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真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第38話

葉月さん

第38話投稿です。
いや~。段々と花粉が増えてくる季節になりましたね。
みなさんは花粉症にはなっていませんか?
私は花粉症にはまだなっていないのですが、如何せんアレルギー性鼻炎症なので花粉症と同じくしゃみと鼻水がでます。
っと、自分の事はこれくらいにして前回のあらすじです!

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2012-03-18 17:02:36 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:7413   閲覧ユーザー数:5504

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第38話

 

 

 

 

【敗走する者同士】

 

 

 

《桃香視点》

 

「……」

 

まだ来ない……

 

後ろを振り返り私は落胆する。それを私は何度も繰り返している。

 

「……様、桃香様!」

 

「え?あ、うん。何かな愛紗ちゃん」

 

愛紗ちゃんに呼ばれて慌てて返事をする。

 

「まだ別れてからそれほど経っていませんよ」

 

愛紗ちゃんは少し呆れたような表情を浮かべて話しかけてきた。

 

「え……あ、あはは。そうだね」

 

「心配するお気持ちもわかりますが、まず我々が考えなければならないのは民たちの安全です。信じましょうご主人様を」

 

「……うん。そうだよね。約束したもんね。必ず戻ってきてくれるって」

 

「はい。ですから私たちはご主人様たちを出迎える為にもまずは諷陵を落とさなければ」

 

そうだ。ご主人様を笑顔で出迎えるためにもまずは諷陵に行かないと……

 

「朱里ちゃん。諷陵まではあとどれくらいなのかな」

 

私は気を取り直して朱里ちゃんにどれくらいで到着できるのかを聴いた。

 

「そうですね。あと二日も歩けば着くと思います」

 

「その間にご主人様が追い付く可能性は?」

 

でもやっぱりご主人様の事が気になり朱里ちゃんに聴いてしまった。

 

「残念ながら。おそらく諷陵を無事に手に入れた次の日以降かと」

 

「そっか……」

 

「で、ですがご主人様も急いで戻って来ようとすると思います」

 

おずおずと私を気遣って言ってくれる雛里ちゃん。

 

「ありがとう雛里ちゃん。それに朱里ちゃんも、気遣ってくれたんだよね。ごめんねこんな私で」

 

「いいえ。そんなことありません。私たちも自分に言い聞かせている部分がありますから」

 

「私もご主人様が居ないと不安で仕方がありませんから」

 

苦笑いを浮かべる二人。

 

「愛紗ちゃんも?」

 

「わ、私は不安になど思っていません。ご主人様はお強いですから」

 

澄ました顔で答える愛紗ちゃん。でも、私は愛紗ちゃんの癖を知ってるからそれが嘘だってことはすぐにわかった。

 

「そっか、そうだよね愛紗ちゃんも心配だよね」

 

「で、ですから私は!……もう知りません!」

 

頬を染めてそっぽを向かれちゃった。こういう時くらい素直になっても良いと思うのにね。

 

「愛紗は恥ずかしがり屋ですからな」

 

「なっ!星、お前がなんでここに居る!民の警護はどうした!」

 

「ちゃんとしているさ。無事に進んでいると報告をしに来たのだが?今までもしていたであろう」

 

「うぐっ!」

 

言葉を詰まらせる愛紗ちゃん。そんな愛紗ちゃんをニヤニヤと笑いながら見る星ちゃん。

 

「もう、だめだよ星ちゃん。愛紗ちゃんをからかっちゃ。これじゃ、もっと愛紗ちゃんが素直にならなくなっちゃうよ」

 

「と、桃香様!?」

 

「ふっ。そうですな。では、しばらくの間自嘲しましょうかな。主が無事に戻ってきてくれるまで」

 

「~~~~っ!報告は終わったのだろ!さっさと持ち場に戻れ!」

 

分が悪くなったと思ったのか愛紗ちゃんは顔を赤くして星ちゃんを自分の持ち場に戻らせようとしていた。

 

「まったく……もう少し可愛げのある反応をすれば主もお喜びになると思うのだがな。勿体無い限りだ」

 

「い、いいからさっさと戻れ!」

 

「はっはっはっ!愛紗が偃月刀を振り回す前に戻るとしましょうかな。では桃香様。また数刻ののち報告に参ります」

 

「うん。よろしくね」

 

「まったく星のやつめ……」

 

持ち場に戻っていく星ちゃんを恨みがましく愛紗ちゃんは睨んでいた。

 

「あれでも、気遣ってくれてるんだよ私たちの事。星ちゃんも不安に思ってるから」

 

「わかっています。あやつは素直ではありませんからな」

 

「愛紗ちゃんもね♪」

 

「んんっ!と、とにかく先を急ぎましょう」

 

咳払いをして早歩きになる愛紗ちゃん。

 

「ホント、愛紗ちゃんは素直じゃないよね」

 

私はそんな愛紗ちゃんの態度を見て微笑んでいた。

 

「何をしておいでなのですか!桃香様、朱里、雛里!行きますよ!」

 

「ああん!待ってよ愛紗ちゃん!朱里ちゃん、雛里ちゃんいこ♪」

 

「「はい!」」

 

元気良く、笑顔で答えてくれた朱里ちゃんと雛里ちゃん。

 

うん。大丈夫だよご主人様。私、絶対にご主人様が戻ってきてくれる場所を作って待ってるからね。だから約束を忘れないでくださいご主人様……

 

《愛紗視点》

 

