No.535324

〜なんとなく 壊れている自分 the origin 2007-2〜

夢で見た事や思いついた文字を羅列している詩集…と言うより散文集です。以前ブログにて掲載していたものをこちらに転写しました。
下に行く程古く、上に行く程新しいものです。
無駄に量があるので時間が余りまくってる方、どうぞ(笑)

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2013-01-23 21:20:49 投稿 / 全31ページ    総閲覧数:593   閲覧ユーザー数:593

2007.6.28

「年老いた雛」

 

部屋の片隅に ツバメの巣がある

中には雛が4羽

その中の1匹は

酷く年老いた形相をしていて

体毛がまばらなのが 生え揃ってないのか 年老いて抜けたのか

判断に困る雛がいる

 

いかにも年寄りの風貌をしながら 瞳だけは雛のようにらんらんと輝き

餌をくれ と言わんばかりに

大きな口を開けてさえずる

 

しかし親鳥は そんな雛には餌をやらない

既にこの子に未来が無く

餌を与えても仕方ないと分かっているから

 

そして今日も年老いた雛は

目を輝かせながら 餌をくれとさえずっている

 

 

2007.6.27

「投獄生活」

 

ここは牢屋

薄汚れた布団があるだけの 冷たいコンクリートの部屋

昔は風鈴もあったらしいけれど

それは人の存在を忘れさせてしまうという理由で取り外された

 

冷たいコンクリートの部屋

鉄格子に手をかけ 激しく揺さぶらないと

自分の存在が消えてしまうような気がする

冷たくて 寒くて 空気が薄汚れている部屋

このままだと窒息してしまいそう

 

そう訴えたのが良かったのか

この部屋の管理人と言う男が

部屋の中に 真新しい空気清浄機を入れてくれた

 

冷たくて 寒い けれど 空気だけは澄んでいる部屋

ゆっくりと 落ち着いて呼吸をしていたら

生涯ここに閉じ込められてもいいと思った

 

誰も干渉して来ない 牢獄の片隅

 

私は孤独だ けれども自由だ

 

 

2007.6.25

「飾りの無い家」

 

今日はお祭りだから

どこの家も庭に沢山のピッケルを差して

その先端に 沢山の飾りをつけてる

どこの飾りも賑やかで とても楽しそうな雰囲気

 

そんな中 ただ一つ 飾りの無い家があった

庭に刺さる沢山のピッケルの いづれにも飾りは無い

 

この家の人はね よそから盗んだ飾りをつけてた

人様から盗んだもので 自分を飾り立てていたんだ

その罰として 飾りは全部没収され 新たな飾りをつける事を許されなかったんだって

 

庭に刺さる沢山のピッケルは まるで墓標のよう

薄暗い雰囲気の中 風だけが通り抜け

その傍らでヒヨコが一匹 びよっと 鳴いた

 

 

2007.6.20

「水路の先の家」

 

そのビルとビルの間には

垂直に伸びる 水路がある

新しい住み家を求めて

そこに潜り込んだ友人は

二度と帰ってこなかった

 

そして今日

僕もその水路に潜り込む

ビルをかき分け くぐり抜け

僕もその水路に潜り込む

新しい住み家を求めて

 

息が続かず ガボガボ言っている中

青白い肌をした 友人の姿を見た

 

僕はその水路の先を目指す

友人と共に

新しい住み家を求めて……

 

 

2007.6.19

「修羅場の新車展示会」

 

ここはね 昔は大きな工場だった

けれどもここで事故があって 人が亡くなってしまって以来

工場としては封鎖され

大きな公園として整備された

事務所はそのまま休憩所に トラックが走る回る大きな通路は遊歩道に

冷却水を溜める水がめは ボートが行き来するブールになった

 

そこで 大掛かりな 新車の展示会が行われるんだって

有名人でも金持ちでもない私が

何故かその展示会に招待されて

 

始めのうちは良かった 普通に車の展示会で 人も大勢来た

けれども ボートで小競り合いが起きて転覆した辺りから様子がおかしくなった

私がコーヒーを飲んでいると どこからともなくナイフが飛んできて

辺りは戦争でも起ったかのように もうめちゃくちゃ

私は慌てて 休憩所に逃げ込んだの

 

外の騒ぎが落ち着くのを待っているんだけれど

その気配は一向に無い

それ所か 錯乱した群衆が ここに集まってくるのを感じるの

 

ひょっとして…みんなのターゲットは私?

