No.423440

桔梗√ 全てを射抜く者達 第43射

黒山羊さん

待たせたな。(大塚●夫風)と宣言した黒山羊です。
色々あって、更新が遅れました。
理由は最後に載せています。

最後になりますが、

続きを表示

2012-05-15 20:49:06 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3932   閲覧ユーザー数:3498

 

桔梗√ 全てを射抜く者達   第43射

 

 

 

 

視点:一刀

 

怪しい。この村には何かある。まず生気がなさ過ぎる。

此処が農村なら人の行き来があってもおかしくないのにも関わらず、全くない。足跡があったにも関わらずだ。

ニートしか住んでいないニート村なんてのはこの時代には無いだろうし、……って、向こうの世界でも実在していないだろうな。

そのくせ、立派な柵や堀がある。まるで、村人でも隔離しているのだろうか?

 

此処は無視していくに限るのだが、自分の現在位置を確認しなければ、この先の方針も決定しにくい。

この村の調査をした方が良いだろう。

まずは、遠くからの監視するのが妥当だな。一度離れ、高い場所から監視する。

だが、高い所に行けば、場所によっては見つかる恐れがある。それ以前に山まで遮蔽物が少なすぎる。慎重に行く必要があるな。

俺は蓮華に相談すると、蓮華も賛成してくれた。その場から離れ、近くの山へと目指すことにした。

 

「この匍匐前進って動きにくわね。」

「我慢してくれ。命と動きやすさだったら、命の方が大切だろう?」

「それは分かっているのだけど………胸が。」

「ブフッ!……ゲフンゲフン。女の子がはしたない事言わない。」

「ご、ごめんなさい//////」

「いや、まあ、その、俺の我がままに付き合って貰っているから、謝られても困る。謝るのはこっちだ。」

「そんなこと無いわ。」

 

この謝罪の無限ループが続きそうになったので、一刀は区切りをつける。

匍匐前進のまま、山の中腹まで来ると、監視対象のよく見える場所に辿り着いた。

俺は万が一の逃げる√を確認すると、双眼鏡を取りだし、魚の燻製を食べながら、村の監視を始めた。

『蛙が居るけど、食べないの?』と聞かれたが、今捕まえても、焼けない。

火を起こせば、煙から気づかれてしまうかもしれないからだ。

 

「ねえ、『うるふ』。あの村、劉焉と関係ありそうなの?」

「劉焉とは関係はあるかもしれないが、あの村を治めているのが劉焉やその臣下かどうかは断定できない。人身売買を生業にした賊か

 何かの拠点かもしれん。」

「どうして?」

「単純に見つけられないというのはあり得るが、幾ら間抜けと言えども、あの劉焉が、こんな僻地の小規模の村を放置しているとは思

 えない。

 知っていたのなら、何かしらしていただろう。村人を徴収して、強制労働を科したりな。『劉焉は此処を知らない。』と いうこと

 が言える。そして、俺が人身売買を生業にした賊の拠点と言ったのは、あの足跡の向きや数、脱出を拒む柵や堀から考えてだ。

 以上のことから人身売買の賊と判断した。俺達が見つかれば、俺は殺されるか、労働力扱い。蓮華は売春婦だな。」

「………それで、どうするの?」

「あの賊を倒して、情報を聞く。捕まっている奴達を解放する。」

「連れて行くの?」

「連れていきたいのはやまやまだが、連れて行くとなると、前と同じ。大所帯になって逃げるのが難しくなって最悪全滅だ。

 だから、解放するだけだ。連れて行きはしない。解放させたら、俺達についてくる以外の好きなようにさせる。

 幸い船とかあったから、この村から逃げることは出来るだろう。船でなくても逃げる手段はあるだろう。

 俺達は俺達の情報収集為に賊を倒す。そこから先は知らない。無責任だと言う奴がいるのなら、言わせておけ。」

「割り切っているわね。」

「割り切らないと傭兵なんてやってられないぞ。誰が敵になるか分からないんだ。」

「そうね。………天の国の傭兵ってどんなことをするの?」

 

俺は周囲を警戒しながら、蓮華と話をする。…………俺の世界での傭兵生活か。

と言っても、入社して訓練を受けて、一人前と認められてからも最初の内はとても簡単な任務ばかりだったな。

最初の任務はとあるカリブ海の国での日本人の警護だったな。

あそこは現地のマフィアが外人の誘拐をよくする。夜中一人で外に出て帰って来られる確率なんて5%だ。

だから、そんな日本人の警護を俺の入っていた会社がすることになった。

俺がその任務にあたったのは日本人と言うこともありクライアントも安心しやすいだろうと言う上層部の判断だった。

警護期間は3週間だった。クライアントがこの国に来たのは現地の人に農業の技術指導する為だったらしい。

戦闘は一度だけあったが、クライアントは無傷で、任務は無事成功した。

いやあ、クライアントが夜中にテキーラを飲みたいと言わなかったら、戦闘にはならなかったんだけどなww

 

