て直してマドカの方を向くが、マドカはトリケロスと複合シールドを後方にスライドして腰の両側よりガンランチャーとビームランチャーを展開して隼人に向けて放ってくる。

 

隼人はとっさに攻撃をかわして行くが、その直後にガンランチャーを放って、散弾がバンシィの装甲に数個直撃した。

 

(何て正確な射撃だ・・・。それに加えて多彩な攻撃を可能としている。作った自分でも恐ろしいな)

 

攻撃をかわしていくとマドカはビームランチャーとガンランチャーを連結して長距離砲にして隼人に向けて均等間隔で連続で放った。

 

隼人はビームをかわしていくと左腕のビームトンファーを展開してビーム刃を出してマドカに接近してビームトンファーを振るう。

 

マドカは長距離砲の連結を解除して元の位置に戻すと左腕のシールドの先端からビーム刃を出して振るい、ビーム刃を交えてスパークを起こす。

 

そして両者同時に弾くように離れると再度接近してビームサーベルを振るって刃を交える。

 

「くっ!」

 

「・・・・」

 

隼人はマドカを押し返すと、マドカはトリケロスのビーム銃口の下に搭載されているランサーダートを射出する。

 

しかし隼人は二つをかわすと最後の一本をアームドアーマーVNを振るって弾き飛ばす。

 

そしてトリケロスのビーム銃口の下部よりビーム刃を出して振るうと、隼人も左腕のビームトンファーを振るって刃を交える。

 

「・・・・」

 

 

 

(なぜだ・・・)

 

マドカは自分でも分からない感覚があった。

 

(なぜ私は・・・楽しんでいる?)

 

隼人と戦っていると、なぜか楽しく思えてくる。普段は戦っていてもこんな感覚は無かった。しかし千冬との戦いは別だった。

 

(こんな事・・・今までには・・・)

 

 

 

 

 

「なぜだ・・・」

 

「・・・・」

 

「なぜなんだ!!」

 

マドカは隼人を押し返して両肩のガトリングポッドを展開して弾丸を放って行く。

 

「私には分からない!分からない!」

 

「・・・・」

 

隼人は弾丸をかわしていくとスラスターを噴射して一気に接近してビームトンファーを振るうとマドカは左腕のシールドを前に出して防ぐ。

 

「お前と戦っていると、なぜ私の心が熱くなる。楽しいと思う」

 

「・・・・」

 

「こんな事今までには無かった」

 

「・・・・」

 

「なぜなんだ!!」

 

マドカは隼人を押し返してミサイルを放った。

 

隼人は頭部のバルカンを放ってミサイルを撃ち落した。

 

「これも自分で答えを求めろと言うのかお前は!!」

 

そして左腕のシールド先端のビームサーベルを思い切って振るうが隼人はアームドアーマーVNで受け止める。

 

 

 

「・・・もう出ているよ」

 

「な、に?」

 

「今さっき出したじゃないか。答えをな」

 

「何を・・・」

 

隼人はマドカを押し返して距離を置く。

 

「俺と戦っていると心が熱くなる。楽しくなるって、自分で言ったじゃないか」

 

「・・・・」

 

「それが本心だって事さ。お前が今まで隠していた感情が出てきたって事さ」

 

「私が隠し持っていた・・・だと?」

 

「そうさ」

 

「ば、馬鹿な。私は私だ!それ以外に何があると言うんだ!」

 

「なら、さっきの言葉は何だ?俺と戦っていると楽しい。それは事実だろ」

 

「・・・・」

 

その通りであるためマドカは言い返せなかった。

 

「お前は何を望む」

 

「なに?」

 

「力か?自由か?それとも、何だ?」

 

「・・・力だ。それ以外は――――」

 

「嘘だな」

 

「・・・?」

 

「分かりやすいものだ」

 

「そんなはずは・・・」

 

「・・・自覚すらないか。それじゃ答えがすぐに求められないわけか」

 

隼人は呆れたように言う。

 

「くっ!お前は何が言いたいんだ!!」

 

マドカは声を上げてスラスター全開で隼人に向かっていくと左腕の複合シールドのビームサーベルを振るうが隼人は身体を少し反らして斬撃をかわすと、直後に回し蹴りをしてマドカの左横腹に入れた。

 

「ごふっ!?」

 

それによって横に吹き飛ばされるが、その直後に隼人が瞬間加速でマドカの飛ぶ方向に先回りにしてアームドアーマーVNを突き出してマドカの腹部を殴りつける。

 

「っ!?」

 

マドカはゆっくりとうな垂れると、バンシィの頭の横に頭が来る。

 

 

 

 

(いづれは分かるさ。自分で考えて分かる時が)

 

隼人はマドカの耳元で囁く。

 

(本当にやりたい事を・・・素直になって考えてみろ)

 

(素直に・・・なって?)

 

(あぁ。自分に素直になって、誰にも素直になってみろ。そうすればすぐにお前が求める答えが出る)

 

(・・・・)

 

 

 

そして隼人はマドカを押し飛ばすとアームドアーマーBSを至近距離で照射して大きくシールドエネルギーを削り、ビームトンファーを振り下ろしてストライクRを切りつけてシールドエネルギーをゼロにした。

 

 

 

 

 

「どうやら終わったようだな」

 

「そうですね」

 

モニタールームでも決着が付いた事を確認した。

 

「そういえば、向こうは何か動きが一瞬鈍ったように見えましたね」

 

「あぁ」

 

「神風君が何か言ったのでしょうか?」

 

「さぁな。あいつの要望で通信の傍受をしないで欲しいといったからな」

 

隼人は事前にこちらの通信機を切って置くように言っていたので、モニタールームからは会話は聞こえてない。

 

「しかし、これでテストは終わった。移動をさせるぞ」

 

「分かりました」

 

そうして千冬と山田先生はピットに帰還する二機を見てピットに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

そうしてマドカは再び独房に入れられて、ベッドに壁側を向いて横になって寝ていた。

 

(自分に素直になる、か)

 

隼人の言葉を思い返す。

 

(・・・本当に分かるのか。たったこれだけで)

 

俄かに信じられなかった。

 

しかし、隼人の言葉には説得力があった。

 

(・・・神風・・・隼人)

 

内心で隼人の名前を呟くと、頬が少し赤く染まった。

 

(そうなのか・・・?これが・・・そうなのか・・・?)

 

そしてある事が思い浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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