他ならぬ私を消す為に この展示会を催したの?

 

その事に 今 気付いた しかし 全ては手遅れだった

怒りに震える群衆を沈める術を 私は 知らない

 

 

2007.6.15

「消えたハンコ屋さん」

 

今は便利な世の中になったもんだね

あっちでもこっちでも

気軽にコーヒーが飲める

いい時代になったもんだ

こんなに狭い間隔で店を出して 利益になるのかね?と言う疑問も まぁ湧くが

 

家具屋のソファーでくつろいでいた時に聞いた話がある

山奥の農村に住んでいた ハンコ技術者が消えてしまったんだって

急いで作ってもらいたいハンコがあったから

野を越え山を越え 倒れている人も無視して

やっとの事で登って行ったのに

その小屋には もう誰も住んでなくて

代わりに大きな柱が一本 立っていただけだったんだ

 

小屋の周りには ハンコを求めてやってきた人が 困った表情で立ち尽くしている

ハンコが無いと 何も出来ない 何も買えない 何も取り決められない

小屋の大家も困ってるよ

ハンコが無いと 家賃も入れて貰えないと

 

こんな便利な世の中になったんだ

わざわざハンコの為に こんな山奥に行く必要だって無い筈なんだ

コーヒーだって気軽に買えるって言うのに

何故ハンコだけで こんな大騒ぎするんだろう?

 

落ち着いて 冷静になって考えてみなよ

もう必要無いんだ 山奥のハンコ屋なんか

 

 

2007.6.14

「ツミトバツ」

 

人は罪を負い 罰を受けねばならぬ

背中の翼は砂と化し

身体に流れる血はヘドロと化す

 

人は罪を負ったのだ

神に変わって地球を支配しようとした事

その事が 神の怒りを買ったのだ

人は翼を無くし

その血には暗黒が漂うようになった

 

罪深き人間は

更に罪深き人間を増やし

神はその度に 罰を化す

 

この世界は 罪と罰の繰り返し

終わり無き 罰と罪の繰り返し

 

 

2007.6.12

「腐ったリンゴ」

 

人は皆 腐敗したリンゴの中に住んでいる

 

…何も分からずに…

 

世界がゆっくり朽ちていく事も

 

自身がゆっくりと溶けていく事も

 

何も気付かぬままに…

 

 

2007.6.11

「僕は負けたんだ」

 

僕は負けたんだ そのレースに

僕はただ そのレースに 負けただけなんだ

 

水路の罠や仕掛けを駆使し

いかに遠くに行けるのか

その距離を競ったレースに 僕はただ負けたんだ

 

最初はトップだったんだ

断トツのトップだったんだ

2位の姿が見えないくらい 僕はトップに躍り出たんだ

 

けれど 気が付くと

僕は沢山の人に抜かれてた

何位か把握出来ないくらい

沢山の人に抜かれてたんだ

 

僕の書いた本だけが 大量に売れ残り

誰も僕を必要としていない事を知らしめるように

下位に落ちた僕の事を 顧みる者は 誰もいない 誰一人

 

残された大量の書物と僕自身

水路の中で ただ一人

水路の中で ただ孤独

 

 

2007.6.7

「1円の誤差」

 

何をそんなに怒り狂っているのかって?

合わないのよ 会計が

会計が1円 合わないのよ

 

それが無性に 腹が立って仕方ないの

だから 手当たり次第の家を壊し

友人達にも 当たり散らした

大した問題じゃないけれど

大した問題なのよ

 

後にも先にも無い 人生の汚点

そんな感じがするの

たかだか1円

大した問題じゃないけれど

大した問題なのよ

 

助けてよ 誰か

 

会計が1円合わないの

それが腹立たしくて仕方がないの

この世界を滅ぼす程の憎悪が沸き上がる

抑えられないの

 

助けてよ 誰か

会計が1円 合わないの

 

 

2007.6.5

「懐かしい図書館」

 

ぶらりと寄った図書館の本棚を覗く

どの本にも 懐かしい雰囲気が漂う

どれもこれも 私が幼い頃に読んでいた本ばかりだわ

 

