No.208209

真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第03話

葉月さん

お待たせしました!第三話になります。

今回は桃香視点でお送りします。
それではご覧ください。

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2011-03-26 17:51:50 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:14617   閲覧ユーザー数:10495

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第03話

 

 

 

 

【襲撃と一刀の力】

 

<愛紗視点>

 

「これは!」

 

「ひどいのだ……」

 

急ぎ邑に戻ってくると、綺麗だった町並みは見るも無残なものに変わり果てていた。

 

「くっ!私たちが近くにいながら……」

 

「う、うぅぅ……」

 

一人悔しそうに唇を噛み締めて居ると何処からかうめき声が聞こえてきた。

 

「どこからだ!」

 

「愛紗!あそこなのだっ!」

 

「!?おい!大丈夫か、しっかりしろ」

 

近くにあった家屋の瓦礫の下からうめき声が聞こえ、急ぎ駆け寄り下敷きになっていた男を助け出し近くの木に寄りかからせた。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「なに、礼には及ばん。幸い、致命傷は負っていないようだ、しかし、何があったのだ」

 

「最近ここいらをねぐらにしていた盗賊に襲われたんだ。他の連中は何とか逃げおおせたんだが俺だけ逃げ遅れちまったんだ」

 

「そうか、邑人は皆無事なのだな」

 

「ああ、だがいつまた襲われるか……」

 

確かに、近くにねぐらがあるのだとしたら味を占めた盗賊はまた襲ってこないと限らん。

 

「わかった。安心しろ我々が倒してやる」

 

「あんたらが?無理だ、やつらは300人を超えるんだぞ」

 

「鈴々は強いからそんなのへっちゃたなのだ!」

 

「そうだな、それに我々には天の御遣いがついている、負ける事はありえん」

 

「天の御遣い様だって!?いつつ」

 

「お、おい。大丈夫か!あまり大きな声を出すな傷に障る」

 

「あ、ああ。でも、噂はやっぱり本当だったんだな、それで、その天の御遣い様はどちらに?」

 

「あとから桃園の方から来られる。今はお主の治療が……」

 

「なんだって!あっちには盗賊のねぐらがあるって噂があるんだ!」

 

「なんだと!?」

 

私は、邑人の声に一瞬にして焦り始めた。

 

なんて事だ!こんな事なら一緒に来ていれば……

 

「くそ!鈴々!この者を邑の人たちがいる所まで連れて行くんだ、私は急いで戻る!鈴々も後から追いかけて来い!」

 

「わかったのだ!」

 

急ぎ来た道を戻らねば!桃香さまとご主人様の身に危険が!

 

「ご主人様、桃香様どうかご無事で……」

 

<一刀視点>

 

「ご主人様!足が速いよ。もうちょっとゆっくり走って!」

 

「ごめん、少し早く走りすぎちゃったかな」

 

それほど早く走ってたつもりは無かったんだけど、やっぱり桃香にはきつかったかな?

 

「ううん、ごめんなさい。私が体力無いから」

 

「そんなの気にしなくていいよ、それじゃ少し……」

 

「?どうしたのご主人様?」

 

「しっ!誰かに見られてる……」

 

「えっ!も、もしかして盗賊さんですか?」

 

盗賊さんって悪党に『さん』付けは如何なものですか、桃香?まあ、なんだか桃香らしいけどね。

 

俺は気を取り直して青龍飛天に手をかけ、いつでも戦闘できるようにして辺りの気配を探り出した。

 

友好的な気配とは程遠いな。盗賊か?それに……

 

「まずいな、囲まれてる」

 

「ええ!?ど、どうしよう……」

 

「大丈夫だよ。桃香は俺が守ってあげるから」

 

俺は桃香を安心させる為に微笑みながら頭を撫でてあげた。すると一瞬驚いた顔をしたが直ぐに安心したのか微笑み返してくれた。

 

「ご主人様……」

 

「がはは、こんな所で上玉の女に出会えるとは思わなかったぜ」

 

