No.463564

気持ち

高校律澪。


好き合う女性同士。
現実は世知辛いけど、妄想の中でぐらい幸せに過ごして欲しい。

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2012-08-01 23:17:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:707   閲覧ユーザー数:702

今日は律と買い物デート。

いつもの待ち合わせ場所で、13時に待ち合わせ。私は、5分前に到着。律は、10分遅れてやってきた。

息を切らして駆けて来る律……遅いぞ?、と言おうとしたが

「ごめんごめん…」

息の切らし方からホントに急いで来たんだなーって思ったから、許そう。

「‥大丈夫だよ。さ、行こ行こ!!」

私はTシャツから伸びた律の腕にどんっ!って。わざと抱き着いた。

「わっ!みおっ」

焦りながら照れる律。

「汗掻いてるから‥‥離れろよ…」

息を切らして駆けてきた律の腕は、確かにちょっと湿っていた。

「んー?私は別に構わないぞー?」

「そういう問題じゃなくて!」

「りつーいい匂いだなー」

「汗臭いってば…」

恥ずがりながらも、腕から離れない私を連れて歩く律。

汗でも何でも‥‥律の匂いは良い匂い、だよ。律。

 

 

 

お互い、少ないお小遣いを有効に……という事で。ショップ毎にセール品を中心に物色。

服は自分で選んで買う……って当たり前か。

自分で、というか律が「澪ー!コレ良くない!?」と探してくるヤツが中々良かったりする。

そして「澪に絶対似合うって!!」とか言われると、ついつい買ってしまう。ソレがまた、周りから評判良かったり…

……恋人は、私の事をよく分かってくれてるって事。…なのかな?

 

ショップ巡りもソコソコに。私と律はデートコースの定番、ゲーセンへ赴いた。

「澪ー!アレ、取ってやろっか?」

「みおみお!アレ一緒にやろうぜ!!」

律がUFOキャッチャーでウサちゃんのぬいぐるみ取ってくれたり、律に誘われるがままやってみたゲームがゾンビを撃ち殺しまくるゲームだったり……

…と。まぁ、色々ありながら。私の中のメインイベントがやってきた。

「澪!みお!!プリクラ!」

律が私の手を引いてやってきたのは、プリクラコーナー。

女子高生なら定番だ。出来上がった写真に落書きとか手を加えて可愛くしたりとか。

プリクラ帳とか皆持ってて、交換し合ったり…

 

…だが、私には別の野望があった。

 

「どーれにしよっかなー♪」

律はタッチペンを片手に、プリクラのメニュー画面とにらめっこしている。

「コレ…」

私は疾る気持ちを抑えつつ……もう一本のタッチペンで、画面を押した。

「み、みお!?」

律は、私の行動にとても驚いた様子。

確かに、ゲーセンで私主導の機会なんか、無い。大概律が勢いで済ませる。

そりゃあ、律も驚くかな……驚くには、まだ早いけど。

「あー、じゃあ澪に選ばれたから次はこっちー」

律はムキになった様子で、メニュー画面を進めて行く。

「よーし!撮るぞー」

背景やら何やらが決まり。プリクラの機械からカウントコールが鳴る。

 

3!

 

2!

 

1!

 

ぐいっ

 

「へ!?」

 

私は律をグイッと抱き寄せ

 

「ッ…」

 

ちゅっ

 

「…!?」

 

……キス、した。

 

 

パシャッ☆

 

 

私の野望は、達成されたが

 

『…………』

 

撮影は、4テイクだった。

終えると画面に4テイク分の写真が表示された。

 

……全て、キス。

 

1テイクから4テイクまで。私と律はキスしていた事になる。

私は、意を決して。律は、呆気に取られて……

 

…そのまま、固まっていた。

 

撮影を終えて「ばっ!!」って離れる二人。

この後には、撮り終えたばかりの写真に色々カスタマイズするっていう、いわゆる「お楽しみ」な時間があるんだけど…

互いに「なんとも言えない表情」で、見合って。

直ぐ様、目を逸らして。プリクラの画面に視線を移した。

落書きなんかしてる心境じゃない、とばかりに。律はタッチペンでひたすら「次へ」を連打。

私は、自分でしておきながら「その先」なんてまるで考えてなくて………

……とりあえず手に取ったもう一本のタッチペンを手に、焦る律の様子を見送った。

一通り、手順を済ませて。数十秒でプリクラは出来上がった。

私達は「なんとも言えない表情」のまま、手をつないでて。律は、片方の手でプリクラを手に取った。

「……」

「……」

なんとなく、無言で……一応、目で合図だけ、して。

出来上がったプリクラを切り離す事無く、私達はゲーセンを後にした。

 

