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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第九十三回 第五章B:御遣い奪還編⑨・この娘も一緒に助けてもいいか?

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

今回は、北郷の脱走劇が始まろうとするものの、

場もわきまえず相変わらずのお約束が発動される模様。

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2016-09-18 00:01:10 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2062   閲覧ユーザー数:1780

 

 

張郃が興奮した様子で単身部屋を飛び出してしまったが、しかし、郭嘉と徐晃はこうなってしまっては止められないと知っているため、

 

無理に止めに行こうとはせず、そのまま賊の函谷関突破に伴う今後の行動について話を続けていた。

 

 

 

郭嘉「確かに函谷関が破られたことは予想外ですし、今は官渡での袁紹軍との決戦以来の、我が軍に未曽有の危機が迫っていると言って

 

間違いないでしょう。ですが、今この城には満寵がいます。彼女がいる限り、間違ってもこの城が落ちるということはまずあり得ません。

 

ここ最近、城近辺でも新しい試作機を次々に投入しているようですしね」

 

 

 

難攻不落と謳われる函谷関が突破され、間もなく曹操軍の本拠たる許に敵軍が攻め込み、

 

しかも自軍の大半が不在という絶体絶命の状況にもかかわらず、しかし、郭嘉は慌てた様子もなく、

 

満寵の存在を理由に本城が攻略されることはあり得ないと告げた。

 

 

 

徐晃「ですが稟さん、満寵さんは最近は合肥での功績から、華琳様に新たに予算をつけてもらっていましたし、あの方のことですから、

 

発明に没頭して、たとえ城下まで賊に攻め込まれたとしても、全く気づきもしないかもしれません、すいません」

 

 

郭嘉「ふふ、有り得ますね。そういえば、合肥で凪たちが孫策軍に攻め込まれ、てんやわんやしている中、一人城内の研究所に籠り発明

 

に没頭していたため戦闘に気づかなく、危うく城が落ちかけたという話がありましたね」

 

 

 

合肥に侵攻した孫策軍が北郷軍の張遼に撃退されて以来、楽進・李典・于禁らと共に合肥の防衛を任された満寵は、

 

防衛のための兵器をと、日夜自身の発明所に籠って新兵器の開発に勤しんでいたのだが、

 

発明に没頭すると周りが見えなくなるという性質が祟り、更に研究所には鍵が、しかも中で大きな音を立てて作業をしているせいか、

 

外からの声も聞こえず、結果、ある時は周瑜が、ある時は孫策自らが出陣し合肥に攻撃を仕掛けたが、

 

頼みにしていた兵器を唯一動かせる満寵不在のため兵器も作動せず、楽進たちだけでは孫策軍の進撃を止めきれず、

 

危うく城が落ちようかといったその時、満寵の発明の師である李典がブチ切れ、発明所に殴り込みにかかり扉を破壊。

 

ようやく気が付いた満寵が城の周辺に設置していた新兵器を起動させ、孫策軍を追い返したということか何度か起こっているのだという。

 

 

 

徐晃「結局、真桜さんが螺旋槍で研究所の扉に風穴を開けて、そこで満寵さんもようやく気付いたという話でしたよね、すいません」

 

 

郭嘉「ええ、ですから、そろそろ真桜から預かったこの火薬玉で研究所の扉を吹きとばして強制的に気づかせようと思いますが、まぁ、

 

すべて満寵任せにするわけにはいきませんし、確か満寵の新兵器は城の東側に試験的に仕掛けられていたはず。洛陽方面から賊が攻めて

 

くるのなら西側は山に阻まれ行軍は困難。早さを重視していることからも南側まで回り込むのも考えにくい。恐らく北門か東門を攻める

 

でしょう。なら、北門は私が一計仕掛けるとしましょう」

 

 

 

すると、郭嘉は懐から『真桜謹製』と書かれた玉状のものを取り出すと、

 

掌の上で見せつけるように転がしながら眼鏡のずれを直し、不敵に嗤って見せるのであった。

 

 

 

 

 

 

【豫州、潁川郡、許城地下牢】

 

 

蝋燭の明かりが唯一の光源となっている暗い地下牢の中、コツコツコツと複数人の歩く足音が静寂の包む地下に木霊していた。

 

歩いているのは5人の人物。

 

一人は地下牢に閉じ込められていた罪人で、後ろ手に枷をはめられており、

 

