No.226002

真・恋姫†無双~江東の白虎~ 第弐章 20節~堕陽京 悲哀之運命 白虎断-オツ ヒノ ミヤコ カナシミノ サダメ ビャッコガタツ-~

タンデムさん

呂布を捕縛し、順調に目的を果たす一刀は、先遣隊の先行を提案。
袁紹を説き伏せ、先遣隊として先行する一刀達。
だが、目の前に移った都の姿は―――!?
そして、董卓の運命は――!?

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2011-07-03 01:55:23 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:12949   閲覧ユーザー数:9661

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

更に、オリキャラが出ます。

 

その点を踏まえて、お読みください。

 

嫌悪される方は、ブラウザ左上の←または、右上の×をクリックすることをお勧めいたしますっす。

 

それでもOKという方は、ゆっくり楽しんでいってくださいっす。

「……っ」

「……んくっ」

 

夏侯惇と張遼は、目の前で行われた神業に、知らず内に息を呑んだ。

一刀が呂布に攻撃する瞬間、自分達の視界から一瞬だけ、

その姿が完全に消えうせ、攻撃が当たった後は音が遅れて聞こえたのだ。

 

『一騎討ちで、師匠の間合いに入ったら、絶対に勝てません。 師匠の拳は、音を置き去りにしますから。』

 

夏侯惇は、凪達の言っていた事を思い出した。

あの時は、有り得ないと鼻で笑っていたが、現実に見せ付けられてしまい、只管圧倒されるしかなかった。

 

「これが……、江東の白虎」

「アカン、本当にゾクゾクして来たわ」

 

隣に居た張遼も、一刀の神業に只管に圧倒されていた。

二人は、暫くの間、呂布を脇に抱えて、自軍に戻る一刀を、目で追ったのだった。

絶対に、彼に追いつくと言う思いも籠めて。

~天幕~

 

 

 

「この大馬鹿野郎、無茶しやがって。」

「あたたた!! た、頼む凱! もうチョット優しくしてくれぇ!」

 

陣に戻った一刀は、全員から、怒りの声と心配の声を同時に浴びた。

しかも、蓮華が一刀の怪我を見て、泣き出してしまい、一刀が右往左往する様子があったりもした。

その後、脇に抱えていた呂布を、華雄こと江に任した後、凱に診察と治療を頼んだ。

その際、美蓮、祭、結羽、江が真名を交換している時――。

 

「それにしても江、あんた何で、"15年前"と容姿が"変わってない"のよ?!」

「その容姿で、儂と同い年だと? おかしい、おかしすぎるぞ?!」

「おぬし等も、15年前とそう変わらんではないか。 何を其処まで怒る必要があるのだ?」

「この世って本当に、理不尽よね……。 どうやったら、其処まで若さを保てるの?」

 

と言ったやり取りがあって、江が結構いい年だという事が判明し一悶着あった。

なお、その後直ぐに起きた呂布こと恋は、江が説き伏せ動物たちの面倒を見ることで落ち着いた。

ちなみに、その後一刀に会って直ぐ『ご主人様』と呼ばれて、また一悶着あり、

彼女が言うには、『勝負で負けたから』だそうだ。

 

閑話休題

 

 

診断結果は、肋骨3本が骨折、上腕骨1本に罅が入ってるとのことだった。

理由としては、肋骨は一刀の『閃虎爪』(音を置き去りにする拳の名)の反動で骨折だったが、

上腕骨は、その攻撃に反応した呂布が、戟を無意識の内だろうが、一刀の腕に中てたから、

その時に罅が入り、技の反動で完全に折れた、と言う事だった。

事実、そのお陰で内臓破裂をして死んでいても可笑しくないのに、呂布に大した怪我は無く、肋骨2本骨折、全身打撲程度で済んでいた。

 

「あたた……。 あー、いてぇよぉ」

 

一刀は、凱特性の薬液をしみこませた布(現代風に言うとギプス)を嵌めた腕を擦りながら、そう呟く。

 

「当たり前だ、バ一刀。 ほら痛み止めだ、飲んでおけ」

 

ぼやく一刀に凱は、痛み止めの薬液の入った小瓶を、呆れた感じの顔で手渡す。

 

「凱、こいつの有効時間は?」

「……一本、約三刻だ」

 

一刀がそう凱に聞くと、凱は嫌な予感が過ぎりながらも、ちゃんと答えた。

答えを聞くと、一刀は栓を開け、飲み干す。

 