 

 

「……」

「……」

プリクラから私達は黙ったまま。

「……」

「……」

一応、手は握ったまま。公園に来ていた。

「……律」

私が声を絞り出す。

「……何?」

律も声を絞り出す。

「律、ソレ…」

私は、律がゲーセンから手に持ったままのプリクラを指した。

今までの‥‥沈黙の根源だ。

「…………わかんない…」

「…へ?」

「今の私の気持ちが、わかんない…」

私が律の顔を斜めから見ると‥‥‥律の目は、涙目だった。

「っ……」

 

がばっ

 

とりあえず私は、衝動的に律を抱き寄せた。

「……律‥‥どうした?」

私は出来る限り優しい声で、語り掛けた。

「…………みお‥‥‥」

いつもの律とは、正反対の…ちいさな。ちいさな声が、腕の中から聞こえてきた。

 

 

 

「……そっか」

公園の、白いベンチ。

律は前屈み気味で手を組んで、難しそうな顔。

そんな様子の律の話を、私は全て聞いてあげた。

 

 

私達の、関係。

女性同士。

でも、恋人同士。

でも、やっぱりおかしいかもしれない。

けど、澪の事は大好き。

それに、澪はプリクラでキスしてくれた。

あんなに恥ずかしがりやの澪が。

嬉しい。すんごく嬉しい。唯が入部してきてくれた時と同じくらい‥‥いや、比べ物にならないくらい、嬉しかった…。

 

……でも、おかしい。

 

律は普段、気丈に振る舞っていてもやっぱり溜め込む性格。

 

私も律も、互いに足りない所を色々埋めてあげて、埋めてくれる。

放課後ティータイムに居れば皆は受け入れてくれる。

 

けど、外に出れば―――

 

そんなジレンマが、律にはあったらしい。

ソレだけに、私の意を決したプリクラでのキスは衝撃的だったらしい。

気持ちが‥‥どうにもならなくなったらしい。

そして、二人でベンチに座っている。

 

私はそんな事気にしない………けど、律は気にしていたらしい。

所詮人間。相手の気持ちが分かる…なんて事は、有り得ないから。

 

私は、律に抱き着いた。

 

「……澪!」

声と共に、律の身体が緊張した。

「律ー。考え過ぎは、良くないぞ?」

「…?」

私の恋人は困惑した。

「私は、律が好き。律は、私が好き。ソレで…イイじゃないか」

唯が言いそうな事を、私なりに言い変えた。

無神経な言葉ほど、響く言葉は無いって。唯の言動に教えられたのを思い出した。

もちろん、気持ちがこもっていればこそ、の話だが。

「…ソレも、そうだな!」

私の恋人は、はははっと笑い飛ばして。私に応えた。いつも見せる、笑顔。

だが、そんな顔はまだ繕った顔だと。私は知っている。

人一倍、人を思いやれる律だからこそ出来る、自分を繕って皆を元気付ける、笑顔。

 

「……バカ律」

 

ちゅっ

 

「……っ!?」

 

私は繕った顔に、キスを叩き込んだ。

私の恋人は、面食らったらしい。身体が狼狽えた。

「さぁ、行くよ!!」

私は律の手を掴んで、ベンチから走り出した。

「ど、ドコ行くんだ!?」

「わかんない!!」

 

はっきりしない律に…‥私は、はっきり答えた。

 

私をココまで連れてきてくれたのは、律や、唯。ムギや梓。みんなだ。

 

次は…私が、連れて行く番。

 

独りよがりだろうけど……皆と。律と、一緒なら。何処へでも行ける気がした。

 

びっくりした様子の、律。びっくりしてても、私の手はぎゅっって、握り締めていた。

 

私も、小さな律の手をぎゅっって、握り締めた。

 

 

………‥キスプリは、二人の宝物にしようって。一方的に決めた。

 

 

 

 

 

 


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