そして、罪人を取り囲むように前後左右に一人ずつ魏の兵士が歩いている。

 

罪人の名前は北郷一刀。

 

天の御遣いとして曹操軍に協力することを拒み、幽閉されていたのである。

 

そして、周りを取り囲むのは、先頭に臧覇、左右に魏続、宋憲、背後に侯成である。

 

 

 

北郷「けど、さっきの大きな爆発は、やっぱりどこかの軍がもうここまで攻めてきたってことなのか?」

 

 

臧覇「いや、さすがにここまでってのは早すぎるぜ。確か最後に俺が聞いた報告だと、間もなく函谷関に攻め込まれるって話だぜ。ここ

 

数日は地下に報告が来てないから最新の情報は分からないが、さすがに函谷関はそう易々突破されないだろうし、たぶん、満寵あたりが

 

発明の際に爆発でも起こしたんだろうぜ」

 

 

 

北郷は先ほど地下が揺れるほどの大きな爆発から、城がすでに何者かによって攻められているのではと推測するが、

 

臧覇はまだ来ていないはずと否定し、発明家の満寵が、何かやらかして爆発させたのだろうと結論付けた。

 

 

 

魏続「ハァ、それに、仮にここまで攻め込まれていたとすれば、地上はもっと大騒ぎになっているでしょうが、私たちが地上にいた時は

 

そこまでの騒ぎにはなっていなかったと思いますよ」

 

 

臧覇「とにかく、段取りを再度確認するぜ。今、曹操軍はどこかの賊軍の襲撃を受けている。噂では御遣い処刑の報復に来た成都軍じゃ

 

ないかって話だが、誰にせよ、俺たちはその混乱を利用させてもらうぜ。御遣いに曹操軍の隊服を着せて、函谷関あたりへの増援に紛れ

 

させるぜ」

 

 

 

現在、北郷を奪還しようと北郷軍と涼州軍が強行を仕掛け、すでに函谷関は突破されているのだが、

 

地下で看守としての仕事を全うしていた臧覇は地上に出ることは出来ず、また、地下へ情報が伝わっておらず、

 

そして、地上にいたはずの魏続らは、混乱を防ぐために郭嘉が情報統制でもしたのか、なぜか函谷関突破の知らせを認識しておらず、

 

今後予想される函谷関への増援として志願し、そこに北郷を紛れ込ませようという策を述べた。

 

 

 

臧覇「とりあえず、看守室に着いたら御遣いは着替えだぜ。同時に魏続と宋憲は少しでも連携しやすいように昔の仲間たちに声をかけて

 

おいてくれ。侯成は怪しまれないように普段通り振舞うんだぜ」

 

 

北郷「わかった」

魏続「ハァ、分かりました」

宋憲「はっ!了解!」

侯成「わかったッス!馬の手配ッスね!」

 

 

 

それぞれがとるべき行動を確認したところで、5人はさらに歩みを進める。

 

改めて北郷は地下牢全体に様子を窺った。

 

初めてここに連れて来られたときはそれどころではなかったため、

 

あまりよく観察できていなかったが、この地下牢は、どうやら地下に掘った道にいくつかの横穴を掘り、

 

そこに鉄製の部屋枠をはめ込むことで、脱出不能の堅牢な牢をいくつもこしらえているようであった。

 

牢の中にはすでに何かの罪で捕えられているであろう罪人が収容されており、北郷が臧覇らに連行されている様子が目に入ると、

 

次はアイツが処刑されるのか、だとか、新人の癖に、よほどの大悪党なんだろう、だとか、次は俺の番か、などと弱弱しく呟いていた。

 

しかしその時、いくつかある牢の中に、ひとつ、見覚えのある人物が収容されているのに北郷は気付いた。

 

牢の奥にチョコンと体育座りをしているのは、暗くてよく見えない中でも目立つ、地面に着くほどの長い真っ赤な髪に、

 

大き目の薄桃色のリボンを結わいつけ、えんじ色のミニシルクハットを乗せている、小柄な少女。

 

 

 

北郷「あっ、君は確か諸葛亮さんの!」

 

 

 

それはかつて、襄陽陵中で臥竜鳳雛の住まいを探していた時に所在を尋ねた女の子。

 

諸葛亮や鳳統と共に水鏡の下で学んだ同僚であり、友人でもある、劉備軍所属の軍師、徐庶であった。

 