「ほぼ一時か……んくっ。

ふう、凱もう一本、用意しといてくれ。 此処まで来て、最後の最後でしくじりたくないんでな」

 

「はぁ……本当は止めるべきなんだが、どうせお前は聞かんだろうな。 分かった、用意しておこう」

 

一刀のその要望に、呆れた表情をして溜息を吐きながら、凱はそう答える。

 

「ただし! 怪我して帰ったら、寝台に縛り付けるからな! そして、薬の実験台にしてやるっ!」

 

「うっ! ……仕方ねえわかったよぉ」

 

だがニヤリとMADに笑って、確りと条件付けをするあたり、やはり一刀の親友だ。

一刀も、そんな条件を渋々ながらも受けるのを見ると、ある程度は予想していたようだ。

そして、二人は少し雑談をした後、其々の仕事場に向かう為、天幕を後にした。

だが、一刀は気付いているのだろうか、既に自分が怪我人であり、既に凱の条件がそろってしまっている事に――。

~大天幕~

 

 

 

「……孫江さん」

 

袁紹は内心、穏やかではなかった。

今だ、友である曹操や公孫賛にすら、自身の仮面がばれていないのに、一発で見破った彼のことが頭から離れなかった。

 

「どうして、もう少しだけ、早く逢えなかったのでしょう……」

 

自身の何時になく運の悪いことに、彼女は頬に雫を流した。

しかし、泣いてばかりもいられない。

たとえ自分を偽っているとはいえ、この軍の総大将は自分。

このままでは、何も手柄を立てられないままこの戦が終わってしまう。

流石にそれだけは、避けなければならない。

ならばやる事は一つ、『洛陽への一番乗り』是しかなかった。

その半刻後彼女はすぐさま、軍を動かせるように、天幕に諸侯の代表を集め、そう取り決め様とした。

 

「ちょっと待て。 此処は、先遣隊を出す事を、俺は進言する」

 

此処に唯一の男の代表である一刀から、進言があった。

 

「あら、敵には主だった将軍はもう居ませんわよ? なのに、なぜ先遣隊なのです?」

「簡単、相手は神算鬼謀と名高い、賈文和が居る。 罠が有るか分からんし、伏兵が無いとも限らねえ」

 

と、一刀が言うと、確かにと他の諸侯も言い出した。

だが、その中で公孫賛が一刀にある問題をぶつけた。

 

「でも、もしその先遣隊で行かせた奴が、一番乗りして手柄を立てたりなんかしたら、揉め事にならないか?」

 

「良い、意見だ公孫賛殿。 確かに、そんな事が起こらんとも限らん。

其処で、各諸侯が代表の将に部下150人を率いらせて、先遣隊として出すんだ。

そうすれば、全員が全員を監視する形となり、そんな事を起こすことは出来んだろう」

 

公孫賛の質問に対し、一刀は澱み無く答える。

諸侯が、先遣隊派遣に異を唱える物が居ないため、袁紹も強くは言えない。

それに、先遣隊なら露払いをさせてゆっくり自分が、無傷で自分が手柄を受ければ良いという考えにも成ってきた。

是こそが、一刀の思惑なのだが、そうとは知らない。

 

「分かりましたわ。 先遣隊の派遣を許可致しますわ」

 

かくして、袁紹は顔良、劉備は関羽、曹操は夏侯淵、公孫賛は彼女自身、

馬騰は馬超、孫策は一刀と副将の凱、袁術は七乃が、先遣隊として出ることになった。

~道中~

 

 

 

「それにしても、大丈夫なのですか?」

「ん? 何がだ、関羽?」

 

先遣隊として、行軍している途中、心配そうな顔をした関羽が、一刀に話しかけてきた。

 

「その腕です。 折れているのに、無理やり動かしたりして、悪くならないのですか?」

「確かに、我々の中でも腕利きとは言え、利き腕が使えなくては危なくないのか?」

「て言うか、あんたの武器はその腕そのものなんだろ? だから、戻った方が良いんじゃないのか?」

 

関羽の指摘に、夏侯淵と翠も話しに入ってきてそう指摘した。

その二人の言葉に、他の諸侯の将も心配そうな視線を向けてくる。

そんな周りに対し、一刀は苦笑を浮かべながら、

 

「心配ねえよ。 相手が呂布みたいなのが居たら、危ないけど、そのほかなら心配ねえさ」

 

