No.226286

真・恋姫†無双~江東の白虎~ 第参章 1節~戦火爪跡-センカノツメアト-~

タンデムさん

紅の大地、それは戦が残した忘れ物。
魂を失った屍、それは戦が奪ってい行ったモノ。
戦が大きなものであれば、それもまた広大で大量……。
目も前にあるその悲しき戦場に一刀は何を思うのか……。

続きを表示

2011-07-04 16:20:52 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:14432   閲覧ユーザー数:10175

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

更に、オリキャラが出ます。

 

その点を踏まえて、お読みください。

 

嫌悪される方は、ブラウザ左上の←または、右上の×をクリックすることをお勧めいたしますっす。

 

それでもOKという方は、ゆっくり楽しんでいってくださいっす。

「う……んぅ?」

「月、気が付いたみたいよ」

「気分はどうですか?」

 

一刀が目を覚ますと、見覚えのある水色の髪をした少女と緑色の髪の少女が、一刀の顔を覗き込んでいた。

 

「……ぅん」

「あの……?」

「寝ぼけてるの?」

 

寝ぼけてぼうっとなった頭で彼女達の名前を引き出す。

 

「……おお! 二人か!」

「へぅ……」

「はぁ、んで、気分と体は?」

 

董卓は、一刀の顔を困ったような笑みを浮かべてに覗き、賈駆は少し呆れたように、体の状態を聞いてくる。

一刀は体に力を入れて、起き上がろうとしたが脇腹と右腕に走った痛みで、顔を顰めた。

 

「あたた……。 右腕と脇腹、それから妙に顔がべたべたするけど、それ以外はかろうじで大丈夫みたいだ。

まぁ、痛みのおかげで寝ぼけた頭も一気に起きた」

「あら、いいことじゃない」

「もう、詠ちゃん」

 

賈駆は一刀の言葉に、皮肉を投げかけ、その様子を困ったように言う董卓。

二人のそんな様子に微笑ましさを感じつつ、一刀は体を起こそうとした。

だが、其れは叶わず、まるで体が鉛のように重く、間接は硬い芯が通ったように曲げるのが辛かった。

 

「前言撤回だ。 体が鉛みたいに重くて、間接が殆ど曲げられない。 悪いけど起こすの手伝ってくれ」

「あ、はい。 詠ちゃんは、そっちをお願い」

「ええ。 せーの!」

 

殆ど力の入らない一刀の体を左側から二人に支えてもらい、何とか起き上がることが出来た。

 

「ありがとう。 それで、あの後どうなった?」

「あ、はい実は――」

 

董卓たちは一刀が、気を失ってからの出来事を話し始めた。

「私達は、華陀さんにつれられ、孫策さんたちの元に連れて行かれました」

 

先ほどのことを、必死に思い起こすような面持ちで話す。

 

「あんたには悪いと思ったけど、その時のボク達は、そこで死ぬ心算だった」

 

続くように賈駆が俯いてそう言った。

一刀の、表情に変化は無い。

 

「この戦の罪を償う為に、死んで詫びようと思った」

「でも、そう孫策さんに告げた私達は頬を叩かれて、こう言われました」

 

『巫山戯(ふざけ)た事言ってんじゃないわよ! いい、此処で死ぬのは唯の逃げでしかないわ。

本当に罪を償いたいのなら、生きて生きて生き抜いて、その生を全うしなさいっ!

でないと大怪我までして貴女達を助けた一刀が――孫江が馬鹿みたいじゃないっ!』

 

右の頬を叩かれたのか、そこを押さえながら雪蓮の言葉を言った。

一刀にはその光景が、直ぐに目に浮かんだ。

 

「そうか。 んで、その後は?」

「はい、私達は3つの選択を与えられました」

「1つ目は、このままボク達は真名以外を捨て、普通の平民として何処かの村で生きること。

2つ目は、真名以外を捨てて呉に降ること」

 

俯いていた二人の顔が、一刀のほうを向く。

 

「そして、3つ目は君主であることだけを捨て、専属の侍女として孫江さんに降る事でした」

「は?」

 

3つ目は流石に予想外だったのか、これまで余り表情を変える事は無く、

平静でいた一刀の顔に驚きと戸惑いが生まれる。

 

