No.530871

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-01-12 17:18:31 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:755   閲覧ユーザー数:721

 

 

episode102 求めるもの

 

 

 

 

そうして隼人はIS学園に戻って部屋でゆっくりと過ごしていた。

 

 

 

 

 

(しかし暇だな・・・)

 

そう思いながらも冬休みの課題をしていた。ちなみにIS関連の課題ばかりであるが、これで最後である。

 

(セシリアや鈴は実家帰りで帰国して、シャルは護衛付きで母親の墓参りの為に一時帰国。ラウラは部隊に顔見せや軍の方で報告のために帰国か)

 

冬休みもあって、学園の生徒の殆どは実家帰りをしているため一部を残して学園には殆ど生徒は居ない。

 

「一夏と箒も実家帰りか。となると専用機持ちはほとんど居ないな」

 

「はぁ」とため息を付いて最後の課題を終えた。

 

「さてと・・・」

 

そうして隼人は席を立って部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

向かった場所は第二格納庫で、そこであることをしていた。

 

 

 

隼人が機材を操作してある物を組み上げていた。

 

それは専用機持ちタッグマッチで回収したISの内の一体を組み上げていた。

 

ゲイルストライクをベースにしているが、両肩がヘイルバスターの物に代えられており、右腕にはネブラブリッツの『トリケロス』を持つのではなく装着しており、左腕にはニクスプロヴィデンスの左肩にあったビーム砲とシールド、ビームサーベルの機能を兼ね備えた複合シールドを腕全体にではなく左腕側面に装着していた。腰の両サイドにヘイルバスターのビームランチャーを左側にとガンランチャーを右側に搭載していた。背中のバックパックを上下逆にしており、新たにレーゲンデュエルのビームサーベル二本を搭載して、ウイングを撃墜したヴァンセイバーの背中に搭載していたキャノンを搭載している。カラーリングも白をメインに胴体と足、両肩のガトリングポッドが赤で、各所に黒が施されている。カラーリングはIS学園のイメージカラーとなっており、フロントアーマーの左側にIS学園の学章が付けられていた。

 

(IS学園側から許可を得て残骸から組み上げてみたけど、特に誰かが使うわけでもないし、運用が決まっているわけでもない。使えるものは使う。そういうリサイクル精神から生まれた『ストライクR』・・・。言わば詰め合わせってやつだな)

 

Rには色々な意味があるが、『リサイクル』や『リペア』などが最も意味的に近い。

 

そうしてモニターを出してデータを見る。

 

(全体的に性能は優れているんだよな。砲撃能力が主に高く、見た目にはよらず格闘性能も優れている。機動性能も結構高いが、装備の詰め合わせすぎでバランスが悪い機体になったんだよな。これじゃ操縦者を限りなく狭めて選ぶな)

 

データの数値と性能を見て「うーん」と静かに唸る。

 

「まぁ、いつかは役に立つさ。なんでも備えあれば憂いなし、ってな」

 

そう呟いて作業を続けた。

 

 

(もしこいつを使いこなすとすれば・・・恐らく)

 

隼人の脳裏には一人の人物が浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

一方IS学園の地下特別区画の独房。

 

マドカはため息をついて考える。

 

(あいつは何を私に伝えようとしたんだ・・・。私には分からない)

 

あの時隼人が言い残した言葉を考えていた。

 

(私が生きても、何がある。私は作られた命だ。そんな命を誰が思うのだ・・・)

 

しかし考えども考えども、理解できなかった。

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

「相変わらず悩んでいるのだな」

 

「・・・?」

 

すると独房の扉が開いて、隼人が入ってきた。

 

「またお前か・・・」

 

「そう言うな。最近は変わっているようだな」

 

隼人はマドカの向かい側になるように近くのイスを取って座る。

 

「水と食事は取っているんだな」

 

と、ベッドの隣の机の上にある空になった水とトレーに乗っているプラスチックの食器を見る。

 

「お前が摂れと言ったのだろう」

 

「素直じゃなくても聞いてくれたんだな」

 

「・・・・」

 

 

 

「なぜ、お前は私に付きまとうのだ」

 

少ししてからマドカが聞く。

 

「なぜって?」

 

「分からんのだ。なぜお前が私の為に言うのか」

 

「何の為に、か」

 

隼人は右肘を右太ももにつけて右頬を右手に置く。

 

「今まで考えてみたんだろ?なら分かるはずだ」

 

「それが分からないから聞いているのだろう」

 

「はぁ・・・普通ならすぐに分かると思うんだがな」

 

「・・・・」

 

「答えはお前自身が決めるんだ。俺が出す物じゃない」

 

「・・・遠回しな言い方だな」

 

「分かりやすい答えは出さない。考えて答えを出させる。そういう性分でな」

 

「・・・・」

 

「まぁ、感情がいくつか抜けているお前じゃそう簡単に答えは導き出せないんだろうな」

 

「悪かったな」

 

「別に皮肉で言ったわけじゃない」

 

「そう聞こえたが」

 

「そりゃ悪かったな」

 

「・・・・」

 

 

 

 

(分からん。なぜお前は私に関わるのだ?)