 

 

徐庶「わわわ、えーとえーと、前に孔明ちゃんを探していた人・・・?」

 

 

 

徐庶は北郷の姿を確認すると、驚いた様子で慌てて記憶を探り、かつて諸葛亮の所在を尋ねてきた人物であると思い至る。

 

しかし、その慌て様は相変わらずなものの、かつての元気さは影もなく、疲れ切っているようであった。

 

 

 

臧覇「何だ?アンタ、コイツのこと知っているのか?」

 

北郷「ああ、前にちょっと世話になったことがあったんだけど、なんで君がこんなところに・・・もしかして捕虜にされたのかい?」

 

徐庶「わわわ、えーとえーと・・・・・・」

 

 

宋憲「はっ!このチビガキは劉備軍と曹操軍がやりあっている時に、程昱の計略にハメられて曹操軍に降ったものの、曹操軍に貸す知恵

 

はねぇってんで牢にぶち込まれてやがるんだぜ!」

 

 

 

北郷が鉄格子に顔を寄せながら尋ねると、徐庶は相変わらずの赤面症で顔を真っ赤にしながら慌てて答えようとするものの、

 

答えに詰まってしまうが、代わりに宋憲が馬鹿でかい声で徐庶が捕まったいきさつを説明した。

 

 

 

臧覇「・・・おい宋憲、一応言っておくが、このチビガキの一件は上層部と一部の人間しか知らない機密事項だぜ・・・」

 

魏続「ハァ、その一部というのが彼なのでしょう。まったく、本当にあなたは女性の事なら何でも知っているのですね・・・」

 

 

 

本来知らないはずの機密事項を当然のごとく語る宋憲に対して臧覇は唖然とした様子で肩を落とし、

 

魏続もため息交じりにいつもの大仰な身振りで肩をすくめてみせた。

 

 

 

北郷「そうなのかい?」

 

徐庶「わわわ!?・・・えーとえーとえーと、そ、そうなのでしゅぴぇゃ!?」

 

 

 

宋憲の情報の真偽を本人に確かめた北郷の問いかけにより、徐庶は詰まっていた言葉が再び息を吹き返し、

 

慌てた様子で肯定しようとするものの、慌て過ぎて噛んでしまっていた。

 

 

 

臧覇「まぁ、実際曹操に反抗しても生かされているのは、その類稀な才と、この容姿も相まって、どうしても手に入れたいって思われて

 

いるからだろうぜ」

 

 

北郷(さすがは人材コレクター、ほしいものは何でもって感じ―――ん?ようし?・・・・・・あぁ、容姿か、なるほど、そういえば曹操

 

は男色家だって話だから、この場合は、えーっと、ややこしいな・・・あ、そうか百合百合しい感じか・・・)

 

 

 

なるほど徐庶の才能が魅力的なあまり殺さず生かして我がものにしようとしているのかと納得仕様になったその時、

 

『容姿』という予想外のワードが出てきたことにより、一瞬北郷の思考は停止するが、

 

やがて曹操が男色家であったことを思い出し、ここの世界が現実世界と性別的に転換している点が見受けられることから、

 

その逆、つまりレズビアンの毛があるのだろうと、北郷は納得するに至った。

 

確かに徐庶の容姿は、十代前半と思しき女性らしく、美しさよりも可愛さにパラメータを全振りしたような、

 

とにかく一言で表現するなら可愛らしいの一言に尽きる少女で、

 

男性からはもちろんのこと、女性からも絶大の人気を誇るであろう、そのような容姿であった。

 

 

 

北郷(「・・・・・・臧覇、頼みがあるんだけど、この娘も一緒に助けてもいいか?知り合いなんだ」)

 

 

 

すると、北郷は突然小声になって、臧覇に徐庶も一緒に脱出させようという話を持ち掛けた。

 

 

 

臧覇(「は?いや、そりゃ無茶だぜ?ただでさえアンタ一人脱走させるのも相当高難易度なんだぜ・・・?」)

 

 

北郷(「それはもちろん分かってるさ。でも、このままここにいても、曹操に従う気がないのなら獄死がオチじゃないか?オレはこの娘に

 

助けてもらった借りもある。ここで見過ごすわけにはいかない」)

 

 

 

当然、そのような北郷の無茶ぶりに、臧覇も小声で無理だと言うが、それでも北郷はまったく引き下がる気配を見せない。

 

