No.405673

真・恋姫†釣行 -釣り編 後編-

黒山羊さん

少し酒を飲む量を見なおそうと考えている黒山羊です。
若干文章量が少なくて、すみません。
頑張って書いたのですが、これ以上の字数を増やせませんでした。ごめんなさい。

2012-04-09 20:43:26 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2134   閲覧ユーザー数:1897

                           真・恋姫†釣行

 

 

 

-骸骨-

 

「風はその竿を使うっす。」

「この小さな竿ですか?」

「あぁ。それにそのオキアミって小さなエビを付けて仕掛けを海に落としたら良いから、後は餌が食べられたら、竿を立てて、釣りあ

 げるだけで良いっすよ。」

「合点!承知の助だぜ!」

「これ宝慧、貴方は竿を持てないのですから、無責任な事を言っては風が困るのです。」

「まあまあ、風でも大丈夫なのを選んでるから安心するっす。」

「おぉ、それは助かるのです。さすがに、骸骨お兄さんが持っている竿は風には持てないのですよ。」

「そりゃそうっす。こんなんを風に持たせたら、大きな魚が食いついたら、海に真っ逆さまっす。」

 

風が持っている竿は簡単な竹竿で先に道糸が結んであり、一般的な仕掛けが施されていた。

ウキがあり、オモリがあり、釣り針がある。針は少し小さめだ。

こんな仕掛けで風が釣ろうとしているのは防波堤の壁際の表層に居る小さな小魚だ。

主に釣れる魚はサビキ釣りとそう対して変わらない物達ばかりだが、釣り針が少しばかり小さいため、熱帯魚として扱われるような色鮮やかな小魚や、カワハギ、イワシやハリセンボン等も釣れる。

 

「それで、お兄さんは何を釣るのですか?」

「俺か?マグロっす。」

「おぉ、こんな所でも釣れるのですか?」

「まあ、と言っても、イソマグロっていう一般的に言われているマグロとは違う奴っす。」

 

そう、骸骨が狙う魚はイソマグロだ。マグロとは族名からして違い、別種である。

一般的なクロマグロなどはマグロ族なのだが、このイソマグロはハガツオ族に分類される。

イソマグロは一般的なマグロに比べて体型が前後に細長い。

他にも違う点はある。下あごが厚くがっしりとしており、顎には鋭い歯が並んでいる。

また、側線は体の後半部で波打つ。体色は背側がくすんだ藍色、腹側が銀白色をしている。

近縁のハガツオとは背中に縦線模様がない点で区別できる。

味は一般的なマグロより脂の乗りが悪い為、良くないとされている。

イソマグロという名前通り外洋に面した沿岸部や島嶼の周辺に多い。

スキューバダイビングの観察対象となることもある。

 

「骸骨お兄さんもウキ釣りですか。」

「あぁ、風とお揃いの方が良いと思って、黒山羊に頼んだっす。………もしかして、嫌っすか?」

「風としては嬉しい限りなのです//////」

「知ってる//////。」

 

骸骨も一般的な仕掛けを用意していた。

風の仕掛けと種類的に違うのは、リールの有無と、頑丈か否かぐらいだろう。

 

「で、これが餌っす。」

 

そう言って、骸骨は防波堤に用意されていた魚籠を持ち上げる。

中には25cm前後のトビウオが入っていた。

骸骨はその魚籠の中のトビウオを1匹取り出し、鼻の中間に針を上向きに通した。

骸骨は風の針にもオキアミを付ける。これで、餌の準備は完了だ。

二人は同時に海に仕掛けを降ろす。

 

「おぉ、さっそく来たのですよ。」

 

そう、風のやっている釣りは目に見えるので、とても面白い釣りだろう。

餌を落とした瞬間、魚が群がって来て、一生懸命に餌を突く様は、初心者にはうってつけだ。

しかも寄ってくる魚が色鮮やかな魚ばかりで、お年頃の風にはウケが良かった。

風の嬉しそうな顔を見て、骸骨も思わず、顔がほころぶ。

 

「おにいさん、その偽体、随分代えていませんね。」

「え?」

「笑った瞬間、頬の皮にヒビ入りましたよ。」

「マジッすか!」

「嘘です。」

「なんだ。嘘っすか。吃驚したっす。」

「フフフフ、お前を手玉に取るなんて朝飯前だぜ。」

「これ、宝慧。せめて、昼飯前ぐらいにしておかないと、骸骨お兄さんが可哀想なのです。」

「いや、昼飯前でも、結構グッサリ来るっす。」

「普段から風の心を手玉に取っている骸骨お兄さんへの仕返しなのです。」

「それなら、仕方ないっすね。って、風、ウキ沈んでるっすよ。」

「おぉ、うっかりしてました。」

 

風は竿を立てる。釣りあげた魚はルリスズメダイだった。

全長約6cmで瑠璃色が特徴的な魚だ。浅いサンゴ礁や岩礁、タイドプール等に居る。

最近は地球温暖化が進んでいる所為か、本州でも見かけるようになった海水熱帯魚だ。

海水の熱帯魚を飼っている人はこの魚を知っている人も多いだろう。

食べられないので、風はすぐにリリースする。

 

「っと、こっちも来た!イソマグr……って明らか違うな。もっと、引きが強いって聞いてたんだけど、これ何っすかね?」

 

骸骨がリールを巻くと、上がってきたのは細長い魚だった。ダツだ。

ダツとはサヨリやサンマのように前後にとても細長い体になっており、両顎が前方に長くとがっている。

そのため、英語ではNeedlefish(針の魚)と呼ばれている。

昼間は問題無いのだが、この魚、夜になると滅茶苦茶凶暴になる。

餌となる魚を捕食するとき、その小魚のうろこで反射した光に向かって突進するからだ。

もし、懐中電灯の光をこれと勘違いしたなら、どうなるのか。

懐中電灯を持っている人がダツの的になってしまう。

当る程度で済めば良いのだが、この尖っている顎が凶悪で、船に刺さることだってある。

船より柔らかい人体に刺さらないはずがない。しかもダツは群生だ。群れで突進されたら、針山ならぬ、ダツ山が出来てしまう。しかも刺さってから、回転するので、傷が広がる。

実際にも死亡事故があり、目に刺さったり、全身ダツまみれのダツ山で死んだ人がいる。

沖縄の漁師には『鮫より怖い魚』と恐れられている。

万が一、ダツが体に刺さったら、抜かずに、病院に行ってもらいたい。下手に抜けば、失血死してしまう。

とまあ、こんな恐ろしい魚ではあるが、美味いと言う人もいる。作者もその内の一人で、刺し身は絶品だと思っている。肉厚なサッパリとした秋刀魚と思ってくれて構わない。

 

「と、天の声が勝手に解説してくれたというわけなので、この魚を取っておくのです。」

「そうだな。結構な大きさだし、丈二さんに任せるか。」

 

そういって、骸骨は軍手をはめ、ダツから釣り針を外す。

釣り針に飛魚をつけて、釣りを開始し、二人は会話をしながら、アタリが来るのを待つ。

 

「おっと!アタリ来たっす!今度は重いっすね!」

 

今日の骸骨は絶好調だった。

朝のTVの星座占いで『今日の貴方は絶好調!本命の魚が絶対に釣り、可愛い彼女に恰好良いと言われるでしょう。』と凄くピンポイントな事を言われたのだ。どんな占いだ!というツッコミは受け付けていない。

