No.919069

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

βテスト(ゲーマライダー乱戦編)

2017-08-19 04:33:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2420   閲覧ユーザー数:1356

「―――で、要するにナンバーズが2人、その看護師の嬢ちゃんに弱み握られちまったって訳か」

 

「…悔しいがそういう事になる。あぁ畜生め」

 

酒場『ダンテ』。店主のフェルナンドはokakaと桃花から話を聞いて、思わず呆れたように溜め息をついてしまった。ディアーリーズはともかく、アサシンであるokakaまで敵側の人間に弱みを握られてしまったのだから呆れざるを得ないのも当然だろう。それを一番理解している本人はと言うと、落ち着いた口調ながらも悔しそうな表情で頭をテーブルにガンと叩きつける。

 

「おいおい、アサシンが聞いて呆れるぞ。弱みを握る側の人間が弱みを握られてどうすんだ。団長にバレたら懲罰物だぞ」

 

「なお、この件は既にクライシス様にも知れ渡っております」

 

「…まぁ、そりゃバレるよなぁ」

 

「お、おいおい、大丈夫なのか…?」

 

そして桃花を始めとする自動人形達の通信網を通じて、既にクライシスにも2人の失態は知れ渡っていた始末。これに対しokakaは冷静でいる中、話を聞いていたフェルナンドは不安そうな表情を浮かべる。

 

「団長からの指令です。ステラ・ジートが情報を特衛隊を渡していないのであれば、情報が渡る前に彼女をこちら側に引き入れろ。失敗すれば……分かっているな? との事です」

 

「…おぅふ、本気で取り組まなきゃ死ぬな俺」

 

「ディアーリーズの坊やなら、封印の刑に処されそうだな」

 

「はぁ……今はステラ・ジートをこちら側に引き入れる方法を探るのが先決だ。いちいち団長からの処罰にビビってはいられん」

 

頭を抱えながらも対策を考えるokaka。そこで話を一通り聞いていたフェルナンドは、更にある事を思い出す。

 

「ところでokaka、一つ重要な事を思い出したんだが」

 

「ん、何だ?」

 

「お前の話じゃ、戦闘中にマスタードクターで変身したライダーが乱入して来たんだっけか?」

 

「あぁ。たぶん正体は竜神丸の奴で間違いない。マスタードクターガシャットはアイツに渡したからな」

 

「だとしたらだ。旅団の一員である竜神丸に攻撃されたと知られたら、看護師の嬢ちゃんを旅団側に引き込むのは難しいんじゃないのか? 誰だって、自分を攻撃して来るような組織の人間は信用出来んだろう?」

 

「…確かに面倒だな」

 

言われてみれば確かにそうだ。スニークとガーディアンを襲撃したザイエンの正体が旅団の一員だなんて知られてしまえば、ステラからの信用を失ってしまう。そうなれば彼女を旅団側に引き込めないどころか、旅団の情報が敵側に知れ渡り面倒な事態になるのは間違いない事だろう。

 

「…あの時、アイツを止めなかったのは失敗だった」

 

「一城様もディアーリーズ様の事を言えませんね」

 

「アイツと一緒にされるのは癪だな……ひとまず、今は竜神丸の奴がまた何かする前に止めなきゃならん」

 

「ちなみに、先程楽園(エデン)に滞在中の部下から送られて来た情報によりますと、竜神丸様がイーリス様を連れて、再度ガシャットの戦闘データ収集に動いているそうです」

 

「…桃花、そういう事はもっと早く言ってくれないか?」

 

「いえ。しょうもない凡ミスで命の危機に陥ってる一城様を見ていてゆか……呆れてしまったものでつい」

 

「今思いっきり愉快って言いかけたな!? …とにかく、犯したミスは挽回するのがルールってもんだ。悪いがフェルナンド、また情報が手に入ったら伝えてくれ。行くぞ桃花」

 

「了解」

 

「おう、2人共気を付けてな」

 

okakaと桃花が会計を済ませてから店を去っていき、フェルナンドはそんな2人の後ろ姿を見ながら手を振る。それから数分後、客がいなくなった店にまた別の人物がやって来た。

 

「あれ? 店長、今日は1人?」

 

「ん? おぉ、チャー坊か。ついさっきまでokakaと桃花ちゃんが来てたぞ」

 

「あらら、すれ違っちゃったか。せっかくお得な情報持って来たのに」

 

「お得な情報?」

 

