No.222764

真・恋姫†無双~江東の白虎~ 第弐章 18節~巳水関の攻防~

タンデムさん

虎の力を借りて、劉備は試練を乗り切った。
そして、虎は捕らえた獲物に真意を問う。
だが、隙に味方の猿が、とんでもない行動に出る。

ちわっす!

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2011-06-15 00:34:27 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:13043   閲覧ユーザー数:9463

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

更に、オリキャラが出ます。

 

その点を踏まえて、お読みください。

 

嫌悪される方は、ブラウザ左上の←または、右上の×をクリックすることをお勧めいたしますっす。

 

それでもOKという方は、ゆっくり楽しんでいってくださいっす。

~曹操軍~

 

「……」

 

華琳達は、今目の前で起こった現実に、戦慄していた。

 

「秋蘭、もし貴女があの太史慈の場所に居たとして、成功させられる?」

 

何か、確かめるかのように、後ろに控える二人に聞く。

 

「……悔しいですが、無理としか言えません。 私では恐らく、放った矢は弧を描いて、そのまま地に落ちるだけでしょう」

 

その華琳の問いかけに、夏侯淵こと秋蘭は悔しそうな表情をして、そう言った。

 

「いえ、構わないわ。」

 

華琳は、無理だとわかっており、確認の為に彼女にそう聞いただけなので、さして気にした風も無く、そう返した。

残る連合の中で実行できる可能性があるのは、袁術の客将、孫策の下にいる黄蓋だが、あくまで可能性の話だ。

実際に実行して見せよと言って、実行できるのは、実行して見せた太史慈だけだろう。

だが、見ていた感じ、発射するまでにかなりの時間を要した事から、一騎打ちや乱戦状態では使えないのだろう。

 

「ふっ……面白いじゃない」

 

だが、華琳はそう言って、ニヤリと笑ったのだった。

 

 

~凪・真桜・沙和~

 

一方、こちらは一刀の弟子三人が、彼の常識を外した戦闘方法に、驚きを隠せなかった。

 

「私達は、まだ師匠の前にすら、立たせてもらえていないのだな」

 

そして、同時に自分達は足元にも及ばないとか、そんな次元の話じゃないと凪思った。

自分達は、あの英雄の前に、対峙すらさせてもらえて無い事が、是でハッキリしてしまったからだ。

 

「みたいやな。 でも、流石うち等のセンセや、そう簡単に前に立たせてくれんのは、当たり前やんな」

「ホントなの。 これじゃ前に立たせてもらう為に、あと何年掛かるか分かん無いの」

 

久しぶりに見る一刀の戦闘に、三人はそう感想を述べた。

だが、そう言った三人の表情は、どこか嬉しそうでもあった。

 

「ああ、だが、超えよう。 私達三人で、師匠を!」

「おう! あったり前や!!」

「うん! 沙和もコレだけは、頑張るの!!」

 

何れ一刀と戦うことを念頭に置いていた三人は、自身の師を超えると言う目標を再確認したのだった。

「お疲れさん、劉備」

「あ、孫江さん、この度は、本当にありがとうございました」

 

巳水関侵攻が終わり、一刀は劉備達に労いの言葉をかけに言っていた。

全員に等しく声をかけたあと、一刀は改めて劉備の方を向く。

 

「劉備、ウチの妹からな、上に立つ者のちょっと先輩からの2つの助言を預かってる」

「助言ですか?」

 

一刀の言葉に、劉備は少し首をかしげた。

 

「ああ。 1つは『鵜呑みにする事無かれ、されど信じぬ事無かれ』だ」

「『鵜呑みにする事無かれ、されど信じぬ事無かれ』……ですか?」

 

少し難しいのか、眉を顰めて一刀に聞いて来る。

 

「そう。 ようは、『物事には必ず裏と表があるの。

その裏を読めるようになったら、きっと一人前の太守になれると思う』だそうだぜ」

 

まだ唸っている劉備を見てそう言う。

 

「そして2つ目は、

『理想だけでなく『己の道』是を見つけなさい。そしたら、何が何でもそれを貫き通せ。

たとえ周りに何と言われようとも、武力で押し通す事になっても、絶対にね』だとさ。 これは劉備、君だけじゃない。 君の仲間たちにも言えること、『自身の意思』を揺るがぬ物にするためにな。 上に立つ君にはそれだけで強さになる」

 