「孫策曰く、『散るはずの命を救ったのは貴方、だから貴方が決めなさい。 に・い・さ・ま?』だそうよ」

「……(あいつ、面倒……いや、面白そうだからと思って俺に押しつけやがったな……!)」

 

流石義理とはいえ兄妹、一刀は雪蓮の思惑を完ぺきに見破った。

しかし、内心穏やかじゃない一刀の事など意に介す事無く、二人は言葉を紡ぐ。

 

「驚くのは、勿論だと思うわ。 でも、ボク達はあんたに2度も危険な場を救われたわ。 その恩は返したい。 これは軍師ではなく、私自身の言葉」

「私は詠ちゃんみたいに頭が良くないし、恋さんや江さん達の様に武はありません。 だけど、だけど私は!」

 

ぽふっ!

 

途中から、行き成り一刀の胸の中に二人ともが引き込まれた。

 

「ちょ、ちょっと!?」

「へぅ!?」

 

突然の事に二人は驚き、頭の中が真っ白になる。

そんな二人に、一刀は優しく語りかけた。

美羽や七乃、袁紹にしたように、優しく。

 

「……そんな泣きそうな顔しなくていい。

別に迷惑なんか思ってないから、是からよろしくな。

そして、二人とも今までお疲れさま」

「っ! うぅ……っ!」

「うっ……ひくっ……!」

 

一刀の言葉に、今まで二人の心に鬱積していた気持ちが、雫となって零れ落ちた。

 

……。

…………。

………………。

 

たっぷり泣いた後、彼女達は彼の体から少し離れた。

恥ずかしさがあったのだろうか、目と同じく顔も赤くなっていた。

 

「あんまり離れすぎないでくれよ? 倒れちゃうかも?」

「へぅ!?」

 

ふざけた風に言う一刀の言葉に、月は大げさな反応を見せ、ギュッと抱き付いた。

 

「月そんなわけないじゃない。 動かないのは関節棒立ちするぐらいの元気ぐらいあるにきまってるじゃない」

「おいおい、冷てえなぁ……ええっと……」

 

天幕の中とはいえ、ここにはまだ他の勢力がいる場所。

迂闊に、董卓と賈駆の名は呼べない。

 

「……詠よ」

「……! いいのか?」

 

一刀が間誤付(まごつ)いていると、賈駆は一刀に真名と思しきなを提示した。

 

「私たちは、あんたの侍女。

仮にも主であるあんたに真名を許していないのはおかしいでしょ? 

専属なら尚更……ね……ごめんね……月」

「ううん、いいよ。 

それに、恋さんが真名を許していて、華雄さん……。

いえ、江さんに自分の名前を、真名として与えられる大きな人。

私は孫江さんなら真名を許しても構わないからと思う」

 

辛そうにそう言う賈駆は、本当にすまなそうだった。

しかし、そんな彼女の言葉を月は笑顔で受け止め、一刀のことを認めるような言葉を言った。

 

「……わかった。 俺も君達に真名を預けよう。

ただし、俺の真名を呼ぶのは、君達が本当に俺を主と認められるその時、呼んでくれ。 俺の真名は一刀だ」

「ええ、問題無いわ。 私の真名は詠……よろしくね孫江」

 

彼女達の様子を見た一刀は、少し考えるような素振りをしてそう言った。

詠も一刀の考えに相異無いのか、彼女も一刀に真名を預けた。

 

「分かりました。 私の真名は月です。 よろしくお願いします"ご主人様"」

『ブッ!?』

 

無論、ここで口論があったことは言うまでもない。

口論が沈静した後、一刀は二人と真名を交換した。

そして、そばに置いてあった蒼麒麟と、痛み止めを飲むと部屋の外に出た。

その時、まだ寝ていろと詠に至っては二人を説得するのは、かなりの労力だった。

部屋の外に出ると、宿の一角を借りていた事が分かったので外に出ることにした。

 

「……ご主人さま」

「一刀様!」

「わんわんっ!」

 

部屋を出て直ぐ、動物に囲まれた恋と江に遭遇した。

どうやらこの動物達が、恋の家族らしい。

その様子を微笑ましそうに見ていると、

恋の隣にいた彼女とお揃いのスカーフをしたウィッシュコーギーに、一刀は飛びつかれた。

 

「アンアン! ペロペロ」

「ぶわ!? こら、ワン公! 行き成り人様の顔をなめるなぁ!」

「一刀様!?」

「……ご主人様」

 