 

そして、数十分の格闘の末、骸骨が釣りあげたのは目的のイソマグロだった。

釣りあげたイソマグロを骸骨は膝の上に乗せて、記念写真を取る。

 

「おぉ、大きいですね。」

「そうっすね。」

「恰好良いですね。」

「え?……何のことかな?風?」

「お兄さんか、魚かは、骸骨お兄さんの想像に任せるのですよ。」

 

骸骨はイソマグロを〆ると、一時釣りを中断する。

そして、鞄の中からパンを取りだす。龍々が黒山羊に『恋姫達が釣りに飽きてきた時の為に、何かあると嬉しい。』と提案し、海らしい暇つぶしで何か良いものに何かないかと色々悩んだ。

一応防波堤に建てられた建物の中にトランプなどの物は用意されていたが、普通の遊びは面白くない。

折角海に来ているのだから、これを利用しない手はない。

ダイビングやシーウォーカーも考えていたが、アレは資格がなければ、出来ない。

あんな道具をたくさん使う遊びだ。外史と言えども、知識があり、実技が出来なければ、遊べない。

一応黒山羊はダイビングの資格は持っているが、皆の都合に合わせては雛里が疎かになってしまう。

その為、誰でも出来る魚の餌用に食パンを用意していたのだ。

骸骨は風の手を引いて、防波堤の階段を下りて行った。

階段を下りると手の届く所に海面があった。

 

「風、これを千切って海に撒いてみてくださいっす。」

「ほれほれ。」

 

風が食パンを千切り、海に撒くと小さな魚が集まってきた。

全ての魚が鮮やかで、特徴的な体系をしていた。

 

「可愛いな。」

「え?」

「魚か風かは想像に任せますよ。」

「さっきの仕返しですか?」

「えぇ、俺だけ良い様にされるのは柄じゃないっすからね。」

「うぅーーー。」

「さて、風、さっきの恰好良いって言うのは俺に言ったのかな?それとも、魚に言ったのかな?どっちっすかね?ニヤニヤ」

「…………骸骨お兄さんです。」

「うん、知ってたニヤニヤ」

「それで、風とその……。」

「何っすか?ちゃんとハッキリ言って貰わないと、分からないっすニヤニヤ」

「うぅーーーーーー。もう、骸骨お兄さんなんて知りません。」

 

そう言うと、風は何処かに走って行ってしまった。

骸骨はその時初めて『やり過ぎてしまった』と後悔する。

 

謝らないとと思ったが、今すぐ謝りに行っても、反省が足りないと言われてしまいそうだ。

骸骨はトボトボと歩いて、自分の釣竿を置いた場所へと戻った。

後悔念で押しつぶされそうだった骸骨は気を紛らわすために、釣りを開始した。

だが、それでも心に重くのしかかって来るので、釣りに集中できず、何度か魚を逃がしてしまった。

 

「……はぁー。」

「反省しましたか?お兄さん?」

「風。ごめんな。ちょっと、風が可愛かったから、意地悪しちゃったんだ。」

「可愛いという言葉を出せばいいという物でも無いのですよ。」

「そうだな。それでも、俺の今の偽りない気持ちっすから。」

「偽体を脱いで、風と包み隠さず、向き合って下さい。」

「そうだな。」

 

骸骨は偽体を脱ぎ、風と向き合う。

そして、ただ一言、『ごめんなさい』と言うと、風は笑顔で骸骨を許した。

その後、ひたすら桃色空気を漂わせ、いちゃつきながら、釣りを続けた。

 

 

 

 

-ひっとー-

 

ひっとーの狙う魚はズバリ、カツオだ。

カツオの中でも、秋頃に三陸沖で獲れる戻りガツオと言われる物だ。

春頃に和歌山や四国沖で獲れる初ガツオとは同じカツオでも味が全く違う。

初ガツオは黒潮に乗り、南からやってくる。その時は脂の乗りがそこまで良くないことや、型がそろっていないため、安価であるが、昔はカツオの事を勝魚(カツオ)と書いたことから、縁起物として重宝されている。

江戸時代の江戸っ子たちはこの初ガツオを誰よりも速く食べることに憧れだった。

当然人気が高かった為、初ガツオの価格はとても高く、下級武士の年収にも匹敵したとさえ言われている。

『女房を質に入れても』という言葉は江戸っ子がどれだけ初ガツオを食べたかったかを表した言葉だ。

だが、今は洋食化が進み、脂の乗った大きな戻りガツオが評価されるようになった。

戻りガツオで有名な宮城は国内第3位のカツオの産地である。

その為、地震による鰹業界への影響はとてもつもなく大きい。

味は個人の好みだ。作者的にはどちらも捨てがたいと思っている。

 

「よし、今回はこの仕掛けで戻りガツオを釣ろうぞ!桃香!」

「はい!」

「1本釣りだ!!」

「おぉ!!」

 

ひっとーと桃香のテンションは非常に高い。

カツオの1本釣りとは至ってシンプルかつ豪快な釣りだ。

強靭なノベ竿から太ハリスが垂れて、先に針、針にイワシを付けて、着水。

カツオがイワシを食ったら、力任せに引き抜く。

餌であるイワシがオモリ代わりになってくれるので、オモリさえもいらないのだ。

漁師が船のデッキに並び、カツオをポンポン釣って行く映像で見たことがある人もいるだろう。

まさに『漁』の領域に達する釣りだ。

 

「本当は船に乗って沖合でするんだけどな。」

「どうして、船に乗ってしないんですか?」

「黒山羊の持っていた船の一つがちょっと前に沈められたからだ。」

「えぇ!どうして!?」

「阿呆の動物愛護団体の船が調査捕鯨船に体当たり攻撃しようとして、黒山羊の船が阻止しようとしたら、捕鯨船の身がわりになっ

 て、沈んだらしい。ハリウッド映画も吃驚の爆発だったらしい。」

「黒山羊さん、そんなことまでしているの!?よく無事だったね。」

「一緒に捕鯨の現場を見学しに行った丈二さんに助けられたらしいよ。まあ、あの人がいなくても、『雛里の為に死ねぬ!!』って叫

 びながら、深海の底から帰ってきそうだけどね。」

「確かに、あの人、『雛里ちゃん』という単語が絡んでいたら、不死身だよね。」

「あぁ、普段は指一本で倒せるぐらい弱いのにな。」

「ってことは、船1艘はあるんだよね?だったら、狼さん達と一緒に乗れば、沖に釣りに行ったら良かったんじゃないのかな?」

「いやぁ、あの人達が狙っているのは南方の温かい海域に住む魚故、俺達が狙っている魚とは真反対でな。」

「へぇーー、なるほど。だったら、カツオ釣れないのかな?」

「『御都合主義』という北からの海流が丁度俺達の目の前に来ている故、安心めされよ。」

「やったぁ!凄いね!御都合主義!」

「うむ。あっぱれじゃ!」

「あははははは!」

「ハッハッハッハッハッハッハッハ!」

 

もはやカオスな防波堤だ。

釣りマニアが見たら、何だこれは!とブチ切れるか、何じゃこの魚天国はと喜ぶかのどちらかだろう。

 

