No.967755

スマブラ Abandon World 22「二人の小さき勇者」

Nobuさん

こどもリンクとトゥーンリンクの共演は、スマブラSPでついに叶いましたね。
今回はそんな二人が主役のお話です。

2018-09-20 08:28:53 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:640   閲覧ユーザー数:640

 スマブラ四天王は水と食糧を持って、散らばった仲間を探しに出かけていた。

 途中でゾンビやブロブに襲われたりもしたが、全て退けていた。

「仲間はかなり遠いが、水と食糧は十分だし、節約しながら進んでいけば大丈夫だろ」

「……な、何僕をじろじろ見てるの?」

 リンクは、カービィをじっと見つめていた。

 理由は、カービィが水と食糧を独り占めすると思っているからである。

「そんな変な目で見ないでよ、リン兄。流石の僕も、独り占めしたりはしないよ」

「本当にしないなら安心だぜ」

「まったく、疑わないでよねー」

 スマブラ四天王は互いに信頼し合う関係だが、この世界では徐々にそれが崩れ始めていた。

 それでも、いつか元の世界に戻れると信じ、彼らは仲間を探している。

「一体どのくらい進めばいいんだろう」

「さぁ、な。とりあえず真っ直ぐ進めばいいんじゃないか?」

「うん、そうしよう!」

 

「あれ」

 スマブラ四天王は真っ直ぐ進んだが、そこには大きな岩がぽつんとあるだけだった。

「やっぱり、ここには仲間はいないか……」

 諦めてその場を立ち去ろうとした瞬間、突然、岩ががたがたと動き出した。

「なっ……!?」

 その岩は口を大きく開いてマリオ達に襲い掛かる。

 どうやら、通常の岩に擬態した魔物のようだ。

「こんな魔物までいるのかよっ……!」

 リンクは剣を構え、他のメンバーも戦闘態勢を取ったところで岩の魔物が吠えた。

 

「はっ! っち、硬いぜこいつは!」

 リンクは剣で動く岩を斬りつけたが、硬さに阻まれダメージを与えられなかった。

「こういうのには大抵、弱点があるからな。それを探せばいい」

 マリオがファイアボールで牽制しつつ、ピカチュウが電撃で攻撃する。

「えーいっ!」

 カービィはハンマーを振り下ろして動く岩をバラバラにした。

 しかし、動く岩はすぐに元に戻り、岩の巨人と化してカービィに腕を振り下ろした。

 あれが命中したら、ひとたまりもない。

 マリオは急いでカービィの前に立ち、代わりに攻撃を受ける。

「うわぁ、どうしよう!」

「このくらいの失敗で挫けるなよ! 次で取り戻せばいいだろ!」

「うん、そうだね! ってうわぁ!」

 今度はカービィに向かって岩が飛んできた。

 カービィは岩を吸い込んでストーンをコピーし、腕を石にしてアッパーカットを繰り出す。

 岩の巨人は吹っ飛ばなかったが転倒させる事に成功し、マリオは岩の巨人にファイア掌底を浴びせる。

「よし、これは効いたな!」

 岩の巨人は反撃として腕を振り回しピカチュウを吹っ飛ばす。

「ってぇ!」

「何とかして弱点を見つけないとな……」

 リンクは相手の弱点を探そうとするが、それを相手が許すわけがなかった。

 飛ばしてくる岩を盾で防御しつつ、リンクは相手をじっと見る。

 すると、額に僅かに傷ができているのを発見した。

「みんな! あいつの弱点は額だ!」

「そうか! リンク、ありがとよ!」

 リンクのアドバイスで皆が岩の巨人の額を狙うと、岩の巨人はそうはいかないと額を腕で覆う。

 すると、カービィはホバリングをした後、岩の巨人の腕をストーンで押し潰した。

「今がチャンスだよ!」

「おう!」

 その隙にリンクは勇者の弓、ピカチュウは電撃を岩の巨人の額目掛けて放つ。

 すると、岩の巨人の身体が見る見るうちに崩れ始めていく。

「これで、とどめだ!!」

 そして、マリオが炎を纏った掌底を岩の巨人に繰り出すと、岩の巨人は木っ端微塵に砕け散った。

 

「はぁ……まさか、行き止まりに着くとはな」

「ここに仲間はいないから、引き返そうか」

「そうだな……」

 