その次の任務があのコロンビアの麻薬製造会社の殲滅だったな。

あの私兵部隊、傭兵の腕は素人に毛が生えたようなもので、ナイフ戦になれば、俺でも倒せたものだ。

そのくせ、使っている武器が面倒な奴ばかりだった。RPG-7、LOW、ジャベリンやグレネードと爆発系の武器を使ってきた。

しかも、無駄にヘリコプターが飛んでいるのだから厄介な事この上なかった。

いやあ、ヘリコプターからロケットランチャーは面倒だったな。

普通なら、こんな無茶苦茶な戦法なんて取らない。だが、物量にモノを言わせて、自分の被害を無視するなら、全く問題ない。

おかげで、あの戦場はとてつもなくヤヴァかったな。

まあ、そんな戦場でも自分の価値が無力であるということを否定出来たのだから、よかった。

 

そして、あの世界での最後の任務はまさかの自爆テロに巻き込まれてかww

 

「俺は結局死んだのか?」

「?何言ってるの?死んでいたら、此処に居ないじゃない。」

「まあ、この世界の人からすればそうなのかもしれないが、俺からすれば、此処が死後の世界だと思えてしまう。

 だが、此処が死後の世界という実証もできないし、夢だということも実証できない。

 向こうの世界も死後の世界やら夢やらと実証できない。だから、俺からすれば、どっちが現実なのか?それともどっちも現実なのか

 分からないんだ。」

「胡蝶の夢?」

「なんだそりゃ?」

「荘子の説話よ。夢の中では自分が蝶で、ひらひらと空を飛んでいたら、いきなり目が覚めてしまったの。そこで荘子は気付いた。自分は蝶になった夢を見ていたのか、蝶である自分が今人間になっている夢を見ているのか分からない。」

「なるほどね。確かに分からんわ。

 …………んーーー、でも俺は俺であることを実感しているから、此処がどこであろうとどうでも良い様な気がしてきた。

 よっしゃ、気合入れて監視するか、相談に乗ってくれてありがとうな。蓮華」

「ど……どういたしまして//////」

 

ん?何か向こうに動きがあったな。

縄の手錠をさせられた女が二十人ほど、それを監視しているような武装した男が数人村に入ってきた。

筏は隠してあるから、俺達が居ると言うのはバレテいないはず。だから、あの男達は俺達を警戒している訳じゃない。

やはり、あの女達が脱走しない様に見張っているようだな。となると、やっぱり人身売買だな。

俺は蓮華に双眼鏡を渡す。蓮華は双眼鏡を受け取ると村の方を見た。

 

「最低ね。」

「あぁ、こんなのは戦場ではよくある光景で、見慣れたが、見ていて気分の良い光景じゃないな。」

 

蓮華は怒気のこもった声に、俺はフランクな声で返す。

怒っているが、今の蓮華にあそこに突っ込んで行きそうな雰囲気は無い。反董卓連合の時から大分成長したようだな。

あの時は俺が罵倒しただけで特攻したからな。あの時の蓮華は華雄並みの直情野郎…いや、直情女だったからな。

呉を担う人材として孫策が願ったような成長しているようだ。

 

「天の国にはよくある光景なの?」

「捕虜を人間として扱わないような輩なんて、戦場では幾らでも居る。戦場ってのは人の心を腐らせるからな。だから、心が弱ければ、

 生活が苦しければ、誰でも、あんな屑野郎になっちまう可能性がある。それが、国軍、賊、民、……傭兵でもだ。」

「………『うるふ』は違うよね?」

 

蓮華は不安そうな声で聞いて来た。戦場の弊害を目の当たりにしてショックらしく、色んな感情が混ざっているようだ。

 

「俺か?」

「うん。」

「俺の心はとっくに壊れているさ。人殺しをしないと生きている実感がしない屑野郎だからな。俺は。」

「……そう。」

 