こうして、ひっとーと桃香のカツオの1本釣りが始まった。

イワシにカツオが食いつき、ひっとーは竿をあげて、カツオを海面から引き抜き、針を外す。

ナイフで首の骨と尾びれの付け根の骨を切り、懐から細い針金を取りだし、針金を尾びれ付近の切断面から、脊髄に挿入し、擦る。血抜きと神経抜きだ。

神経抜き後は後ろに用意されていた氷水が入った150L級のエアレーション付きクーラーボックスに入れる。

血抜きと神経抜きをし、エアレーションがされている氷水の中で保管することによって、鮮度を保持できる。

そして、ひっとーはまた釣りに戻る。

これを何度も繰り返す物だから、ひっとーにとってこの釣りが流れ作業化してしまっている。

そんな、ひっとーの横で桃香はカツオとかれこれ20分も格闘している。

長時間カツオが戦えるのは、赤色筋というミオグロビンを多く含んだ筋肉が多いからだ。

赤色筋は長時間の運動に適した筋肉だ。その為、未だに桃香はカツオを釣りあげることが出来ないのだ。

 

「ふーーーん!!」

「どうした?桃香ちゃん?」

「笑っていないで助けてよ!ひっとーさん!」

「いやいや、魚を陸に揚げるまでが釣り人の役割だからな。桃香が頑張ってカツオを上げて貰わねば、俺が手助けできぬ。それに後少

 しではないか。桃香ちゃんが頑張って竿を立てたら良いだけの話よ。」

「私、愛紗ちゃんみたいに力無いの知ってて、面白がっているでしょ!酷いよ!」

「愛紗が聞いたら、へこむから本人の前で言うなよ。」

「お願いね。助けて。」

「う、分かった。分かったから。」

 

桃香は頬を膨らませ、地団太を踏みながら、涙目でひっとーに非難する。

地団太を踏むたびに桃香の胸がタユンタユンと上下左右に揺れる。ひっとーは思わず、鼻を押さえる。

流石に可哀想に思えてきたひっとーは首を勢いよく、横に振り煩悩を退散させる。

桃香の後ろに回り、抱きつくような体勢で一緒に竿を持つ。

 

「行くぞ。桃香?」

「うん。」

「「せーの!」」

 

二人は息を揃えて力を入れ、カツオを釣りあげる。

釣りあげたのは良かったのだが、その釣り上がったカツオが桃香の顔に直撃した。

桃香の顔に直撃したカツオは衝撃でショック死したようだ。

だが、被害がこの程度で済んでいれば、助かったのだが、最悪な事が起こってしまった。

 

そう、桃香の『理性』という名の髪飾りが全て外れてしまった。

ひっとーは素早く髪飾りをキャッチし、桃香の頭に着けようとした。

これがない桃香は暴走状態になり、笑顔と恐怖を振りまく黒桃香様へと変わってしまう。

それを恐れたひっとーの動きはチーターをも超える物だった。

4つの髪飾り全てを拾い、俊足で桃香に向かおうとする。

たが、桃香の纏う空気の冷たさに、ひっとーはビビってしまい、思わず桃香の前で、立ち止まってしまった。

被害を最小限にしたいのであれば、此処は無理をしてでも動くべきだったのだが、やはり、ひっとーは純粋な日本人思考の持ち主で、今ある問題を先送りにするという日本人ならではの思考に至ってしまった。

たとえ、被害が拡大することを分かっていてもだ。哀れ日本人。

そんな気を放つ桃香は無言でひっとーを見て、近寄ってくる。

 

「………。」

「事故だよな?おう、事故しかありえぬ!」

「………。」

「事故でも痛いよな?悪かったな、だから、許してくれぬか?桃香ちゃん。」

「………。」

「あの、黒桃香ちゃんにならないでくれませぬか?桃香様?」

「………。」

「え?何処に俺は連れて行かれるんでしょうか?桃香様?」

 

桃香……黒桃香様は笑顔でひっとーを睨んでいる。

桃香はひっとーの着物の袖を引っ張り、何処かへ連れて行こうとする。

蛇に睨まれた蛙の状態のひっとーは黒桃香様に従う他無かった。

連れて行かれた所には璃々と風が居た。何やら防波堤の階段を下りて、二人は海を覗き込んでいる。

 

「璃々ちゃん、風ちゃん、何してるの?」

「桃香様!あのね!璃々達、お魚にご飯上げてるの!」

「璃々ちゃん、私もやって良いかな?」

「良いよ!ハイ!」

「あれ?璃々ちゃん?璃々ちゃんの分は?」

「璃々、さっきまで、たくさん上げたから、桃香様に譲る。」

「そう?でも、私、お魚の餌になりそうなのあるから、大丈夫だよ。」

「そうなの?」

「ほらっ。」

 

そう言って、黒桃香様はひっとーを後ろ向きに跪かせる。

無言の笑顔プレッシャーでひっとーに『静かにしていて下さいね。』と命令する。

そして、黒桃香様はひっとーの頭であるおにぎりを鷲掴みし、引きちぎった。

頭を引きちぎられたひっとーは声にならない断末魔を上げる。

声を上げていたとしたら、『ひぎゃああああああ』だろう。

そして、引きちぎられたおにぎり(元・ひっとーの頭)を黒桃香様は海に撒く。

 

「ひっとーお兄ちゃん痛くないの?」

「大丈夫だよ。ねえ、ひっとーさん」

「はい!全くを痛くないに候!」

 

ひっとーは手を上げて元気よく返事をするが、その返事も日本語が崩壊し、涙声である。

素直な璃々ちゃんは、緊急信号が添付されたひっとーの返事を言葉通り?受け止めた。

『どうせ、何か悪いことしたんだろう?』と思った風はこの後の展開が楽しみなのか、不敵に笑っている。

 

「あれ?お魚さん、ご飯食べないね?桃香様?」

「そうだね。」

「ご飯が駄目なら、具が良いと風は思うのですよ。」

「あ!そうだね!風ちゃん。」

 

風の悪乗りに、ひっとーは血の気を引いた。

そして、桃香はひっとーに近づくと、笑顔でひっとーの頭に手を突っ込み、掻きまわす。

黒桃香様によって掻きまわされたひっとーの頭から、ご飯が飛び散る。

ひっとーは桃香に『ぎにょええええええ!黒桃香様!具だけは御容赦を!それがなければ、生きていけませぬ!!師父お助けをおおおおおおおおおお』というサインを送るが、華麗に無視された。

ちなみに、丈二は素潜り中で電波が届かなかった。

そして、手探りでひっとーの頭の中の具を見つけた黒桃香様は満面の笑みで具を引き抜いた。

ひっとーの頭の中の具はシャケだった。

 

「やっと、取れた。ひっとーさん、頭のご飯固いですよ。」

「ゴメンナサイ。」

「ひっとーお兄ちゃん、さっきより頭凄いことになっているけど、大丈夫?」

「これぐらい大丈夫ですよね?ひっとーさん?」

「無問題アルヨ。」

 

ひっとーはガクガク痙攣を起こしながら、泡を吹き、白目をむいている。

こんな様子の人を見たら、殆どの人は間違いなく、すぐに救急車を呼ぶだろう。

璃々達の居ない方向を向いている為、そんなひっとーの表情を璃々達は知らない。

口調も普段の古風な口調ではなく、来日したての中国人が使う日本語になっていた。

もはや風前の灯だ。……あれ?丁度、ひっとーの目の前に風がいるし、俺、上手い事言った?

