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「非実在青少年」改正案の審議継続によせて


本日3月19日、東京都の青少年育成条例・改正案は委員会採決にて全会一致で「審議継続」となりました。
詳しくは各所のニュースソースをあたっていただきたいのですが、つまるところ「今回の3月の議会では審議が不十分であるから、今議会での採決は見送る」ということです。当初、慎重な姿勢を示していた民主党と生活者ネットワークに加え反対を表明していた共産党と、賛成で可決を目指していた自民党・公明党の二極の構造となっていましたが、最終的には賛成派が審議継続に折れる形での全会一致、となったようです。

ひとまず、今議会での改正案成立はなくなりました。反対を表明した我々TINAMIとしては、とりあえずこれは喜ぶべきことと言っていいと思います。

今回の条例改正案を賛成派は「気づかれないうちに可決してしまおう」という意図があったように感じます。だが、そうはいかなかった。
これを阻止したのは、ネットの力が大きかったのではないでしょうか。マスコミの断片的な報道に惑わされることなく、ネット(特にTwitterなどのリアルタイム性の強い場)が迅速な情報の伝達・共有をし、また表現に携わる人々やその周辺の団結を促した結果であるといえるでしょう。ここまで短時間に、表現に関係する各種団体が一斉に反対や危惧の意見を表明したことは、かつてない出来事と言っていいのではないかと思います。繰り返しになりますが、これはネットの力が大きく作用したと言わざるを得ない。

たとえひとりひとりの小さな声でも、しっかりと声をあげたすべての方に敬意を表します。

しかし、決着はまだついていません。
「非実在青少年」は、廃案になったわけではない。継続審議として、次は6月の議会にかけられます。約3ヵ月の猶予が出来ましたが、それは賛成派も反対派も同じです。この条例案をどうしても通したいと思っている人々は、さまざまな手を打ってくるでしょう。

賛成派のロジックは簡単です。一部の作品をやり玉にあげ、性的描写や暴力描写を抜き出して「こんなひどい本が平気で売られている。あなたがたは、こんな本を子供に見せたいと思いますか?」と、感情に訴えていけばいい。そうして、悪い表現を規制することが当然であり社会正義!という世論を作っていけばいい。反対派とは本質で議論する必要はない。

とするならば、反対派はどのようにして、その主張を広めていけばいいか。その手腕が今後の3ヵ月で試されることになるのです。

* * *

SF作家の山本弘さんが今回の条例改正案の件に際しブログでこう書いています。

「自由」は空気みたいなものだ。

と。確かに、我々は息をするように表現活動(=創作すること)を楽しみ、そして表現された作品を楽しんでいる。ふだん「空気があるから呼吸が出来る。空気よありがとう!」などと、空気のありがたみをいちいち意識することはない。もしも空気がなくなったなら…などと考えたこともない。
しかし我々にとっての空気たる「表現」の自由は、我々の考えている以上にあやういものであり、その自由を守るためには誰しもが決して無関心ではいられない——

「非実在青少年」は、そのことに気づかせてくれたのです。

東京都の条例改正の流れは終わりません。それだけではない、大阪府も同様の条例を制定すべく調査に入ったというニュースが流れました。また神奈川県にも、そうした動きがあるとネットに情報が上がっています。

* * *

最後に、みなさんに改めてもう一度、言いたい。

無理に戦わなくてもいい。しかし、
いま何が起こっているのか、無関心でいないこと。
それだけはどうか忘れないでください。

これからも引き続き、ポイントになる情報はTINAMIでもお伝えしていくつもりです。

※神奈川県については、メディアの報道ではなく、昼間たかし氏のツイート(該当発言はこちらこちら)を情報元としています。つきましては、誤解のないよう本文を多少修正いたしました。 (03/22 00:55)