笑いながら現れたのは大柄の男とそれに従うように現れた複数人の男達だった。男は桃香を品定めするかのように上から下へと見た後、舌なめずりをした。

 

あいつが大将か?いかにもって顔をしてるな。力量はたいしたこと無いけど。

 

俺はその男を睨みつけながら震える桃香を背中で庇った。

 

「ご、ご主人様……」

 

「大丈夫。桃香には指一本振れさせないからね」

 

さて……ざっと見た限りだと150人くらい居るか?いや、もっとか。

 

俺は周囲の気配を感じ取り、かなりの人数が俺たちを囲っている事がわかった。

 

「親分、この男どうします?」

 

「あん?服は随分と上等なもんみたいだな、売ればそれなりの金になるだろ、服以外はどうでもいいから殺しちまえ」

 

「へへ、了解だぜ」

 

「そ、そんなっ!」

 

盗賊の卑劣な言葉に桃香は顔を青ざめていた。まずいな、とにかく桃香だけでも安全な場所に逃がさないと……

 

「へへ。覚悟しろや」

 

「……っ!」

 

じりじりと距離を縮めてくる盗賊たちから桃香を庇っていると、何を思ったのか桃香は俺の前に出て両手を広げてきた。

 

「ご主人様、私はいいから逃げてください!」

 

「そんなこと出来るわけないだろ!」

 

「で、でも、ご主人様だけでも逃げてくれれば!」

 

「馬鹿な事を言うなっ!」

 

「っ!」

 

「自分が犠牲になって助けたって、俺はちっとも嬉しくないぞ」

 

「で、でも!っ!?」

 

まだ、反論してきそうだったので桃香の唇に自分の唇を押し当てて黙らせた。そして、出来るだけ優しく笑顔で答えた。

 

「それに俺は桃香たちの主なんだろ?だったら主として桃香を守らないとな」

 

「ご主人様……」

 

「けっ!何こんな状況でいい雰囲気になってるんだよ!おめぇら!男の方からやっちまえ!」

 

「「へい!」」

 

「桃香。俺から離れるなよ?」

 

「は、はい!」

 

しかし、この数は流石に庇いながらはきついかな。一人なら余裕なんだが……

 

一刀は桃香だけに聞こえるように話し出した

 

「桃香、今から邑に向かう道を開けるから、開けたら全力で愛紗たちのところまで走るんだ」

 

「え!?で、でもそれじゃご主人様は!?」

 

「大丈夫、俺も桃香の後ろを付いていくよ。俺は追いかけてくる盗賊共を抑えながら逃げるから、桃香はとにかく後ろを振り向かずに走り抜けるんだ。いいね?」

 

「わかりました。でも、無茶だけはしないでくださいね?ご主人様が傷つくのはイヤですから」

 

「わかったよ。俺も桃香の悲しむ顔は嫌だからね」

 

心配そうに見詰める桃香の頭を優しく撫でる。すると桃香は頬を赤くして俯きながら伝えてきた。

 

「あ、あのご主人様。無事に愛紗ちゃんたちの所に辿り着けたら、また頭を撫でてくださいね」

 

「桃香は甘えん坊だな」

 

「ご、ご主人様にだけですっ!」

 

「そうか?見た限りだと愛紗にも結構甘えてるように見えるけど?」

 

「そ、そんなことないですよ!ご主人様、意地悪です」

 

「はははっ!ごめんごめん。よし、それじゃいくぞ。抜けるまで俺の後ろについてくるんだよ」

 

「はい!」

 

俺は腰に挿してある青龍飛天を鞘から抜き左手に鞘を持った。

 

「ふぅ~……はっ!」

 

一呼吸した後、気合とともに殺気を相手にぶつけた。

 

「ひっ!?」

 

「な、なんだっ!?」

 

盗賊たちは俺の殺気に中てられ混乱していた。

 

「今だ!はぁぁぁあああっ!」

 

――ザシュ

 

青龍飛天の一振りで数人の盗賊が地面に倒れこむ。

 

「ちょっと道を開けて貰うよ!はっ!」

 

「がっ!」

 