 

桃香はひっとーの頭の中にあったシャケを海に撒く。

シャケに寄って来た小さな魚を見た桃香と璃々は大はしゃぎする。

風は死にかけのひっとーに近づくと、先ほどまで使っていた竿の先でひっとーの頭をつつく。

竿先で風がつつくと、ひっとーの頭はボロボロと崩れ、防波堤に落ちる。

そして、落ちたご飯にフナムシが集まってきた。

 

「桃香様、餌なくなっちゃったね。」

「そうだね。ひっとーさん、何か無い?」

「ひっとーお兄さんなら、気を失っているのですよ。」

「きっと、具が無いからだぜ。」

「じゃあ、berufegoalさんのソウダガツオで大丈夫だよね。えい。」

 

桃香はberufegoalのクーラーボックスに入っていたソウダガツオをひっとーの頭に刺す。

すると、ひっとーはプルプル震えながら、立ち上がったが、何故か、背中が曲がっている。

それに、顔の御飯も若干、干からびているように見える。

 

「ひっとーさん?」

「何かのう?桃香ちゃんや?飴ちゃん食べるかい?」

 

ひっとーは明らか老化していた。完全なおじいちゃんだ。

20前後だったはずの肉体は介護師が居なければまともに歩けないぐらいの90代の肉体へと変化したのだ。

予想外の出来事に桃香達は唖然とする。

 

「それとも、ゲームポケコンが良いのかのう?それとも、最近流行りのポケモン赤が欲しいのかのう?緑がほしいのかのう?青は今わ

 しがやっておるから、また今度にしておくれ。」

 

そう言って、ひっとーは何故か懐から、ゲームポケコンと白黒のゲームボーイを出してきた。

具が変わった事で、ひっとーは急激に老化してしまい、持ち物まで古いものになってしまったようだ。

昭和生まれの作者としてはあの大きなゲームボーイはとても懐かしい。

だが、逆に璃々にとってはそれがとても新鮮に感じたのか、璃々はポケコンを喜んで、受け取った。

面白いと思った桃香はソウダガツオを引き抜き、代わりになるような物を探し、色々と突っ込んでみた。

ナマコを入れるとオカマになり、カワハギを入れるとショタになった。

最終的には流琉の釣ったクサフグでひっとーは元に戻ったが、相変わらず、ご飯の部分はボロボロだ。

 

そうこうしていると、目当ての魚を釣って機嫌の良いうたまるが来て、ひっとーの頭の御飯が崩れているのを指摘しそうになったが、それを桃香は無言のプレッシャーで妨害した。うたまるは若干顔が引きつる。

その後、5人で蟹籠を上げた。予想外の大量と綺麗な蟹を見た璃々は大喜び。

璃々はその蟹をバケツに入れて、うたまると何処かに行った。蟹籠にはアナゴも入っていたが、何故か怒っていた凪が引き取って行った。風も骸骨の所に戻る。

 

その後、クサフグによって人格が元通りになったひっとーは黒桃香様の隙を見て髪飾りを着け。

黒桃香様は桃香ちゃんへと元に戻った。

 

 

 

 

-龍々-

 

「ん。」

「はい。」

 

………龍々と凪との会話である。

何を言っているのか傍から見れば全く分からないが、彼らの間では物凄い会話がされている。

一般人向けに日本語訳するとこんな感じになる。

『凪、船に乗り慣れていないと聞いていたけど、船酔いはしなかったか?』

『はい。大丈夫です。心遣いありがとうございます。龍々さん。』

以心伝心とはこのことだろう。さすがだ。

 

「なあ、沙和、ウチにはあの二人が何しゃべってるんか、まったく分からへんねんけど、沙和分かる?」

「沙和も分からないの。」

 

そのせいで真桜と沙和は全く会話について来れていない。

仕方がないので、真桜と沙和は自分達の釣りを自分達のペースでやっている。

 

龍々と凪がやっている釣りはチョイ投げだ。

一方真桜がやっているのは、蛸釣りで、沙和がやっているのはエギングである。

チョイ投げという釣りは本格的な投げ釣りのように遠くまで仕掛けを飛ばしてする釣りでは無い。

ジェット天秤と言う仕掛けを使う。簡単な投げ釣りで、サビキ釣りをするような比較的安価な竿で飛ばす。

キスやハゼを狙った釣りだ。

釣り道具屋さんでも仕掛けがセットで売っている為、初心者でも簡単にできる釣りだが、餌のアオイソメがちょっとばかしグロテスクなので、ミミズの様な生き物を触れない人にはオススメしない。

真桜がやっている蛸釣りは特徴的だ。糸の先に板があり、その板には2本の鉤針がある。

そして、その板に餌の蟹を針金で縛りつける。

蛸は餌の蟹を食べようとして板に張り付き、釣り人はそれを釣りあげるという方法だ。

エギングという釣りはエギというエビや小魚に似せた疑似餌があり、先には16方向に釣り針が二段ある疑似餌というものを使う。イカはエギに食いつくが針が引っ掛かり、釣り人はそれを釣りあげると言う寸法だ。

龍々と凪は天ぷら用のハゼを釣ろうとしており、真桜はタコ焼き用の蛸を釣ろうとし、沙和はイカ焼き用のイカを釣ろうとしている。

 

「沙和ぁぁぁ、蛸やでぇぇぇぇ。」

「きゃあああ、真桜ちゃん、止めてなのぉぉぉぉ。」

 

真桜は釣れた蛸を仕掛けにぶら下げたまま、沙和を追いかける。

追いかけている真桜も追いかけられている沙和も笑顔で、なんとも微笑ましい光景だ。

 

蛸は見ての通り軟体動物で、目玉が通れる大きさがあれば、どんな隙間でも通過できるほど柔らかい。

また、頭もよく、色を見分け、形を認識することや、問題を学習し解決することができる。

例として、密閉された捻蓋式のガラス瓶に入った餌を視覚のみで認識し、ビンの蓋を捻って餌を取ることができる。また白い物体に強い興味を示す。

身を守るためには、保護色に変色し、地形に合わせて体形を変える、その色や形を2年ほど記憶できることが知られている。また、1998年には、インドネシア近海に棲息するメジロダコが、人間が割って捨てたココナッツの殻を組み合わせて防御に使っていることが確認され、2009年12月、「無脊椎動物の中で道具を使っていることが判明した初めての例」として、イギリスの科学雑誌『カレント・バイオロジー (Current Biology) 』に掲載された。

さらに、蛸は血中にヘモシアニンという緑色の色素が含まれている為、血液が青く見える。

 

一方の龍々と凪は黙々と魚を釣り続けている。作者としては、もっと何かしらのアクションがなければ、書くことが無くなってしまうので、困ってしまう。何か起こらないだろうか?と作者は期待していた。

そして、そんな作者の願いが通じたのか、平穏な釣りが阿鼻叫喚の地獄へと変わってしまう。

 

「「あっ。」」

 

追いかけっこをしていた真桜と沙和は何故か防波堤の上に落ちていたバナナを踏んでしまい、バランスを崩した。武人である彼女たちならこの程度、問題無いのだが、この落ちていたバナナの滑り具合は異常だった。

まるで、ワックスがけされているようだった。

そして、滑った真桜は龍々の、沙和は凪の釣ったハゼを入れていたバケツを蹴ってしまった。

当然、バケツは防波堤の淵に置かれていて、蹴飛ばされたなら、海へ真っ逆さまだ。

結果、バケツに入っていた魚は全てリリースされ、釣果はリセットされてしまった。

作者的には書く描写が増えて嬉しい限りなのだが、数時間の釣りの結果を無に帰された龍々と凪は内心穏やかではない。二人はアイコンタクトをしながら、リールを巻き、仕掛けを海から回収する。