 先ほど行った道を引き返した後、マリオ達は改めて仲間を探した。

「こっちがダメだから次はこっちかな」

「目印はやっぱりないけど、何もしないよりはましだよね」

「無駄足で食糧とかを消費しなきゃいいんだがな」

「え~! お腹ペコペコはやだよ~!」

「だったらちゃんと仲間を探すんだな……って、おい!」

 マリオ達が歩いていると、ピカチュウが血痕を発見した。

「どうした、ピカチュウ」

「ここに血痕があるぜ」

 飛び散っている血痕は赤黒く、既にここで戦いが行われていた事が分かった。

「えっと、誰が戦ってたんだろう」

「分からないが、仲間である事は確実だな」

「ええ? って事は、早く助けないと死んじゃうって事?」

「……その可能性はあるな」

「だったら、早く助けなきゃ!」

「あっ、待て!」

 そう言って、カービィは走り出した。

 マリオ、リンク、ピカチュウはカービィの後を追っていった。

 その頃……。

 

「うぅ、なんでこんなに敵がいっぱいいるの……」

 緑の服と帽子が特徴的な二人の少年剣士が、ゾンビやブロブと戦っていた。

 こどもリンクとトゥーンリンクである。

 二人の服には血の跡がついており、長く戦闘が続いていた事が伺える。

「この世界はボク達みたいなのにも優しくない世界みたいだ。

 どっちかが全滅するまで終わらないみたいだよ!」

「だったら、早くやっつけなきゃ……!」

 そう言ってこどもリンクは弓を構えて炎の矢を放つが、

 体力が減少していたのか矢は明後日の方向に飛んでいってしまう。

 そして、ゾンビ達は二人に向かって腕を振り下ろした。

 二人は攻撃を受けないように盾を構えたが、蓄積した疲労の影響でばたりと倒れた。

 

(あぁ、ボク達はここで……)

(死んじゃうのかな……)

 

「なんだか嫌な予感がする……」

 走っていくうちに、リンクは冷や汗をかく。

 助けようとした仲間が、最悪の状況になってしまう可能性を考えたからだ。

「リン兄……」

「ああ……もしも神様がいるなら、みんなを助けてくれよ……」

「リンク! そんなに暗くなるなよ! 死亡フラグなんか俺達でへし折ってやろうぜ!」

 後ろ向きになっていくリンクをマリオは激励する。

「そうだな、マリオ。希望の光はまだあるはずだ」

「その光を消しちゃダ……」

 その時、カービィの腹(?)の虫が鳴る音がした。

「……うん、お腹空いちゃった」

「ほら、食糧だ」

「えっ、たったこれだけ?」

「仕方ないだろ、貴重なんだから」

 マリオから渡された食糧の量にカービィは不満そうな表情になるが、今は仕方ない事だと諦めた。

 そして食糧を食べた後、マリオ達は再び先へ進んでいった。

 

 やがて、スマブラ四天王は仲間がいると思われる場所に辿り着いた。

 そこで彼らが見た光景、それは――

 

「コリン君!!」

「トゥーン!!」

 ボロボロになって倒れている、こどもリンクとトゥーンリンクだった。

 マリオ達は大急ぎで彼らに駆け寄った。

 幸い、息はあるようでまだ生きているが、既に満身創痍と言える程の重傷だった。

「生きててよかった……」

「よかったじゃねぇよ! お前ら、このままじゃ死んじゃうんだぞ!」

「確かに周りは敵だらけだしねぇ……」

 そう、カービィの言う通りゾンビやブロブが一行を囲んでいる。

 彼らに殺される前に、二人を救出、治療しなければならない。

「どうする?」

「俺はこどもリンク、カービィはトゥーンリンクをラストホープまで連れて帰る。いいな?」

「う、うん!」

 リンクはこどもリンクを抱きかかえ、カービィはトゥーンリンクを口の中に入れた。

「ひょにょにゃきゃにゃらあんしんだよ!」

「マリオ、ピカチュウ、お前らはあと一人の仲間を探してくれ」

「「了解!」」

 マリオとピカチュウはリンクとカービィが去っていくのを見送った後、

 それぞれの技でリンクとカービィを追う敵を全滅させた。

 そして、残り一人の仲間を探すために歩き出すのだった。

 

「大丈夫だ、リンク」

「俺達が、仲間を全員見つけてやる……!」


 
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