余りの真剣な一刀の眼差しに、暫し息を呑んで硬直する劉備。

そして、一刀の助言を出来うる限りで、己の頭の中で理解しようとするが、分からない

 

「私の強さ……。 孫江さん、貴方の『道』って、何ですか?」

 

一刀の助言の後に、劉備は『己の道』にヒントが欲しいのか、そう一刀に聞いて来る。

だが、一刀は、その質問に答えなかった。

 

「俺の『道』か? う~ん、今は秘密だな。 教えて欲しければ、自分の『道』を見つける事だ。

ただし、人に教えてもらうなよ。 それじゃぁ、お前には全く進歩は無いからな」

 

はぐらかされた感じは否めないが、確かに他人の事ばかりでは、自分に進歩は無いと思い、それ以上は質問をしなかった。

 

「……はい、難しいですけど、頑張ります! 孫策さんにもそう伝えてください!」

 

そう言った彼女の顔は、戦前より幾分か輝いていたと思う。

 

「うん。 じゃ、俺はそろそろお暇しよう。 華雄に聞かねばならん事が多いんでな」

 

後ろから、劉備たちの沢山の感謝の声を聞きながら、一刀は自分の陣に戻って行った。

~天幕~

 

 

「お疲れ、凱。 華雄は起きたか?」

「おう、お帰り一刀。 ご覧の通り、まだ眠ったままだ」

 

陣に戻って、華雄の眠っている天幕まで行くと、

凱が華雄の眠っている隣に座ったまま、居る入り口の方に首だけを向けて言う。

だが、其れが災いしたのか、突然寝ていた華雄が起き上がり、凱の首に腕を回して羽交い絞めにした。

 

「あー、おはよう華雄。 とりあえず、起きたんなら座れや」

 

そう言って一刀が近づこうとする。

 

「動くな! こいつの首が、どうなるか分からんぞ」

「ぐっ……」

 

そう言って凱の首を少し絞めたのか、凱が少し苦しそうに顔をゆがめる。

それを見て、一刀は溜息をついてこう言った。

 

「はぁ。 凱、やって良し」

「はぁ、仕方ない……!」

 

一刀がそう言うと、凱も溜息を吐いて、そう呟いた後、

首に回されている華雄の両腕のツボを指で押し、氣を流し込む。

 

「!? な、なんだっ!? これはっ!?」

 

少々の痛みが腕に走った瞬間、凱の首に回していた両腕がダラリと下がり、全く動かなくなった。

それに驚いた華雄は、距離をとろうと凱に左回し蹴りを繰り出すが、簡単に受け止められ、

 

「無駄だ」

「な!? きゃぁっ!?」

 

凱は、華雄が軸にしている右足のツボを指で突きながら、氣を流し込む。

すると、足にも力が入らなくなり、華雄は後ろに転げ、

突然足から力が抜けて、驚いたのか華雄は、可愛らしい悲鳴を上げた。

是は、五斗米道の技で、元々麻酔の代わりに使われている『亞点』と言う物だ。

ツボを突いた部位の神経伝達を無理やり遮断し、麻痺させかつ触覚のみを残すと言う、

『擬似植物状態』にしてしまう、ある意味恐ろしい技だ。

ただ、無理やり遮断するだけなので、普通の麻酔を使った時より効果は極端に短く、

長く持って一刻、短くて四半刻しか持たないと言うのが玉に瑕だ

 

「さて、じゃあ大人しくなってもらった所で、お話し合いと行きましょうかね。

凱、出来れば雪蓮、冥琳を呼んで来てくれ」

「分かった。 俺もやる事があるから、彼女達だけ向かわせるが、構わんな?」

「ん、了解」

 

一刀が了解の返事をすると、凱は雪蓮達を探しに天幕を出た。

其れと同時に、一刀は大人しくさせられた、華雄を起き上がらせて、彼女の目の前に座る。

だが、華雄は一刀を射殺さんばかりに睨みつけ、喚いた。

 

「貴様等と話すことなど、何一つ無い!! さっさと、私の首を刎ねれば良いだろう!!!」

 

怒りの形相でそう怒鳴りつける。

 

「董卓を助けるかも知んないのに、その将の御前の首を刎ねろと?」

 

だが、一刀がそうもらした瞬間、華雄の表情は怒りから、驚きに変わる。

 

「なに!? 其れは本当か!?」

 

今動くだけの左足で、一刀ににじり寄る。

だが、彼女は今両腕が仕えない状態なので、そんな無理な体制をしてしまえば――。

 