真桜と沙和は必死に逃げる方法を考えるが、此処は沖の防波堤の上、逃げる場所など無い。

それでも、二人は龍々と凪から出来るだけ離れようと全力で走る。

だが、修羅化した凪に一瞬で目の前に立ちふさがれる。

咄嗟に真桜と沙和は方向転換し、逃げ出そうとするが、そこには龍々が立っていた。

修羅化した龍々と凪による挟み撃ちによって、真桜と沙和は詰んだ。

 

「「……。」」

「あの、凪ちゃん、……落ち着くの。」

「せやで、龍々はんも落ち着いてなぁ。怒るのは体に悪いで。」

「「……………。」」

「何も言わないってことは沙和達のこと許してくれるの。さすが。凪ちゃん、大海のように澄み切った広い心を持っているの。」

「ホンマやホンマや。龍々はんもええ人やわ。よ!大統領!」

「「……………………………。」」

「あの、凪ちゃん、どうして、縄なんか持っているの?」

「ちょい、龍々はんも待ってぇな。手をワキワキしながらこっちに来んと、凪を止めてぇな。」

「「問答無用。」」

「「いやああああああああああ!」」

 

縄で縛られて身動きが取れなくなった真桜と沙和の前に水槽が運ばれてきた。風呂桶ほどの大きさの水槽だ。

そこにはバラエティー番組でよくある熱湯風呂の準備が……されていなかった。

代わりに水槽の中に入っていたのはバケツで組み上げられた海水だった。

そして、凪によって、二人はそんな水槽の中に座らされた。

思った以上に酷い罰じゃなくて助かったと真桜と沙和は思ったが、次の瞬間、顔が絶望色に染まった。

 

「なあ?凪?何でウチの釣った蛸の入ったバケツ持ってるん?」

「………。」

「ちょっと、凪ちゃん!説明してほしいの。」

「………。」

「龍々はんも黙ってみんと、何か言ってぇな!」

「「………。」」

「「Δ×ΛΨθЫ!」」

 

龍々と凪の沈黙が二人を不安にさせる。

そして、無情にも真桜と沙和の入った水槽の中に蛸が入れられた。

蛸は水槽の中で狭くて、外敵に襲われなさそうな安息の場所を探そうと動きまわる。

余談ではあるが、この蛸の性質を利用した漁業が蛸壺漁である。

そして、蛸は安息の場所を見つけた。服の中だった。

この先詳しく描写すると、連載が禁止されてしまうので、此処で止めておく。

どんなことが起きたのかは読者の皆さんにお任せすることにしよう。

 

二人がそんな地獄を味わっている間、凪はうたまるが仕掛けた蟹籠に向かい、ある魚を貰った。

 

「ちょっと、凪。それって何なん?」

「………。」

「そのウネウネした魚は待ってほしいの!」

「………。」

「凪、ごめんって、謝ってるから、許してぇな。」

「凪ちゃん、ごめんなさいなの。」

「「………。」」

「「Φ〒★⊆☆±!」」

 

そして、アナゴが投下された。

アナゴは隙間に入るという性質がある為、蛸と同じように、服の中に入って来る。

くどいようだが、この先詳しく描写すると、連載が禁止されてしまうので、此処で止めておく。

どんなことが起きたのかは読者の皆さんにお任せすることにしよう。

 

二人がそんな地獄を味わっている間、凪は丈二の嫁である華陽からナマコを貰って来た。

 

「凪、………もう、……………堪忍や。」

「………。」

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

「「………。」」

 

そして、二人の謝罪は龍々と凪に届かなかった。龍々と凪は二人の真上でナマコを雑巾絞りする。

ナマコは危険にさらされると体から腸を出すという性質を持っている。

とても粘着性があり、付着すると中々取れない。これでナマコを襲った敵を混乱させるのだろう。

しかもネバネバするだけでなく、チクチクしてくる。とても気持ちが悪い。

 

ナマコの腸は塩漬けにすると、日本三大珍味の一つの『このわた』へとなる。

非常に美味で作者も酒のつまみとして好んで食べたいのだが、奈何せん高価だ。

200ml程度の小さな一瓶で3000円もするのだから、なかなか買えない。

うむ、もうちょっと安くならないだろうか。

だが、他にも様々な珍味があるので、色々試してみることをオススメする。

作者的にはカツオの酒盗や、カツオやマグロの塩辛なんてのもオススメだ。

あれはご飯が止まらなくなってしまう。……おっと、少しばかり話が逸れてしまったな。

 

服の中に入ってきた蛸とアナゴで凹凸があり、ナマコの腸で真桜と沙和は全身白くなっている。

これ以上、詳しく描写すると、削除されかねないので、勘弁して貰いたい。

 

「ん。」

「どちらですか?」

「アクエリ。」

「どうぞ。」

「ありがとう。」

 

やはり、熟年夫婦の様な会話だ。

ちなみに、今の会話だが、

『すまん、凪。そっちのクーラーボックスにあるスポーツドリンク取ってくれないか?』

『アクエリアスとポカリスエットがありますが、どちらにしますか?』

『じゃあ、それだったら、アクエリアスで頼む。俺はそっちの方が好みだ。』

『じゃあ、投げますね。どうぞ。』

『さすが凪。投げるのも上手いな。ありがとう。』

となっている。

 

真桜と沙和が数時間地獄を味わい、断末魔をあげ続けた。

そんな断末魔をBGMにして、龍々と凪は延々投げ釣りをしていた。

 

 

 

 

-黒山羊-

 

「よし、最初は此処にしようか。」

 

そう言うと、黒山羊は来ていたコートを地面に広げ、自分は直接コンクリートの上に胡坐をかく。

どうやら、雛里が座った時に服が汚れないようにとの配慮らしい。

いつも着ているコートなので、大事なモノだと思い、雛里は気が退けたが、黒山羊の心遣いを無下にするのも、黒山羊に悪い気がしたので、黒山羊の引いたコートの上に座る。

一方の黒山羊は仕掛けを用意していく。やはり経験者ということもあって、手の動きが素早い。

仕掛けは落とし込み、うたまるや翠のものと同じ仕掛けであるが、瀬ズレワイヤーを使っていないし、捨て糸も使っていない為、オモリが無駄になることは無い。他にも竿はとても細く、短いという違いもある。

道糸にオモリを付け、サルカンを付け、ハリスを付ける。餌はシラサエビで、狙う魚は根魚だ。

仕掛けの構造が同じなのだが、若干釣り方が違う。

先ほどのうたまるたちは底に着けて放置だったが、今回は若干上下に竿を動かす必要がある。

餌のシラサエビの活きが良いように、魚に見せる為だ。

最初と言ったのは、根魚はその場所を釣りつくしてしまうと、場所移動しなければ、ならないからだ。

 

根魚とは知っている人も多いだろうが、一応解説しておこう。

ガシラやクエ、キジハタ、白蓮の釣ったウツボもそうだ。底に居る魚の総称をいう。

サビキ同様、何が釣れるかはお楽しみだ。

 