やって来た人物―――チャールズ・ブレニムは、フェルナンドがコップを拭いている前で椅子に座る。

 

「そ、お得な情報。ちょいと良い男の情報を手に入れて来ちゃってさ」

 

「…その良い男の意味は聞かんぞ。何の情報だ?」

 

「okakaちゃんが出会ったっていうドクター・ミザキ……否、刻秋水の友人についてね」

 

「刻秋水の友人……ペイブ・ホークか?」

 

「うん、あくまで噂でしかないんだけどさ。そのペイブ・ホークって人…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「真っ暗な夜中に、怪しげな連中と一緒にいるところを遠目で見た人がいてさ。何か妙な取引をしてたのは間違いないかもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ディアーリーズはと言うと…

 

 

 

 

 

 

「ほらほら、ウルティムス君。早くしないと置いて行くよ~」

 

「ちょ、ちょっと待って下さ……重っ!」

 

首都クラナガン。ステラの買い物に付き合わされていたディアーリーズは、彼女の指示で荷物持ちを引き受けさせられているところだった。既に買い終えた品々は大量に存在し、それらを一度に持ち運ぶ羽目になったディアーリーズは両腕や首にビニール袋を上手く引っ掛け、苦しげな表情で必死にステラの後ろを付いて回っていた。

 

「あ、あの、ステラさん……す、少し休憩時間を下さい…!! そろそろ、限界…!!」

 

「やれやれ……分かった。少し休憩しようか」

 

「あ、ありがとうござい、ま…ッ」

 

「ありゃ、倒れちゃった。若いのにだらしないね」

 

流石に体力の限界が来たのか、とある噴水広場のベンチで休憩に入った途端、ディアーリーズは荷物を置くと同時に疲れ切った様子でベンチに寝転がった。そんな彼の姿をステラはニヤニヤと面白そうな目で見下ろす。

 

「こ、こんな量を運ばされたら、誰でもこうなりますって…!!」

 

「何を言ってるんだい。この程度の荷物運びも出来ないようじゃ男が廃るよ」

 

「いや、それよりも……何で僕は買い出しにまで付き合わされてるんでしょうか…? ステラさんの仕事って確か看護師だったんじゃ…」

 

「今日は非番だからね。バグスターが現れない限りは自由に過ごせるのさ。それに君だって、僕の仕事を手伝ってくれるって言ったじゃないか」

 

「さ、際ですか…」

 

「看護師の仕事だって忙しいからねぇ。僕も非番の時くらいは存分に休みたいんだよ。君が買い物に付き合ってくれて大助かりさ……まぁ、休みの時もだらけ過ぎて、妹に怒られる事もしょっちゅうだったけど」

 

「! ステラさんって、妹さんがいたんですか?」

 

「ん? あぁ。歳の離れた妹が1人ね。仕事で忙しい僕の為に、一通りの家事を引き受けてくれてたんだ」

 

「へぇ~、しっかり者なんですね。今、妹さんは何をなされてるんですか?」

 

「……」

 

ステラの表情から笑みが消える。それを見たディアーリーズは「あ、聞いてはいけない事を聞いちゃったかも」と後悔する。

 

「…妹は死んだよ。ゲーム病の所為でね」

 

「ッ……すみません、嫌な事を思い出させてしまって」

 

「いや、良いよ。今はもう過ぎた事だしね……そう、過ぎた事なんだけどなぁ」

 

「…ステラさん?」

 

ディアーリーズの目にはしっかり映っていた。ステラの右手が、強く拳を握り締めているのを。ステラの目に、憎悪の感情が籠っているのを。

 

「…僕が特衛隊に従っているのは、特衛隊を潰す為だけじゃない。それ以外にも別の目的があるんだ」

 

「別の目的、ですか?」

 

「あぁ……探している奴がいる。そいつを見つけなければ、僕は…」

 

その時だ。

 

 

 

-ピピピピピ!-

 

 

 

「「!」」

 

ステラの持っていたカバンから、ゲームスコープの音が鳴り響いた。

 

「バグスターか……ウルティムス君、荷物は僕の家まで運んでおいてくれ! 住所は教えたし大丈夫だね!」

 

「は、はい! ぐぅ、荷物が重い…!!」

 

どうやら、2人の休憩時間は終わりのようだ。ステラが現場へ急行する一方、ディアーリーズは重い荷物を持ちながら必死にステラの自宅へと重い足を進めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ、ぅ……はぁ、はぁ…!!」