「あ!?」

「おっと……」

 

ぽす。

必然的に体のバランスを崩し、一刀の方に倒れこんだ。

 

「随分と大胆だな」

「う……」

 

恥ずかしかったのか、華雄はほんのり頬を染めて、一刀から視線を逸らす。

そんな華雄の様子に、一刀は少し悪戯心が鎌首もたげる。

「そんなに、俺に構って欲しかったのか? 可愛いなぁ」

 

そう言って、一刀はできる限り妖艶に笑み、華雄の頬を優しく撫でる。

 

「そ、そんなわけあるかぁ!! た、ただ、わた、わたしは!!」

 

一刀にそうされて、華雄は顔を紅くして狼狽する。

それに気を良くした一刀は、意地の悪い笑みを浮かべて、

 

「その割には、全く嫌そうな顔をしてないぞ? それにがんばれば自分から離れることも可能だろう?

ああ、もしかして、俺にこうして虐められて、悦んでるのか? このへ・ん・た・い」

「そ、そんな、事は……な、い。(無い、はず……だというのに、なんだこの恍惚感は!?)」

 

華雄の泣きそうな様子がおかしくて、一刀はくすっと笑い、華雄を起こしてやる。

 

「悪い悪い。 少し悪戯が過ぎたな」

「くっ……か、からかうな!」

 

一刀にそう叫ぶが、顔が紅いままなので、一刀からしたら可愛く見えるだけなのだが。

一刀が、華雄から離れた時に少しだけ残念そうな顔をしたのは、見えなかったようだ。

 

「じゃ、本題に入ろう」

 

そう言って、一刀は真面目な表情になり、懐から明命に調べさせた調査書を翻訳した巻物を取り出す。

 

「華雄、是に書いてあることは、間違いが無いか? あ、字読めるか?」

「私も将だ。 その位は出来る」

 

そう言って、華雄に見えるように巻物を見せる。

華雄も、見せられた書の内容を読み取っていく。

 

「……うむ、間違い無い。 董卓様は、ほんにお優しい方だ。 洛陽の民をとても慈しんでおられる」

 

思い出すかのような華雄の表情と目に、一刀は本心から出た言葉だと思った。

 

「そうか。 よし、なら俺も頑張って董卓を助けますかね」

 

そう言って、一刀は華雄を見る。

自然体で居るのに、内から零れる一刀の覇気に華雄は、目を奪われていた。

 

「条件があるわ」

 

と、其処に何時の間に入ってきたのか、雪蓮が二人に向かってそう言った。

 

「! 孫策……」

「雪蓮、居たのか? 居たんなら、声をかけてくれれば良いのに」

「仕方ないじゃない。 今、丁度一刀が華雄を説得してる所だったんだから。 邪魔しちゃ悪いでしょ?」

 

そう言って、少しおどけてみせる雪蓮だが、直ぐに表情を引き締めた。

 

「で、条件だけど、董卓達を助けたとしても、私達の下から離れない事。

そして、完全に呉に降る事よ。 勿論、貴女には孫呉の将として働いてもらうわ。」

「……構わん。 もとより私達に、行く当てなど無いし、私の我が侭で、月様を危険な目に遭わせたくは無い」

 

雪蓮の提示した条件を、少し考えた後で、華雄は引き受けた。

 

「へぇ、猪かとも思ったけど、案外考える事ができるのね?」

「……私は将だ。

確かに、自分にそういう癖があるし、我が誇りとも言うべき牙門旗を燃やされた事を、忘れたわけではない。

だが、部下の命と董卓様のお命、その総てを見据えれば其れが良いと思っただけだ」

 

董卓達の命と部下の命が助かるのなら、自分が降る程度で済むのなら、其れに越した事は無い。

雪蓮は華雄の瞳を見て、嘘が無い事を悟る。

 

「其処まで言うのなら、私は貴女に真名を預けましょう」

 

するとそう言って、雪蓮は華雄に真名を告げようとした。

 

「……私には真名が無い。 だから、孫策の真名を受ける事は出来ぬ、すまん」

 

だが、彼女はそう言って、悲しそうに顔を伏せた。

それを見て、少ししまったと言った表情をする雪蓮。

少しの間、沈黙が流れる。

 

「華雄、お前が良かったら、俺の名『江』を真名としてやろう」

「え?」

「一刀?」

 

その沈黙の中、一刀が行き成りそう言ったのだ。

 