ご主人様と別れ二日が経った。朱里の言った通り諷陵の城壁が見えてきた。

 

「それにしてもなんて太守だ。民たちを見捨てて逃げるなど、太守としてあるまじき行為だ」

 

先に斥候を放ち、町の様子や城内の様子を探らせていた。話によると既にここの太守は我らが向かっていると知るやいなや家財道具を纏めて逃げて行ったそうだ。

 

そして、町の様子だが、既に桃香様の政治を知っていたのか大歓迎といった様子だったらしい。

 

「愛紗よ。それは袁紹から逃げてきた我にも言えることなのだが?」

 

「ぐっ!それを言われると……」

 

星に突っ込まれてしまうとは……

 

確かに我らも袁紹に勝てぬと思いこうして逃げてきた。

 

「だ、だが。我らは再起を図る為にこうしてここまで来たのだ体制を整えた後、攻勢でるぞ」

 

「だが、袁紹の相手はあの曹操だ。既に袁紹は討ち取られて我らがいた土地は曹操のものになっている可能性も、いや河北全てが曹操のものになっている可能性もあるのだぞ」

 

もし、それが事実ならば。曹操は今や誰も手を付けられないほどの大国になっている。

 

それではいくら体制を整えようとも曹操には勝つのは難しいだろう。

 

「まあまあ、そう言う難しいことは後にして早く中に入ろうよ。それでご主人様たちを出迎える準備をしないと!」

 

意気揚々と話す桃香様。

 

「はぁ……桃香様」

 

「流石は桃香様。器が大きいですな」

 

「えへへ、そうかな?」

 

「朱里に雛里よ。あやつらを何とかしてくれ」

 

「あ、あはは……ま、まあ兵や民の皆さんも長旅で疲れていると思いますから」

 

「そうですね。それにお馬も結構疲れていると思いますし」

 

「それもそうだな……では、早速……」

 

「申し上げます!」

 

次の指示を出そうとした時だった。周りの様子を探っていた斥候が戻ってきた。

 

「どうした!」

 

「はっ。北方より砂塵を確認しました!。どうやらこちらへ向かってきているようです」

 

「北方?私たちが来た方って東方だよね」

 

「はい。なのでご主人様ではないと思います。……一体どこの部隊のものでしょう?」

 

桃香の疑問に困惑気味に答える雛里。確かに分からないがまず我々が行わなければならないのは民の安全だ。

 

「とにかく。まずは全軍警戒態勢だ!星もそれでよいな」

 

「ああ、異論はない。ただ、桃香様や民たちを目的地を目の前にして待機させておくには心苦しい。どうする」

 

確かに星の言うことももっともだな……目の前にして待機では不満がもれるかもしれん。

 

「そうだな……なら星。お前は先に入城して安全を確認してくれ。問題ないようなら桃香様たちを城内へ」

 

「わかった。お前はどうするのだ?」

 

「私は雛里と共に北方に軍を移動させて状況を確認する。雛里よ、同行してくれるか?」

 

「わかりました」

 

雛里に同意を求めると快く引き受けてくれた。

 

「では桃香様。申し訳ありませんがここで待機していてください。城の安全が確認され次第、星に城内の案内を」

 

「うん、分かった……気をつけてね、愛紗ちゃん。みんなで無事に会うためにも」

 

「はい……雛里行くぞ」

 

「はいっ!」

 

そして私は雛里と共に北方より進軍してくる部隊に接触することにした。

 

………………

 

…………

 

……

 

「雛里よ。万が一の事もある私から離れないようにしてくれ」

 

馬に跨り、私にしっかりとしがみ付いている雛里に話しかける。

 

「はい。それにしても一体誰の部隊なんでしょうか?」

 

「分からん。曹操の部隊でないことを祈るが……それでなくても、話の通じる相手だと良いのだがな」

 

いざとなればこの身を挺して雛里を守らねば、雛里は戦うすべを持ち合わせていないのだからな。

 

「雛里よ、斥候は放っているのか?」

 

「はい。部隊の移動と同時に放ちました。おっつけ情報が届くかと思います」

 

「そうか。なら我々はこのまま斥候が戻ってくるまで前進しよう」

 

しばらくすると、雛里が放っていた斥候が戻ってきた。

 

「関羽様、鳳統様!前方の部隊の旗標を確認してきました」

 

「ごくろう!それで旗標は」

 

「旗標は馬!」

 

「馬だと!?馬と言えは涼州の」

 

「はい。涼州を根拠地とする馬一族の可能性が高いです。そうなると最も有力なのは馬騰さん率いる部隊でしょう。でも、涼州はここからかなり距離があるはずです。なぜいるのでしょうか」

 

私も雛里も驚いてた。なぜならここからはるか遠くの涼州に居るはずの馬騰殿がここに居るのだから。

 

「わからん。まさか侵攻してきたというのか?馬騰殿はそこまで力があるというこのなのか?」

 

「確かに馬の扱いには長けています。涼州の民は馬と共に生きていると聞いていますから」

 

「とにかく全軍警戒態勢だ!相手の出方が分からん。油断するなよ!」

 

「はっ!」

 

兵に指示をだし私も体制を整える。

 

「あ、愛紗さん、待ってください。あれを見てください。旗を振っています、別の部隊に合図でもしているのでしょうか」

 

「いや、それは無いだろう。こんな隠れる場所の無い所で伏兵は考えにくい」

 

「では。私達にということでしょうか」

 

「そうなるだろうな……おい。こちらも旗を振ってくれ」

 