 

「! おい、大丈夫か」

 

荒廃した都市区画。長い青髪が特徴的な局員の女性が道端で倒れている中、普段の白衣ではなく黒いパーカーを着ている秋水が偶然通りかかり、倒れている女性を見つけて駆け寄る。女性の全身にノイズが走り、すぐにゲーム病である事が分かったが…

 

「はぁ……はぁ…!」

 

(! こいつ、管理局の局員か……チッ面倒だが仕方ない)

 

女性の着ている制服から、彼女が管理局の人間だと知り舌打ちする秋水。しかし自分が敵対している組織の人間だからといって見捨てる訳にもいかない。秋水は仕方なくゲームスコープを取り出し、女性が何のゲーム病を患ったのかを診察。出現した画面には蝋燭のマークが映し出されていた。

 

「(やっぱりゲーム病か)…おい、意識はあるか?」

 

「はぁ、はぁ……あな、たは…?」

 

「話は後だ。ひとまずお前の治療を行う。キツいだろうけど我慢してくれ」

 

「ッ……大丈、夫、です……これくらい、何と…も……ッ!! く、あぁっ…!!」

 

「!! マズい…!!」

 

≪ステルスミッション!≫

 

直後、青髪の女性の全身が一気にバグスターウイルスに侵食されていき、巨大なカボチャを模したバグスターユニオンへと変貌。後ろに下がった秋水はゲーマドライバーを装着し、ステルスミッションガシャットを起動。周囲にゲームエリアが広がる中、ゲーマドライバーにガシャットが装填される。

 

『ギャオォォォォォォン!!』

 

「全く、何でいつもこうなるんだか……変身!」

 

≪アイム・ア・カメンライダー!≫

 

≪ステージ・セレクト!≫

 

出現したパネルを左手で払うように殴りつけ、秋水はスニーク・レベル1の姿に変身。即座にステージセレクトの機能を使い、荒廃都市区画から何処かの森林地帯の河原付近まで移動した彼はガシャコンカービンを手に取り、バグスターユニオンを迎え撃とうとするが…

 

『ギャオォォォォォォォォン!!』

 

「チッ…!!」

 

ジャック・オー・ランタンを彷彿とさせるバグスターユニオンは、口から火炎弾を次々と発射し、スニークの接近を許さない。スニークは地面を転がりながらも火炎弾を順番に狙撃して相殺、起き上がると同時に飛び上がってバグスターユニオンの四方八方から狙撃を繰り返す。しかしイマイチ決定打には至っていないようで、バグスターユニオンは高速で横回転を繰り出し、激突したスニークを大きく弾き飛ばす。

 

「くそ、面倒な…!!」

 

≪ガシャコンシールド!≫

 

「よっと!」

 

「!?」

 

その時、スニークの前に割って入って来たガーディアン・レベル2がガシャコンシールドを装備し、バグスターユニオンの吐き出した火炎弾を防いでみせた。ガーディアンの登場に、スニークは仮面の下で厄介そうな表情を浮かべる。

 

「またテメェか、何のつもりだ…?」

 

「おや、酷い言い草だね。せっかく助けてあげたのに…っと!」

 

「ふん、別にテメェの助けなんざ必要ねぇ…よっ!」

 

≪ズ・ダーン!≫

 

『ギャオォォォォォォォッ!?』

 

ガーディアンが飛んで来る火炎弾をガシャコンシールドで防ぐ中、スニークはガシャコンカービンから強力な弾丸を放ち、バグスターユニオンの顔面を集中的に狙い撃つ。スニークはそこから更にガシャコンカービンのBボタンを三連打した後、より威力の増した弾丸をバグスターユニオンの口の中に目掛けて放ち、バグスターユニオンが苦しそうな鳴き声を上げる。

 

「大人しくして貰う……うぉらぁっ!!」

 

『ギャ、オォォォォォォォォ…!?』

 

そして跳躍したスニークは全身を回転させ、まるで弾丸のようにバグスターユニオン目掛けて突っ込んで大爆発を引き起こす。爆風の中からは青髪の女性を抱きかかえたスニークが飛び出して地面に着地し、爆風の中から分散したバグスターウイルスはそれぞれ2体のコラボスバグスターを形成した。

 

「!? またコラボスか…!!」

 

『ググググ…!!』

 

≪ハロウィンオブナイトメア!≫

 

≪ガシャット!≫

 