その後、監視は続いた。その結果、賊は最低32人はいるということが判明した。会社で習った記憶術に助けられたな。

一人二発も使えないか。確実に倒す必要がある。まあ、余程のヘマをしない限り、大丈夫だろう。

となると、戦闘の準備をしないとな。

まずは、狙撃に向いている場所と逃走ルートを探す為に、この近辺の地形を知らないとな。

それから、蓮華は多少武術の心得があるという理由から、無茶は承知の上で、賊の捕縛を頼んでみた。

一人で戦場に突っ込んで行くことから、囮の様な扱いになってしまうから、拒むかもしれないと思ったが、あっさりと受けてくれた。

他にも………色々、作戦を考えていた。

そして、それを伝え終わって、立ち上がった瞬間だった。

 

「動くなっ!」

 

 

 

俺と蓮華は後ろから聞こえた声に反応し、振り返る。そこには武装した賊らしき者が3人ほどいた。

これなら、何とか倒せそうだ。BarrettM82A1を俺は持ちあげ、蓮華は剣を構える。

この程度なら、俺が蓮華を守りながらでも、突破できる。俺はそう確信した。

だが、横から草むらを掻きわけるような音が他にも聞こえた。それ続く形で次々と武装した賊が現れる。

まだ、居たのか!俺から余裕という言葉が消え、代わりに焦燥のふた文字が浮かび上がった。

俺と蓮華は背中を合わせて、賊と対峙する。俺を囲む続の数は12人。

俺達を囲む賊は安っぽい武器を身につけている。

錆びた剣、原始人が使っていそうな弓矢、石槍を持っている。鎧は黄巾党のようにバラバラだ。

だが、この地形で、この人数、この配置は十分な脅威である。

俺と蓮華が立っている所は広場である為、CQCはしやすいのだが、俺達を囲んでいる賊の立っている場所は俺達から数m離れている上に、草木が生い茂った茂みの中でCQCがしにくい。仮にCQCが出来たとしても、CQCをかけた後で、バランスを崩してしまい、他の賊の的となってしまう恐れが大きい。BarrettM82A1で撃ったとしても射撃体勢に入った時の隙が大き過ぎる為、何かを盾にしないとあっさりやられる。

このままでは良くて捕縛、悪くて死亡だな。

 

「その弓、その弓は!」

 

俺の横から怒気の混じった声が聞こえて来る。

BarrettM82A1を構えた状態のまま、声のする方に顔だけを向ける。

そこには怒りに満ちているのか、顔を歪めた一人の男が剣を持って、震えていた。

 

「お前は?」

「ふん。忘れたとは言わせん!俺は巴郡でお前に弟を殺された黄巾党の隊長の……。」

「悪いな。お前の様な輩は腐るほど見てきたからお前が誰か、俺は知らないな。」

「き、貴様!」

「隊長!」

 

男は血走った目で剣を持った右手を振り上げ、部下の制止を振り切り、俺に切りかかって来る。

だが、この男の剣技は怒りにまかせた、素人の剣技だった為、どんな軌道で俺を切ろうとするのかすぐに分かった。

剣とは己を映し出す鏡だと以前祖父が言っていたが、全くその通りだと俺はこの瞬間思う。

剣の軌道を俺が読めたのは、祖父と焔耶に桔梗さんのおかげだろう。

BarrettM82A1を捨て、男の剣をすれすれで避け、振り下ろされた男の右手を俺は右手で掴み、捻る。

手首を捻られた男は顔を苦痛で歪め、武器を手放す。地面に落ちた武器を俺は足で蹴って、遠くに行かせる。

そして、右手で男を一気に引き寄せ、俺は男の後ろに回り込み、男の首筋にナイフを当てる。

ナイフを首筋に当てられた男は無抵抗になる。

 

「ぐっ!貴様!人質とは卑怯だぞ!それでも、天の御遣いか!」

「他人から略奪して生きようとするお前の言えたことではないな。」

「くっ。」

「悪いな。俺は勝てば良い。桔梗さんの裏で泥を啜りながら、あの人に勝利を捧げるのが、俺の使命だからな。」

「お前ら!俺を助けろ!」

 

男がそう叫ぶと、仲間の賊たちが一斉に襲いかかって来る。

この男はやはり自分の命が惜しいらしく、『俺ごと殺せ』と言ったのではなく、『俺を助けろ』と言ったのに俺は救われた。

『俺ごと殺せ』と言っていたら、賊は弓矢で、男ごと射殺していただろう。そうなれば、俺も蓮華も一瞬で殺されていた。

そのため、弓兵は弓を構えた状態で待機し、剣と槍を持った賊が一斉に襲い掛かって来る。

 

「蓮華!来るぞ!」

「分かってるわ!」

 