 

マドカは内心で疑問に思っていた。

 

(所詮姉さんを倒すだけに生み出された私に、何を求める)

 

考えども、考えども、隼人の真意が分からない。

 

 

 

 

「あ、そうだ。どうせ見てもどうなるってわけじゃないが、暇つぶし程度にはなるだろう」

 

と、隼人はポケットから小型のデータ端末を出してマドカに投げ渡すと、マドカはそれをキャッチする。

 

「なんだこれは?」

 

「ISのスペックデータが入った投影型データ端末だ」

 

「なに?」

 

マドカは耳を疑った。今ISのスペックデータと言った?

 

「・・・何のつもりだ」

 

「どうもこうも、ただのスペックデータだ。お前なら見るだけでも分かるだろ?」

 

「そうじゃない。なぜこれを私に渡した」

 

「分からないか?」

 

「・・・・」

 

「判断は上の連中が決めるが、その中に入っているデータのISのテストパイロットをやってもらいたい」

 

「なん・・・だと?」

 

とてもじゃないが正気の沙汰ではなかった。捕虜にテストパイロットを任せる?

 

「意味が分からないな。捕虜にパイロットを任せるか普通?」

 

「そうだろうな。だが、このISを使いこなせるのは、この学園じゃ指で数える程度しかいないだろうな。捕虜を含めれば、な」

 

「・・・・」

 

つまりこの男は・・・私の技量を認めた上でテストパイロットをやってもらいと、そう言いたいのか?

 

 

 

「だが、良いのか?こんな事をして」

 

「許可はもう取っている。それを考慮した上でお前に交渉しているんだ」

 

「・・・・」

 

「まぁ見てみろ。ある意味驚きの物だからな」

 

「・・・・」

 

マドカは眉を顰めて、端末を起動させて投影型モニターを出してデータを表示した。

 

 

 

「これは・・・」

 

マドカはデータを見て少し驚く。

 

「・・・これだけアンバランスな構成でここまでの高性能か」

 

「数週間前にIS学園を襲撃したISの残骸から作り出したISだ。まぁ色々と欠損していたパーツがあったから他のISのパーツをつけて補っている」

 

「つまり継ぎ接ぎと言う事か。しかしそれでよくこれほどの性能を作り出した物だ」

 

「俺の腕の見せどころさ」

 

「・・・お前がここまで凄いやつとはな」

 

 

 

「で、どうだ?」

 

「・・・正直の所、これだけのアンバランスの機体で、これほど凄い機体を作り出すとはな」

 

「・・・・」

 

「凄いな」

 

「そうか。で、データだけでどう見る?」

 

「砲撃戦を主に戦闘を行う機体だな。それに加えて格闘性能も高い。機動力も見た目によらず高いな」

 

(データだけでほぼ全て当てるとはな。千冬さんのクローンと言うだけはあるか)

 

 

 

「これだけのIS・・・そうそう誰にも操れる代物ではないな」

 

「・・・・」

 

「だから、私に任せたいと、そう思っているのか」

 

「上が許せばな」

 

「・・・正気の沙汰ではないな」

 

「かもな」

 

「それで、お前は私に何を求めるんだ」

 

「何も求めないさ」

 

「・・・・」

 

「お前には答えを求めて欲しいからな」

 

「またそれか。どこまで遊べば気が済む」

 

「俺だって遊びたいためにお前にこうして答えを求めさせているわけじゃない」

 

「・・・・」

 

「いつかは分かるさ。お前が求める答えが。俺の真意が」

 

「・・・お前の真意、か」

 

「そのデータは暇つぶし程度に見て良いぞ。まぁ過度な期待はしないほうがいい」

 

そうして隼人は独房を出て、扉を閉める。

 

 

 

 

 

(分からん。本当に分からん)

 

マドカは隼人が出た後も考えていた。

 

(・・・だが、なぜだ)

 

そして胸中では疑問が生まれる。

 

(なぜやつと話していると・・・こうも心が・・・温かいのだ)

 

そうして頬が少し赤く染まる。

 

(分からない・・・何も分からない・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(本当にやつの真意が分からんな)

 

独房の監視ルームでコーヒーをすすっていた千冬はカップを机に置く。

 

(驚いた物だ。いきなりあいつにISのデータを見せて、できるのならテストパイロットにしたいと言ったのは)

 

今から数十分前に隼人が千冬のところに来て、そう言って来た。

 

さすがに千冬でもその申し出は断った。あまりにも馬鹿げているからだ。

 

(だが、もしそのISを使いこなしてこっちに付いたのなら、戦力増量に繋がる、か。確かに今は必要ではあるが)

 

IS学園の防衛には強力な戦力は不可欠。千冬もマドカの実力は知っている。

 

(だが、やつはやつの所の者だ。少なくとも簡単に良いとは言えない。が――――)

 

千冬は隼人の言い分を思い出す。

 

 

 

『あいつは必ず本当の道を辿りますよ。本当にやるべき事を見つけて』

 

 

 

(・・・あいつは昔から根拠なしにそんな事は言わない。自信を裏付ける何かがあると言うのか?)

 

隼人の言葉に頭を悩ませる。

 

(隼人・・・お前はあいつに何を求めさせようとしている)

 

 

 

「それに、捕虜にテストパイロットをさせるなど、上層部が許可を出すはずが無いだろうが、一応言ってみるか」

 

千冬は席を立ってモニタールームを出た。

 

 

 

 

 

 


 
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