と、笑みを浮かべて余裕そうに言う。

他の者が言えば、ただの強がりだが、一刀にはそれだけ言える実績があるのだ。

今の状態であれ、『君達程度なら一騎撃ちでも負けない』と言われたに等しいのだが、

飛将軍呂布と神速将張遼を相手に、互角以上に戦った上あまつさえ捕縛したのを見れば、誰も文句を言う事は出来なかった。

 

「さて、其れは良いとして、そろそろ都に着……く」

 

そのような話をしていると、遠目で都が見えて来たのだが、その予想だにしない様子に驚愕した。

 

「なんで……なんで、洛陽(アレ)が燃えてんだっ!?」

 

遠目からでも、黒々とした煙を上げている洛陽の姿だった。

 

「皆さん! あそこを見てくださいっ!!」

 

そう、七乃がそう叫ぶと、周りに居た者達も其方に視線を向けた。

 

見ると、見た事のある黄色い布を頭に巻いた連中が、門から出てきていた。

 

「黄巾の残党か!」

 

憎憎しげに公孫賛が呟く。

他の者も、それを見て怒りを露にしていく。

 

「鎮まれぇっ!!」

 

今にも突撃せんとした時、一刀が怒号を上げてその場を沈ませた。

 

「暴走すんな、今の俺達の数では、討ち取られちまう可能性が高い。

だから、此処は冷静に対処するんだ。 簡易的にだが、指揮を執ることを許してくれ」

 

そう言った後、一刀は凱と七乃の方に視線を向けた。

 

「凱、お前は応急処置ができる者達を連れて、街の一箇所で負傷した民を集め、救護に当たれっ!」

「応っ!」

「七乃、お前は凱と供に行き、襲い来る黄巾残党から護りきれっ!

防衛に徹していれば大した被害は出ないはずだっ!!」

「はいっ!」

 

次々に指示を出して行く一刀に、周りの者達は少しポカーンとしてしまう。

そして、一刀は皆の方を振り向く。

 

「残りの皆は、街の中で散らばっている民達を、華陀達の所まで導いてくれっ! 事は一刻を争う、頼んだぞっ!!」

 

一刀の声に、其処に居た者達は知らず知らずのうちに首を縦に振り、肯定の意思を見せていた。

それを見ると一刀は、中腰になって左手をそのまま上に持って行き、氣を集中させ、

 

「虎・哮・戰っ!!」

 

片手の虎哮戰を上空に向かって放った。

雨が降った後でまだ、黒い雨雲が残っていたせいか、

まるで、白い柱が天に向かって暗雲をかき消しながら聳えているかのように見え、

とても幻想的で、その場に居る者達は、不覚にもその風景に見入ってしまった。

 

「じゃあ、先行くぜっ!! 周々っ!」

「グルァッ!!」

 

虎哮戰を打ち終わると、一刀は周々に声をかけ、周々も其れに応え最速で駆ける。

騎虎と言う名は伊達ではなく、そこらの馬では出ないような速さで荒野を駆ける姿は、

先ほどの光景と相俟って、宛ら天の遣いとその僕のように見えた。

 

「何ぼうっとしているんだ! 俺達も急ぐぞっ!! 味方への合図は、一刀がさっきしたんだからなっ!」

 

凱の大声に、全員は現実に引き戻され、一刀に続いた。

~本陣~

 

 

「遅いのう」

「本当ね……そろそろ、戻ってきてもっ!」

 

美羽と美蓮は帰りの遅い先遣隊を外に出て、待っていたのだが、

突然辺りを照らしながら、白い光が暗雲棚引く天に向かって放たれるのを見て、

 

「アレは、一刀兄様の!」

「是は、ただ事ではないわね。 皆に伝えましょう!」

 

かくして、美蓮達は他の者達に声を掛け、急ぎ出発した。

華の都と謳われた洛陽は、黄巾残党に覆われ、最早見る影もなくなっていた。

城も街も赤い炎に包まれ、民が逃げ惑う光景は地獄と言って差異無かった。

 

「おりゃぁっ! 吹っ飛びやがれぇっ! 白虎双爪(片腕Ver)っ!」

「ガァァッ!!」

 

数分前に、彼らが訪れるまでは――。

 

「必察必注っ! げ・ん・き・に・なれぇーっ!!」

「皆さん、追い払うだけで良いです! 捕まえるのは後です!」

「華陀さん! 怪我人達を、連れて来ましたっ!」

「失せろ黄巾ども! 我が偃月刀の錆にしてくれるぞっ!!」

「一矢一殺、我が弓の前に屍と化せっ!!」

「我が正義の銀閃、その身に受けやがれぇっ!!」

「白馬長史の二つ名、伊達だと思うなっ!!」

 