 

 

臧覇(「まぁ、借りと言えば、俺もコイツのおかげでアンタの見張りを任されたようなものだが・・・」)

 

 

 

臧覇は臧覇で、南征組に抜擢されていたところを、徐庶の助言によって残留が決定したということもあり、

 

言うなれば徐庶のおかげで北郷脱走計画が現実のものになったと言っても過言ではないのである。

 

 

 

魏続(「ハァ、臧覇殿、ここは諦めが肝心というものです。御遣い殿が退かないのはこの目を見れば明らか。以前の呂布殿のそれと同じ、

 

決して折れることのない強い意志を感じます。これ以上言い合っていても時間の無駄というものです」)

 

 

宋憲「はっ!そうだぜ!ウダウダ迷うくらいならさっさとやっちまえ!」

 

侯成(「宋憲さん声が大きいッス!」)

 

 

 

すると、迷いの見える臧覇を見た魏続が、ため息交じりに迷っていても北郷の意見が変わることはないし、

 

時間の無駄であると小声で主張し、宋憲も魏続の意見に同調するのだが、こちらは小声になることはなく、

 

普段通りの大きな声で言うものだから、侯成が慌てて小声で諌めに入る。

 

 

 

臧覇(「・・・・・・チッ、ったく、これでもし失敗したらお前ら全員地獄の果てまで追いかけてでも殺してやるから覚悟するんだぜ」)

 

 

 

そのような三人のやり取りを目にした臧覇は、自身が迷っているのが馬鹿らしくなったのか、

 

舌を打つと、恨み言を呟きながら徐庶の捕えられている牢の鍵に手をかけた。

 

 

 

臧覇「おいオマエ!出ろ!」

 

徐庶「わわわ!?」

 

 

 

すると、臧覇は牢を開けると、普通の声量で徐庶に出るよう命じたため、

 

それまでの小声でのやり取りが聞こえていなかった徐庶は、突然の事態に理解が追いつかず、驚きの声を上げた。

 

 

 

徐庶(「わわわ、えーとえーと、これはいったい・・・?」)

 

 

臧覇(「詳しい説明は後にして用件だけ言うから理解するんだぜ。俺たちは御遣いを脱走させるところなんだが、アンタも一緒に逃がして

 

やるんだぜ」)

 

 

 

徐庶が小声でどういうことかと説明を求めると、臧覇が再び小声になって要点だけ述べた。

 

 

 

徐庶(「わわわ!?えーとえーとえーと、良いのですか?」)

 

北郷(「君には一度世話になっているからね。これも何かの縁だよ」)

 

 

 

臧覇の言っていることが理解できず、徐庶は慌てた様子で悩み、そして再確認すると、

 

今度は北郷が安心させようと穏やかに微笑みながら小声で答えた。

 

そこでようやく徐庶は赤面しながらオロオロと立ち上がろうとするものの、

 

体が弱っているせいか、上手く立ち上がれず、ペタリと尻餅をついてしまう。

 

 

 

北郷「大丈夫かい?もし歩けなさそうなら、オレが背負ってあげるよ」

 

臧覇「おいおい、何をどう考えたらそうなるんだぜ!?アンタは罪人らしく大人しく歩いてるんだぜ!」

 

 

 

ただでさえ両手に枷がはめられているにもかかわらず、北郷は自然な動きで徐庶の前で背中を落とし、

 

背負う体勢に入るが、そもそも現在北郷は一人の罪人として臧覇たちに連行されている、という設定のはずなのである。

 

なぜそうなるのかと臧覇があきれ顔で珍しくツッコミ姿勢で止めに入るのも無理はないが、

 

北郷一刀という人となりを良く知っている人物がこの光景を見れば、

 

「ま・た・か」という一言と共にため息が出るにとどまっていただろう。

 

 

 

北郷「いや、やっぱり狭い牢の中にずっと閉じ込められているところ、急に歩けって言われても体が追いついていないから、この子には

 

酷な話だよ。それにほら、罪人同士何かの縁って感じで助け合っているみたいなさ、別にオレがこの娘を背負ってもそこまで不自然じゃ

 

ないと思うんだけど・・・」

 

 

 

そして、当然あきれ顔で止められたごときで引き下がる北郷ではなく、むしろ素で自身が徐庶を背負うことの正当性を主張し始めた。

 

 

 

