No.1190803

「拙者、虹 鱒ノ助と申す」

新人さん

鮭は英語で salmon(サーモン)と表現するから、僕は近年までずっとサーモンと鮭は同じものだと思っていた。だから 日本の鮭とサーモンは別ものだと知ったときは衝撃だった。めんどうな世の中になったものだ。知らぬ間に誰かが天然物をサケ、生食用に養殖したものをサーモンと使い分けていたのだ。 僕が子供の頃は 漁師の父から 鮭には虫が多いから、鮭の刺身は必ず冷凍してから凍ったまま切って食べなさいと教えられていたから、鮭の刺身は凍らせたルイベしか食べなかった。寿司屋にも鮭の握りなんてなかった。サケに寄生するアニサキス、サナダムシ、サケジラミは56℃以上に加熱するか、−20℃以下で24時間以上冷凍しないと死滅しないらしい。 僕は未だにサーモンの寿司は恐ろしくて食べたくはない。 だが今の鮭とサーモンは根本的に違うようだ。寿司のネタで食べているサーモンは、ニジマス(トラウトサーモン)だという。サケは命懸けで産卵するが、ニジマスは1~2年で成熟し、産卵は複数回できるから養殖に適しているそうだ。ニジマスも降海型だが、海へ降りれば名前や大きさも変わり「トラウトサーモン」と呼ばれる。川や湖に残った個体はトラウトのままでニジマスと呼ばれている。海へ行かないからエビもカニもたべずに身は白いままだ。だから鮭もサーモンも基本は白身の魚だ。鱒と鮭を別の魚に分類してるのは日本だけらしく、外国では単純に 海へ行くとサーモン、いかなければトラウトと呼ばれているそうだ。 サーモンの身が赤くなるのは、エビやカニを食べて赤いアスタキサンチンを蓄えるからだという。海水で養殖するサーモンは飼料にアスタキサンチンを混ぜて身を赤くしているそうだ。赤くないとサーモンらしくない。アスタキサンチンの抗酸化作用は、βカロテンの5倍、ビタミンEの1000~6000倍といわれていて、夏の強い味方だ。優れた紫外線防御作用を持ち、夏前から摂取することで日光による酸化ストレスに対抗できるといわれている。アスタキサンチンは痛め付けられた細胞をケアしてくれるのだ。鮭はアスタキサンチンの抗酸化力に助けられて川の激流を遡り産卵するといわれている。川を遡上する前の鮭の方が美味しいのはアスタキサンチンもたっぷり蓄えられているからかも知れない。コーセーが一番アスタキサンチンの研究を進めているようで、化粧品に利用している。 また、弁当に鮭ばかり使われているのは、味の良さや手軽さだと皆は言っているが、僕は鮭にアスタキサンチンがあるからだと思っている。酸化することと腐ることは違うが、細菌やウイルスなどの異物を排除するときも体内では活性酸素がつくられるから、腐りそうな弁当を食べても活性酸素を除去するアスタキサンチンの効果で平気でいられるのかも知れないのだ。 もっと鮭を食べて活性酸素対策をしたいところだが、天然の鮭は9月〜11月にしか獲れないから現代の僕等は 養殖のサーモンに助けられているわけだ。天然の鮭は漁獲量が激減していて、2026年の秋も不漁となりそうだ。 国内漁獲量の9割以上を占める北海道に戻るサケの数は、不漁だった25年よりさらに半減する見通しらしい。 サケやイクラは高値が続き、資源を支えてきたふ化・放流事業の継続さえ困難になっているそうだ。北海道にブリなんかいらないのだから、もっとサーモンの養殖を頑張ってもらいたい。 7月30日は サケ・マスなどの魚類の養殖・加工・販売を手掛けている、株式会社モウイジャパンによって制定された「生サーモンの日」だ。将来は本物の鮭やイクラは幻となり、しょっぱい荒巻鮭や しゃっこいルイベは食べれなくなって、サケもどきの虹鱒サーモンばかりになるのだと思うと寂しい。

2026-07-30 14:34:14 投稿 / 490×366ピクセル

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