一刀達は到着して直ぐに、拠点に適しそうな酒家を見つけて立て篭もり、

門番を交代制でしながら街中の怪我人を次々に運んで行った。

暫くして、一刀達が強いことが分かったのか、黄巾残党達の攻めの手が激しくなった。

 

「皆、後少しの辛抱だ! 踏ん張れっ、じゃないと家族に申し訳が立たねえぞっ!」

「応っ!!」

「はいっ!!」

 

一刀の激励が、皆にヤル気と根性を与え、折れそうだった兵達の心に活を入れるる。

だが、こちらは防衛対象のいる防衛戦、やはり数が物を言い、徐々に押され始める。

周りに有る物等で簡易防壁を展開していたが、罅が入り始め破られそうになったその時、

 

ドドドドドドドドドドッ!

ドドドドドドドドドドッ!!

ドドドドドドドドドドッ!!!

 

物凄い数の蹄の嘶きが聞こえて来た。

其方を見ると、数多くの牙門旗が此方に向かっているのが分かった。

 

「っしゃあ!! 俺達の勝ちだ!!」

 

其れが分かると、黄巾残党達は一部の者を残して、我先にと蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。

それを見た一刀は、この場は皆に任せた。

 

「(恋がこっちに居るなら、恐らくまだ董卓達は宮廷の中だ!)」

 

そう思い燃え盛る宮廷の中へ、凱は他に怪我人が居ないか街の中に、其々掛けて行った。

「……っ! …………っ!」

「ん?」

 

宮廷に向かう道中、まだ怪我人がいるかも知れないと思い、

街の中を感覚を研ぎ澄まして走っていると、何処からか声が聞こえた。

呻く様なくぐもった聞き取りにくい声だったので、気のせいかとも思った。

 

「騒ぐな、バレルだろうがよ!」

「おい! ヤルならさっさとヤッちまおうぜ。 もう直ぐ此処に連合軍が来るらしいしな」

 

その後に、下品な声が聞こえて来た為、一刀は急いで其方の方に向かう。

見ると、蓮華と同い年くらいの少女が、猿轡をかまされ半裸の状態で、下半身丸出しにした二人の男に襲われていた。

 

「何してんだ」

「ぐぅ!?」

「ごぉ!?」

 

その状況を見ると、すぐさま一刀は二人の首を後ろから打ち、気絶させた。

そして二人がうつぶせで倒れて動かなくなると、

一刀は少女に駆け寄り、猿轡を外し着ていた上着をかけてやる。

 

「大丈夫か? おっと」

「う、うん、あり、がとう……ぐすっ……ひくっ……」

 

その少女は、先ほどの恐怖を振り払う様に、一刀に抱きつきすすり泣く。

よほど恐かったのだろうか、震えが止まらぬ様なので、一刀は妹達にするように頭を撫でてやる。

 

「もう、大丈夫か?」

「う……ん、取り乱して、ごめんなさい」

 

そうしていると漸く少女は泣き止む。

見ると、少女は恋の様に前髪が二股に分かれている赤毛で、肌は色白の美少女だった。

服は平民の服を着てはいるが、何処かしら隠せない気品のような物を漂わせていた。

だが言葉はこの喋り方が素なのだろうか、違和感と言う物は無い。

暫くすると近くを、部下が通ったのでその者達を呼び、うつ伏せになっている変態二人を縛って連行させた。

 

「いたっ!」

「無理するな、捻挫しているんだから、無理に動かさない方が良い。 おい! この子を凱の場所まで!」

「はっ!」

 

一刀は足を捻挫している少女を自分の部下にまかせ、足早に宮廷に向かった。

この出会いが、この少女の人生を大きく変える出来事になるとは、この時は思いもよらなかった。

 

「あちっ! あちっ!! あちぃぃぃっ!!!」

 

そして現在、一刀は火の海となっている宮廷の中を直走っていた。

火の粉や燃える残骸が上から降って来ていて、火傷しそうにもなりながらも懸命に走った。

覚えのある小さな氣がある部屋目指して。

 

「此処か! うらぁっ!!」

 

そして、その部屋にたどり着き、燃えている扉を蹴破る。

 

どんっ!!