臧覇「誰がどう見ても不自然だぜ!ったく、どうしてもコイツに気を遣いたいっていうんなら、代わりに俺が背負ってやるぜ」

 

北郷「いやいや、そんな、ここで君みたいな可愛い女の子に任せてしまったら、オレの男としての―――」

 

 

 

そのように北郷が諦め悪く食い下がっていたが、しかしその刹那・・・

 

 

 

魏続「ハァ・・・」

宋憲「はっ!」

侯成「あちゃ~ッス」

 

 

 

臧覇はその小柄な体躯のどこにそのような力がと思えるほどの、目にもとまらぬ速さで、

 

背負っていた大きな双戟の刃を無言で北郷の首元にぴたりと突き付け、北郷を強制的に黙らせた。

 

そして、魏続ら3人が同じタイミングで同じように顔を覆って天を仰ぎながら嘆きの(宋憲は面白がっている)声を上げる。

 

 

 

臧覇「今のは一回目だから大目に見てやるが一つだけはっきり言っといてやるぜ。一回しか言わないから脳の中に叩き込むんだぜ。俺は

 

お・と・こ、だぜ!!もし今度妙な事を言えば、たとえ奉先様の信を得ている御遣いだろうが容赦なく殺すぜ」

 

 

徐庶「わわわ~!?」

 

北郷「お、おおおおおお、おおおおお・・・・・・・・・」

 

 

 

北郷は臧覇から受けた突然の死の恐怖と、そして告白により、一時的に混乱状態に陥るが、

 

やがて辛うじて回復した思考力を頼りに脳裏によぎったのは次のような一言であった。

 

 

 

北郷(お、男の娘・・・だと・・・!?)

 

 

 

 

 

 

【豫洲、許県、城下近郊】

 

 

陳宮「では、手筈通り、北と東の二手に分かれ、まずは手近な拠点を落とし、そこから各城門に向けて出来るだけ派手に攻城を開始して

 

下さいです!恋殿とななは別動隊として先行して城内への侵入をよろしくです!」

 

 

 

呂布たち北郷奪還部隊は、虎牢関から一気に許県に入り、曹操の本拠、許城の見えるところまで侵攻していた。

 

 

 

馬超「よし、それじゃ、あたし達は東から攻めるぞ!蒲公英、玲衣、皆、行くぞ!」

 

馬岱「おー♪」

鳳徳「了解ッ!」

涼州兵「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエエィッッッ!!!!!」

 

 

 

そして、手筈どおり馬超ら涼州勢1万は東から許城を攻めるべく、呂布たちと別れ、東へと馬を走らせた。

 

 

 

陳宮「では、ねね達は北から攻めますぞ!」

 

張遼「よっしゃ!せいぜい派手に暴れたんで!」

 

北郷兵「応っ!!」

 

公孫賛「よし、私たちも頑張るぞ!」

 

公孫兵「ウィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!」

 

 

 

馬超たちの姿を見送ったのち、陳宮たちもそのまま北門へ向かって馬を走らせる。

 

 

 

高順「私たちは北方向から途中、西側に移動し、西側の城壁から侵入を試みます」

 

呂布「・・・(コクッ)」

 

 

 

さらに、高順と呂布も本命の別動隊としての任を果たすべく、最初は陳宮ら共に北門方向へと駆けだした。

 

 

 

 

 

 

【豫洲、許城北側】

 

 

陳宮「むむむ、ある程度予測していたとはいえ、騎馬に対する備えは万全ですな・・・」

 

 

 

許城北門を攻めるべく、攻撃拠点となる手近な拠点に向けて進軍を開始した陳宮たちであったが、目の前に広がっていたのは、

 

辺り一面に敷かれた馬防柵と、長槍を持って待ち構え、そしてその後ろには弓を構えている大量の曹操軍の兵士たちであった。

 

 

 

張遼「何がむむむや、こんなんでウチらを止められるかいな!白馬長史、行くで!」

 

公孫賛「ああ、皆、並みの騎馬対策じゃ白馬義従は止められないことを曹操軍に思い知らせてやれ!」

 

公孫兵「ウィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!」

 

 

 

馬防柵、長槍、弓という騎馬に対する万全の備えで構える曹操軍に対して、

 

しかし張遼は全く怯むことなく、公孫賛と共に突破すべく突撃を開始した。

 

 

 

高順「では、私たちは隙を見て先行します」

 

