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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第九十二回 第五章B:御遣い奪還編⑧・我らにできる唯一の贖罪なのです

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

さて、恋が提案した策は果たして函谷関突破につながるのか?

そして、臧覇が連れてきた呂布に縁あるヤツらとは・・・?

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2016-09-04 00:01:29 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2229   閲覧ユーザー数:1916

 

 

 

――――――えーっと、どうしてこうなったのでしたっけ・・・?

 

 

 

高順はヒリヒリする全身の痛みに涙目になりながらぼんやりと考えていた。

 

 

 

――――――いえ、深く考えるのは止めましょう・・・せっかく恋様がお考えになった策・・・無下にするわけにはいきません・・・

 

 

 

まだ先ほどの激突の衝撃から十分回復していないが、当然止まることなどできない。

 

むしろ、一度止まってしまってはもう動くことは出来ないだろうと高順は考えていた。

 

 

 

――――――それに、せっかくここまで来てしまったのです・・・もはや後には引けません・・・

 

 

 

下を見下ろせば、かすかに呂布の姿を視認できるが、その表情が見える距離でもない。

 

後に引こうにも、登るよりも降りる方が圧倒的に難しく、恐らく力尽きて落ちてしまい、その先に待っているのは死あるのみである。

 

 

 

――――――そして何より、ふふ・・・木登り大会覇者の名に懸けて、登ることにおいて、途中であきらめるなどありえません・・・!

 

 

 

極限状態の中、高順にしては珍しくテンションが変な方向でハイになったのか、高順は涙目のまま笑みを浮かべると、

 

全身むち打ち状態の体に更にムチ打ち、城壁に向けて力いっぱいクナイを打ち込み、

 

刺さり具合を確認しながら、握力のあらん限りを振り絞り、少しずつ城壁の上を目指すのであった。

 

 

 

 

 

 

【豫州、潁川郡、許城地下牢】

 

 

北郷「ははは、恋に縁のある奴ら、ね・・・」

 

 

 

北郷と別れてから数日、臧覇が連れてきたのは、意外にも北郷の知っている顔であった。

 

つまり、それはかつて下邳で曹操軍が呂布たちを見逃す代わりにと奪われた兵であった。

 

しかし、それはただの兵というわけではなく、いろいろと因縁の有る兵というわけで・・・。

 

 

 

臧覇「いやー、こいつらが雑魚で助かったぜ。あまり強かったら今頃曹操と一緒に南下してたぜ」

 

魏続「ハァ、何を言っているのですか。我らはただ信用されていないだけですよ。そこに能力の有無の判断が入る余地などありません」

 

 

 

臧覇が可愛らしい容姿の口元をニヤリと不敵に歪めながら連れて来た者達を軽く茶化すと、

 

連れてこられたうちの一人、常に営業スマイルを崩すことがない狐を思わせる切れ長の細目に、

 

大仰な身振りが特徴的な、元呂布軍であり、かつて下邳で呂布を裏切った将、魏続は大げさに肩をすくめた。

 

 

 

宋憲「はっ!そうだぜ臧覇!しかも、それだったらお前も雑魚扱いだぜ!?」

 

 

 

さらに、魏続に同調するように、無駄に大きな声と、見るからに力自慢というガッチリした体が特徴的な、

 

魏続同様下邳で呂布を裏切った元呂布軍の将、宋憲は高圧的に言い放った。

 

 

 

臧覇「それは違うぜ。そもそも俺は南征組に呼ばれていたんだぜ。その後でたまたまあのチビ女の助言を曹操が聞いて、御遣いの見張り

 

を任されたんだぜ。それに、御遣いの見張りを任される時点ですでにテメェらとは次元が違うぜ」

 

 

魏続「まぁ確かに、八健将の中でも張遼殿と臧覇殿は群を抜いて武に秀でていましたね」

 

 

 

ここで確認をしておくと、八健将とは、高順を除く呂布軍が誇る優秀な武将八人のことを指して言い、

 

中でも張遼は第一位、臧覇は第二位に位置づけられ、呂布・高順に次ぐ実力者であると言えたが、

 

第二位と今は亡き第三位の郝萌との間にはかなりの実力差があると言われていた。

 

ちなみに魏続は第六位、宋憲は第七位、侯成は第八位である。

 

 

 