 

蹴破った先の部屋には、薄い水色の髪の少女と緑色の髪の眼鏡をかけた少女の、

二人の少女が猿轡を噛まされ、椅子に縛り付けられていた。

 

がらがらっ!!

 

「んむぅ~~!!」

「んぅ!! んんぅっ!!」

 

だが、一刀が部屋を蹴破った振動で、その部屋の天上が崩れ、瓦礫が少女達の頭上に迫った。

 

「でぇぇぇいっ!!」

 

すぐさま一刀は、少女達の近くに行き瓦礫を"右手"で殴り飛ばす。

その瞬間、ぺキッという音が上腕からしたが、凱の痛み止めの御蔭で全く氣が付か無かった。

 

「ふいー、危なかった。 大丈夫か? 今、外してやるよ」

「ぷはっ! けほっ! けほっ!!」

「ぷはっ!! けふっ!」

 

そして、苦しそうにしている二人の猿轡と拘束を解く。

猿轡を解くと、新鮮な空気を肺に取り込もうと、思いっきり息を吸い込んだのか、煙も一緒に取り込んでしまい、少し咳をする。

 

「大丈夫かい? "董卓"ちゃん、賈駆ちゃん」

「!?」

「!? ちがう!! 董卓はボクだ!! この娘はただの給仕だ!!」

 

一刀が水色の髪の少女に董卓と話しかけると、明らかに驚いた表情をし、緑色の髪の少女が慌てたように声を荒げた。

服装は確かに給仕の服装(何故かメイド服)を着ているが、あの時董卓と名乗った少女と同じだった。

なおも、自分が董卓だと主張する賈駆に対し、一刀は懐からあの虎の仮面をだす。

 

「これ、覚えてるだろ? あの中身、俺なんだよ。」

「そ、それは!?」

「うそ……」

 

どうやらあの夜の事を覚えていたようで、二人は絶望した表情を作った。

だが、一刀はそんな二人の頭に優しく手を置き、撫でる。

そして、出来るだけ優しく、二人に声をかける。

 

「心配すんな、俺はお前らを助けに来たのよ。

恋と江……華雄に言われて、君達が悪人じゃない事ぐらい内の人達は知ってる。 勿論、俺はあの祭りの夜からな」

「へぅ……」

「ぅっ……」

 

例外無く、二人は一刀の優しい瞳と他者を慈しむ様な氣に、思わず見惚れて数瞬だけ、時が止まった様な感覚に陥った。

 

がらがらっ!!

 

ガーンっ!!

 

だが、その時はほんの僅かの間だった。

瓦礫の崩れる音に二人はハッとしたように現実に引き戻される。

そして、気がつくといつの間にか、一刀に抱き抱えられていた。

 

「へぅ!?」

「ちょ、ちょっと!?」

「こんな所に長居は無用なんだ。 ほんの少しだけ、我慢してくれよ、二人とも」

 

そう言って一刀は、二人を安心させるように微笑む。

 

「へぅ!?」

「〇Σ☆♡っ!?」

 

勿論、男性のそんな微笑に、耐性があるわけも無く二人は硬直する。

賈駆にいたっては、意味不明な悲鳴を上げていた。

 

ズキンッ!

「っ!?」

 

しかし、その時、一刀の体を激痛が走った。

恐らく薬の効き目が切れ、激痛が走ったのだろうと思った。

 

「っく~……! いってぇなぁ……」

「あ、あの?」

「ちょっと、汗凄いけど大丈夫なの?」

 

一刀の苦悶の表情に、二人もどうしたのか流石に気になった。

だが、一刀はそれをおくびにも出すことなく、懐から薬瓶を取り出し、それを飲みほした。

 

「問題ない! ちょっと黙っててくれよ……。 はぁぁぁぁぁ……覇ぁっ!!!!」

 

ドンッ!!

 

『きゃぁっ!?』

 

そして、一刀は、内側にある氣を全て解放する。

 

急に大きな声をあげた一刀に、驚く二人だが、目を開けた瞬間さらに仰天した。

 

目の前にいた彼は、白い光に身を包んでいた。

 

その正体は、溢れ出る白銀の氣。

それは、まさに火山のように噴出し、氣の影響で黒い髪と眉毛は白銀に染まる。

この姿が、一刀が全力を出した状態で名を『白虎皇』と言う。

この状態の一刀は、感覚が極限まで研ぎ澄まされ、

全身の力、早さが大幅に上がり、全身を氣の壁で包むため、正に無双となる。

しかし、それも弱点でもあり、体中の氣をねこぞぎ使い、無理やり枷を外した状態にする為、

使用できる時間が短く、その後暫くの間、体が殆ど動かなくなると言う欠点があった。

 