こんな分厚い物語を 昔の私は随分と読んでいたわ

このお話も どんな内容だったか覚えている

私の本ではないけれど 自分のもののように 本当に 懐かしい

沢山ある算数のドリル これも私 子供の頃にやった内容だわ

 

そんなものを見ている私の視線の先

ちょっと落ち窪み 暗くなっているカウンターで

管理人らしき男が こっちを見て ボソリと言うの

 

この本達は 君が生きていく上で 何かの役にたったのかい?と

 

 

2007.6.4

「安否」

 

大地震がやってきた

劇場とレストランを結ぶエレベーターが

ぐにゃりと曲がる程の 大地震がやってきた

 

やっとの思いでエレベーターを脱出して

辿り着いたレストランには

無数の紙が散らばっている

 

“僕は無事です みんなは無事ですか?”

“僕は大丈夫です 家族は無事ですか?”

“僕はここにいます 連絡下さい”

 

沢山の紙には

安否確認の言葉が沢山並んでいる

 

“僕は無事です”

“僕は無事です”

“僕はここです”

“僕はここです”

 

でも そのレストランには

人っ子一人 誰一人 残されてはいなかった

 

 

2007.6.1

「暗がりの本棚にて」

 

暗い坂を下り切った先に 本棚がある

その本棚には 沢山の作品が並んでいる

 

この作品は 偉大な先生が描いたもの

この作品は その辺の人が描いた適当なもの

 

そんな説明を管理人はしてくれるのだけれど

 

真っ暗闇で見えないから

正直 そんな事は どうでも良いように感じちゃう

 

私は適当な本を手に取って帰る事にした

偉大な先生か その辺の人の作品か

そんな事は分からないし 正直 どうでもいい

 

 

2007.5.31

「崩壊前夜」

 

明日世界が崩壊する

みんなはそう言って 神と崇めていた大蛇を食べようとしている

明日世界が滅亡する

だからもう 神に祈らなくてもいいんだと

 

数十メートルもある巨大なヘビが

テーブルの上にとぐろを巻いて

口の中にしっぽを入れられた状態で佇んで

みんなは周囲で 狂ったように踊り出す

 

明日世界が崩壊する

人々は狂気を狂喜にすり替え 踊り続ける

 

その会場の片隅で

たいまつに照らされる 一人の少女

黙ったまま 踊り狂う大人たちを見つめ

 

ねえ 何を根拠に そんな事を言っているの?

どうして 世界が明日滅ぶって分かるの?

何で誰も 私の疑問に答えないの?

何でみんな 私の事を無視するの?

 

 

2007.5.30

「海底50マイルの庭園」

 

ここの観光名所はね

何の器具も付けず 海底50マイルまで潜るおじさんがいるの

僕たちもそのおじさんを見に来たんだけれど

あるのは薄気味悪い小屋だけで

そんなおじさん どこにもいないの

 

そこに飛んできたのが係員

そのおじさん 沈んだっきり戻ってこないんだ

だから君たちが 潜って探してきて欲しいって頼まれて

そんなの無理ですと言ったにも関わらず

問答無用で海に突き落とされちゃった

 

海の中は不思議な空間が広がっていた

岩の間から 赤い目をした鬼がギラリと睨み

光が差し込む庭には 白い馬が放牧されてる

一匹の馬が僕に近づいて 一緒においでと誘うから

僕たちも 馬の背中に乗って散策する事になった

 

海の中は不思議な光景が広がっていた

ずっとずっと続く 一本の道……

おじさんも この先に何があるのか気になって それで 戻ってこなかったんだろうね

 

延々と続く一本道は 僕らを冥界へといざなってゆく…

 

 

2007.5.29

「背徳のスパムーチョ」

 

彼女はスーパーの一角の

沢山ある商品の中から

それを 手に取った

 

“背徳のスパムーチョ”

 

何が背徳だと言うのだろう?

狩りをする事を忘れ 人間の都合のいいように家畜を飼育する事か?

それとも 切り刻んだ血と肉を 商品として並べていると言う事か?

