No.757600

〜なんとなく 壊れている自分 Vol.8〜

夢で見た事を書いている詩集…と言うより散文集です。前の詩集に10編書いたので次の巻に移動してみました。
新しい詩をトップに、以下、下に行くにつれて古い詩になるように並べ替えてます。

◇超短編集のみ、ブログにて展開しています→ http://blog.livedoor.jp/gaeni/archives/cat_1213008.html
↓最近の作品はこちら 

続きを表示

2015-02-10 20:45:13 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:715   閲覧ユーザー数:714

2015.12.11

「天使降臨」

暗闇を引き裂く一筋の光

まばゆい光に包まれて

天使が降臨しようとしている

 

でも ここは

劇場の名を借りた映画館

まばゆい光の登場に

映画館は上映中止

周囲は騒然

 

光は立ち消える様子も無く

上映も再開させる様子は無い

 

呆れたお客さん達は

亡くなった人の作品を見に

ブティックの方に流れて行ってしまった

 

さて 誰もいなくなった映画館

ここに降臨する意味は

果たしてあるのかしら?

 

 

2015.10.19

「家族写真館」

 

薄暗い通路を抜けた先に写真館があるの

入り口で係員に随分妨害されたけれど

それでも中に入ってみたの

 

壁に貼付けてあるのは 私が写った写真

沢山の家族に囲まれた 私の写真

全てではなかったけれど

私が写っている家族写真が 沢山あった

 

壁一面中 家族の写真

 

親や親戚の子と一緒に写っている私の写真

 

私はここで写真を取ってもらう為に来たの

「あ」を書いてはいけないと言う変な書類に個人情報を書き写して

 

でも ここの家族写真 何か変なの

 

私以外の人全て 目の所に線が引いてあるの

プライバシー保護の為と言わんばかりに

 

それで私は思ったの

そう言えば 私に家族や親戚っていたのかしら?って

 

 

2015.4.24

「最後のウェディング」

 

私は警察に追われている

被害者である筈の私を

警察は何故か追っている

 

私は駅に逃げ込む

この駅から リニアモーターカーが走っている

私は待合室でそれを待っていた

 

沢山の人が止まっている新幹線に乗り込む中

私がいる待合室がゆっくりと動き出した

そう これが木造リニアモーターカー

待合室ではなかったのだ

 

窓の外は80年代くらいの人が考えた

未来想像図のような景色が広がっている

その中を早いような 遅いような速度で走る中

私は男の子と話をする

 

彼は病弱で これが最後の旅路だと言っていた

 

木造リニアは温泉郷で途中下車する

青やらビンクやら色々な温泉が湧く中で

私とその子は結婚式を上げる

 

これが互いにとって この世で上げる最後のウェディング

 

彼は病弱で 私は追われる身で

これが互いにとって この世で最後に見る景色になるだろう

 

 

2015.3.27

「超高級エレベーター」

 

透明なアクリルに 金の縁をあしらえた

超高級エスカレーターが

このデパートの売りらしい

 

けれど

このエレベーターは

止まる事を知らず

どの階も超高速で駆け上がるだけ

 

ドアは無いから

タイミングを見て

飛び乗るしかないらしい

 

過去に一度

乗る事に成功した人はいるらしいの

 

でも

上空が霞みかかったこのアパートの上に

何があるのか 誰も知らない

 

エスカレーターはあるの

下りのエスカレーターはあるの

でも 上りのエスカレーターは無いの

 

下った先には牢獄風のカフェや風呂屋がある

 

下りのエスカレーターはあるの

でも 上りのエスカレーターは無いの

そして エレベーターは決して止まらないの

 

だからいつも

下った先の風呂屋やカフェは超満員

行き場を失った人達が そこに溜まっているの

 

 

2015.2.23

「宛のない寝台特急」

 

バスに乗って旅に出た筈だった

私はバスに乗っていた筈だった

 

けれど気がつくと

バスはどこかのアパートの

9階に固定されていた

 

ハシゴをかけられ 動かなくなったバス

仕方なく下りてみると

一階にあるカラオケルームは機械が壊れてて

その隣にある礼拝堂は

手のひらサイズで入れない

 

外は暗黒 闇の中

地面があるのかどうかも

確認が出来なくて

 

私はバスに乗っただけ

なのに歌う事も祈る事も禁じられて

この暗闇に閉じ込められている

 

それでも何とか彷徨ってみる

空白で何も無い空間も随分多かったけれど

7階には寝台特急が固定されていた

部屋には簡素なベッドと机

少なくても ここでなら

寝泊まりくらいは出来る筈

 

私はここで眠りにつくの

そして日が登り

全てが動き出すのを待つの

 

おはよう

おはようおはよう

 

おはよう

 

 

2015.2.10

「ピンクのカーテン」

 

母さんの趣味で作られた

クローゼットのピンクのカーテン

フリルがついた可愛らしいそれは

男の僕には気に入らなかった

 

けれども ある日 そのカーテンは

何者かに引きちぎられていた

犯人は僕じゃない

誰かが ここに入って

引きちぎって行ったんだ

 

母さんは黙ったまま

黙々とピンクのレースのカーテンを編んでいく

そうして設置して

目を離した一瞬に 再び全てが打ち砕かれている

 

母さんは再びカーテンを編んでいく

僕はもういらないと言っているのに

それでも母さんはカーテンを編んでいく

打ち砕かれ 破壊されても

何度でも

何度でも


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択