少し眠くなってきたな。お兄ちゃんの膝の上に抱かれて、温かい。でも、もうちょっとだけ……。
「ガスパール」
お兄ちゃんを振り返る。オニキスみたいな黒い瞳がボクを見つめている。夜空の向こうにあるお城や森みたいに深い黒だ。ボクは目が離せない。
「面白い? その本」
「うん!」
お兄ちゃんが柔らかく笑う。髪を撫でられると、安心してますます眠くなっちゃう。でも、ちょっぴりくすぐったい。
「前にも読んだでしょうに」
「あれ? そんなこと……そう、だっけ?」
「ほら、これ」
お兄ちゃんはそう言うと、一冊の本を取り出して床に置いた。
「うちにもありますよ、この本」
「あ、ホントだ……」
表紙に『イリュージョン:変幻公式と応用』とある。そういえば最近、ブルヤールに町へのお遣いを頼んだときに読み直したんだ。お兄ちゃんは、イリュージョンの術式って使ったことあるのかな。
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微睡みの中で滲むインクと影。
以下、前回同様のがんばるぞ抱負(コピペ)です:
作品完成しない病を克服したいので、創作15分ルーティンをがんばってます。その日に思いついたテーマでランダムに書いて投稿します。
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