 

それを手にした彼女は

特に何も考える事無く

その品物をカゴに入れ レジへと向かう

 

人間 生まれたその瞬間から 背徳とは切っても切れぬ関係

既にマンネリ化したその関係を

彼女は 特に疑問には思わないようだ

 

 

2007.5.28

「大きな白いミミズ」

 

腐った泥の泉の中に

2つのランドセルと

白く大きなミミズが数匹 浮かんでる

 

さっきまで 人の姿もあったような気がするけれど

気のせいかも知れないし

ミミズに食べられちゃったのかも知れない

 

その二人はランドセルを背負ったまま

腐った泥の中を泳いでいた

溺れていたのかも知れない

 

僕はその様子を ただじっと見ていた

助けようとするでもなく 声をかけようとするでもなく

ただじっと 見ていただけだったんだ

 

白く大きなミミズなんて

今考えると そんなのいる訳無いと思うんだけど

不思議とその時は そんな事は思わなかった

ただ空気みたいに あるのが普通と思っていて

特別 異様だとは思わなかったんだ

 

やっぱりあの二人 溺れていたのかな?

やっぱりあの二人 僕に助けを求めていたのかな?

 

でも やっぱり僕には その光景が

どうしても 異様に見えなかったんだ…

 

 

2007.5.25

「天国(Heaven)への扉は重く冷たく」

 

今 君の目の前に 天国(Heaven)への扉が差し迫って来る

手を伸ばし ノブに触れても

天国(Heaven)への扉は 重く冷たく 開く気配すら無い

 

何故 扉は僕を拒絶する?

僕が“罪深き者”だと言いたいのか?

僕がまだ来るべき場所でないと言いたいのか?

 

僕には 自分が死んだ自覚すら無く

何故ここにいるのかも分からない

戻ろうにも戻る術が分からず

天国(Heaven)への扉の前に 立ち尽くすのみ

 

それが 僕に与えられた 死の報いなのか?

それが僕に与えられた “生ある限りの死の報い”なのか?

 

そしてここに立ち尽くす僕は

果たして 生きているのか 死んでいるのか

分からない 僕は何の為に 死んでいるのか

 

天国(Heaven)への扉は重く冷たく立ちはだかるのみ

 

 

2007.5.24

「呪われた賛美歌」

 

神に見捨てられ 腐敗した大地と腐敗した海が広がる 呪われたこの世界

そこにしがみつくように生きている人々は

祈る神すら 救いを求める神すらおらず

教会で歌われるのは 呪われた賛美歌だけ

 

永遠に日の出は訪れず 延々と続くは灰色の星空だけ

灰色の空と 灰色の大地

神も悪魔も寄りつかないこの世界の

教会で歌われるのは 呪われた賛美歌だけ

 

「我に死を与えたまえ

全ての終焉を迎える為に

新たなる再生の為に

我に死を与えたまえ

この世界を滅ぼしたまえ」

 

広がる歌声に

神も悪魔も世界も耳を傾けない

それでも残された人々は

自分の想いを込めて歌う 呪われた賛美歌を

 

 

2007.5.23

「パパがママ」

 

とある ちょっと裕福な人達が暮らす地区の片隅で

一組のカップルが誕生した

 

他の人と同じように永遠の愛を近い

他の人と同じように1つになり

他の人と同じように新しい命がママに宿る筈だった

 

けれども 神様は何を勘違いしたのか

新しい命を パパの方に宿してしまった

 

だから この家では

ママがパパで

パパがママ

 

それはどこか変わっているけれど

一組のカップルが誕生したと言う部分では どこもおかしくないの

 

これは とある裕福な地区に暮らす夫婦のお話

 

 

2007.5.21

「空飛ぶパティシエ」

 

寂れ果てた廃ビルの中に

飛び回る人影がある

めいめい手にはお菓子を持って

少しずつ 上の階へと昇って行く

 

こっちはプリン こっちはショートケーキ

どれもこれも一流パティシエが作ったお菓子

とっても 美味しそうだわ

 

その昔 ここは高級ホテルだった

集まった人達は皆 天にも昇るような気持ちで

この吹き抜けを漂っていたんだよ

 

今は 見る影も無く 荒れ果ててしまったビル

ここを元の一流ホテルに戻すのには

皆さんの料理の腕にかかっている

そうオーナーが煽るから みんな手にはお菓子を持って

再びこのビルに舞い戻ったの

 

そのお菓子の匂いに誘われて 集まった人々は

何故かみんな影がぼんやりと

後ろの背景が透けて見えるの

 

そう言えば パティシエもお菓子もオーナーも

どこか半透明で 影が薄くて 現実味が無いの

 

 

2007.5.20

「哀しく憧れて」

 

命ある限り 君は何を見つめる?