「黒山羊さん。」

「雛里、どうしましたか?」

「お酒、飲まないんですか?」

「えぇ、四六時中私が飲んでいるような印象を受けておられるかもしれませんが、釣りは別です。酔っていてはこの竿の感触分かりま

 せんし、なにより、奥義が使えません。」

「あわわ!釣りに奥義があるんですか?」

「はい。柳の合わせと言います。」

「『柳の合わせ』ですか?」

「はい。魚が餌に食いついた時に釣り人は合わせようと、力み竿を立てますが、体が硬直してしまうが故に、釣り人は竿の力を活かし

 きれないし、活かすことが出来たとしてもハリスが切れてしまったりしてしまいます。そこで、脱力し、体を柔らかくし、体を竿に

 同化させ、一気に合わせます。そうすることで、竿の力を引き出し、なお且つハリスが切れません。」

「柳のように柔らかい体で合わせるから、柳の合わせですか?」

「流石は、私の敬愛する雛里だ。」

 

最近の釣道具は質が良いから、そんな厨二病乙って感じの技なんか使わなくても、大丈夫だと言う釣り人が居るかもしれないが、私としてはそんな輩の言葉など耳に入らぬ。釣り人として己を高めることを止め、道具に頼るだけの釣り人は釣り人と名乗る資格などないと言わせてもらう。

っと、黒山羊はほざいているが、黒山羊という男は基本縛りプレイが好きな、ひねくれた変人だからである。

縛りプレイと言っても決して、SMでは無い。勘違いしないで頂きたい。

彼にとっての釣りにおける縛りプレイとは、糸の太さやルアーの大きさ、使う道具等だ。

酷い時は釣り道具を持たずに釣り場に行き、落ちている物やポケットに入っていた物、たまたまその場に居合わせた友達の持っている物等で釣りをする。これを始めたのは、彼の友人がそんな釣りを始めたからだ。

その友人はホッチキスの針の形を変えて釣り針にし、セイタカアワダチソウの枯れた茎で竿を作り、現場に落ちていた釣り糸で糸を作り、石でオモリを作り、土のミミズを餌にして、ブルーギルを釣った猛者である。

それに見習い、黒山羊も釣り場に落ちていた糸とワームという疑似餌を使い、メバルを釣っている。

 

「前から思っていたのですが、どうして、私が貴方の君主なのですか?桃香様や華琳さん、蓮華さんの方が…。」

「いえ、私としては卿以外の君主はあり得ない。」

「でも、私、桃香様たちみたいに堂々としてないし、舌を噛むし、引っ込み思案だし…魅力的な人はたくさんいると思います。」

「私にとって卿以上の存在はあり得ない。だが、今、卿は己より魅力的な存在があると言われた。では、聞かせていただこう。

 貴方の考える魅力の尺度とはいかなるものか?」

「どういう意味ですか?」

「言葉通りそのままに。卿の言う魅力の尺度は所詮卿の中にあり、主観という物に染まった物だ。客観的な物で卿の言われる魅力的な存在とは何処にある

 物だ?私には見えない。見たことも無い。そろそろ、認めて頂きたい。」

「それでも……//////」

「ふむ、これでもか。ならば、最後にこれだけ。この世の黄金率の一形態に、ピラミッドという物がある。その頂点は誰も横に居らぬという。私のピラミ

 ッドの頂点は卿だ。卿は素晴らしいからだ。掛け値なしに素晴らしい。他の誰がどう言おうと私の中で卿を凌ぐ存在などありはしない。卿は私の中では

 そう言う君主だ。御自覚なさるが宜しいかと。」

「//////」

「私はそんな魅力的な卿に尽くしたい。それが私の渇望だ。私が卿に仕える理由はそれ一つでよい。」

「あわわ、求婚されているみたいです//////」

「ははは、これはこれは。」

「………求婚の方が私は//////」

「何を仰られたのかな?」

「あわわ、なんでもないでし!」

「盛大に舌を噛まれたが、大丈夫か?」

「らいろーふれしゅ//////」

 

しつこい様だが、基本この黒山羊という男はひねくれた阿呆である。

故、黒山羊は雛里に対して抱いている己の感情を忠義だと勘違いしている。

雛里自身は時々暴走する彼には困っているし、変わった人だとは思っている。

さらには、彼が管理する外史の中で雛里が剣で胸を貫かれるシーンがあり、普通なら、トラウマモノだが、『その後には必ずハッピーエンドが訪れる為、安心しろ』と黒山羊から言われたので、それを信じている。

何故、そんなことをされてなお、嫌いにならず、彼を信じているのか?

それは、彼の気持ちが熱意のこもった本物だという事を雛里は知っているのだ。

いきすぎた好意は嫌われてしまうものなのだが、彼が悪人ではない為嫌いに成れないのだ。

そのため、雛里は黒山羊の事を嫌いになるどころか、むしろ気になっていたと言っても良い。

だが、彼自身が忠義だと思っている為、デートの誘いの様なアプローチが無く、雛里はモヤモヤしている。

 

「黒山羊さん、竿がビクビクってなってます。」

「リールのハンドルを巻いて下さい。」

「あわわ!巻けないです!」

「慌てないで落ち着いて下さい。……はい。吸って、吸って、吐いて」

「ひっひっふー!って何をやらしぇるんでしゅか!」

「申し訳ない。だが、卿が愛らし過ぎるのもいい加減自覚して頂きたい。」

「………あわわ//////」

「落ち着きましたかな?ならば、リールを先ほどとは、逆に回して下さい。」

 

雛里がリールを巻くと魚が上がってきた。釣れた魚はアイナメだった。

身は脂肪が多い白身であり、そのことから「あぶらめ」とも呼ばれている。季節によっては寄生虫がいることがあるので刺し身などの生食には注意が必要である。

刺し身、煮付け、から揚げ、潮汁、焼き物、味噌汁、干物、みりん漬け、粕漬けなどで食べられている。

作者は赤だしに入れるがとても好きだ。美味で癖になってしまう。

普通に、店で食ったら、800円はする。

 

釣ったアイナメをすぐに〆る。やはり慣れているだけあって、他の者達より手際が良い。

そして、黒山羊が雛里の釣針に餌のエビを付け、釣りを開始する。

 

「フィーーッシュ!!」

「もう、これで36匹目ですか?」

「そうなのか?私は途中で数えるのを止めた故、正確な数字は分からぬよ。」

「私はまだ2匹です。」

「釣りとは狙う魚が釣れて初めて成否が決まると思っている。私はまだ目的の魚が釣れていない為、私の釣りはこのままでは坊主とさ

 ほど変わらんよ。」

「なにを釣りたいんですか?」

「それh・…・フィーーッシュ!!」

 

黒山羊はまた合わせをする。

リールを一気に巻き、魚を釣り上げる。

 

「っしゃぁー!」

「これが目的の魚ですか?」

「あぁ。」

「……綺麗。」

「危ない!」

 

魚を触ろうとした雛里の手を黒山羊は咄嗟に握り、引っ込める。

黒山羊の大声に吃驚してしまい、涙目になってしまう。黒山羊は焦り、必死に釣った魚の説明を始めた。

 