故に、一刀は恋達と戦う時でさえ、この状態には成らなかったのだが、今はそんな事は言ってられなかった。

脇に抱えられていた董卓と賈駆は、その美しさに、まるで呆けるている様に口を半開きにして見惚れていた。

 

「口閉じてろよ、舌噛むからな」

 

一刀がそう言うと、二人は慌てて口を紡ぐ。

その瞬間、一刀が地面を大きく蹴った。

彼が地面を蹴ったその時、二人はまさに地面が爆ぜた様に見えた。

~街~

 

 

 

「何処に行きやがった、あのバカタレ(一刀)」

 

事態が大方収拾してきたのに、いい加減戻ってこない一刀に、

凱は悪態をつきながらも、街の中を駆けずり回って探していた。

倒れていると言うような事は無いだろうが、アレでも怪我人なので少し心配ではあった。

 

「ん?」

 

そんな時、目の前にある燃え盛る宮廷の中から、

一刀の氣が人間ではありえない速度で此方に近づいてくるのを感じた。

 

「まさか、あいつアレ(白虎皇)使ってるのか!?」

 

ドーンッ!!!

 

凱がいった瞬間、目の前の瓦礫の山が弾けとび、『白虎皇』の状態の一刀とその脇に抱えられた二人の少女が出てきた。

凱を発見すると、一刀が其方に近づいていき、白虎皇を解く。

 

「ぐっ!?」

『きゃぁっ!?』

 

その瞬間、両手に抱えている少女二人を落としそうになり、その場にしゃがみ込む。

その異変に気付き、凱が一刀に駆け寄る。

抑えている、右腕を触診してみると、完全に折れていた。

 

「はぁ、このバカタレ。 本来なら直ぐ治る怪我だったのに、余計酷くしやがって。 完全に折れてんじゃねえか」

 

「はは。 でも、女の子二人助けたから3ひく1で2は残るだろ?」

 

そう言う問題じゃ無いと言って、呆れた顔をする。

 

「皆に怒られる覚悟して置けよ? 俺は知らんからな」

「ヴゥッ!? ……はい。」

 

若干燃え尽き多様な一刀だが、二人の命を救えた事に微笑を浮かべながら気を失った。

あとがき

 

 

はい!

と言うわけで、今回で第弐章の終了です。

お疲れ様でしたぁ。

此処まで付き合ってくださった皆様、本当にありがとうございます!

今回出てきた『白虎皇』ですが、イメージしやすいのはスーパーサ○ヤ人の一刀Verですww

オーラは白ですけどねw

では、コメ返しさせていただきますっす。

 

 

tomatoさん≫袁紹のキャラもHPとは変わりそうで楽しみにしています。

おお!

サイトのお客様でしたか!

ハイ、このまま彼女にも変化を求めたいと思いますっす。

誤字報告ありがとうございますっす。

 

jonmanjirouhyouryukiさん≫・・・くっできれば指摘したくなかった・・・orz

誤字報告ありがと……ご、ご愁傷様ですっす……(-人-)

 

2828さん≫嫌なところ間違えてるねぇ

ええ、自分でも、間違えてくないとこでしたw

 

readmanさん≫麗羽可愛良いなあ。

おお!

そう言ってもらえるとうれしいです!

ぶっちゃけ、賛否両論……というより、否の方が多いかなとも思ったんですが、そう言ってもらえるとうれしいっす。

 

namenekoさん≫音の置き去りとか一刀にしか出来ないだろ

ですよね~w

そんな、修行してきましたからねw

でもですね、例外と言うのはこの恋姫の世界故ににあるんですよw

 

カイさん≫誰もが仮面を付けて生きている、そう感じました

ですね。

誰もが、ペルソナをかぶって、毎日を過ごしている。

と、ここではそう言っておきますっす。

 

紫電さ≫んおおう。麗羽にも仮面設定ですか。これはHPとは違う展開でとても新鮮ですね。

実は、この設定は、サイトにアップする時からあったんですが、サイトの方は美羽だけにして、左慈を登場させたんです。

でも、やっぱり、「自重などできぬぅ!」と私の魂(ブロリー)が叫ぶので、そのままにしました。

故に、今回左慈君は別の役に回っていただきましたっす。


 
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