セキトに続いて恋と江が一刀に飛びつくように駆け寄った。

 

「もう、起きられても平気なのですか?」

「寝ないと、だめ。 みんなが心配」

「心配するな。 疲労回復薬と痛み止め飲んでる。 だから、もう平気だよ」

 

二人の瞳には、心配の念が見て取れた。

故に、一刀は心配をさせないため、元気にそう言って見せた。

 

「しかし……」

「それに……! この戦は俺たちが起こした戦だ。

だったらば、その最後を見なくちゃいけない。 この眼で……な」

「……分かりました。 ただし、無理はなさらないように」

「……いってらっしゃい」

 

そして、戦場で対峙した時と同じ真剣な表情をみて、止められないと感じた恋と江は一刀を見送った。

 

「ところで……月と詠にも聞いたんだが……俺の顔がべたべたしてた理由知ってる?」

「セキトが、舐めてた」

「はぁ、だろうな。 ま、動物とは長くかかわっているから、慣れた感覚だったからな。

恋、その子……セキトだっけか、舐めるのは構わないけど、寝てないときにしてと言ってくれ」

「……ん」

 

恋の回答を聞いて、一刀は全くの予想通りであったため、若干脱力してそう言った。

そして、一刀は二人に感謝を言うと、部屋の中に居る月と詠の事を二人に頼みその場を後した。

陣の外に出ると、一刀と凱の部下達が炊き出しをしていた。

 

「旦那!? もう歩いても平気なんですかい?」

 

部下の一人が一刀を見つけると声をかけてきた。

 

「ああ、歩く分には問題は無え。 其れより、凱は?」

「先生なら、この先で怪我人の治療してやす」

 

それだけ聞くと、一刀は邪魔をしては悪いと思い、ありがとうと言ってその場を離れた。

 

「おーっす、お疲れー」

「……やっぱり起きたな、大馬鹿野郎。 薬を置いておいてよかった」

「あ……えと、おはよう」

 

一刀はあの時、凱のもとに送った、痴漢どもに襲われていた彼女のもとを訪れた。

凱の言葉に疲れが感じられ、さっきまで怒濤の如く、怪我人が押し寄せていたことが分かった。

今は其れも落ち着き、酷い怪我人もあまり居ないので、凱は部下の医療隊に任せて少女と共に休息を取っていた。

途中にいた横になっている民を見て、これが戦の爪痕か、

と感傷に耽りそうになりながら、一刀は二人のもとに向かった。

 

「彼女に手伝ってもらっていたのか?」

「ああ……。 っとそう言えば、手伝ってもらったのに、まだ自己紹介すらしてなかった。

俺は華陀、よろしく」

「あの時は、名乗る時間すら無かったな。 俺は孫江という。 よろしく」

「私は……伯和、伯和っていうの、よろしくね」

 

少し間があったが、偽名ではないだろう事は二人には分かった。

 

「伯和は、またここに住むのか?」

「……わからない。 もう家も無いし家族も皆、焼け死んじゃったから……」

 

そう言って俯いた。

 

「……ん。(拾ったのはお前だ、色男)」

「……。(そりゃないぜ……)」

「……んん。(骨は拾ってやる)」

「……はぁ(わかった)」

 

暗い空気が流れそうになったが、凱は女性の扱いに長けている自分の親友に眼で合図を送った。

凱の合図の意図が分かった一刀は、助けたのなら少しは面倒を見ようと思った。

 

「なら、俺達の所に来ないか?」

「え?」

 

一刀の突然の誘いに、伯和は少し驚いていた。

 

「あの、どうして?」

「その歳で一人で生きていくのは、まだ辛いだろう?

こっちのお兄さんが、独り立ちまで援助をしてくれる」

「それにちょっと見ただけで分かったが、どこかの富豪の娘だろ?