どこに向かい どこに行こうとしている?

君は今 自らの意志のみで それらを選択しているのか?

他人の目を気にせずに 世間体を気にせずに

本当に自らの意志だけで それらを選択しているのか?

 

君が今 やりたい事 それは一体何だ?

そこで小さく丸まり 停滞している事がそうなのか?

 

解き放て 青い鎖を

打ち砕け 黒い呪縛を

君は君さえ望めば 宇宙(そら)だって舞える筈

極上の至福を味わう為には 極上の苦痛に耐えるのも仕方ない

解き放たれれば 凍てつく太陽が 君が進む事を阻害するだろう

 

それでも君は 今 宇宙(そら)に憧れているのだから

 

解き放て 青い鎖を

打ち砕け 黒い呪縛を

君が望む 新たな出発 それを今 切り出すべきだ

 

 

2007.5.19

「最後の日なのだから」

 

みんなは 窓の外で行われているレースに夢中で

誰もこちらを見てはくれない

レースの結果がどうであれ

僕は今日 食べられてしまう

今夜の晩餐に 出されてしまう

それを知っているから みんなは僕を見ないようにしているんだ

 

僕の人生は今日で最後

なのに誰も僕の事を見ようとしない

見ると情が移るからか 悲しくなってくるからか

誰も僕の事を見ようとしない

ほら あの子は耐えきれずに 側の小鳥と遊び出した

それでも尚 誰も僕の事を見ようとしない

 

僕の人生は今日で最後なのに

誰もそれを見取ろうとしない

僕の人生は今日で最後なのに

誰も僕に声をかけようとしない

 

僕はこうして 一人寂しく 死んでいく

周囲にこれだけの人が溢れているにも関わらず

僕は一人で死んでいく

 

 

2007.4.28

「星の試練」

 

砕け落ちた 星屑達が

更なる輝きを求めて 彷徨い続ける

 

ここは地獄の果て ブラックホールの彼方

幸福も希望も 全てを飲み込み 奪い去っていく

 

砕け落ち 全ての輝きを失った星屑達が

己の輝きを取り戻す為 長い旅路に出ようとする

 

希望を掴め 輝きを掴め

それがどんなに些細で 弱い輝きでも

全てを掴め 己を取り戻す為に

 

己の輝き 数億光年離れた者に存在を知らしめた その輝き

弱い光でも構わない 俺達はここにいると 知らしめる為に

欠片を掴め 握りしめろ 二度と失わないように

抜け出すんだ この暗黒の地獄から

 

何者かに 存在を知らしめる為に

何者かに 希望と幸福を 見いだせるように

 

 

2007.4.17

「水を司る芸術家」

 

その美術館は いたる所に水が溢れていた

壁も床も天井も

全てが水で覆われていた

 

この水は世界を示し

この水は天空を示し

この水は大地を示す

 

見る人が見れば そう見えるらしい

解る人が見れば そう理解出来るらしい

少なくても この美術館を作った芸術家は そう言うのだ

 

けれども僕には そのいづれも理解出来ず

ただ水浸しになった建物にしか 感じない

 

この水は夜空を示し キラキラと輝いているらしい

この水は愛を示し ピンク色に染まっているらしい

 

僕には 普通の 透明な水にしか見えないけれど

 

 

2007.3.27

「ハートのオブジェ」

 

いつの日から ここの屋根裏には

子猫が住むようになった

よっぽど育ちが良かったのか 無駄鳴きせずに

キッチンセットでおままごとしてる

 

その子にはきちんと家族がいるよ

姉と両親の4人家族

姉も両親も迎えに来たのだけれど

その子は屋根裏から出ようとしないんだ

 

その理由が分かったのは数日経ってから

その子はハートのオブジェが好きで

ハートのオブジェが欲しかったんだ

だから屋根裏部屋を ハートのオブジェで埋め尽くした

 

けれど 母親は ハートのオブジェが嫌いだった

片っ端からオブジェを潰して

こんなものはいらないと叫んでいる

だから あの子は帰らなかったんだ

 