馬騰殿とご主人様は反董卓連合軍の時に面識がある。なら行き成り襲ってくることは無いだろう。

 

「はっ!」

 

そう判断した私は、近くに居た兵に旗を振るように指示を出す。

 

「……」

 

旗を振り、しばらく待っていると人影がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。多分軍使だろう。

 

「雛里。軍使には私が会おう。もし私に何かあった場合、部隊の指揮を頼むぞ」

 

「了解です。愛紗さん、お気をつけて」

 

「ああ……お前達はここで待機。指示があるまで動くな!」

 

「「はっ!」」

 

私は馬を下り一人で歩き出す。

 

「どうやら二人のようだな」

 

『馬』の牙門旗が掲げられていたのだ。当然、この場には馬騰殿が来るであろう。では隣に居るもう一人は誰か……考えられるのは馬騰殿の側近、か。

 

「すまないな急に。あんたがあの部隊の代表者か?」

 

「ああ、そうだ……そうなの、だが……」

 

てっきり馬騰殿が来ると思っていた私は相手が私と対して歳が変わらない女性だったことに驚いていた。

 

「あ、あなたが馬騰殿、ですか?」

 

「へ?」

 

「え?」

 

私の質問に間の抜けた返事をする女性に私も思わず、聞き返してしまった。

 

「もう、お姉様。しっかりしてよ」

 

「う、うるさいな。分かってるよ!」

 

横に居た女の子に注意される女性。この者たちは一体。そう言えば、馬騰殿には一人娘が居たな名は確か……馬超。

 

「すまなかったな。あたしの名は馬超。字は孟起。西涼太守馬騰の娘!」

 

「たんぽぽはね。お姉様の従妹で馬岱っていうの。よろしくね!」

 

やはり馬超であったか。

 

「我が名は関羽。字は雲長。徐州州牧劉備が一の家臣にして、彭城の青龍刀」

 

お互い自己紹介をしたところでもう一度馬超を見る。

 

「まさかあの錦馬超に出会えるとは」

 

「おっ!あたしってそんなに有名だったんだな」

 

「ああ。旅人たちが噂をしているのを耳にしたことがある。見目麗しく、義に篤い西涼の姫。その槍捌きは白銀の流星と謳われ、一騎当千の強さを誇る……とな」

 

「そ、それは言い過ぎな気がするな。それにそんなこと言われたことないから背中が痒くなってくるよ」

 

「何を言う。民たちからその強さを謳われ付けられた名だ。名誉と思え恥ずかしいとは思わないが。それに私も会えて光栄だ。錦馬超」

 

「そ、そうか?それならよかったよ、は、ははは……でも、あんたもこっちじゃ有名だぜ。美髪公、関雲長ってな」

 

「な、なんだそれは!そんな呼び名は初めて聞いたぞ」

 

「なんだ知らなかったのか?西涼じゃすでに伝説扱いだぞ?艶やかな黒髪なびかせ、悪を討つ正義の武将。その刃は悪を討ち、その槍は闇を切り裂く。ってな」

 

「ううむ……私の知らないところでいつの間にかそのようなことを言われていたとは……」

 

正直、うれしさもあったが恥ずかしさの方が大きかった。このことはご主人様は知っておいでなのだろうか?

 

「もう!お姉様。それどころじゃないでしょ!」

 

「っ!そ、そうだった。すまない。悪いが至急、薬と少しで良い食料を分けてもらえないか」

 

従妹の馬岱殿にせかされ薬と食料を求めてくる馬超殿。

 

「すまない。こちらも対した量の食料は持っていないのだ。薬ならわずかではあるが残っている、が……」

 

「そうか……」

 

私の言いたかったことが分かったのか落胆する馬超殿。一体何があったのだ?かなり切羽詰っているようだが……

 

「一体何があったのだ?出来れば理由を聞かせてもらえないか」

 

「……」

 

「お姉様」

 

黙り込む馬超殿。その様子を心配した様子で見上げる馬岱殿。

 

「そうだな。ここでだんまりを決めても何の解決にもならないな……曹操に、西涼を攻め落とされた」

 

「なっ!」

 

一瞬黙ったと馬騰殿の口から出てきた言葉に私は目を見開いてしまった。

 

な、なんだと……一体。いつの間に……曹操はそれほどまでに軍を強化していたということなのか?

 

「それであたしやみんなは西涼を追われた。そして、(あたし)たちを逃がす為に殿を務めてくれた母様は敵の攻撃で大怪我を負い倒れてしまったんだ」

 

「馬騰殿が……」

 

「その後、(あたし)たち一族は散々に打ち散らかされた。それでもなんとか少数だけど母様を守り一緒に逃げて、気がついたら、益州に入ってた。

 

馬超殿は悔しそうに握りこぶしを作る、その手は力強く握り締めて居るせいで白くなっていた。

 

「わかった。なんとか薬と食料を手配しよう」

 

「本当か?でも、あんたたちもここまで来るのに食料が無いって」

 

「なに。困った時はお互い様だ……私たちもな、曹操に攻め入られこの益州へと落ち延びてきた所だ」

 

「なんだって!?曹操はあんたたちのところにも攻め込んだのか!?」

 

「ああ……あっという間だった。大軍団で国境を突破されてな。あれは反董卓連合軍の比ではなかった」

 

「そうか……曹操の野郎。母様の国だけじゃなくあんたらの国まで奪ってるのか」

 