侯成「さすがは臧覇さんッス!呂布軍の中でも一番の新入りだったにもかかわらず、古株だったおれ達をいとも容易く抜き去っていった

 

ッス!そこにシビれる!あこがれるゥ!ッス!」

 

 

 

そして、幼い顔作りと、親しみやすい人柄が特徴的な、

 

魏続宋憲と共に下邳で呂布を裏切った元呂布軍の将、侯成は目を輝かせて臧覇を見ている。

 

 

 

侯成「・・・ところで、あのチビ女って誰っスか?」

 

宋憲「はっ!そんなことも知らねぇのか!ちょっと前に牢にぶち込まれた、あのオドオドした頼りない赤毛のチビガキのことだろ!」

 

 

魏続「ハァ、私も知らないのですから、恐らくは一部の上層部しか知らない情報でしょうに、あなたは本当に女性のことに関する情報は

 

誰よりも詳しいですね」

 

 

北郷「・・・・・・それで、臧覇さん、何で恋を裏切ったこいつらに声をかけたんだ?」

 

 

臧覇「おいおい、奉先様のことを真名で呼ぶような奴が俺如きをさん付けで呼ぶんじゃねぇぜ。まぁ、当然の疑問だぜ。だが、詳しくは

 

こいつらに聞いた方が一番だぜ」

 

 

 

三人の緊張感のないやり取りに(知っている者にとっては通常運転と分かるのだが)北郷は唖然としながらなんとかスルーし、

 

臧覇に魏続らに声をかけた理由を尋ねると、臧覇はまず本人たちの言い分を聞くよう促した。

 

すると次の瞬間、先ほどまで気楽に話していた三人の表情が明らかに一変し、曇った。

 

 

 

魏続「御遣い殿、このようなことを言っても醜い言い訳にしか聞こえないとは思いますが・・・」

 

 

 

初めに話を切り出したのは魏続であった。

 

 

 

魏続「・・・我らは一時の気の迷いによって、裏切りという、絶対を犯してはならない大罪を犯してしまいました。それはひとえに、戦い

 

に勝とうという意志、呂布殿に対する忠誠心、仲間を裏切らないという基本的な気構えすらも足りない・・・つまりは己の心の未熟さに

 

起因するものでした」

 

 

 

その話しぶりには、いつもの営業スマイルもなければ、大仰な身振り手振りもない。

 

切れ長の目元から覗く瞳は、真剣そのものである。

 

 

 

宋憲「けどよ、いざ呂布を裏切ってみりゃ、胸の真ん中にぽっかりと穴が開いたみたいによ、むなしいんだよ!何もする気が起こらねぇ!

 

しかも、曹操のところに降って、時間が経つにつれてよ、穴がどんどん大きくなりやがる!」

 

 

 

そして、魏続に続いて話をつなげた宋憲もまた、普段通り声は大きいものの、そこに高圧的な気配は感じられない。

 

飾ることのない、思っていることをそのまま口に出しているような、まっすぐな言葉であった。

 

 

 

魏続「呂布殿が弱くなられたから裏切ったと当時は言っていましたが、結局、我々は心のどこかで、呂布殿の最強の武以外のところにも

 

惹かれていたのかもしれません」

 

 

侯成「今となっては後悔してます許してください、なんて調子のいいことは言わないっス。そもそも、裏切りなんてした時点で、そんな

 

ことを言う資格はおれ達にはないっス。けど、せめて呂布さんやみんなに謝りたい。いや、謝らないといけないっス!」

 

 

 

更に、侯成もまた、普段の童顔を厳しい表情に歪ませ、調子の良い明るい声色に一層真剣みを帯びさせながら胸の内を吐露した。

 

 

 

魏続「今御遣い殿を処刑されたというこの状況は、かつて董卓殿を失った時と同じ状況と言えます。恐らく、呂布殿は当時と同じ苦しみ

 

を味わっておられるに違いありません。そして、御遣い殿、あなたを無事呂布殿の元に連れて帰り、呂布殿の心の傷を癒して差し上げる

 

こと、それこそが、我らにできる唯一の贖罪なのです」

 

 

宋憲「当然それでオレ達の犯した罪が消えるわけじゃねぇ!それは十分承知している!」

 

侯成「けど、それくらいしか、おれ達にできることは残っていないっス!」

 

北郷「お前ら・・・」

 

 

 

確かに裏切りは最低の行為である。

 

