No.987563

聖ビーストテイマー・ナタ290

リュートさん

一応、新シリーズだけど本編の第3部・第290話。

登録タグはありません

2019-03-18 11:53:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:92   閲覧ユーザー数:92

ローラは驚いたようにミカエルに聞き返しました。

 

「私の記憶も消すの?でも今日一日お父さんと一緒に色々頑張ってた事は覚えておきたいな」

 

「そうですか…。記憶があると辛いかもしれませんので、あなたの意思を聞いただけですよ」

 

「記憶が消えるのってどんな感じなんだろ?消えてても消えてるってわかんないんだよね…」

 

「人間の苦しみの大半は過去の記憶によるものなのです。怒りも悲しみも憎しみも恨みも…」

 

「でも嬉しい事や楽しい事も過去の記憶に残ってるから。お父さんと一緒に過ごして色んな事教えてもらえてよかったよ」

 

「そうですね。それに人間の感情の中で最も美しいのは実は負の感情の方なのです」

 

「負の感情が美しいの?私、負の感情だらけだよ」

 

「怒るべき時に怒らない人や、悲しむべき時に悲しめない人は、誰からも愛されないのです」

 

「確かにそうだね。お葬式でみんな泣いてるのに喜んでたりしたら怒られちゃうよ」

 

「怒りの感情を通り越すと憎しみに変わりますし、悲しみの感情を通り越すと恨みに変わるのですが、そこまで来てしまうと良くない事が起きます」

 

「うん、悪い事考えそうになったら、いつもこんな事考えちゃダメだって思うようにしてた」

 

「あなたならきっと大丈夫です。怒りや悲しみの感情を多く持つのは、優しい人である事を意味しているからです。あなたの父である勇者ゲイザーがそうであったように…」

 

アークはそれを聞いて皮肉を込めてぼやきました。

 

「天使は怒りも悲しみも持たないからな。優しさなど一欠片もない連中だった」

 

「あなたは怒りと悲しみの感情をリリスから学んでしまったのですよね…」

 

「リリスの悲しみの感情はなんと美しかった事か」

 

「私はあの時、怒るべきだったのでしょう。でも怒りの感情がなくて、あなたを怒らせてしまった…」

 

「人を怒らせて喜んでる奴が僕は一番嫌いなんだ」

 

「人を最も傷付けるのは実は喜びの感情なのですよね」

 

…つづく


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択