「ああ……そして益州は、横暴な太守によって民は苦しみ、国内が乱れに乱れていると聞いてここに来た」

 

「なるほどな。国をぶんどっちまおうってことか」

 

「言葉は乱暴だが……ここに侵攻してきたことに違いは無いからな。お主の言う通りだ」

 

馬超殿の言葉に苦笑いを浮かべて答える。

 

「……それで馬超殿たちはこの後どうするのだ?」

 

「どうだろうな。立て直して曹操の野郎に一泡吹かせてやりたいがさっきも言ったように母様が大怪我で倒れてる。今は(あたし)が代わりに指揮してるけど正直。手一杯なんだよ」

 

困り果てる馬超の顔はどこか疲れ切った顔をしていた。

 

「では、これは提案なのだが。我々の仲間にならないか?」

 

「……家臣になれってことか?それならお断りだ」

 

それまで和やかだった空気が一瞬にしてぴりぴりとした緊張感のある空気に変わった。

 

「勘違いしないでほしい。家臣という訳では無い。助け合う仲間としてだ」

 

「何がどう違うんだ?(あたし)はバカだからさ、難しいことは苦手なんだよ。だから簡単に説明してくれよ」

 

「お、お姉様……」

 

隣では馬岱が呆れたよ顔をしていた。

 

「そうだな。私が説明してもいいが、ここは我らの盟主に説明して貰った方が良いだろう」

 

「……」

 

「お姉様。着いて行って見ようよ」

 

「たんぽぽ……しかしだな……」

 

馬岱の提案に渋る馬超。まあ、普通はそうであろうな。だれしもが罠ではないかと疑うだろう。

 

「兵達もみんな連日の乗馬で疲れきってるし。馬も休ませてあげないと」

 

「う~ん」

 

「それに、菫おば様だってちゃんとした治療をしないといけないでしょ?」

 

「……はぁ、そうだな。お前の言う通り、だたんぽぽ」

 

溜息を吐く馬超殿。その顔は諦め、というよりそれしかないといった風に見て取れた。

 

「決まったか?」

 

「ああ、あんた達に着いて行くよ」

 

「わかった。身の安全は私が保証しよう。話し合いで仲間にならずとも、客人として対応させてもらう」

 

「助かる。たんぽぽ、母様たちに伝えに言ってくれ。『勝手に決めてすまん』とも伝えておいてくれよ」

 

「は~い!、任せておいてお姉様!」

 

馬岱殿は元気良く答えると走って自分の部隊へ戻っていった。

 

「元気な子だな」

 

「それだけが取り柄のようなものだからな。あいつは」

 

「それだけではあるまい。私にはそれなりに手馴れには見えるぞ」

 

見た感じ馬岱殿と同等の技量を持ち合わせているのは雪華か。

 

馬超殿たちが仲間になってくれれば良き好敵手となりそうだ。

 

「まあ、あいつも武人の端くれだからな。だけどまだまだ(あたし)には追いつけないさ」

 

「ほう、では一度手合わせをして貰いたいくらいだ」

 

「おっ、いいぜ。話し合いが落ち着いたら一戦やるか?」

 

馬超殿は私の提案に乗り気だった。

 

「ふっ、私としてはその一戦だけにしたくは無いがな」

 

「それはあんたんところの君主様の話し次第だな」

 

「ああ、きっと私と同じことを言うと思うぞ」

 

にやりと笑う馬超殿に私も同じように含み笑いを浮かべて反した。

 

「では案内しよう。我らが主、劉玄徳様の下へ……」

 

《桃香視点》

 

「……」

 

私は城壁の上でご主人様と愛紗ちゃんの帰りを待つ。

 

愛紗ちゃんと別れた後、そんなに後も経たず星ちゃんが戻ってきた。

 

城内は安全だって事で入城した。

 

そして、朱里ちゃんの指揮の下、既に住んでいた民たちへの対応、私たちと一緒に来てくれた民たちの住居の手配。全てをやってくれた。

 

そんなこんなで色々なことをしているうちに空の色は青から茜、そして星が煌く漆黒へと変わっていた。

 

「こんな所におられました桃香様」

 

「星ちゃん」

 

暗闇の中から火を持って星ちゃんが現れた。

 

「夜風は体に良くありませぬぞ。早く城の中へ」

 

星ちゃんは私の体を心配して中へ入ろうと言ってくれた。

 

「大丈夫だよ。私、こう見えて体丈夫なんだから」

 

「ですが、連日の軍行に諷陵に着いてからも町の長老との挨拶などで体にも相当な疲労が残っているはずです」

 

「もう星ちゃん。愛紗ちゃんみたいなこと言わないでよ」

 

「言いたくもなりましょう。実際、この夜空の下でも分かるくらい顔色も優れていませぬぞ。どうかお休みください」

 

なんとか休ませようとする星ちゃん。でも、これだけは私は頑なに拒否した。

 

「ううん。だってご主人様や愛紗ちゃんが帰ってきた時に一番に『お帰りなさい』って言ってあげたいから」

 

「やれやれ、強情ですな」

 

星ちゃんは諦めたのか苦笑いを浮かべていた。

 

「では、温かい飲み物と羽織を持ってきましょう」

 

「ありがとう星ちゃん」

 

その時だった。

 

「ご報告申し上げます!関羽様がお戻りになられました!今、謁見の間にご案内いたしております」

 

「桃香様」

 

「うん!」

 

私は急いで城壁を駆け下りて謁見の間へと急いだ。

 

(ばんっ!)