陳宮「頼みましたぞ!」

 

 

 

そして、そのように張遼と公孫賛が派手に敵軍に攻めかかっている隙に、高順と呂布は死角から拠点を避けるように先に進もうとするが、

 

 

 

呂布「・・・来る」

 

陳宮「え・・・?」

 

 

 

しかしその時、呂布が一言、そのようにつぶやくと、前方を鋭い眼差しで凝視した。

 

呂布の視線の先には、何者かの影が、猛スピードでこちらへと接近していた。

 

黒を基調にしたゴスロリ風の衣装に、腰のあたりまで無造作に伸ばし、黒の大きなリボンを結わえ付けた、

 

手入れのあまり行き届いていなさそうな、燃えるような真っ赤な髪を振り乱したその人物は、両の手には鉤爪を装着し、

 

淡いブラウンの瞳を狂気でドロドロに滲ませ、弓張月のように口角を上げながら耳をつんざくような不快な嗤い声を上げている。

 

 

 

張郃「きゃははは、待チくたびれタヨ高順!稟ちゃんニアンタ達攻めテ来ル聞いテ出テ行テモ誰モいなイ恥ずかしカタネ!サァさっさト

 

アタシと遊ぶネ!」

 

 

 

張郃は曹操軍の兵士たちの頭を器用に跳び移りながら防衛線を飛び越え、高順目掛けて駆け込んだ。

 

どうやら張郃は賊軍の中に紺碧の高旗があるのを聞き、即座に城を飛び出したはいいものの、

 

それはまだ呂布たちが函谷関と突破した時の話であり、一向に現れない呂布軍をずっと外で待っていたようであった。

 

普段なら高順を探しに領外へ飛び出していそうなものであり、

 

郭嘉も徐晃も当然そうなっているものと諦めていたようだが、そこは辛うじて曹操に安静にするようにという言葉通り

 

―――戦おうとしている時点で安静も何もないものだが―――大人しくしていたのである。

 

 

 

高順「また貴様か張郃!!」

 

 

 

張郃の姿を確認したその刹那、高順の脳裏に、北郷が拉致された時の光景が目まぐるしく巡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

<きゃははは、空なんか見テ雨でも降るノカ?よそ見する余裕ネ!>

 

<――――――ッみんな逃げ―――ッ!!>

 

<きゃははは、どこニ行くネ!>

 

<ガ―――ッ!?>

 

<ねね!!なな!!>

 

<きゃははは、アンタ五月蠅いネ!大人しくしとくネ!>

 

<ガッ!?・・・く・・・そ・・・・・・・・・>

 

 

 

 

 

 

 

<きゃははは、そういえバ前ハ名乗らなかたネ!アタシは張儁乂、不死身ノ張郃、アタシノことネ!>

 

<きゃははは、そんな遅い攻撃二度も喰らわないネ!>

 

<きゃははは、手負いノアンタトやってモ面白くないネ!>

 

<きゃははは、アンタ面白いから殺さないネ!>

 

<きゃははは、コレ貰ってくネ!また今度遊ぶネ!>

 

 

 

 

 

 

 

それは、前の戦闘で殺したはずの相手が目の前に現れ、手も足も出ずにやられ、大切な人を奪われてしまった時の光景。

 

次第に高順の目の前が赤黒く染まっていった。

 

 

 

【第九十三回 第五章B:御遣い奪還編⑨・この娘も一緒に助けてもいいか? 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第九十三回終了しましたがいかがだったでしょうか。

 

さて、曹操軍に捕らわれていた娘、皆様想像ついたかもしれませんが、徐庶ちゃんでした。

 

そして相変わらず発動する一刀君のお約束。これでこそ一刀君です。

 

一方、チョコの登場で再びななが暴走しそうですが果たして、、、

 

賊が御遣いを取り戻しに攻めてきているのならまず御遣いの確保を優先しろよ稟は何余裕かましてんだよとか、

 

自分で書いていてひどいご都合主義だと思うわけですが、そこは臧覇が信頼されていると解釈していただきたく、

 

もしくは泳がされているという考え方もいいかもしれませんね。

 

というようなこれからも強引なご都合主義が横行していきますが、どうかご勘弁をば。

 

 

それでは、また次回お会いしましょう!

 

 

 

一刀君、この時初めて曹操軍が百合百合しい感じなのだろうと悟る。

 


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