それから更に数日して 母親は ハートのオブジェを持って来た

一度踏みつけたのだろうか 一度握りつぶしたのだろうか

表面に 酷くシワが寄ったハートのオブジェ

 

これが 私の愛なんだよと 母親が言っても

その子は 神妙な趣きで オブジェを見つめるばかりだった

 

 

2007.3.26

「お魚は高速道路を泳ぐ」

 

魚達は ゆっくりと

高速道路の上を 泳いでいく

 

魚達は ゆっくりと

オレンジ色の光を湛えた トンネルの中に入っていく

 

陸はとても怖い所

海と違って毒が溢れている

陸に行ってはいけないよ

毒で身体が腐るから

 

そんな話を知ってか 知らずか

ゆっくりと 高速道路の上を泳ぐ

その行く先 どうなってしまうのか

知っているのか 知らないのか 知らない振りをしているのか

 

魚達は ゆっくりと 高速道路の上を泳ぐ

 

 

2007.3.20

「良い子製造機」

 

さあ今日も 朝早くから

立派な大人とやらになる為に

学習しなきゃ 学習しなきゃ

 

くだらない 大人達の都合に塗り固められた 学習ソフトを

今日も 頭の中にInputして

 

大人達の嘘に塗り固められた 学習ソフトを

今日も 笑顔でInstallして

 

たたき込む たたき込む

大人達の都合のいいように

たたき込む たたき込む

大人の全てに疑問を抱かぬように

 

右も左も 都合の良い Yes Manばかり

同じ思考 同じ雰囲気 異なるものは排除する

 

さあ これで 完璧だ

良い子製造Machineは

今日も四角い牢獄で 稼働 し続けている

 

 

2007.3.1

「ただ泣く事が出来なくて」

 

いつの頃からだろう?

私の中から 感情の波が消えたのは

自分の喜怒哀楽が 分からなくなったのは

 

ここでは 相手は笑いを求めているんだなと感じるから 笑い

ここでは 悲しむべきなんだなと思うから 悲しんでみる

それを どこか遠くで 冷静に見ている 別の自分がいる

 

いつの頃からだろう?

私の中から 感情が消えたのは

自分の感情が 分からなくなったのは

 

それはきっと 酷く悲しむべき事なのだろう

けれど それを 悲しいと感じる術が無い

それに対して涙を流そうにも 分からないのだ

悲しみの感情表現が

 

ただ 涙を浮かべる事も 自らの意志だけでは 出来ないのだ

誰かがその情景を求め それを察しない限り ただ泣く事も出来ないのだ

 

どんなに悲しい映画を見ても

レクイエムを100万回聞いたとしても

誰かの死を思い出しても

 

私は ただ泣く それすらも出来なくなっている

それは悲しむべき事なんだろうけれど

私はただ 泣く それすらも出来なくなっている

 

 

2007.2.27

「殺人滑り台」

 

ここの滑り台は 他の所と一味違うぜ

バランスを失ったら最後 顔面を壁が直撃だ

最初はスリルを生み出す為のものだったが

今じゃここに突っ込むのがメインになっている

 

どんなにお偉いさんが中止を求めても

どんなに保護者が目くじら立てても

ここを求める奴は ほら こんなにいるんだ

ここを必要としている奴は こんなにいるんだよ

 

そして今日も 誰かが滑り出す

元々オレンジ色だった壁が 何だか不自然なオレンジ色になっているが

そんな事は誰も気にしない

 

突っ込みたい奴は 顔面直撃させればいいさ

ほら 天国は こんなにも近くにあるんだぜ

 

 

2007.2.22

「戦場の町」

 

気をつけな この町は戦場なんだぜ

国籍不明の空中部隊が 住民の命を狙ってる

それこそMINAGOROSIって奴だ

 

警察もてんで話にならない

これだけの死傷者が出てるにも関わらず 調査すらしない

それこそMIGOROSIって奴だ

 

自分の身を守るには 戦うしかない

けれども 空中を舞う相手には

キックもパンチも通用しない

剣を手にしても太刀打ち出来ない

 

そんなマゴマゴしている間にも

連中はお前の頭を狙ってる

いつ死ぬか分からない 恐ろしい町

 

せいぜい 生き延びる事を考えるんだな


 
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