 

「愛紗ちゃん!」

 

扉を開け放ち愛紗ちゃんを探す。

 

「ただいま戻りました、桃香様」

 

「愛紗ちゃん!お帰りなさい!」

 

私は駆け寄って愛紗ちゃんに抱きつく。

 

「と、桃香様、皆が見ています」

 

「ああ、ごめんね。嬉しくてつい」

 

愛紗ちゃんは頬を赤くして恥ずかしがっていた。

 

「それに客人の前です。もっと我らの主として振舞って貰いたい」

 

「え?……あっ」

 

愛紗ちゃんに言われ目線を彷徨わせると。あっけに取られた顔をした女の人が二人立っていた。

 

「あれ?あなたは確か……馬超さん、でしたよね」

 

そこに居たのは反董卓連合軍の時に出会った馬超さんでした。

 

「え?あ、ああ。覚えててくれたんだな。あん時は世話になったよ」

 

「いえ、それは私じゃなくてご主人様に言ってあげてください」

 

あの時はご主人様が馬騰さんに聞きたいことがあるとかいって会いに言ったんだよね。

 

でもあの時の事をご主人様は全然話してくれなかった。

 

「それで今日はどうしたんですか?あ!もしかして遊びに来てくれたとかかな?」

 

「と、桃香様……それは」

 

愛紗ちゃんはなんだか言い辛そうにしていた。

 

「良いんだ関羽殿。実はそのこともあってここに来たんだ」

 

「どういうこと?」

 

「西涼は曹操の野郎に攻め入られた。その時、あたしらを先に逃がすために母様が殿を務めたんだけど、そのせいで大怪我をしちまったんだ」

 

「っ!そんなっ!」

 

「はわわ……」

 

「いやはや、ここに来てなお曹操の名を聞くことになろうとは」

 

私を含めみんなが驚く、愛紗ちゃんだけは先に聞いていたのか目を伏せていた。

 

「そこでお願いがあるんだ。薬とあと少しでいいんだ食料を分けてもらいたいんだ」

 

「それはダメです!」

 

「やっぱりダメか……」

 

私の言葉に落胆する馬超さん。

 

「と、桃香様!」

 

「ダメに決まってます!怪我した人を薬だけ渡して放っておくなんて!」

 

「へ?」

 

「だから……治るまでここに居てください!ね♪」

 

「……は、はぁぁぁああああっ!?」

 

笑顔で答えると馬超さんはすごく驚いた顔をして叫んだ。

 

「あ、あの私、変なこと言いましたか?」

 

「い、いや、あ、あの変っていうか……」

 

「変ですね」

 

「変だな」

 

「えーっ!?」

 

戸惑う馬超さんをしり目に愛紗ちゃん、星ちゃんはバッサリと切り捨ててきた。

 

「うぅ~。だってだって困っている人が居たら助けたいと思うのが普通だと思うんだよ!」

 

「確かにそうですが……」

 

「桃香様の場合、それが見返り無しで行ってしまうのが問題なのですぞ」

 

「あぅ……だって、見過ごせないんだもん」

 

「はぁ……」

 

愛紗ちゃんと星ちゃんに言われ、口を尖らせて抗議してみるも、溜愛紗ちゃんに息を吐かされてしまった。

 

「な、なんていうか大変なんだな関羽殿たち」

 

「まあ、苦労はさせられるが」

 

「うむ。これが桃香様の良いところでもある。だから我々が全力で支えているのだ」

 

「ですね。桃香様が居たからこそ。私たちはこうして一緒に居られるわけですし」

 

「みんな~~~っ!」

 

「だからといって!甘やかすつもりはありませんよ」

 

「あぅ、愛紗ちゃんのいけずぅ~」

 

「いけずで結構です!私としてはもう少し主としての威厳をもってもらいたい所です」

 

「愛紗よ。それは桃香様に酷というものだ」

 

「もう!褒めるのか貶すのかどっちかにしてよぉ!」

 

「「あはははははっ!」」

 

私が声を上げて抗議するもみんなは一斉に笑い出した。うぅ~、いじけちゃうんだから……

 

「と、兎に角!馬騰さんの怪我が治るまで、ここに居ていいですから」

 

「ほ、本当にいいのか?(あたし)としてはありがたいんだけどよ」

 

「大丈夫!みんなもそれでいいよね」

 

「ええ。構いませんよ」

 

「桃香様が決められたいじょう、我々はそれに従うまでですな」

 

「ですね。すぐに部屋の準備をさせます」

 

「さっそくボクたちの出番なわけ?少しは休ませなさいよね」

 

「もう、詠ちゃん。私たちは侍女なんだから」

 

「でも、あのバカ専属でしょ?まあ、馬騰様だし、文句は言えないけど」

 

「もう……それでは桃香様。すぐに準備してきますね」

 

「うん。よろしくね!」

 

「ん?あの二人、どこかで見たような……」

 

「えっ!そ、そんなことないと思うな~。ほ、ほら、侍女だし!ね、愛紗ちゃん!」

 

馬超さんは部屋を出ていく月ちゃんと詠ちゃんを見て首を傾げていた。

 

私は誤魔化す為に愛紗ちゃんに話を振った。

 

「そ、そうだ。どこにでもいる侍女だぞ。うんうん!」

 

「ん~。だったらなんであんたらにあんなに馴れ馴れしいんだ?普通、あんな接し方しないだろ」

 

「そ、それはだな……せ、星!」

 

「ん?決まっておろう。それは桃香様の寛大なお心のおかげではないか」

 