鞘によるなぎ払いを喰らい仰け反っている盗賊の腹に蹴りを喰らわせ後ろに居た盗賊共々後ろへ押しのけさらに道を切り開く。

 

俺は襲い掛かってくる盗賊を押えながら道を開き、桃香もその後ろを懸命に付いて走って来ていた。

 

「な、何していやがる!さっさと殺せ!」

 

大将は我に返り手下に激を飛ばしてきた。

 

「うりゃーーーーっ!」

 

「はっ!」

 

左から襲い掛かってくる盗賊からは鞘で相手の太刀を受け止め青龍飛天で斬りつける。

 

「ぎゃーー!」

 

「死ねやーーー!」

 

「そうはいくかよ!」

 

「ぐがっ!」

 

右からくる盗賊にはその逆で青龍飛天で受け止め、鞘で相手の腹に突きをお見舞いした。

 

「ご主人様、凄い……こんなに強かったんだ」

 

後ろで桃香が呟くように何か喋ってるけどちょっと回りが煩くて聞き取れないな。

 

「桃香っ!もう直ぐ抜けるぞ!」

 

「は、はい!」

 

「逃がすかっ!」

 

「逃がさせてもらうよっ!」

 

「ぐぎゃっ!」

 

目の前の盗賊を蹴飛ばしようやく道が開けた。

 

「よし、抜けた!桃香は俺の前を走るんだ!」

 

「はい!」

 

俺は桃香を先へ生かせてその後を追った。

 

「くそっ!何してやがる逃がすな!」

 

盗賊の頭は顔を赤くして手下どもに俺たちを追いかけろと叫んでいた。

 

そろそろいいかな?

 

俺は少しずつ桃香から距離を離して桃香が見えなくなった所で立ち止まり振り返った。

 

「へ、なんだよ女は逃がして自分はここで食い止めて仲間を待つってか?」

 

盗賊の頭が笑いながら睨みつけてきたが俺はなんとも思っていないように答えた。

 

「半分当たりで半分はずれかな」

 

俺は顔に笑みを浮かべながら答えた。

 

「なに?じゃあ、何だって言うんだ!」

 

頭は俺の態度が気に入らなかったのか苛立ちを見せ叫んできた。

 

「劉備を先に行かせたのは、これから起こる光景を見せたくないからさ」

 

「はん!自分の死んだ姿か?がはははは!」

 

大笑いする頭とその仲間達に俺は笑顔で一言答えた。

 

「いいや……俺の姿をだよ」

 

そういうと俺は左手に持っていた鞘を腰に戻しもう片方の刀、炎龍飛天を鞘から引き抜いた。そして腰につけていた袋から赤く光る玉と緑に光る玉を取り出した。

 

「なんだそりゃ」

 

「これはこう使うんだよ」

 

俺は青龍飛天と炎龍飛天の窪みに玉をはめ込んだ。

 

「な!」

 

すると青龍飛天は赤く、炎龍飛天は緑色に刃が輝きだした。

 

「この二本の刀の名前は双龍天舞、右手が青龍飛天、左が炎龍飛天だ。この二本の刀は特殊な石をはめ込むとこうなるんだ」

 

「へ……た、ただのこけおどしだ!お前らやっちまえ!」

 

盗賊の頭は驚きながらも手下に命令を下してきた。

 

「はぁ、仕方ないな……手加減はするけどさ。怨まないでくれよ?」

 

「なに抜かしてやがるんだ!たった一人で何が出来やがる!」

 

「一人だから出来る事もあるんだよ……舞い踊れ、火龍演舞っ!!」

 

そして、俺は剣舞を舞った。

<桃香視点>

 

「はぁ!はぁ!」

 

もう少しで愛紗ちゃんたちが向った邑に着く。

 

懸命に走ったせいか何度も足がもつれそうになるけどご主人様に迷惑を掛けないために何度も持ち直した。

 

「はぁ、はぁ……ん、はぁ、はぁ」

 

暫らく走っていると前から人影が向かっているのが見えた。

 