出現した2体のコラボスバグスターの内、片方のコラボスバグスターが紫色のガシャット―――ハロウィンオブナイトメアガシャットを自身の頭の挿し込み口に装填。ボロボロの黒マント、カボチャ型の胸部装甲、頭部の蝋燭などが特徴的な怪人―――ナイトメアコラボスバグスターに変異し、両手に持ったカボチャ型の爆弾をスニーク達目掛けて投げつけて来た。

 

「うぉわ!?」

 

「ッ……ハロウィンの世界が舞台のシミュレーションRPG『ハロウィンオブナイトメア』か、面倒なガシャットを使いやがって…!!」

 

『ググ、ググ…』

 

「あ、待て!! 逃がすか…ッ!?」

 

もう片方のコラボスバグスターはノロノロと何処かへ立ち去って行き、それを追いかけようとするスニークの胸部を謎の弾丸が襲う。スニークが振り向いた先には、岩の上でガシャコンケインをショットガンのように構えているカポネ・レベル2の姿があった。

 

「!! カポネ…!?」

 

「テメェ、特衛隊のライダーか…!!」

 

「お初にお目にかかります、仮面ライダースニークさん。あなたの持っているガシャットは全て……この私が貰い受けます!!」

 

≪ズ・バーン!≫

 

「そいつは無理な相談だな!!」

 

≪ダ・ダーン!≫

 

岩から飛び降りたカポネは仕込み刃を引き抜ガシャコンケインで斬りかかり、スニークはそれを回避してからガシャコンカービンの銃弾を連射。2人が戦闘を開始する一方、ナイトメアコラボスバグスターはガーディアン目掛けてカボチャ型の爆弾を連続で投げつけていた。

 

『グッグッグッグッ!!』

 

「ッ……厄介だね、僕のガシャットじゃトドメを刺せな……うぁっ!?」

 

「!? チィ……どけ!!」

 

「ぐっ!?」

 

するとナイトメアコラボスバグスターは、今度は纏っていた黒マントを巨大な蝙蝠のような翼へと変化させ、その翼を自在に操る事でガーディアンを攻撃し始めた。カボチャ型の爆弾と違い攻撃力が高いのか、ガーディアンも手にしていたガシャコンシールドを弾かれ、その身に攻撃を直接受けて地面を転がされる。それに気付いたスニークはカポネの胴体に銃弾を浴びせ、カポネが怯んだ隙にナイトメアコラボスバグスターの方へと駆け出す。

 

「くっ……させねぇよ、このカスが!!」

 

≪リバティプリズナー!≫

 

「!! アレは、僕が奴に渡した…」

 

≪ガシャット!≫

 

スニークに無視されて苛立ったカポネは、少し前にステラがコラボスバグスターから回収していた灰色のガシャット―――リバティプリズナーガシャットを起動。カポネの周囲を囚人型のプリズンゲーマが飛び回る中、カポネはレバーの閉じたゲーマドライバーにガシャットを装填。

 

「システム、バージョン3…!!」

 

≪ガッチャーン! レベルアップ!≫

 

≪クライクライクライ! クライムなアクション!(犯・罪・上・等!)クライムマフィア!≫

 

≪アガッチャ! プリズンブレイク! 脱走! 脱獄! リバティ・リバティ・プリズナー!≫

 

変形したプリズンゲーマが、カポネの上半身に纏われる。牢屋の檻を模した胸部装甲、手枷のような形状をした両腕の装甲、そして頭部に装備された囚人服カラーのヘッドギア黒いマスク。全身に拘束具を装備した形態―――仮面ライダーカポネ・プリズンマフィアゲーマーレベル3は、右腕の手枷に繋がれた鎖鉄球―――プリズナーチェインを振り回し、ナイトメアコラボスバグスターに銃撃を仕掛けようとしたスニークの背中に命中させる。

 

「ぐぁっ!? テメェ…!!」

 

「さぁ、大人しくガシャットを差し出しなさい!!」

 

「ッ……この野郎が!!」

 

≪サイレントホロウ…!≫

 

≪ガシャット!≫

 

スニークの繰り出す銃撃も、カポネの振り回すプリズナーチェインが全て跳ね返してしまう。カポネの振り回すプリズナーチェインはそのままスニークを吹き飛ばし、スニークは吹き飛ばされながらもサイレントホロウガシャットを装填し、すかさずゲーマドライバーのレバーを開きホロウミッションゲーマーレベル3へと強化する。