「そうだ!星の言う通りだ。だから気にするな馬超殿」

 

星ちゃんに話を振ると答えを用意していたかのようにさらりと答えた。

 

「まあ、いいや。助かるよ」

 

「これで安心だねお姉様」

 

「ああ。母、馬騰の代わりに礼を言う。ありがとう」

 

「そんなこと良いんだよ。困ったときはお互い様!ってね」

 

「それで、どうだ馬超殿」

 

「ん?ああ、あのことか」

 

「あのことって何?愛紗ちゃん」

 

「実はですね。我々の仲間にならないかと誘ったのです」

 

「ええ!?そ、そうなの!?馬超さん、仲間になってくれるの!?」

 

「いえ。まだ答えは。誘ったまでです。まだ仲間になるとは」

 

「そのことなんだけどよ。やっぱり、あたし一人で答えを出すわけには……」

 

「そうか……それは残念だ」

 

残念そうにする愛紗ちゃん。

 

「すまない。しばらく居させてもらうっていうのに、こんな答えでよ」

 

「ううん、気にしないで。それより早く良くなるといいね馬騰さん」

 

ちょっと残念だけど仕方ないよね。馬超さんにも立場があるわけだし。

 

「失礼します!」

 

そんな時だった、扉を開けて兵の人が駆け込んできた。

 

「なんだ!今、謁見中だぞ!」

 

「も、申し訳ありません!で、ですが、御使い様がお戻りになられまして!至急、お知らせをと思いまして」

 

「なに!ご主人様が!」

 

「っ!」

 

「と、桃香様!お待ちください!」

 

私を止める愛紗ちゃんを無視して謁見の間から駆け出した。

 

「はぁ、はぁ……」

 

ご主人様が帰ってきた!どこ、どこに居るの?

 

『それじゃ、みんなはゆっくり休んでくれ、鈴々に雪華、恋にねねは悪いけどもう少し付き合ってくれるかな』

 

「っ!」

 

走っていると聞き覚えのある大好きな人の声が聞こえてきた。

 

「はぁ、はぁ……ご主人様!」

 

「え?桃香?」

 

「ご主人様~~~~~~っ!!」

 

私はご主人様の胸に飛びついた。

 

「おわっ!と、桃香……」

 

「ご主人様、ご主人様、ご主人様~~~~~っ!!」

 

「……ただいま、桃香」

 

ご主人様は私の頭を優しく撫でながら笑顔でただいま、と言ってくれた。

 

「お帰りさない……ご主人様」

 

私も涙ぐみながらも笑顔でお帰りなさいと答えた。

 

「はぁ、はぁ……桃香様、勝手に走って行かれては困ります」

 

私を追いかけて愛紗ちゃんたちが後からやってきた。

 

「えへへ……居ても経ってもいられなくて」

 

「それは皆同じです……ご主人様、よくぞご無事に戻られました……」

 

ご主人様は私から離れて愛紗ちゃんの前に立った。

 

「愛紗もご苦労様、桃香を守ってくれて」

 

「いいえ……それが私の務めですから……それよりもご主人様とご一緒できなかったことが私には悔やんでも悔やみきれません」

 

「愛紗は律儀だな……でも、そんな愛紗だからいいのかもな」

 

「っ!ご主人様……」

 

ご主人様は愛紗ちゃんをそっと抱きしめて頭を撫でてあげていた。

 

「ご、ご主人様……皆が見ています!」

 

「ん?気にしない気にしない」

 

「き、気になります!お、お止め下さいご主人様」

 

口では嫌がっている愛紗ちゃんだけど、本心ではとても喜んでることはすぐにわかった。

 

だって、本当に嫌なら愛紗ちゃんは力ずくで抜け出すもんね。

 

「まったく、帰ってきてそうそういちゃつくとは」

 

「せ、星!?こ、これはご主人様が勝手に!」

 

「私には嫌がってるようにはみえんのだが?」

 

「うっ……」

 

「まあ、それは良いだろう……主よ、よくぞご無事で戻られた」

 

「星にも心配かけたね」

 

「そうですぞ。あまり我ら家臣を心配させないでくだされ」

 

星ちゃんは愛紗ちゃんをからかいつつもご主人様が無事に帰ってきたことを喜んでいた。

 

「みんな無事で何よりだ……ん?あそこに居るのって馬超さんじゃないか?それに隣に居る子は?」

 

ご主人様は見回してみんなが居ることを確認していると馬超さんたちが居ることに気が付いたみたいだった。

 

「あ、うん。そうなんです」

 

「よ、よう北郷殿……ひ、久しぶりだな」

 

ご主人様と話していると馬超さんが近づいてきてご主人様に挨拶をしてきました。

 

「どうしてここに馬超さんが?」

 

「そうですね。今、私たちが置かれている現状を説明した方が良いですね」

 

「うん。よろしく朱里」

 

「では、一度、玉座の間に参りましょう」

 

「了解。それじゃ行こうか」

 

朱里ちゃんはご主人様に現状を説明するために玉座の間へと向かった。

 

《一刀視点》

 

「それじゃ、朱里。状況を説明してくれるかな」

 

馬超さんたちには席を外してもらい、身内だけで話を進めた。

 

「はい。まず――」

 

俺は朱里に現在、俺達がおかれている状況を説明してもらった。

 

………………

 

…………

 

……

 

「なるほど、それじゃ戦闘も無く入城は出来たってことだね」

 

「はい」

 