どれだけ悔い改めようとも許されるようなものではない。

 

しかし、この戦乱の世において、死の迫る極限状態に晒された時、

 

果たして心の弱きものは平静を保ち、最後まで主君に忠義を尽くすことが出来ようか。

 

否、それができるのはほんの一握りの強き心を持った者のみである。

 

例えば、仮に自分が曹操軍の大軍に攻め込まれ、籠城する中水攻めをくらい、兵糧もわずかで逃げることもできない。

 

そのような極限状態に晒され、それでも気をしっかりと持ち、自身への死の接近を顧みず、戦いきることができるだろうか。

 

北郷の頭の中をそのようなことが一気に駆け巡ると、口を堅く引き結んだ。

 

少なくとも、この三人は救いようのない外道ではない。

 

心の底から自身の愚行を悔い、打算無しに罪を償おうとしている。

 

北郷が三人の弁から感じ取ったのはそのようなことであった。

 

 

 

臧覇「要するに、こいつ等はアンタを無事奉先様の元にお連れし、面と向かって謝罪することで気を晴らしたいってわけだぜ。もちろん、

 

その後首を刎ねられようが何されようが当然の報いと受け入れる覚悟もできているだろうぜ。まぁ、本来ならこんな裏切り畜生共の贖罪

 

のために手を貸す義理なんかこれっぽっちもない訳だが、たまたまアンタを奉先様の元に連れて帰るという点では利害が一致しているん

 

だぜ。なら、せいぜい利用してやるだけだぜ」

 

 

 

臧覇は利用するだけとぶっきらぼうに言っているが、本当に畜生と思っているのなら、

 

出会ったときに殺していてもおかしくなく、その辺り、たとえ裏切り者とはいえ、

 

同じ呂布軍としてのよしみか、或は情けなのか、とにかくそういう所については、臧覇は甘かったと言えた。

 

 

 

北郷「・・・わかった。そういうことならオレは特に深くは突っ込まない。オレは恋たちの元に帰るためなら何だった利用してやる。脱出

 

の協力をしてくれるのなら、頼るだけだ」

 

 

 

北郷も今は臧覇や魏続たちの真意については深く突っ込むということは避け、

 

とにかく脱出することだけを考えることにし、協力に応じることにした。

 

 

 

魏続「ハァ、ご理解いただき、感謝します。改めまして、魏続と申します」

 

宋憲「はっ!宋憲だ。まっ、ここはひとつよろしくなっ!」

 

侯成「侯成っス!よろしくっス!」

 

 

 

北郷の了承の言葉を得、緊張から解き放たれたのか、ようやく魏続ら三人はいつも通りの調子を取り戻した。

 

 

 

臧覇「よし、それじゃあさっさと話を進めるぜ。脱出の段取りを確認次第、すぐに脱出作戦開始だぜ・・・!」

 

 

 

 

 

 

【豫洲、許城】

 

 

曹操兵「申し上げます!函谷関より、関が突破されたとのこと!そのまま洛陽方面に向かっています!」

 

徐晃「函谷関が突破!?すいません、まだ一日も・・・数時間しか経っていないではないですか!?」

 

 

 

血相を変えながら部屋に飛び込んで来た伝令兵の報告に、徐晃は顔を青ざめさせながら驚いた。

 

 

 

郭嘉「確かに、函谷関は長期戦に持ち込めば洛陽からの豊富な兵糧のおかげで不落となりますが、短期戦に持ち込まれてしまうと難攻と

 

いうだけで、決して落とせないものではありませんが、それにしてもあまりにも驚異的な速さですね・・・函谷関の城壁はたとえ雲梯を

 

持ち込んだとしても越えられる高さではないでしょうに・・・」

 

 

 

雲梯のような攻城兵器を用いれば、たとえ堅牢な関所であったとしても、

 

城壁そのものを越えられるので速攻の攻略が可能となるが、函谷関の城壁の高さは雲梯の高さをも超えるものであり、

 

それもまた、かつての都たる洛陽を守る防塞施設としての難攻不落の名を冠している所以の一つである。

 

 

 

郭嘉「ところで、烏丸族や劉表軍はどうしたのですか?間に合わなかったのですか?」

 

曹操兵「烏丸族は恐らく公孫賛軍にやられたものと思われます!劉表軍は現れませんでした!」

 