黒山羊が釣りあげた魚はミノカサゴだ。

煮付けなど食用として加熱する料理に使われることもあるが、作者は刺し身で食べるのが好きだ。

狙って釣れるような魚ではなく、数が揃いにくいため、市場には出回らない。

料理人でも知っている人は少なく、漁師が食べている。

背鰭を中心に毒を持つ。腹鰭の間にある剣にも気を付けたい。

夜行性で、昼間は珊瑚や岩場の影に潜んでいる為、昼間には釣りにくい魚だ。

とても鮮やかで、泳ぐさまは優雅であるが、とても攻撃的な魚である。

そのため、ダイビング時の水中撮影などでしつこく追い回すと激昂、人に向かってくることがあるので要注意。

刺された場合、激痛を伴って患部が腫脹、人によってはめまい・吐き気を起こすこともある。

ダイビングをしたり、釣りする時は気をつけたい。

 

「そうだったんですか、ごめんなさい。」

「気にしないで頂きたい。私の説明不足だった故、卿を驚かしてしまった。謝るのは私の方だ。」

「そんなことないでしゅ。私がよく知っても居ないのに、勝手な事をしてすみません。それと…、」

「それと?」

「私の代わりに黒山羊さんが刺されなくてよかった//////」

 

雛里は黒山羊の服の裾を掴み、涙目の上目使いで見る。

その愛らしい雛里の仕草は黒山羊の心にかつてないほどの衝撃を与えた。

この衝撃を物理的に換算すれば、世界中の恐竜が死滅したあの巨大隕石の衝撃にも匹敵するだろう。

そんな衝撃を受けた黒山羊が冷静で居られるはずがない。

 

「私は誰よりも卿に身も心も蝕まれ  卿に染まりし愚かな愚者

 永劫私は卿の為だけに尽くし  誰よりも卿の為に自らを捧げよう

 私は卿の愛らしさを知り  壊れてしまいそうだから

 ……故に、その小さな腕で抱きしめて欲しい  私の卿への忠義で自ら朽ち果ててしまう前に」

「黒山羊さん?」

 

黒山羊は血涙を流しながら、詩を読み始めた。

尋常ではない血涙の量に驚いた雛里は心配そうに呼びかけた。

 

Atziluth――(流出)

 

 Die HINARI Loyalität ist irrsinnig(狂気となりし卿への忠義)

 

「Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°」

「落ち着いて下さい。恥ずかしいです。」

「Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°Sieg Heil HINARIN( ゚∀゚)o彡°」

「おい!劉邦も落ち着け!」

「劉邦兄様、どうしたんですか!?」

「あわわ!あそこも阿鼻叫喚の大地獄です!」

 

遠くの方で、何かの叫び声が聞こえた雛里は声のする方を見た。

そこには、白蓮と流琉に心配されながら、空に向かって叫んでいる劉邦柾棟がいた。

あまり知られていないのだが、劉邦柾棟も聖槍雛里騎士団の所属である。

 

最終的に劉邦柾棟は鎮静剤を打たれて、何とか落ち着いた。

一方の黒山羊は叫び過ぎで呼吸困難になり、気を失った。

気を失いながらも叫んでいたら、今頃死んでいただろう。無理矢理、酒を飲ますと復活した。

 

 

 

 

-峠崎 丈二-

 

「っぷはぁ!!……華陽。これを頼む。」

「分かりましたわ。」

 

海面から顔を出した丈二が華陽に渡しのは膨らんだ麻袋だ。

中身は丈二が素潜りして海底から獲ってきたウニやカニ、エビ、ナマコ、アワビなどが入っている。

華陽は受け取った麻袋を紐に繋げて海に降ろし、保管しておく。

 

本来なら、密漁扱いされ、漁業調整規則違反で漁業者が通報し、密漁者がポリにしょっ引かれる。

最近はこれらの規制に関して厳しい措置が取られている為、注意して貰いたい。

というか、密漁しないことをオススメする。

昔、作者がとある海辺の居酒屋で飲んでいた時に、遠くの席で電話を耳に当てたおっさんが言った言葉を聞いてしまったことがある。

『あぁ、不審船?………見つけた奴はそのまま追尾。作戦会議するから組合員集めろ。』

あの時、作者はおっさんの声にマジビビってしまった。

その後、密漁者がどうなったかは知らないが、こういったことはよくあるらしい。

他にも、防波堤で伊勢海老を取っていた一般人がしょっ引かれてもいる。

漁業者は水産資源を保護することに必死だ。なんせ水産資源は直接彼らの所得に関わってくる。

アワビ等を獲るような人からすれば、山でカブトムシを取るような感覚かもしれないが、漁業者からすれば、店に強盗が入ってきたようなものだ。だから、面白半分で彼らの生活を脅かすような密漁は止めて欲しい。

だが、此処は外史である為問題無い。

 

「華陽、その綱とゴミ袋を取ってくれ。」

「これですか?」

 

華陽が丈二に渡しのは太さ3cmほどの縄で、先には小さい碇の様な釣り針が付いていた。

もう、一方のゴミ袋にはドリップしまぐりの大量の切り落とし肉と大きな鹿肉がに入っていた。

 

「それでどうするのですか?」

「あぁ、これを沖で穴をあけて撒き餌にして、鮫を寄せて、この釣り針をかけて、釣る。」

「あのberufegoalさんの鮫では駄目なのですか?」

「確かにアカシュモクザメはフカヒレの原料としてはそれなりだが、俺としては最高級のフカヒレの原料のイタチザメが良いな。」

 

イタチザメとは世界中に居る鮫で肉や鰭、肝油、皮、軟骨が主な利用部位である。肉質はあまり上等ではないが、生、冷凍、乾物、塩蔵、燻製などの形で消費される。一方、鰭、皮、肝油は上等とされ、高値で取引される。とくに鰭はフカヒレに加工され高額となるため、鰭を目的とした漁獲圧を高める原因になることもある。

商業目的の他、スポーツ・フィッシングの対象になる。国際ゲームフィッシュ協会(IGFA)の記録では2004年にオーストラリアで釣り上げられた810kgのイタチザメが最大である。

もちろん大物は船の上で釣られたモノで、普通は防波堤で釣るようなものではない。

そんな無謀な挑戦をしたいと言ったがために、丈二はこの外史の補正対象となっていない。

 

「じゃあ、ちょっくら、沖合でズワイとタラバを獲って来るついでに、仕掛けてくる。」

 

ズワイとタラバとはズワイガニとタラバガニのことである。

ズワイガニは一部では松葉ガニとも呼ばれているが、実は別種であることはあまり知られていない。

丈二は新しい麻袋を取り、潜水を始めた。

 

「行ってらっしゃい。」

 

華陽は手を振り、夫を送り出し、丈二はバタフライで沖合へと向かった。

一番体力を使うバタフライで遠泳とは恐れいる。

華陽はいつ丈二が帰ってきても良い様に、体を拭く為のタオルと体を温める為の温かい飲み物を用意する。

なんとも夫想いの良い嫁だ。

もし結婚したのならば、このような夫婦関係を築き上げたいと十人中十人は思うだろう。

 

「プハッ!」

「お帰りなさい。遅かったわね。」

「水深300mは問題無かったのだが、あの御都合主義海流には苦労した。黒山羊の野郎、もうちょっと手加減しろよ。」

「それは大量の水銀のオモリを着けた貴方が言うことではないと思いますわ。」

「だが、これぐらいしなければ、鍛錬にならないからな。」

 

華陽からタオルを受け取り、丈二は顔を拭く。

そして、体を拭き終わり、肩にタオルをかけると、華陽が用意してくれていた生姜湯を飲む。

寒いときじゃこれに限るな。と、休憩しようと思った瞬間だった。

 