 

「テメェに構ってる暇は無ぇ、そこをどけ!!」

 

「フフフ、やれる物ならやってみるが良いでしょう……でやぁ!!」

 

「…全く、こっちも手助けして欲しいものだが…ッ!!」

 

『ググググッ!!』

 

カポネの振り回すプリズナーチェイン、スニークのスピリットランプから放たれる人魂がぶつかり大爆発を引き起こす中、ガーディアンはナイトメアコラボスバグスターの爆弾や手槍を防ぐので手一杯だった。攻撃手段を持たないガーディアンが2人に対して呆れたように呟いたその時…

 

 

 

 

 

 

-ブゥゥゥゥゥン…ブゥゥゥゥゥン…-

 

 

 

 

 

 

『「「「!?」」」』

 

突如、彼等のいたゲームエリアが変化し、森林の河原から広い平原らしき場所へと移動。一同が驚く間も無く、大きなエンジン音と共にバイクに乗った人物が一同の合間を縫って乱入して来た。バイクを停止させたその人物の姿を見て、スニークとガーディアンは警戒を強める。

 

「!? アイツは…!!」

 

「あの時の…!!」

 

乱入して来た人物―――仮面ライダーザイエン・レベル2は自身が乗っているバイクのハンドルを握り、再び走り出して一同を狙う。最初に狙われたのは、一番近くにいたカポネだ。

 

「!? 貴様、新たなライダー…がぁっ!?」

 

『ググッ!?』

 

ウィリーで突っ込んできたザイエンはカポネを薙ぎ倒し、その次にナイトメアコラボスバグスターの目の前で大きくドリフトし、足元にタイヤを引っ掛けて大きく転倒させる。反撃しようとする彼等だったが、バイクを手足のように操るザイエンは彼等の反撃を物ともせず、2人同時に撥ね飛ばしてから今度はスニークとガーディアンの方へと走り出す。

 

「ッ…次は俺達か!!」

 

「全く傍迷惑だね!!」

 

「…!」

 

≪チュ・ドーン!≫

 

「!? くっ……がぁあっ!?」

 

「うあぁぁぁぁぁっ!?」

 

スニークがガシャコンカービンで銃撃するも、右手にガシャコンバグライザーを構えていたザイエンはビームを連射して銃撃を相殺。ザイエンはそのままバイクに乗って高く跳び上がり、回転するタイヤを命中させてスニークとガーディアンを2人纏めて吹き飛ばす。着地したザイエンは、乗っているバイクに装着されているゲーマドライバーからライムグリーンカラーのガシャットを抜き取り、バイクに装備されているキメワザスロットホルダーに装填させる。

 

≪ガシャット! キメワザ!≫

 

『ググ、グ……ググッ!?』

 

「……!!」

 

≪BOMBER CRITICAL STRIKE!≫

 

ザイエンは再びバイクを走らせ、ナイトメアコラボスバグスター目掛けて突っ込んでいく。それを見たナイトメアコラボスバグスターは黒マントを翼に変化させてから飛んで逃げようとするが、それを見越していたザイエンはガシャコンバグライザーで即座に撃ち落とし、落下して来たナイトメアコラボスバグスターに向かって勢い良くライダーブレイクを炸裂させた。

 

≪会心の一発!≫

 

『グググゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!?』

 

「……」

 

≪GAME CLEAR!≫

 

ライダーブレイクを受けて爆発したナイトメアコラボスバグスター。ゲームクリアの音声が響き渡る中、ザイエンは自身の下へ飛んで来ようとしているハロウィンオブナイトメアガシャットをキャッチしようと右手を伸ばし…

 

 

 

 

 

 

≪ズ・ドーン!≫

 

 

 

 

 

 

「…ッ!?」

 

ザイエンが手にしようとしたハロウィンオブナイトメアガシャットは、直前で謎の矢が命中し大きく弾き飛ばされてしまった。ガシャットはそのままザイエンではなく、ガシャコンスパロー・弓モードを右手に構えていたPDエグゼイド・レベル2の右手にキャッチされた。

 

「…ッ!!」

 

「君は、岡島一城…!?」

 

「よ、ステラさんや。加勢するぜ」

 

(ッ……ひとまず、さっきの患者を安全な場所に…!!)