郭嘉「公孫賛?なぜここでそのような名が出てくるのですか?」

 

 

 

増援として呼び寄せたはずの烏丸族と劉表軍について尋ねた郭嘉であったが、公孫賛という、

 

まったく予想外の名前を聞き、訝しみながら詳細を求めた。

 

 

 

曹操兵「は、申し遅れました!実は今回賊の詳細も分かっております!賊軍は真紅の呂旗、紺碧の張旗、高旗、翠緑の馬旗、そして、月白

 

の公孫旗を掲げております!」

 

 

 

あまりの事態に慌てていたせいか、伝令は肝心なことを伝え忘れていたと謝罪すると、賊が掲げていた旗印について報告した。

 

 

 

張郃「紺碧ノ高旗・・・きゃはは・・・!!」

 

 

 

しかし、高順の旗印を耳にしたその瞬間、張郃の瞳がギラリと光ると、口元を弧状に歪め、いつもの甲高い笑い声を漏らした。

 

 

 

徐晃「やはり呂布軍と涼州軍ですか・・・狙いは華琳様不在を狙った、御遣い処刑及び潼関での戦いの報復といったところでしょうか、

 

すみません」

 

 

 

賊の正体が呂布軍と涼州軍であると分かったことで、徐晃はかねてより懸念されていた、

 

南征の隙を狙った報復であると予測付け、こめかみ辺りに嫌な汗を感じていた。

 

 

 

徐晃「しかし、ここに来て公孫賛軍とは予想外でしたね・・・てっきり袁紹に滅ぼされたものと思っていました、すいません・・・」

 

 

郭嘉「しかし現に生きている、つまり、運良く生き残っていて、今になって、どういうつながりか、呂布軍と共闘して我らに牙をむいた

 

と言うわけですね。なるほど、幽州の白馬義従なら、烏丸族にとっては相性最悪。納得がいきますが・・・」

 

 

 

烏丸族にとって公孫賛軍は天敵。

 

かつて烏丸族は幽州で公孫賛軍にトラウマを植え付けられるほどコテンパンにやられ、

 

しかも優秀な人材は悉く引き抜かれるなどの仕打ちも受けたことも相まって、

 

仮にそのような相手が目の前に現れ対峙してきたのだとすれば、敗れたのも理解はできる。

 

そのような前提の話をしたうえで、眼鏡を光らせながら一呼吸置いた郭嘉であったが、しかし、

 

 

 

郭嘉「劉表軍が現れないとはどういうことですか・・・!あの劉表が昨今の情勢を鑑みて我らを敵に回すような行動をとるなどありえま

 

せん・・・!彼女の性格を考えれば、一応出陣するも深く戦局を動かすことなく終わる、というのならまだわかりますが、間に合わない

 

どころか全く動きがないなど・・・!」

 

 

 

劉表の行動が理解できない郭嘉は珍しく声を荒げて憤慨した。

 

それもそのはず、劉表は荊州の安泰のみを第一に考える人物であり、かつて董卓が暴政を振るっていた時には、

 

その脅威が荊州にまで及ぶことを恐れ、そして董卓に時運はないと判断し、反董卓連合に協力し、また、

 

官渡で袁紹と曹操が対峙していた時には、曹操軍が劣勢だったにもかかわらず、袁紹が勝つと決めつけず、

 

どちらが勝つか読めないと判断し、味方に付かなかった方に恨みを買われないよう最後まで中立の立場を貫き、

 

曹操軍が勝利し、荊州に対して刃をチラつかせられることで、ようやく曹操軍に対して恭順の意を示したのである。

 

つまり、劉表は常に時勢を読みながら荊州にとって害になるような行動は選択しないはずなのである。

 

にもかかわらず、曹操軍の援軍要請に対して、何の行動もしない。

 

郭嘉には理解しがたいことであった。

 

 

 

郭嘉(今我が方に味方することが時勢に合っていないとでもいうのか・・・!いや、それともまさか、そもそも出陣要請が届いていない?

 

誰かによって阻止された・・・?)