「真名が欲しいのなら、俺の名、江をやる。

この名だって、我が義母、孫堅から貰った大切な名だ。 本当は、他人にやるべきでは無い」

 

そういう、一刀の表情は真剣。

 

「だが、もし受け取るなら、俺は快くお前に『江』を、お前の真名として授けよう。 如何する?」

「……」

 

その一刀の言葉に、暫く目を瞑って考える素振りを見せる。

そして、少し経つと目を開き、まだ感覚が鈍いのだろうか、ぷるぷると震える両手を胸の前に持って行き、『握拳』の礼をとった。

 

「我が姓は華、名は雄、真名は『江』、只今を持って、呉の、将となる事を此処に誓う!

我が真名、『江』の通り江東の象徴、長江の如く大きな存在となって見せよう!」

 

そう言った。

その華雄――江の目は、歓喜と感謝の念が映っていた。

その証拠に、目尻からは涙が流れていた。

華雄は、生まれて直ぐに親を亡くし、14になると育ての親も亡くし、

字も、真名も付けてくれる相手が居なかったのだ。

其れ故に字と真名、特に自分を表す名前である真名には、最大の憧れを抱いていたのだ。

それが今、自分に授けられた事によって、嬉しさが形となって現れた瞬間だった。

 

「おう、頑張ってくれよ。 俺は、一刀だ」

 

そう言った華雄を、一刀は笑顔で迎えた。

 

「私の真名は雪蓮よ。 よろしくね『江』」

「はっ!!」

 

雪蓮は、そんな義兄を見て、やはり敵わないと笑みを浮かべた。

 

――ガヤガヤ!! ガヤガヤ!!

 

「ん?」

 

そのやり取りをしていて、外の煩さに気がつかなかったが、急に天幕の入り口が開いて、凱が焦った顔で天幕に入ってきた。

 

「はぁはぁ、一刀、雪蓮!! 袁紹が劉備達を連れて、虎牢関に進軍したぞ!!!」

「はぁっ!?」

「……は?」

 

一刀は、凱の発した言葉を理解するのに、数瞬の時を要した。

凱が呼びに来て、事の次第を理解した一刀は、軍義を行う中央の大天幕に居た。

 

「あの阿呆!! 死にに行くなら、一人で行けよ!!」

 

勝手に劉備を連れ出し、虎牢関に進軍した袁紹を追うべく一刀達は、向かっていた。

利害の一致によって華琳たち曹操軍、正義感によって公孫賛軍、馬騰軍、が同行してくれた。

袁紹を基盤としたこの連合で、お飾りとは言え袁紹が討ち取られてしまえば、大打撃は間違い無い。

だが、一刀達が着いた頃にはとんでもない状況だった――。

~虎牢関~

 

「……来た」

「みたいやな」

「流石、愚か者袁紹。 数だけ集めているのです」

 

彼女達は、虎牢関の上から群がっている蟻を見下していた。

その瞳には、怒りが渦巻いていた。

自分の友を貶めた怒り。

洛陽の民達を危険にさらそうとしている怒り。

だが、その怒りが彼女達を逆に冷静にさせた。

 

「恋殿、張遼、お二人で出来る作戦をお教え致しますのです」

 

そう言った陳宮の言葉に、二人は耳を傾けた。

 

 

~虎牢関・夜~

 

袁紹たちは余りにも急いで虎牢関に来てしまった為、

兵と軍馬は疲れてしまい、流石に休息を取らなければならなかった。

 

ポツ。

ザーッ!!

 

しかも、急な豪雨が襲った。

この豪雨により、袁紹は戦を仕掛ける事は暫くの間出来ない。

そう、"袁紹側"からは――。

 

ドドドドドドドッ!!!!!

 

「な、なんだ!?」

 

陣の警備をしていた関羽と星の耳に、突如地の底から響くような音が聞こえた。

 

「! これは、蹄の嘶き(いななき)だ!!」

 

聞き覚えの有るその音の正体を悟った瞬間、騎兵が自陣に雪崩れ込んで来た。

夜でしかも豪雨の為陣の火は消え、暗雲で月光も届かず、

敵の姿も満足に目視できない状態だったため、数も確認できていない。

 

「れ、麗羽様ぁ! や、夜襲ですっ!!」

「何ですって!? そんなもの、追い散らしてしまいなさい!!!」

「で、でも突然の夜襲に、皆混乱してます!!」

 