「!?愛紗ちゃん!」

 

「桃香さまっ!?」

 

前から来た人影は愛紗ちゃんだった。

 

「あ、愛紗ちゃ~~~んっ!」

 

私は少し涙ぐみながら、そのまま愛紗ちゃんの胸に飛びついた。

 

「桃香さま!ご無事でしたか!」

 

「うん、はぁ、はぁ、私は平気だよ。ご、ご主人様が私を庇って先に逃がしてくれたから」

 

「それでご主人様は?」

 

「え?直ぐ後ろに居るでしょ?……え?」

 

後ろを振り返るがご主人様は何処にも居なかった。

 

「あ、あれ!後ろで盗賊から私を庇いながら逃げるって言ってたのに!」

 

「ま、まさか。一人で残ったのでは!」

 

「そ、そんな急いで戻らないとご主人様が危ないよ!……あぅ!」

 

「大丈夫ですか桃香さま!」

 

さっきまで全速力で走っていたせいなのか足に力が入らずそのまま前にこけてしまった。

 

「うぅ……どうしよう愛紗ちゃん!私どうしたらいいかわからないよぉ。このままじゃご主人様が……」

 

死んじゃう……

 

そんなこと無いと思ってるけど、どうしても頭から離れない。

 

「大丈夫です桃香さま。私が今からご主人様を助けに向います。ですから桃香さまは邑に戻っていてください」

 

「そんな!私も行くよ!」

 

「だめです!桃香様はこれから国を背負っていくお方、ご辛抱ください!」

 

「で、でも!それはご主人様もっ!」

 

それでも私は愛紗ちゃんに縋り付く。だって、私のせいでご主人様が危険な目に合ってると思うと居てもたってもいられないよ!

 

「しかしですね……」

 

愛紗ちゃんは困り果てた顔で私を見ていた。愛紗ちゃんはきっとわかってるんだと思う、私が一度言い出すと考えを変えない事に。

 

でも、それは人の命が関わってるんだから当たり前だよ!だって私は皆が笑って暮らせる世界にしたいんだから……

 

「愛紗ー!桃香お姉ちゃーん!」

 

「鈴々!」

 

「鈴々ちゃん!」

 

愛紗ちゃんが困り果てていると邑のあるほうから鈴々ちゃんが手を振って走ってきた。

 

「さっきのおじちゃんをみんなの所に避難させてきたのだ」

 

「そうか、なら鈴々よ。今からご主人様を助けに行く。鈴々は桃香さまをお守りするのだ」

 

「了解なのだ!」

 

「愛紗ちゃん……」

 

「言っても聞かない事は判っていますからね」

 

仕方が無いと顔では言ってたけど愛紗ちゃんは微笑んでくれた。

 

「ありがとう、愛紗ちゃん」

 

「さあ、急ぎますよ」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

私は鈴々ちゃんに支えられながら懸命に走り出した。

 

……

 

…………

 

………………

 

「はっ!はっ!」

 

「桃香さま大丈夫ですか?」

 

「う、うん!平気だよ」

 

本当は全然平気じゃないけどご主人様のことが心配でそれ所じゃないの。

 

「はっ!はっ!……っ!桃香さま、止まってください!」

 

「ど、どうしたの愛紗ちゃん?」

 

「誰かがこっちへ向ってきています」

 

「えっ!だ、誰なの!?」

 

「判りません。油断しないでください桃香さま」

 

「う、うん……」

 

愛紗ちゃんと鈴々ちゃんは私を庇うようにして前に立ち武器を構えました。

 

「……っ!?ご主人様っ!」

 

「お兄ちゃんなのだっ!」

 

「えっ……ご主人様!?」

 

愛紗ちゃんと鈴々ちゃんの驚きの声に私は間から覗き込むとそこには笑顔でご主人様が歩いてきていた。

 

「あ、桃香!無事に愛紗と鈴々に逢えたんだね、良かった」

 

「ご、ご主人様~~~っ!!」

 

「おっとっ!」

 

「ふぇ~ん!心配したんだから~~~っ!」

 