俺は男の脚を引っかけ、前に押し出す。すると、男は前のめりにバランスを崩し、こける。

押し出した男を思わず、剣で切りそうなった男の仲間は剣を引き、下がる。

俺はその間に、別方向から襲いかかってきた敵の槍を避け、その敵の首に指をかけ、勢いよく押す。

首を押され、後ろに倒れた男は地面に後頭部を叩きつけられ、気を失ったのか沈黙する。

次に襲いかかってきた賊は奇怪なCQCの動きに恐れを成したのか、一瞬怯む。

俺はその瞬間に賊の持つ竹やりで着けない懐に入り込み、竹やりを掴み、足を引っ掛けて横に倒す。

そして、俺は倒れた男の鳩尾を踵で勢いよく踏みつけて追い打ちをかけることによって、呼吸を乱れさせる。

俺に鳩尾を踏みつけられた男は咳きこみ、泡を吹きながら気を失う。

 

「くっ!」

 

いきなり視界に何かが映り、それは目と口に入る。目と口に入った感触からして土だと思う。

そこで、俺は目つぶしを喰らったということが分かった。

痛みに耐えながら、俺は目を開け、相手を見ようとするが、目を開いた直後に、視界の真ん中に銀色の点が映る。

その点が剣による突きだという事に気が付いた俺は脚を折り、右に避ける。

俺は賊の片手を掴み、体を反時計回りに半回転し、一本背負いで賊を投げる。

賊を投げると、投げた先に居た賊が巻き込まれる。巻き込まれたのは俺に弟を殺されたと主張する賊の頭だった。

巻き込まれた男が持っていた武器で防御した為、俺が投げた敵を刺してしまった。

だが、投げられた賊が投げられる直前に剣を手放してしまった為、巻き込まれた方の賊を倒すことが出来なかった。

そこで、俺は投げられた賊がさっきまで持っていた剣を拾い、投げる。

俺の投げた剣は回転しながら飛んでいき、賊の頭に刺さった。

 

「蓮華!」

 

俺は叫びながら、蓮華の方を見る。

 

「この程度なら、私程度でも倒せるわよ。」

 

俺の見た先には返り血を浴びているが、しっかりと立っている蓮華が居た。

6人の賊が荼毘にふしていた。どの賊も致命傷を負ったらしく、ピクリとも動かなくなっていた。

蓮華は単なるお姫様じゃないらしい。俺は今蓮華が味方であってくれたことに感謝する。

 

俺は一安心するが、すぐに頭の中で警報が鳴る。そうだ。まだ弓兵が残っている。

矢が飛んできたので、俺はBarrettM82A1に飛び付く。蓮華は俺や自分に飛んできた矢を剣で叩き落としてくれている。

そして、構え、離れた位置にいた2人の弓兵に向かって、ヒップシュートする。

咄嗟の射撃だった為、2発外してしまうが、何とか仕留めた。

俺はもう敵が居ないことを確認すると、親指を立てた右の拳を前に出しながら、蓮華に礼を言う。

 

「蓮華、ナイスアシスト。」

「ないすあしすと?」

「あぁーっと、天の国の言葉で『助かった。ありがとう。』って意味だ。」

「そう……ねえ、うるふ。」

「何だ?」

 

蓮華は少し恥ずかしそうに親指を立てた右手を俺に向けていう。

 

「ないすあしすと。」

 

 

 

 

「まだだ!まだ終わっていな――い!」

 

 

 

 

突如、叫びながら、頭に剣の刺さっている男が俺に襲いかかってきた。完全に油断していた。

スプラッタ映画の監督も吃驚の状況に俺と蓮華は驚くが、このままでは殺されてしまう。

俺は襲いかかってきた男に止めを刺そうとする。

BarrettM82A1で撃ちたかったが、地面に置いてしまっている為、使えない。

冷静にCQCで対処すれば大丈夫。俺は自分にそう言い聞かせ、ナイフを左手に持ち、CQCの構えをとる。

だが、横から来た衝撃で俺は倒れてしまい、CQCが出来なくなってしまう。

え?何が起きた?俺は横からぶつかって来て、腰に取りついたものを見る。

あぁ、最初にCQCで後ろに倒れさせた男か。もう、目が覚めたとは予想以上にタフだな。

こんなことなら、手間が掛かるが、頸動脈でもナイフで切っておけばよかったと後悔する。

俺は取りついて来た男のわき腹にナイフを突き立てる。だが、一回刺しただけでは俺にしがみつく腕が緩まない。

痛みで腕が解けると思った俺の目論見は甘かったようだ。

では、どうすればいい?首を切れたらいいのだが、俺に取りついて来た賊の首の位置は俺の背中の方にあり、手が届かない。

届いたとしても手探りで賊の首を切ることになるので、時間が掛かり、その間に頭に剣の刺さった賊の頭が俺を殺すだろう。

俺はナイフの柄を持ち、上下左右に不規則に動かし、俺に取りついた男のわき腹を抉る。

だが、それでも男のうでは緩まない。

そうこうしている内に、賊の頭が俺の頭上で剣を振り上げた。

 