「住民のみなさんは快く受け入れてくれました!」

 

「どうやら。桃香様の政策・思想がここまで聞き及んでいたようで、大手を振って歓迎してくれました」

 

喜んで話してくれる桃香の横で朱里が補足をして説明してくれた。

 

「そっか、それはよかった」

 

「でも、喜んでるだけではいられません。私たちがちゃんとした政策を行わなくては民たちの人心は離れてしまいます」

 

「確かに、いくら思想が良くても、ここの人たちの為にならないと何の意味もないからね」

 

だから早く成都に向かい蜀全体を経ち直す為の政策を進めないといけない。

 

「桃香達の報告は分かった。それじゃ次は、愛紗、報告をお願い」

 

「はっ、我々がここに到着する少し前に――」

 

朱里の説明が終わると愛紗が席を立ち、報告を始めた。

 

………………

 

…………

 

……

 

「そうか……西涼も曹操の手に……」

 

これで北方は全て曹操の勢力下になったわけか……

 

「はい。そして今は馬騰殿の治療を兼ねてこの城で療養中です」

 

菫は娘である馬超さんを逃がす為に殿を務め、大怪我を負ってしまったらしい。

 

「わかった、それじゃあとで様子を見に行くかな」

 

「そうだ!ご主人様の力で馬騰さんの怪我治せないかな?」

 

「俺もそれを考えてたんだ。怪我の状態次第で、治せるかも知れない。ただ、時間が経ってるから完治するかわ分からないけど。それでもやらないよりはずっといいはずだ」

 

「では、後ほど馬騰殿の客室へ向かいましょう。大勢で行っては迷惑になるので治療をなさるご主人様、そして桃香様に私で行く。異論は無いか?」

 

愛紗は見回して意見が無いかを確認する。

 

「無いようだな。では、馬騰殿の件はこれで良いだろう。次に、ご主人様。」

 

「ん?」

 

「曹操との殿の件をお聞きしたいのですが」

 

「あ、え~っと、それはだな……」

 

不味いぞ……あの技を使いそうになった事がばれたらまた皆に心配されてしまう。

 

兎に角誤魔化さないと!

 

「ほ、ほら、そのことはまた今度にでも!」

 

「何を言うのですか曹操軍の編成など、必要なことは山ほどあるのです」

 

「で、でも……」

 

「でも、ではありません。それとも、何か不味いことでもあるのですか?」

 

「い、いや、そう言う訳では……」

 

「はぁ、これでは埒があかないですね……鈴々」

 

「うにゃ!」

 

「ご主人様の代わりに報告を頼む」

 

「え、え~っと……」

 

鈴々はどうしたらいいのか迷っているみたいだった。とりあえず口止めはしておいたけど……

 

「?鈴々、何をきょろきょろしているのだ?」

 

「な、何でもないのだ!秘密なんて何にもないのだ!」

 

「秘密?」

 

「にゃにゃ!」

 

鈴々は慌てて口を押えたがもう遅かった。愛紗は目を吊り上げて俺を睨んできた。

 

「どういうことですか、ご主人様」

 

「ご、ごめんなのだお兄ちゃん……」

 

「主よ、説明して貰えるのでしょうな?」

 

「はぁ~……話さないって言っても聞いてくれないんだよな」

 

「当り前です。いざとなれば力ずくにでも……」

 

「わ、わかったよ。話す、話すから」

 

みんなの真剣な顔に俺は折れるしかなかった。

 

「はぁ……だけど話は最後まで聞いてくれよ?」

 

「それは、叱られること前提で話すということですかご主人様」

 

「えっと……」

 

「はぁ、そうなのですね」

 

愛紗は俺の態度を見て溜息を吐いた。

 

「と、とりあえず話を聞いてあげてください!ご主人様にも色々あったんです!」

 

「し、雪華~。ありがとうそう言ってくれるのは雪華だけだよ~」

 

「ふぇ!あ、あのご、ご主人様」

 

雪華はに抱き着くと恥ずかしそうに頬を染めていた。

 

う~ん。雪華のこの仕草はやっぱり癒されるな~。

 

「……ご主人様。抱き着き過ぎです!」

 

「もー!ご主人様!離れてください!」

 

「いててててっ!」

 

愛紗と桃香に両耳を引っ張られ俺は涙目になった。

 

「ふぇ、あ、あの、その……」

 

「雪華よ。今は何を言っても無駄だぞ」

 

愛紗と桃香を止めようとした雪華を星が止めた。

 

その星の顔はやはりと言うか何と言うか、にやりと笑っていた。

 

こ、ここは星の思い通りになるものか!

 

「と、とにかく!ちゃんと説明するから!そ、そうだ月!お茶を淹れ直してくれるかな!冷えてきちゃったからさ!」

 

「は、はい。わかりました」

 

俺は話を逸らす為、月にお茶を淹れ直してくれるように頼んだ。

 

「ほら、桃香も愛紗もお茶を飲んで落ち着こうよ!ね?」

 

そして俺は、未だに耳を抓っている二人の頭を撫でて痛みに我慢しながら微笑んだ。

 

「う……わ、わかりました……」

 

「え、あ、う、うん。そ、そうだね」

 

分かってくれたのか二人は耳から手を放してくれた。

 

「……なんと、面白みの無い……」

 

はい。面白みが無くて結構ですよ星。

 

つまらなそうにする星を横目に俺は自分の席に着いた。

 

「それじゃ、月と詠がお茶を持ってきてくれたら話そう」

 