ご主人様の笑顔に安心した私は泣きながらご主人様の胸に飛び込みポカポカと叩いた。

 

「いてて、ごめんな桃香」

 

「ご主人様、良くぞご無事で。お怪我はございませんか?」

 

「ああ、大丈夫だよ。あれくらいじゃ怪我はしないからね」

 

「しかし、かなりの人数が居たと思いますが」

 

「そ、そうだよ!囲まれるくらいいっぱい居たのに!」

 

「うん。まぁ、なんだ……やっつけた」

 

「ええっ?!あ、あの大勢居た盗賊さんを全員倒したんですか!」

 

ご主人様は頭を掻きながらばつが悪そうに答えてるけど。あの人数を一人で?愛紗ちゃんも出来なくはないと思うけどこんなに早くは流石に無理だよね?

 

「300人近い盗賊を一人でですか!?」

 

「お兄ちゃん凄いのだ!」

 

愛紗ちゃんと鈴々ちゃんも同じように驚いていた。でも、そんな事よりも……

 

「そんなことより、ご主人様が無事でよかったよ~」

 

「心配してくれてありがとうな桃香」

 

ご主人様は微笑みながら私の頭を撫でてくれた。

 

「ご主人様……」

 

「約束だからね。無事に愛紗たちの所に辿り着けたら頭を撫でるって」

 

「えへへ……」

 

やっぱり、ご主人様は優しい人だな。きっとご主人様なら……

 

私達の夢を現実にしてくれるよね。

 

 

「お姉ちゃんいいな~。鈴々も撫でて欲しいのだ!」

 

「おっとっ!」

 

「こ、こら鈴々!ご主人様になんて事を!」

 

「いいよいいよ。よしよし、これでいいか?」

 

「にゃはは。お兄ちゃんの手、大きくて気持ちがいいのだ♪愛紗も撫でてもらうのだ!」

 

「私は結構だ!それよりも早く邑の人たちに報告をせねばならないだろ」

 

愛紗ちゃんの言う事も最もだ。邑ではまだ不安に思っている人たちが大勢居るんだから。

 

「愛紗、邑の人たちは無事なのか?」

 

「はい、異変に気づき来る前に避難できていたようです。ですが一人逃げ遅れてしまい家の下敷きになっておりました。幸い軽傷ですんだので鈴々に村人たちが居る所まで避難をさせました」

 

「そうか。ありがとうな、鈴々」

 

「にゃはは。これくらいお安い御用なのだ」

 

頭を撫でられうれしそうにする鈴々ちゃん。

 

「ごほん!して、これからどうしましょうかご主人様」

 

「そうだな。この事を急いで邑の人たちに教えてあげないと。鈴々、案内してくれるかな?」

 

「がってん承知なのだ!」

 

鈴々ちゃんは、胸を張り右手を握り締めて自分の胸に当てていた。

 

「ふっふふふふ~ん♪」

 

鈴々ちゃんは歩きながら機嫌がいいのか鼻歌を歌っていた。

 

「ご主人様。少々よろしいでしょうか」

 

「ん?どうしたんだ愛紗?」

 

そんな中、愛紗ちゃんはご主人様に話しかけていた。何の話かな?

 

気になった私はご主人様と愛紗ちゃんの話しに耳を澄ませた。

 

「本当にお一人で300人近い盗賊をお倒しになったのですか?」

 

「300人居たかはわからないけど。とりあえず襲ってきた奴等は倒したよ」

 

「やはりご主人様は相当な武をお持ちなのですね」

 

「そうなのかな?そんな事ないと思うけど」

 

「ご謙遜を、桃香さまと別れて幾ばくも経っていないうちに戻ってこられたのです。これで、武がないとは到底思えません」

 

「ははは、大袈裟だよ。でも、ありがとうな愛紗」

 

「いえ。お礼を言われるような事ではありません。逆に、桃香さまを守ってもらいこちらがお礼を言いたいくらいです」

 

「ははは、当たり前だよ。だって俺は桃香や愛紗たちのご主人様なんだろ?だったら俺が皆を守らないとね」

 