この突然の夜襲に、袁紹達の陣は混乱を極めた。

 

 

――先ず、兵の半分を張遼殿が率いて、関からこっそり出て袁紹勢の後方を叩くのです!――

 

 

陳宮からそう策を授かった張遼は、敵陣後方から騎兵のみで襲い掛かった。

 

「深入りすんなやっ!! 合図したら、直ぐひかなならんからなっ!!」

 

そういった彼女の手にあるのは、飛龍偃月刀と火の付いた松明だった。

消えないように、確りと油を浸した物だったので、豪雨の中でも確りと輝いていた。

 

「良し、そろそろ引き上げや」

 

敵の混乱が少しだけ収まりかけた時に、そう言って持っている松明を、反時計回りにまわす。

その合図と供に、来た道を後戻りする。

その敵軍の様子を見て、袁紹は黙っていない。

 

「逃がしてはなりません! 顔良さん、追いなさい!!」

 

兵達の混乱している最中だが、袁紹は兵達に敵を追いかけさせる。

 

「そろそろ、ええな」

 

わざとかなりの距離を追いかけさせた張遼は、また持っている松明を横に振った。

~虎牢関~

 

「! 恋殿!! 張遼からの合図が来ましたぞ!!」

「……行く!」

 

ギィーー!

ドドドドドドド!!

 

 

――袁紹たちは後方の敵を叩こうとして関に背を向けると――

 

 

袁紹軍が敵兵を追いかける為に、後ろを見た直ぐ後に、関の扉が開き敵兵が出てきた。

 

ピカッ!

ゴゴーンッ!!

 

その瞬間、暗雲から雷が轟き、出てきた敵兵の旗を知らせてしまう。

 

「し、真紅の呂旗だぁっ!!」

「呂布が来たぞぉぉっ!!」

 

 

――恋殿とねねが、関から討って出て袁紹たちの後方を叩くのです!――

 

 

「呂布だと?! 愛紗、鈴々! 呂布には、絶対一対一で当たるな!!

相手は、一刀殿と同等か、それ以上の力量があるぞ!!」

「な、何?! あの江東の白虎と!?」

「虎のお兄ちゃん並なのか?!」

 

星は、呂布が出てきたことが分かると、前に一刀に聞いていた事を思い出し、

仲間と部下達に注意を促し、劉備を一時的に身を隠れさせた程だ。

 

――ぎゃー!!

――た、助けてくれーー!!

 

暗闇の中から、肉を斬る音と味方の断末魔が耳に木霊し、

その断末魔を上げるのが次は我が身かも知れない恐怖から、自軍の兵士の指揮を更に堕とす。

 

ピカッ!

ゴゴーンッ!!

 

「……」

 

そして、稲光によって、飛将軍と謳われる呂布の姿が映し出される。

雨によって大半は洗い流されているが、少なからず敵の返り血を浴びており、

周りには味方の兵士の亡骸が無数に転がっていたが、それでもなお暴れまわっていた。

その姿は、雷雲と供にやって来た紅い龍のようだ。

その状況を見た袁紹は、癇癪を起こす。

 

「キィー!! 文醜さん! 顔良さんを呼び戻しなさい!! しかる後、敵を追い払いなさい!!」

「はーい!!」

 

ジャーンジャーンジャーン!!

 

後ろから襲って来た兵を追わせた、自分の将を戻すべく、銅鑼を鳴らす。

だが、顔良が戻ってくる頃には――。

 

「恋殿! 敵の軍がそろそろ立て直しそうなので、戻るのです!」

「ん……!」

 

すでに、敵兵の姿は無く、敵に食い散らされた仲間の亡骸が転がっているだけだった。

数は確かに袁紹たちが多いが、それが小石が幾ら群がった所で、ダイアモンドを砕く事は出来ない。

陳宮の策は、見事な成功を収めたのだった。

はい、ということで、今回のお話は終了っす。

 

読んで頂いてありがとうございますっす。

 

一応、恋の強さを示すため今回のような感じにしましたが……いかがだったでしょうか?

 

自分としては、皆さんが今回の戦場をイメージできていたら嬉しく思うっす。

 

ようやっとまた、余裕が出てきましたんで、小説ごとのコメントのお返しもさせていただくっす。

 

皆さんから頂いてます応援メッセージにも、ぼちぼちお返事していきますっす。

 

感想や、誤字報告お待ちしておりますっす。

 

 

次回をお楽しみにっす

 

ではでは~


 
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