 

 

 

しかし、いくら理解できないと言っても起きたことは事実。

 

そこで思考を停止してしまっては軍師の名折れ。

 

郭嘉は一時の興奮を腹の中に沈めると、冷静に可能性の模索に入った。

 

 

 

徐晃「とにかく、洛陽方向に向かったということは、伝令の時間差から、すでに洛陽も突破されているかもしれません、すいません」

 

 

郭嘉「いや、今賊は神速の強行に重きを置いています。恐らく洛陽は素通りも同然、虎牢関に向かっているでしょう。まぁどちらにせよ、

 

呂布が相手となれば、今の洛陽の兵では止めきれないでしょうが。ですが、虎牢関は勿論の事、残りの関も役に立たないでしょう・・・

 

数日後には本当にここまで攻め込まれそうですね」

 

 

 

一度落ち着いたところで冷静に状況を整理すると、事態が急ピッチで悪い方向に進展していると認識し、

 

郭嘉は顎に手をやり、口を堅く引き結び、険しい表情を作ってみせる。

 

 

 

張郃「きゃはははははは!!!」

 

 

 

しかし一瞬静寂が室内を支配したかと思いきや、突然張郃が耳をつんざくような甲高い嗤い声を上げた。

 

 

 

徐晃「チョコさん!?」

 

張郃「きゃはは、公明ちゃん、稟ちゃん、アタシ先行くヨ!」

 

 

 

さらに、徐晃が驚きながら張郃の方を見たその時には、すでに張郃は城の露台の手すり部分に跳び立っていた。

 

 

 

徐晃「チョコさん落ち着いてください!もっと慎重に―――!」

 

張郃「きゃはは、紺碧ノ高旗・・・またあの面白いヤツいるネ!きゃははは!」

 

 

 

そして、徐晃の制止の声など全く耳に入らず、張郃は高順の旗印を聞いてからの興奮のまま、

 

耳障りな狂喜の嗤い声を上げながら、両手に得物である鉤爪を装着し、ジャラジャラ音をたてつつ、

 

そのまま手すりから外へ飛び出し、器用に下の屋根に着地すると、さらに下の階へと飛び降りてしまった。

 

 

 

郭嘉「はぁ、まったく、しょうがない方ですね」

 

 

 

もちろん郭嘉たちがいた部屋は地上部から離れた位置(建物的には3階部分)に存在し、

 

常人であれば簡単に飛び降りられるような高さではないのだが、そのことに対して誰も突っ込まないほど日常化している現象であり、

 

そのようなことより、郭嘉は張郃が徐晃の制止を聞かず暴走気味に外へ飛び出したことに対して、ため息をついていた。

 

 

 

徐晃「(ううう~~~、絶対安静なのに~~~すみません華琳様、本当にすいませんすいません・・・!)」

 

 

 

 

 

 

【司隷、虎牢関】

 

 

北郷奪還軍は、郭嘉の予想通り函谷関を攻略した後は、洛陽を素通りして虎牢関へ強行。

 

当然、黙って見過ごすはずもない洛陽の曹操軍は打って出るが、殿を務めた呂布・張遼に手も足も出ず敗走。

 

その間に涼州軍と白馬義従が勢いのまま虎牢関へとなだれ込んだ。

 

函谷関と並び難攻不落と称される虎牢関も、西からの攻撃にはまったくその機能は発揮されず、

 

あっという間に攻略されたところで陽も完全に落ち、本日の強行はそこまでとすることにし、明け方の強行に備え一息ついていた。

 

 

 

張遼「んでも、自分で言うのも何やけど、恋の考えにはホンマびっくりしたわ」

 

鳳徳「仰天ッ!」

 

 

公孫賛「いや本当に何というか、さすがは天下に名高い飛将軍の考えることはすごいよな。私みたいな凡人が思いもつかないことを顔色

 

一つ変えないで平然と閃くんだからな。曹操軍も泡を吹いて驚いたんじゃないか?」

 

 

高順「・・・一番驚いているのは敵兵よりもむしろ私なのですがね・・・」

 

 

 

軽食をとりながら、函谷関突破のきっかけとなった呂布の考えに対して、皆が驚きの感想を述べあっている中、

 

しかし一方で、高順はげんなりした様子で脱力しながらそのような感想を述べていた。

 

 

 

馬岱「でも、凄いのは凄いけど、やっぱり何だか発想が脳き―――」

 

馬超「たんぽぽ、それ以上は口にするなよ」

 

 

 

その時、馬岱が何も考えず思ったことをそのまま口にしそうになったので、馬超が据わった眼を向けながら止めた。

 

 

 