動きに気品があるからな。

一人で金を稼ぐようなことは、ほとんど知らないはずだ」

「……うん」

 

一刀と凱の言葉に、彼女はうつむき加減で頷いた。

 

「それに、俺達の家はまだまだ部屋が余ってるくらいだ。

物置に使うくらいなら、君さえ良ければ、一室あげようと思うが、どうだ?」

「……」

 

一刀はそう言って伯和の目を見た。

伯和は一刀の目を見て、他意はない事が分かった。

 

「別に今すぐ答えを聞きたいわけじゃない。 俺達が此処を離れるのは約2日後、其れまでゆっくり考えるといい」

「うん、考えてみるよ」

 

そう言って、彼女は杯に注がれた水を口に含んだ。

それだけ言うと、一刀はその場を去った。

凱たちのもとを去った後、一刀は戦場の後が見える城壁に向かった。

 

「あ! 虎のお兄ちゃんなのだ!」

 

一刀は城壁の方に向かう途中、劉備たちに会った。

張飛は一刀を見つけると、大きな声で声をかけてきた。

 

「おう、せいが出るな」

「あ、孫江さん。 はい、私達に出来る事の一つですから」

 

そう言って、劉備は最初の悩んでいた時の顔よりいい顔になっていた。

その事に一刀は、少し嬉しくなった。

 

「ところで一刀殿はどちらへ向かわれるのです?」

「なに、ちょっと城壁にな。 なんなら一緒に来るか?」

 

態々自分の陣から離れて、此処まで来た一刀を不思議に思ったのか、星はそう聞いて来た。

一刀は、少し濁した感じに答え逆に誘った。

 

「城壁に、何か有るのですか?」

 

何か有ったかと、疑問に思った関羽が一刀にそう聞く。

 

「なに、ついてくりゃ分かるこった。 付いてきたい奴だけ付いてきんさい」

 

そう言って、一刀は城壁の方に歩いていった。

 

 

~城壁~

 

結果として、炊き出しは仲間に任せた劉備一行は全員が一刀にくっついて来た。

 

「それで、ここに来て何をするんですか?」

 

何も無い城壁を見て、諸葛亮がそう言った。

 

「そんなに大げさな事をするわけじゃないさ。 ただ、祈るだけ」

「祈る、ですか?」

 

一刀がそう言うと、不思議そうに鳳統が見た。

外の見渡せるその場所で、一刀は目を瞑って『握拳』の礼をとった。

劉備たちも見よう見まねで、一刀のように握拳の礼をとる。

そして、一刀はそのままの状態でこう言葉を紡いだ。

 

「この戦で骸となった者達よ、貴殿等の魂、我が背に背負おう。

貴殿等の犠牲は無駄にはせん、後の世は幸多き事、孫王虎は此処に誓う」

 

死者達に向けられた言葉を紡ぐと、一刀は1分ほどの黙祷をささげた。

短いようで長い不思議な感覚の時間が終わると、一刀は振り向いてこう言った。

 

「俺は戦が終わると何時もこうしている。

命に身分は無い、悪人も善人も言っちゃ悪いが帝だって、死してしまえば唯の骸。

一つしかない命を奪ったと思うと、とてもやり切れない気持ちになる。

だから、此処で挫けてしまわぬ様に、戦の終わりは何時も祈って誓うんだ。

犠牲になった者たちの魂を背負って、平和な世を創るってな」

 

その顔は、一介の将軍の顔ではなかった。

其れは紛れも無く、上に立つ者の顔だった。

この時、劉備の中の一刀の印象が『優しいお兄さん』から『私が目指す志を持った人』へと変わった。

一刀が、己の心の内を語っている時それを耳にしていたのは、劉備一行だけではなかった。

~SIDE華琳&夏侯姉妹~

 

 

「『犠牲になった者たちの魂を背負って、平和な世を創る』か……ふふ、

あの志と言い覇気と言い、ただの将をしているのが不思議だわ」

 

一刀の話を偶々影から聞いてしまった華琳と華南は、一刀の『王』としての顔を垣間見て、

面白い玩具を見つけたような子供の様な笑みを浮かべていた。

 

「はい。 もし、私が華琳様と華南様を知らなければ、

姉者を連れて、彼に着いて行ったかもしれません。 まぁ、あり得ない事ですが」

「秋蘭……! ふふ、貴女にそこまで言わせるか。 一刀、やはり貴方は面白いわ」

 

夏侯淵も一刀を見て、そう呟いた。

有り得ない事だが、彼女に此処まで言わせた一刀は、夏侯淵に凄く認められていると、華琳は感じた。

その事で、自身の覇道の最大の壁は、やはり彼だと再確認した。

 

「……」

「姉者? 如何したのだ、黙って?」

 

そんな事を語り合っていると、珍しく黙っている夏侯惇に夏侯淵は不思議そうに聞く。

だが、一向に返事が返ってこないので肩を少し叩いて、此方に気付かせる。

 

「はっ!? な、何だ秋蘭?」

「いや、余りにも静かなので、少し気になって。 どうかしたのか?」

 

夏侯淵がそう言うと、酷く慌てたふうにこう返した。

 

「い、いや、別に何もないぞ!?