 

「!? テメェ、逃がすか!!」

 

ガーディアンの傍に立ったPDエグゼイドはガシャコンスパローを構えたまま、バイクに乗ったまま構えているザイエンと正面から対峙。その間にスニークは倒れている青髪の女性を抱きかかえたまま変身を解除し、それに気付いたカポネがプリズナーチェインで攻撃する……が、攻撃が命中する前に秋水は女性を連れてゲームエリアから姿を消してしまった。

 

「チッ逃がしたか……こうなりゃテメェ等をとっ捕まえて―――」

 

「うるせぇ引っ込んでろ」

 

「ごばばばばば!?」

 

「…さて、うるさい馬鹿はこれで黙った」

 

「……」

 

台詞が言い終わる前に、ガシャコンスパローから連射された矢がカポネを大きく吹き飛ばす。うるさい輩が黙ったところで、ザイエンはガシャコンバグライザーをビームガンモードからチェーンソーモードに切り替え、伸びたチェーンソーを高速回転させてブゥゥゥゥンと激しく音を鳴らす。

 

「(さぁて、竜神丸よ。頼むからそのまま無言でいてくれよ)…お前は何者だ? マスタードクターなんてゲームは俺も見た事が無い。どうやって開発した?」

 

「……」

 

「だんまりか……ほんじゃま、精々相手させて貰うとしようか」

 

≪ガシャコンブレイカー!≫

 

ザイエンは無言のままガシャコンバグライザーを左手に構え、右手でバイクのハンドルを握り締める。どうやらPDエグゼイドの意図を何となく察したらしく、彼が困るような発言は一切しないようだ。それに安心したPDエグゼイドはガシャコンスパローの代わりにガシャコンブレイカー・ブレードモードを召喚して右手に装備する。

 

「それからっと」

 

≪爆走バイク!≫

 

≪ガシャット!≫

 

更には爆走バイクガシャットをキメワザスロットホルダーへと装填し、PDエグゼイドは右隣に出現した仮面ライダーレーザー・バイクゲーマーレベル2に搭乗。両者共に相手を威嚇するかのように、バイクのエンジン音を激しく鳴らし合う。

 

≪さて、私の出番かね?≫

 

「ああ。ノーコンティニューで、クリアしてやろうぜ」

 

「……!」

 

両者同時にバイクが走り出す。そして擦れ違い様にガシャコンブレイカーとガシャコンバグライザーの刃が激しく斬り結び合い、ライダーマシン同士による戦いの火蓋は切って落とされる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…たく、何だったんだ? アイツは」

 

一方、ゲームエリアからいち早く離脱した秋水は、意識を失っている青髪の女性を自身の拠点である廃病院まで運び終えた後、用意したベッドの上に女性を優しく寝かせていた。

 

(ん?そういえばコイツ、何処かで見た事が…)

 

「ぅ、ん…」

 

「!」

 

その時、青髪の女性が僅かに呻き、閉じていた瞼がゆっくりと開き始めた。それに気付いた秋水はすかさずサングラスをかける中、意識を取り戻した女性は秋水の存在に気付いた。

 

「あの……ここ、は…?」

 

「今は使われていない廃病院だ。意識を失って倒れていたお前を俺がここまで運んだ」

 

「…すみません……ご迷惑を、おかけしました…」

 

「礼ならいらん。それに、アンタの病気はまだ完治しちゃいない。俺が何とかして治療するから、アンタは大人しく寝てろ」

 

「えっと……あなた、は、一体……ッ!?」

 

「!? おい、無理をするな!」

 

ゲーム病の影響でまだ少し苦しげな表情を浮かべる女性だったが、秋水の顔を見た途端に表情が一変。女性は驚いた様子で無理に上半身を起こしては頭痛で苦しみ、それを見た秋水が慌てて彼女を寝かせようとするが、女性はそんな秋水の手を掴んで彼に問いかけた。

 

「あ、あの!! もしかして……刻秋水先生ですか…?」

 

「!? お前、何故俺の名前を…」

 

「あぁ、やっぱり……無事だったんですね…!!」

 

青髪の女性は嬉しそうな表情で涙を流し、秋水は彼女が自身の名前を知っている事に驚愕する。女性は涙を右手で拭いながら、秋水に名乗ってみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「覚えていませんか…!? 私です、ギンガ・ナカジマです!! 4年前の空港火災で、あなたに命を助けて貰った…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!?」

 

 

 

 

 

 

何という運命だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

刻秋水は思わぬ形で、自身の素性を知る人物と再会してしまったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 


 
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