「~~っ」

 

当たり前の様に笑って答えるご主人様の声にまた、顔が熱くなってきちゃった。愛紗ちゃんも少し頬が赤くなってるように見えた。

 

この時代。自分の命ほしさに部下に無茶な命令をする太守が多い中、ご主人様は自ら前に出て私達を守ると言ってくれた。

 

その事が嬉しくて、でもなんだか恥ずかしくてよく判らない気持ちになる。

 

「そのお考えは素晴らしいものですが、私としては余り前には出て欲しくはありません。万が一お怪我でもされては一大事です。まあ、それはそれとして、一度ご主人様とはお手合わせを願いたいですね」

 

「手合わせ?」

 

「はい。やはり武人としてはご主人様の武にも触れてみたいと思いまして。如何でしょうか?」

 

「そうだな。そのうち機会があったらね」

 

「約束ですよ」

 

「ああ、約束するよ」

 

「む~……ご主人様っ!」

 

なんだか愛紗ちゃんとご主人様が楽しそうに話をしているのが面白くなくなってきた私はご主人様の腕に抱きついて上目使いで見上げた。

 

「えっ、桃香?」

 

「さっきから愛紗ちゃんと何楽しそうにお話してるの?私も混ぜてください!」

 

「そ、そんなこと無いと思うけど」

 

「あります!それに愛紗ちゃんと手合わせするなんてずるいです!私ともしてください!」

 

「べ、別にいいけど。桃香って戦えるのか?」

 

「う゛っ……そ、それは……た、太刀なら持ってますよ。ほらっ!」

 

私は自分の持っている靖王伝家をご主人様に見せた。

 

「持ってるのはわかるけど……振り回せるのか?」

 

「それくらい出来ますよ!見ててくださいね!すぅは~すぅは~……やぁ!」

 

深呼吸をして剣を振るう。だけど剣の重さに振り回されてそのままぐるぐると周りだしてしまった。

 

「わ、わ、わっ!と、止まらないよぉ~」

 

「桃香さまっ!」

 

「んにゃ?お姉ちゃんなにぐるぐる回ってるのだ?」

 

先頭を歩いていた鈴々ちゃんは、後ろが騒がしい事に気が付いて振り返ると回っている私を見て首を傾げていた。

 

「だ、誰か止めてぇ~」

 

「桃香、取りあえず。剣を離すんだ!」

 

「は、はいっ!……きゃっ!」

 

ご主人様に言われた通り、両手で持っていた剣を離すと靖王伝家は勢いよく飛び木に刺さり、私は重心がずれてそのまま尻餅をついてしまった。

 

「いたた……」

 

「大丈夫ですか桃香さま?」

 

「お姉ちゃん大丈夫か?」

 

「う、うん。大丈夫だよ」

 

「ほら、桃香」

 

「あ、ありがとうございます。ご主人様」

 

ご主人様は尻餅をついた私に手を差し伸べてくれた。

 

「桃香はもう少し力をつけた方がいいかもね」

 

「そ、そうします……はぁ」

 

うぅ~、ご主人様に恥ずかしいところ見られちゃったよ。

 

「ご主人様。邑に着いたら如何なさいましょうか」

 

「邑の状態を見て復旧作業かな」

 

「そうだよね!家が無いと生活できないもんね!」

 

愛紗ちゃんが上手く話を変えてくれたので私もその意見に乗った。

 

「そうだな。よし、それじゃ急いで邑に戻ろうか」

 

「「はい!」」

 

「おうなのだ!」

 

歩き出すみんなを後ろから見詰めて私は思った。

 

これから先もきっと困難な事がいっぱいあるだろうけど愛紗ちゃんや鈴々ちゃん、それにご主人様と力を合わせていこう。

 

そして、皆が笑って過ごせる大陸にする為に……

 

「桃香さま何をしておいでなのですか?行きますよ」

 

「お姉ちゃん早くなのだ!」

 

「桃香。早くおいでよ」

 