べつに孫江の言っている事が難しすぎて、頭が混乱しているとか、そう言うわけではないぞ!!

本当だぞ!! ちゃんと、‶今"は意味が理解できて……は!?」

「……はぁ、姉者……」

「貴女は、もう……」

 

そんな自身の最強武将を見て二人は、溜息しかつけなかった。~SIDEOut~

 

 

「流石、一刀ね。 私が認めたことはあるわ」

「!? 華琳聞いていたのか」

 

一刀が劉備達と誓いをした後、影で聞いていた華琳が、

夏侯姉妹と供に一刀の前に出て、一刀の志に対して厚い言葉を送った。

 

「春蘭、秋蘭。 貴女が彼に真名を預けたいのなら、構わないわよ。 私が許可するわ」

 

しかし、彼女がそう言ってしまって、そこから話が段々と拗れて来る。

 

「孫江! 我が真名春蘭、その武に、その覇気に預ける! 次は負けんぞ!」

「え、あ……おう。 俺の真名は一刀だ。 武ならまだまだ負けんさ」

 

夏侯惇--春蘭は純粋に、一刀の武と覇気に賞賛と供に真名を預けた。

正直、一刀でも春蘭の言いたいことが分からないため生返事の後、武を話題に乗せた。

 

「姉者がこうも簡単に真名を預けたのだ、我が真名秋蘭も預けよう。

正直私も貴方の武と志に感服している。 男では父を除いて最高の存在と断言できる」

「ふふ、それは光栄だな。 俺の真名は一刀。 よろしく」

 

彼女の妹である夏侯淵--秋蘭も一刀の武と志に感服し、真名を預けた。

 

「では、私はもう戻るわ。 たまたま通りかかっただけだから早く戻らないとお母様がうるさいの」

「できれば……いや、頼むからそのお母様に自重してくれと言ってくれ。 俺の命にかかわる」

「……はぁ、もう接触したのね。 せっかちな人……無駄だろうけど伝えとくわ」

 

一刀の懇願そう言って、その後直ぐにその場を離れた。

しかし、さわやかな友の別れと見えたその光景は、

その場に居た星以外の劉備一行、とくに劉備に、対抗心に火を点けるのはある意味必然と言えた。

 

「むぅ……! 孫江さん!」

「え、あ、はい?」

 

突然大きな声を上げた劉備に、一刀は変な声で返事を返した。

 

「私、孫江さんの志に、すっごく感動しました!

孫策さんの言っていた『私の道』にも、たぶん少しだけ近づけたと思います!」

「あ、ああそうか。 俺の言葉が助言になったのなら幸いだ」

 

一刀の平和に対する思い、命に対する思いは、彼女の心に深く染み渡っていた。

 

「だから、私の真名桃香を受け取ってください!」

「ええっと……おう、素直に受け取っておこう。 俺の真名は一刀だ、よろしくな桃香」

「はい!」

 

一刀が桃香の真名を呼ぶと、彼女は嬉しそうに

 

「孫江殿、それは私共も同じこと。

凄まじき武を持ち、あのようにも素晴らしい志も兼ね備える。 同じ武人として感服仕りました。

我が真名、愛紗と申します、どうぞお受け取りください」

 

そして、関羽に関しては自身の主と同じ夢を持ち、平和への志を聞かされては、

彼のような人物に真名を預けないなど、ありえないと言う心理だった。

 

「お、おお。 そいつは光栄だな。 ありがとう、俺の真名は一刀、愛紗の真名謹んで受け取らせていただく。 よろしくな愛紗」

「はいっ! よろしくお願いいたします、一刀殿!」

 

桃香同様、愛紗も一刀に真名を預けて、一刀も快く受け取った。

愛紗の方も、何故か判らぬが、こみ上げる嬉しさを感じていた。

 