そして、程なくしてお茶を持って戻ってきた月と詠を席に着かせて俺はあの時、何が起きたのかを話し始めた。

 

《To be continued...》

葉月「どもー。最近ゲームが山積みになっている葉月です」

 

愛紗「最近、葉月の言動に頭を痛めている愛紗だ」

 

葉月「なんですかー。その言い方は、それじゃ私が愛紗のヤキモチを焼く姿を楽しみにしてるみたいな言い方じゃないですか」

 

愛紗「……ほう。やはりそういうことだったのだな」

 

葉月「は、はめましたね!」

 

愛紗「勝手にはまったんだろうが!私はただ、奥付のお前の言動を憂いていただけだ!」

 

葉月「ぐぬぬ。こんな策にはめられてしまうとは……この策士め!」

 

愛紗「私は武人だ!そんなことを私がするか!お前が勝手に勘違いしただけではないか!」

 

葉月「くそ、くそ~っ!こうなったらもっと雪華と一刀とのイチャイチャを増やしてヤキモチを……」

 

愛紗「それを聞いて黙って見過ごす私だと思うか?」

 

葉月「思いません!というかいいんですか?」

 

愛紗「な、何がだ」

 

葉月「今回出てきたお二人。馬超と馬岱ですよ。このままだと仲間になることはわかりきっていますよね」

 

愛紗「うむ。それがどうしたというのだ?戦力も増えて良いではないか」

 

葉月「確かに、戦力も増えますが……その分、一刀争奪戦に加わるってことですよ」

 

愛紗「っ!」

 

葉月「それにそれに、今は怪我で治療を受けている馬騰さんも一刀の事を気に入っていましたよね……」

 

愛紗「っ!!」

 

葉月「一気にライバルが増えますね~。楽しみだな~♪」

 

愛紗「お、おい。葉月……まさかとは思うが、馬騰共も……」

 

葉月「さ~。どうなるかはわっかりませ~~ん♪」

 

愛紗「なんだと!?」

 

葉月「まあ、今言えることはただ一つ!これからもどんどんライバルが増えるということです!」

 

愛紗「な、ななな……なーーーーーーーっ!!!」

 

葉月「さてさて、絶叫している愛紗を無視して次回のお話です。次回は前回途中までになっていた一刀と曹操軍との攻防の続きです」

 

葉月「楽しみに待っていてください」

 

愛紗「ぶつぶつぶつ……はっ!私としたことが、自分の世界に入ってしまっていた」

 

葉月「あ、戻られたようですね。戻ってこないようならこれで終わりにしちゃおうかと思っていたところですよ」

 

愛紗「え?あ、ああ。よくわからんが戻ってきた……ではない!ご主人様を好きになる者を増やされては困る!」

 

葉月「そうは言われましても、まだ登場していない蜀陣営だけであと3人も居るんですよ?袁家と南蛮を抜かしても」

 

愛紗「それはそうなのだが……お、お前の力を使えばどうにでもなるではないか!」

 

葉月「まあ、確かにそうですけど……それじゃ面白みがないじゃないですか!読者のみなさんは愛紗がヤキモチを焼くところが見たいと望んでいるのですよ!」

 

愛紗「な、なんだと!?」

 

葉月「まったくもって、みなさん『S』ですね。愛紗の落ち込む姿やほかの女性と仲良くしてる一刀を見てヤキモチを焼く姿がみたいだなんて」

 

愛紗「ま、まったくだ!そのような考え、正常な思考の持ち主ではないぞ!」

 

葉月「そういう私も愛紗のそういう姿を見たい一人です!」

 

愛紗「お前が全ての元凶かーーーーーーーっ!!」

 

葉月「ぐはっ!い、いい、ボディブローで、す……がく」

 

愛紗「はぁ、はぁ……次は誰だ!私の一撃で眠りにつきたいものは!」

 

雪華「あ、あの~愛紗さん?」

 

愛紗「なんだっ!」

 

雪華「ふえ!あ、あのその……すみません」

 

愛紗「あ、ああ!す、すまない雪華。別にお前に対して怒っているわけではないぞ。ただちょっと色々とあってだな」

 

雪華「そ、そうなんですか?よかった。愛紗さんに嫌われたのかと……」

 

愛紗「そんなことはない!雪華は大事な仲間だ。嫌いになるわけがないだろ?」

 

雪華「愛紗さん……はい!」

 

愛紗「っ!……な、なんてまぶしい笑顔だ」

 

雪華「どうかしましたか愛紗さん?」

 

愛紗「い、いや。何でもないぞ。そうだ雪華!一緒にここで別れの挨拶をしようではないか」

 

雪華「ふえ!?で、でも、いつも葉月さんとしてますよね?」

 

愛紗「ああ、あいつならそこで眠っている」

 

葉月「……」

 

雪華「ふぇ~。こ、こんなところで寝てると風邪ひきますよ葉月さん」

 

愛紗「大丈夫だ放っておけ。こいつはそれくらいでは風はひかん。さあ、では始めるぞ」

 

雪華「ふえ!は、はい!」

 

愛紗「ごほん……では皆の者。次回も楽しみに待っていてくれ」

 

雪華「ふぇ……えと、えと……みなさん、また見に来てくださいね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「ご苦労だったな雪華」

 

雪華「ふぇ~~~。恥ずかしかったです、愛紗さ~~~ん」

 

愛紗「~~~~~~っ!な、涙目で抱き着かれるのもよ、良いものだな」


 
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