振り返りみんなが私の事を呼んくる。

 

そして、ご主人様は笑顔で答えて手を差し伸べてきた。

 

私はその手を目掛けて走り出した。

 

「うん!今行くよ!」

 

 

《To be continued...》

葉月「……」

 

愛紗「おい、葉月。挨拶はどうした」

 

葉月「ども、葉月です」

 

愛紗「それだけか!?って、何をしているのだ?」

 

葉月「ファンタシースターポータブル2インフィニティーですよ」

 

愛紗「ふぁんた……なんだって?」

 

葉月「あ~気にしないでください。あ、それとそろそろゲストが来ると思うのでよろしく」

 

愛紗「よろしくとは何だ!仮にも作者だろうが!」

 

??「遅れてすいませ~~ん!」

 

愛紗「ん。来たようだな。別にかまわな……って、桃香さま!」

 

桃香「あっ!愛紗ちゃんだ~♪」

 

愛紗「なぜ桃香さまがここに!?」

 

葉月「前回説明したでしょうが」

 

愛紗「そ、そうだった……そ、それでは桃香さま。自己紹介をお願いします」

 

桃香「うん!えっと、皆さんこんにちは劉玄徳こと桃香です!」

 

愛紗「さて、作者が使い物にならないので我々だけで話を進めましょう」

 

桃香「何してるんですか?」

 

愛紗「怠けているだけです。桃香さまはお気になさるようなことではございません。さて今回、等々ご主人様が戦闘されましたが如何だったでしょうか」

 

桃香「かっこよかったよね~。愛紗ちゃんとどっちが強いのかな?」

 

愛紗「私は見ていないので判りかねますが……葉月。どうなのだ?」

 

葉月「……」

 

愛紗「~~~~っ!!」

 

桃香「ま、まあまあ、愛紗ちゃん落ち着いて落ち着いて」

 

愛紗「くっ!後で見て居ろよ葉月」

 

葉月「ふふん」

 

愛紗「こんな時ばかり反応するな~~~~っ!」

 

葉月「のわ~~~っ!わ、私のPSPが~~~~~っ!」

 

愛紗「ふんっ!」

 

葉月「何てことするんですか!私のPSPが星になっちゃったじゃないですか!」

 

愛紗「貴様がいけないのだろう。私を無視するから!」

 

桃香「ほ、ほらほら!二人とも落ち着いて!そ、それで次回はどうなるんですか?」

 

葉月「え?ああ、次回は拠点になります」

 

愛紗「む。では投票をするのか?」

 

葉月「ツーン!」

 

愛紗「こ、このっ!」

 

桃香「お、落ち着いて愛紗ちゃん!それで投票するんですか?」

 

葉月「今回は二人しか居ないので投票は無しです」

 

桃香「え?二人?」

 

愛紗「……おい」

 

葉月「桃香と鈴々ですね」

 

愛紗「おいっ!」

 

葉月「なんだか。周りが煩いですね~~~」

 

愛紗「……」

 

葉月「おっと。な、何をするのかな愛紗さん?」

 

愛紗「少しおいたが過ぎるようだからな私が正してやろうと思っただけだ」

 

葉月「ふ、ふん!お、脅しには屈しませんよ!」

 

愛紗「脅しでないか試してみるか?」

 

葉月「ごめんなさい、すいません、私が悪うございました!」

 

桃香「早っ!」

 

愛紗「判ればいいのだ。もちろん拠点は私を入れた三人であろう?」

 

葉月「はい!」

 

桃香「あは、あはははは……」

 

葉月「さて、そろそろお開きにします……PSP探しに行かないと」

 

愛紗「壊しておけばよかったな」

 

葉月「酷いっ!」

 

愛紗「酷くない!そんなことをしているから作品が仕上がらないのではないのか!」

 

葉月「うぐっ!……で、では皆さんまた次回お会いしましょ~~!」

 

愛紗「逃げたなっ!ごほんっ!ではみなの者また会おう」

 

桃香「えっと、あんまり活躍してなかったけどまた次回会いましょうね!」


 
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