陳宮「ですが、まさか本当に恋殿がななを城内目掛けて投擲なさるとは・・・まぁさすがにそのまま城内に侵入出来はしなかったものの、

 

あそこから見事に城壁を登り切ったななもさすがというべきなのですが・・・」

 

 

呂布「・・・なな、軽いから」

 

公孫賛(・・・そういうことじゃないと思うんだけど、やっぱり私なんかより考えることが一味も二味も違うんだろうなぁ)

 

 

 

結局、呂布が提案したアイデアとは、正面から張遼、公孫賛、涼州軍が攻撃して目を引いている間に、

 

関を南北より挟み込む山脈からあまり目立たない城壁の端へと回り込み、

 

そこから呂布が高順を投擲することで場内に進入しようというものであった。

 

そのようなことができるものかと当人たる高順を含め周りは混乱したが、呂布の押しに陳宮が折れ、

 

結果、呂布は高順を両手でつかむと、樽投げの要領で高順を投げ飛ばしたのである。

 

結局城壁は越えなかったものの、城壁中盤より少し高いくらいのところで高順が上手に城壁にへばりつき

 

(ほとんど激突したような状態ではあったが)そこから地道にクナイを使ってよじ登り、見事場内への侵入に成功したのであった。

 

当然突然城壁からひょっこりと顔を出した高順に兵士たちは初め何が起きたのか理解できなかったが、

 

やがて高順が陥陣営モード突入してその猛威を振るうことで場内は大混乱に陥り、

 

その混乱に乗じて高順が内から城門を開き、張遼たちを城内に引き入れることで函谷関を落としたのであった。

 

 

 

陳宮「とにかく、ここまで来ればあとの山は許での一刀殿救出だけです。なのでここで先に許の行動の確認をしておくのです」

 

 

 

そのように函谷関での感想を一通り述べ合ったところで、改めて陳宮が今後の動きについて確認した。

 

 

 

陳宮「まず、許に入ったら、函谷関の時と同様、正面から派手な攻撃を仕掛ける陽動役と、死角から城内に侵入する役に分かれるです。

 

城内へは東西南北四つの入り口がありますが、西側は山手で行軍が難しく、南側は遠回りな上、南征している曹操軍から仮に増援が来た

 

とき挟み撃ちに合う危険があるです。なので、攻めるのは北側と東側。ですので、陽動隊は二手に分かれて、それぞれの門で派手な攻撃

 

を仕掛けてほしいです。その内に、恋殿とななが、別動隊として死角から城壁をよじ登り城内へ侵入し、一刀殿を捜索、救出にあたって

 

くださいです」

 

 

呂布「・・・(コクッ)」

 

高順「・・・・・・・・・わかりました」

 

 

 

函谷関同様の無茶苦茶な侵入をするよう言われ、呂布はいつものように静かに一度うなずくが、

 

ブン投げられる高順にとってはなかなか快く容認しがたい策なのか、しかし北郷を救出するためと渋々という感じで容認した。

 

 

 

陳宮「念のために、もう一度言っておきますが、今回の強行の目的はあくまで一刀殿を無事奪還することです。ですので、恋殿とななは

 

城内に侵入したら、城門を開けるのではなく、一刀殿の捜索に全力で当たってほしいのです。我らが得た情報によれば、一刀殿は許城の

 

地下にあるという牢に捕らえられているそうなのです。その間、陽動隊は引き続き城門への攻撃を続け、恋殿たちの目を引くようにする

 

です」

 

 

張遼「わかった。要するにウチらはとにかく攻撃しまくっとったらえーっちゅーことやな!」

 

 

 

張遼は呂布と高順がとるべき細かい行動を頭の隅に留めると、自身がとるべき行動をシンプルにまとめた。

 

 

 

陳宮「はいです。それで、恋殿たちは無事一刀殿を奪還したら、そのまま見つからないように脱出を図ってほしいのです。くれぐれも、

 

欲をだして城を内側から攻略しようなんてことは考えず、ばれないように脱出するということだけを考えてくださいです」

 

 

呂布「・・・(コクッ)」

 

高順「それはそれで攻略以上に難しいとは思うのですが、やはりし出発の時の宣言通り攻略は考えないという方向でいくのですね?」

 

 

 

確かに、城内に侵入した後、誰にも見つかることなく北郷を救出し、

 

そして誰にも気づかれないまま脱出しろなど、ステルス系ゲームも真っ青な超高難易度の所業であり、

 

