No.911780

恋姫†夢想×三極姫 ~選ばれし英雄達~

アインさん

表紙に画像つけるだけでも華がある。

2017-06-27 10:47:29 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1020   閲覧ユーザー数:991

洛陽郊外。

 

複数の董卓軍兵士が、槍や剣を所持しつつ辺りや街などを見回りをしていた。

その部隊を指揮するのは仮面を被った呂布奉遷という男。

 

「呂布将軍、これを!!」

 

そこへ一人の兵士が赤い着物を呂布に見せに来る。

 

「あの・・・女のか」

 

その着物に見覚えがある呂布は着物を受け取って、所持している槍で突き刺した。

 

「・・・どこに、いる?」

 

着物はバラバラになり、風で飛ばされた。

 

「曹操・・・・っ!!」

反董卓連合編 二話 『曹操孟徳』

北郷一刀の『北郷』という苗字を受け取った銀河は、北郷銀河と名を改めて、二人と別れて董卓を打倒すべく諸侯が集結している部隊、袁紹の元へと足を向けていた。

しかし、道のりは遠くまだまだ目的地にはたどり着いていない。

 

「遠いな・・・」

 

一刀から場所は教えてもらっているため、道に迷うことはない。

・・・が、この大地に『安全』な場所など数少なく、道中何度も足止めをしてしまった。

 

「天候の変化、賊の襲撃、食料確保・・・とにかく、馬を購入するまで大変だった・・・」

 

銀河はこれまでの苦労した道のりを思い返し溜息をつく。

この時代において、自動車や飛行機など存在しているわけもなく、全て目的地に行くのは徒歩か馬及び船で移動するしかなかった。

その大事な馬も時には無理な扱いをして殺してしまうことなど多く、移動手段において人々は常に苦労していた。だから、馬はとても大事な生き物であった。

 

「少し休憩するか・・・」

 

銀河は馬の疲労も考え、近くの川へ向かう。

 

「ん?」

 

その川に黒い点が見えた。

最初は目の錯覚かと思ったが、近づくとそれは錯覚ではなかった。

 

「・・・!?」

 

人が倒れていた。

銀河は急ぎ、その人間に近づき大声を上げる。

 

「おい、大丈夫かお前!!」

 

大声を出しつつ、銀河は抱きかかれると女性だった。

見た目は自身くらいに若いが、服装はみすぼらしいのを着ているためどこかの貧しい村娘だと思う。

 

「・・・っ!」

 

息をしていない。

恐らく川に溺れてしまったのだろう。ここままではとても危険だ。

しかし、この世界において北郷の現代レベルの医療は存在していない。もはや、彼女は助からない。

これは確定事項だ。

 

「確か・・・北郷が・・・こう」

 

彼は北郷に教えてもらった心臓マッサージと人工呼吸を試してみることにした。無論、助かる保証はどこにも何もないし、意味のないことかもしれない。だが、目の前で死なれるのは寝覚めが悪すぎた。

 

「・・・」

 

しかし、彼女の意識は戻らない。

 

「・・・くそっ!」

 

銀河は地面を叩き、己の無力さを呪った。

 

「北郷を送りし砂塵よ、どうか彼女を助けてくれ!!」

 

銀河は大声で空へ叫ぶ。

自身では助けられないのなら、神に頼るしかなかった。そして、神においても明確なあの北郷との出会いで起こった砂塵に頼った。

あれは理屈では説明できない出来事。もし何かしらの意図があるにせよ自身にとってはあれは妖術以外考えらえない。だが、今は目の前の女性を助けるためなら何でもよかった。

 

「・・・」

 

しかし、何も起きない。

 

「・・・く、そ」

 

銀河は歯を食いしばり、彼女を強く抱いた。

 

どっくん。

 

「が・・・・っは!?」

 

まさか、と目を疑った銀河だが、すぐに彼女は激しい咳を続ける。

 

「しっかりとしろ、わかるか!?」

 

彼女はゆっくりと目を開く。瞳が紅く透き通っていた。

 

「・・・っ! お前は・・?」

 

細声をしながらも質問をしてきた彼女に銀河は答えた。

 

「俺は銀河、北郷銀河だ・・・君は?」

 

彼女はなぜか安堵した表情をするとこう言った。

 

「曹操・・・曹操孟徳よ・・・」

 

そして、再び気を失った。ただし、今度は息をしているので眠ったらしい。

 

「曹操だって・・・?」

 

一方の銀河は、その女性から聞いた名前に動揺が隠せないでいた。

当然だ。これが本当なら自身は出し抜こうとしていた人間を助けたことになる。

 

「・・・どうすれば」

 

銀河はこの出会いに対して決断しなければいけなかった。

・・・明確に敵対するのかそれとも、自身の味方として利用するのかを。

その日の夜。

 

曹操が目を開くと、たき火とそこに座った北郷銀河の姿があった。

辺りも人はおらず、馬が一頭だけだ。

 

「・・・そう選択したのか」

 

曹操はそうつぶやくと銀河を見る。

 

「・・・驚かないだな」

 

銀河はたったこれだけの光景で納得してしまった曹操の理解力に驚いた。

 

「驚いているさ。この孟徳の名を聞き、このような行動をしたことにな」

 

「・・・」

 

それはどう意味での行動なんだろうか。

曹操を董卓に渡さなかったことか、医者に見せなかったことか、それとも身体を温めるために脱がしたことだろうか。

 

補足だが、銀河は数日前に現在の曹操がどうしているのか知っていた。曹操の噂は、黄巾の乱以降から都や村では噂が絶えずこともなく、色々と広がっていたからだ。

信憑性のない噂もあったが、最新の情報において彼女が董卓を暗殺しようとしたが失敗して逃亡したというのが新しい。

 

「なぜ、私を助ける選択をした?」

 

曹操の質問に銀河はほほ笑んだ。

 

「少なくとも名前を知っていても助けた。・・・俺は目の前で、助けられそうな人間を見捨てる性格じゃない」

 

「・・・名を知ったからでは?」

 

「そういうなら、君が女で体でのお礼をもらいたくて助けたでいい」

 

「・・・ほお」

 

曹操は細笑いをする。それは軽蔑する眼差しだ。

 

「・・・」

 

銀河は女性のプライドは難しいなと感じた。

 

「では・・・お礼は身体か? それとも爵位か?」

 

「・・・お礼は」

 

銀河は一度目を閉じ、そして目開いてこう言った。

 

「お礼は・・・俺と一緒に董卓を討伐するのを手伝って欲しいことだ」

 

激震が走るのだった。


 
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