「来た!」

 

防波堤の灯台に結んでいた釣り糸が張った。丈二は軍手をはめ、釣り糸を掴む。

普段から鍛えている為、この程度余裕なのだが、軍手をはめているの方が握りやすく、滑らない。

釣り糸を手繰り寄せて行こうとするが、魚の引きが強く、防波堤の上を滑ってしまう。

 

「ふん!」

 

丈二は四股を踏み、足を防波堤のコンクリートに刺し、海の中に引きずり込まれない様にする。

発想はとてもシンプルだが、相当な力がなければ、こんなことは出来ない。丈二故、出来る技だ。

コンクリートを砕くほどの四股を踏んだ所為で轟音が木霊し、他の外史管理者や恋姫達が集まってきた。

皆は何か手伝う事は無いかと聞いてくるが、丈二は相手との一騎打ちを楽しみたかった為、助力を拒んだ。

 

「そのかわり、ひっとー、銛を持ってきてくれ。」

「師父、この大きいので良いのですよね?」

「あぁ、そうだ。俺の真横においてくれ。」

 

ひっとーが持って来たのは碇の様に大きな銛だった。

その直後、魚の背びれが海面から出てきた。

大きさ、形、色からして鯨でも無ければ、シャチやイルカでもない。

だが、鮫にしては大き過ぎると外史管理者達は判断した。

では、あれは何だ?誰かがそう言った時だった。

 

「あぁ、ありゃぁ、たぶんムカシオオホホジロザメですね。」

「「「ムカシオオホホジロザメ?」」」

 

別名メガロドンとも呼ばれている。メガロドンは、約1,800万年前から約150万年前(新生代第三紀中新世半ばから鮮新世)にかけての、海が比較的暖かった時代に生息していたサメである。

当然、鮫は軟骨魚類である為、歯しか通常化石に残らない。このSSにおけるメガロドンはがホホジロザメ属ということを前提に、『X倍の歯を持つホホジロザメだから体のサイズもX倍』という前提に書いているということを了承して頂きたい。

そのような前提を基に、推測した結果、全長は13m。最大級の物で20m100tにも及んだと言われている。

通常のホホジロザメが5m弱と言われているので2倍以上……最悪4倍だ。

 

「「「って、なんで、そんな魚がいるんですか!?」」」

「んー、酔ってて、ついついな。ギャハ♡」

「ってか、今も酔っていますよね!?」

「てへ♡なら、分かるけど、ギャハに♡は合わないと思います。」

「それより、お前がてへ♡なんて言っても、キモいだけだ!」

「あわわ!」

「「「だから!お前が言っても全然可愛くないから!」」」

「雛里、みんなが私を虐めます。」

「………モゲロです。」

「…………。」

 

自業自得だった。愚か黒山羊。またスーパ●ドライを飲み始める。もはや悪循環だ。

だが、彼を止めようとすると厄介なので、皆は無視する。

 

丈二とメガロドンとの格闘が2時間にも及んだときだった、メガロドンがテイルウォークした。

丈二は釣り糸を引く腕に力を込め、一気に引くことによって、鮫は宙を飛び、引き寄せられた。

魚は翼を持っていない為、幾らもがいても、空中では身動きが取れない。

丈二はコンクリートに突っ込んだ脚を引き抜き、銛を持ち、大きく息を吸い、吐く。

そして、目を閉じ、精神を統一した。周りはその光景に固唾を飲んで見守る。

丈二はカッと目を開くと、宣言する。

 

「その心臓、貰い受ける!」

 

丈二は銛を槍のように持ち、下段の構えを取り、空中のメガロドンを見据える。

幾戦の中で得た経験から、この鮫の心臓が何処にあるのかを推測した。丈二は大きく振り被り、銛を投げた。

メガロドンが跳ねた所は遥か先で、此処からは点のようにしか見えない。

それに風も強く、普通の投擲では届くはずもないし、風で飛ばされてしまうはずだ。

だが、リミッターをかけられていない丈二にそんな常識は通用しない。

風に影響される?ならば、風の影響を受けないぐらい力を込めればいい。

届かない?ならば、届くように力を込めればいい。

当るはずがない?ならば、当るように力を込めればいい。

鮫の体は安定した推進力がり、力が強い?ならば、それ以上の力を込めればいい。

要するに、すべて力を込めて覆せればいい。こざかしい理屈や法則もそれを上回る力を出せばいい。

そんな赤子でも分かることを丈二は実行しただけだった。

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)

 

白銀の銛は、赤く染まっていた。

神速とも呼ばれる速さで投擲された銛はあまりの空気抵抗で熱を帯び、銛の熱が空気をも焼く。

まるでジェット機が飛んでいるような音が響き渡る。

銛は赤い奇跡を描きながら、メガロドンの胸に空洞を作り、メガロドンを貫いた銛は空の星となった。

一方の心臓を抉り焼かれたメガロドンは絶命し、海に落ちた。

メガロドンが海面に落ちたことによって、大きな水柱が出来る。

あまりにも大きかった為、海水が雨のように振って来る。

丈二は釣り糸を手繰り寄せ、メガロドンを引き上げる。

そして、100tの巨体を持ち上げ、丈二は高らかに宣言した。

 

「っしゃああああああああ!!敵将ぉぉぉぉぉぉ討ち取ったりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

「「「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

「「「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」

 

その場に居た人の歓声が防波堤を包み込む。

『よくやったな、コンチクショー!』等と言いながら、外史管理者はバシバシと叩く。

そんな友人たちから解放されると、今度は丈二の嫁である華陽は丈二を抱きしめ、頬にキスをする。

『ヒューヒュー』と周りの人が冷やかす。最高の釣りに

 

「ゲロゲロゲロ…ウプッ、持ち悪、うぅ、ヒックーー、雛里にモゲロって言われた。もう、死にたい。」

 

………ならなかった。

 

 

 

 

釣果(食べられる魚)

 

イワシ………………………7匹

カタクチイワシ…………20匹

アジ………………………15匹

ヒラメ………………………2匹

ヒラマサ……………………1匹

ウツボ………………………1匹

シイラ………………………3匹

ソウダガツオ………………4匹

アカシュモクザメ…………1匹

石鯛…………………………1匹

近鯛…………………………1匹

石垣鯛………………………1匹

ワタリガニ…………………5匹

アナゴ………………………5匹

メカジキ……………………1匹

バショウカジキ……………1匹

ハゼ類……………………21匹

蛸……………………………6匹

アオリイカ…………………3匹

イソマグロ…………………2匹

カツオ……………………10匹

根魚(複数種)…………50匹

ミノカサゴ…………………3匹

海栗・海老・蟹等…………大量

ムカシオオホホジロザメ…1匹

 

 

 

 

どうも、飲み過ぎで吐いてしまった黒山羊です。

先日尿検査で潜血が『+++』で引っ掛かりました。再検査だそうです。

 

釣り編後半、頑張って書きましたが、どうしても字数がそこまで増えませんでした。

期待していた人、すみません。

 

打ち上げ編を書こうと思ったのですが、他の人の所と被ってしまいそうなので、書いて欲しいという要望が多く、私がその気になれば、書くと言う方針を取らさせていただきます。

無責任ですみません。

 

この真・恋姫†釣行で魚のトリビア的な物を皆さんが得られたのなら、幸いです。

それでは、へぅ( ゚∀゚)o彡°

 

 


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