「死ぬぇええええ!」

 

賊の頭はそう叫ぶと、剣を振り下ろした。

ゆっくりと、確実に俺に向かって鉈の様な大きく太い剣が来る。

向こうで蓮華が叫びながら、剣を持ってこっちに向かって来ている。

俺を助けようとしてくれてんのかな?でも、だったら、もう少し早く動いて欲しいと思う。

そういえば、俺に向かってくる剣もえらくゆっくりだな。

あぁ、俺が死ぬ直前だから、時がゆっくり流れているように感じるっていうアレか。

俺は死ぬ体験をするのは二回目だから、なんとなく分かってしまった。

そういえば、あの時もこんな感じだったな。

自爆テロ犯の体が木っ端みじんになって、爆風やら熱やらが俺に襲いかかって来るのがとてもスローだったことを思い出す。

だけど、このスロー感は慣れないな。何と言うか死ぬのを認識させられてしまう。

認めたくないけど、自分では覆せない。だから、死ぬ瞬間を神様とかいうふざけた存在が先延ばしにしようとしているのかもしれない。

だったら、さっさと殺してくれたら良いのだがな。ははは。

そういえば、こっちに来てから、色々あったな。

ってか、この世界に来たこと自体が驚きだった。三国志の世界で武将が全員女性。

まあ、それも驚いたが、俺が一目ぼれしたことには驚いた。

戦争馬鹿の俺が恋をするとなんて思えなかったからな。

 

すみません。桔梗さん。どうやら俺死んでしまうらしいです。

あの燃え盛る巴郡の城で、また会いましょうって言ったのですが、どうやら、約束は果たせそうにありません。

俺は貴方が好きです。だって、こんな死ぬ直前なのに、死への恐怖とか自分の無力さに対する呆れより、貴方に会えない申し訳なさの方が今の俺の心の中を占めているんです。だから、ごめん…な………さ…………い。

 

俺は心の中で謝り、目を閉じる。

 

 

 

 

「阿呆が……わしとの約束を勝手に破るな。」

 

 

 

 

「え?」

 

俺は聞き覚えのある声で目を開ける。

俺の目の前にいたのは俺を殺そうとするあの賊の頭ではなく、俺が世界で最も会いたかった愛しい人だった。

 

 

 

 

「桔梗さん!」

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。いや、マジでお久しぶりですね。

1カ月ぶりぐらいでしょうか。久しぶりの更新となりました。

言い訳させて下さい。

言い訳1つ目!尿路結石が痛かった!

激痛です。陣痛並みに痛いって誰かが言っていましたが、女性はあんな痛い思いをするんですね。

女性って凄いわ。

石は未だに落ちていませんが、最近は痛みも治まっています。

言い訳2つ目!国語力うpの為に、しばらく読む専になっていました。

色んなモノを読んで、色々勉強になりました。

以上です!

 

そして、今回のお話はどうだったでしょうか?

一刀益州脱出編は終了です。

CQCのシーンはMGS3のスネークが初めてオセロットと会うヴァーチャス・ミッションのあのシーンを見ながら書きました。

もっと書こうと思ったのですが、一刀が作戦を立てて、実行して、成功して終わりでは面白くないので、こんな展開にしてしまいました。若干の消化不良感になってしまったような気がしますが、後悔していません。

 

それでは最後の挨拶と行きましょう!

それでは、呉のターンということで、明命さん宜しくお願いします。

 

 

 

あれ?何処に居るんですか?明命さん?

ん?置手紙?

 

『わんにゃんランドでイベントがあるので行ってきます。最後の挨拶はテープに入れています。   周泰』

 

え?

なんか最近いつもこんな感じなような気がするけど、企画って成立しているのでしょうか?

まあ、テープに入れているだけマシですね。

よし、このラジカセに入れてと…………

 

 

 

 

「お猫様━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!」

 

 

 

 

うおおおおおおお!耳が!音量でかすぎたああ!

 

 


 
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