「智略の方も、お姉様からのお手紙で拝見させていただいてます

お姉様からのお手紙には、いつも貴方の話題が書かれていました。

正直お姉様誑かされたのか心配になりました」

「でも蒼里お姉様は男の人に、心を開かない人でしたから、すぐに考え直せました。

でも、貴方はそんなお姉様の心を開かせ信頼を得ています」

「だから、私達も孫江さんに真名を預けたいと思います。 私の真名は朱里と申します」

「私の真名は、雛里……です。 よろしくお願いしましゅ……あわわ」

「はわわっ!?」

「あらら、いいところで噛んだな。 ま、二人の称賛は素直に受け止めよう。 俺の真名は一刀だよろしく」

 

熱心にそう語る彼女達の姿は本当に蒼里を彷彿とさせた。

ここまで言われては、謙遜するのは逆に失礼と言うモノ。

 

「ん~、お兄ちゃん、鈴々の真名呼んでもいいのだ! みんなが真名を許すならだいじょーぶなのだ!」

「ふふ、そうか。 じゃぁ、おれも鈴々に教えよう。 俺の真名は一刀だ」

 

張飛こと鈴々だけは、余り彼の言葉を理解できなかったが、

命の重み平和への思いは第六勘のような、彼女の野生じみた勘で感じ取っていた。

 

「ふっふっふ、流石は色男ですな、一刀殿?」

「お前、楽しんでるだろう?」

「いえいえ、そんな。 自身の認めた者が、皆に認めてもらえてうれしいだけですぞ?」

 

少し困っている一刀を、楽しそうに見て星がいったのだった。

こうして、劉備一行に真名を許された。

このことが、後に大きな事になってしまうとは知らずに……。

あとがき

っと言うわけで、とんでもなく大きな死亡フラグ(性的な意味で)を残して、次回に回りたいと思いますっすw

はたして一刀君は、無事生きて帰れるのだろうか!?

では、コメント返しさせていただきますっす~!

 

赤字さん≫あぁあの娘も一刀の毒牙に・・・凱よ無念・・・だけどこっちの展開もみたかったのでよし‼

おお、サイトで見ていただいてありがとうございますっす。

この意見も多かったので、ここではこれを採用いたしました。

 

shirouさん≫麗羽遅いことなんてないんだよ。赤髪の少女は一体・・・・・・誰なんだ?次回も楽しみにしております。

長いこと仮面をかぶってしまい、彼女は振り返れないところまで来ているのです。

ですが、やはり揺れる彼女は、このまま葛藤を重ねることでしょう。

赤毛の少女は……ヒ・ミ・ツです♪

次回もお楽しみくださいっす!

 

氷屋さん≫10p自体が>事態がですかね。サイトの方はもう何度も読み返していますが、やはり何度読んでも面白いです。こちらの方は微妙に話が違うだけに別の話として楽しめていいです(^^

誤字報告ありがとうございますっす。

修正させていただきました。

おお!

常連様、いつもありがとうございますっす!

 

jonmanjirouhyouryukiさん≫5pの「相手が呂布とか関羽みたいなのが居たら」は「相手に呂布みたいなのが居たら」でいいのではないでしょうか。たしか実力は関羽+張飛+趙雲≒呂布だったと思いますので。

確かにそのようなこともありましたね……ですので修正させていただきました。

 

namenekoさん≫いくら恋姫の世界でも一刀は規格外すぎる。

実は、規格外の存在は一刀ではないんですよねww

どの子かは、ヒ・ミ・ツです♪

 

RevolutionT1115さん≫展開も違うから読んでてすごく楽しいです。

そう言っていただけて嬉しいでございますっす!

 

readmanさん≫麗羽と一刀がこの先どんな風に絡んでいくのか楽しみです。

麗羽ちゃん改変は、結構迷いましたが、やはりそう言う意見が聞けると嬉しいっす!

 

tomatoさん≫麗羽がここから変わっていくかと、この後の復興支援での話しに期待。なにせ嫁宣言したのが1人逃がさないと言ったのが1人追加されたのだから、ただでは終わらないとワクワクしています

しゅみましぇぇん!orz

今回は熟女方には自重させていただきました!

ですが、次回は爆発していただきますので、お許しくだしぁ!

 

2828さん≫↓見てなんだがあの子が一刀の毒牙になら・・・凱よ斗詩を落としてハンマーを・・・w

ゴォォォォルディオン! ハ○マァァァァァっ!!wwww


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
75
13

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択