むしろ普通に城を攻略した方がよほど簡単なのではと思えるほどの厳しい条件だった。

 

 

 

陳宮「一番の懸念は曹操軍の本隊が南征先から引き返し、我らが挟み撃ちに合うことなのです。これは函谷関で烏丸族や劉表軍の挟撃を

 

受ける危険度の比ではないのです。許城を本気で攻略するとなると当然時間がかかるでしょうし、それにこれは予感なのですが、許城は

 

到底並大抵の攻城では落ちる気がしないのです。風の噂では、許城は現在、城塞としての機能が強化されていると聞いたこともあるです。

 

ですので、一刀殿を奪還次第の出来る限り手早い撤退が重要になってくるです。陽動隊も攻略できず撤退しているという態を装って撤退

 

してほしいのです」

 

 

 

しかし、それでも陳宮は攻城による危険性の方が避けるべきことであると主張した。

 

どちらをとってもリスクが高いと言えることであったが、そもそもこの強行自体がリスクの塊のようなものであり、

 

今更ということもあるのだが、それでも可能な限り避けられるリスクは避ける、

 

たとえそれが軍師としての直感に頼った危ういものであったとしても、一軍の頭脳たる軍師として、

 

ここで迷いの残った中途半端な選択をするより、今回のようにきっぱりと方針を固めた方がよそ見をする心配がなく、

 

失敗の危険性が低くなると言えた。

 

 

 

馬超「北と東の二手に分かれるんだよな。御遣いさんを奪還出来たら、伝令か何かで撤退の合図とかしてくれるのか?」

 

高順「それについては私から。私が一刀様を無事救出出来たら花火で合図します」

 

馬岱「花火?」

 

 

 

すると、高順無駄に長い袂から、円筒形の筒を取り出した。

 

 

 

公孫賛「何だそれは?」

 

 

高順「これは火薬玉を上空に飛ばすための道具です。一刀様に教えていただきました。どうやら天の国では祭の際に打ち上げ盛り上げる

 

そうですが、今回は遠方に送る合図として使用します。とにかく、空で爆発が起きると認識していただければ問題ありません」

 

 

 

「一刀様に教えてもらった」つまり、天界の技術が駆使されているというものである。

 

それだけの情報で十分であり、誰もそれ以上詳しく突っ込むということはしなかった。

 

 

 

陳宮「では、本命はもはや目前に迫っているので、改めて気を引き締めつつ、明日も日の明けないうちに発つので、今日はもう休むです!」

 

一同「応っ!」

 

 

 

あまりに激しい強行軍ということもあり、当然疲労はたまる一方であったが、今は北郷の命にかかわる踏ん張りどころと、

 

皆の士気は十二分にあったが、それでも体力の回復は必須であり、休むべきところは休むべしと、各々睡眠し、英気を養うのであった。

 

許城まであとわずか。

 

北郷奪還の強行軍の最終戦はすぐそこまで迫っていた。

 

 

 

【第九十二回 第五章B:御遣い奪還編⑧・我らにできる唯一の贖罪なのです】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第九十二回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

さて、このようなタイミングで第一章以来の本編登場となった元恋配下の三バカたち。

 

今更そんな裏切り者出してんじゃねーよと不愉快に思われたかもしれませんが、

 

そもそも恋が仲間と認めた奴らをただの裏切りクソ野郎で終わらせるわけにはいかない、

 

というのは初めから想定していたことで、あとは登場のタイミングだけだったのです。

 

貴重な名有りの男性キャラでもありますしね!(え、いらねぇなんて言わないでくださいよ・・・)

 

え?魏続と宋憲は官渡で斗詩に討ち取られたのでは?いやいや、重用されずフェードアウトしていただけなのですよ。

 

そして恋の提案した策がまさかの人間樽投げという無茶苦茶なもの、、、汗

 

もっとスマートな策を想像していた方には誠に申し訳ない限りでございます(木登り大会ネタもこのために出したようなもの)

 

そんなんで函谷関は落ちねぇと思われた方大多数かと思いますが、どうか寛大な生暖かい心でスルーしていただきたく、、、汗

 

 

それでは、また次回お会いしましょう!

 

 

 

樽投げ(10kg)世界記録は8m25cm! 函谷関の城壁は推定約60-70m!(汗)

 

 

 

 


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