No.894596

2体の魔神皇帝IN艦これ 番外編

HIBIKIさん

久方ぶりの投稿です

2017-02-23 15:44:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:710   閲覧ユーザー数:691

 

特二型(綾波型)駆逐艦曙(地獄)はよく兄と慕う一夏か東雲昴の膝の上にいる。

これはそんな彼女のとある平和な一日。

 

瑞鶴(地獄)が朝、0600に一夏を起こそうとすると彼の体の上で曙が、左腕を枕にして吹雪と文月が

右腕を枕に睦月と子日が眠っていた。彼は既に目を覚ましていたがどうにも動けない。

 

「ほら皆!朝よ!ご飯出来てるから起きなさ~い!!」

 

「ふみゃ~」

 

「子日、まだ一寸眠い~」

 

「お早う御座いますです~」

 

「お早う瑞鶴さん・・・」

 

「ん・・・」

 

曙だけがまだ夢の中。

一夏が着換える為に起き上がり引き剥がそうとすると

 

「ン~!!」

 

「はぁ・・・」

 

抵抗してくっついていたがるのだ。

無理に引き剥がすと起きた時に思いっきりぐずるので彼は半ば諦めている。

元々ブラック鎮守府に居たというのも原因の一つではあるので気にするだけ無駄だと判断したのだ。

一夏の朝の服装は大抵寝間着の上からコートとマフラーを付けているだけだ。

(彼の寝間着は浴衣の様な物なのでコートは変形させてドテラの様にしている)

 

仕方が無いので一夏はコートの中で器用に着換えてからコートを何時もの形態に変形させ、

洗面台でタオルを濡らして顔を拭いてやるとようやく起きた曙。

 

「ん・・・ファ・・・」

 

「ほら寝ボスケ起きろ」

 

やっとはがれた曙はトテトテと部屋に戻って着換えた。

 

「お早う、兄さん・・・吹雪姉さんも」

 

「お早う曙」

 

「おう」

 

曙は真っ直ぐ一夏の所に向かい、膝の上に座る。

大抵の朝はこんな感じだ。

 

「子日も~」

 

「後でしてやるっての・・・」

 

「今は私の番よ」

 

「曙ってば・・・」(苦笑)

 

食事の時だけは彼の膝の上は誰にも渡せないらしい

 

「えっと・・・今日は私と時雨と夕立が出撃」

 

「了解」

 

「ぽい!」

 

吹雪が今日の各々の予定をメモを見ながら告げていく。

 

「瑞鶴さん、榛名さん、神通さん、大和さん、矢矧さん(大和が地獄艦隊配属になったため彼女も入った)

 、叢雲は戦艦大和を旗艦とした演習」

 

「承りました」

 

大和が代表して返事をした。

 

「睦月ちゃんと子日、デスシャドウさんは午後から観艦式予行演習、それまでは自由行動ね」

 

「了解です」

 

「「は~い」」

 

仲良く返事をする子日と睦月。

 

「曙と艦長はお休みです」

 

「おう」

 

「分かったわ」

 

「ワタシタチハ?」

 

「防空ちゃんと駆逐ちゃんは今日は明石さんのところでメディカルチェックだね」

 

「了解シタ」

 

「解ッタヨ」

 

朝食を食べ終えた後、予定のあるメンバーは寮を出て行く。

曙は子日に約束通り膝の上を譲り、朝のランニングに向った。

 

朝日の昇る水平線をのんびり眺めならがランニングする曙。

鎮守府の方では一部の部屋から「寝坊した~!」「ひえ~!」と慌しい声が響いている。

 

「あ、曙ちゃんお早う」

 

「提督・・・ん、おはよ」

 

昴と挨拶すると彼女が持っていた飲み物を渡してきた。

 

「それ飲んで。もう30周以上走っているんだから」

 

気がつけば確かに其れだけ走っていた。ノンストップで普通の人間の倍近い速さで走っていれば

それなりに汗もかくので、水分不足を心配した彼女が毎朝待っていてくれるのだ。

 

「私今から朝風呂に行くけど曙ちゃんも行く?」

 

「ん♪」

 

仲良く手を繋いで浴室へ向う。曙がこの鎮守府に来たばかりの頃は考えられなかった光景だ。

義直提督と雷太提督の所の曙はまだツンツンとしているが・・・(ただしクソをつけなくなった)。

 

「曙ちゃんの髪の毛、相変わらず艶が良いね」

 

「エヘヘ・・・」

 

最近はよく吹雪か昴に髪を洗ってもらうことが増えたようだ。

 

(アレだけいっくんにべったりだったのに。少しづつ兄離れしてるって事かな♪

 まだまだお兄さんっ子だけど)

 

昴は彼が兄として曙の成長を如何思っているのか聞いた事があるのだが・・・

 

「アイツはアイツ、俺は俺。成長は確かに嬉しいけどな」

 

と割と淡白は答えが帰ってきた。

元々個人の意思を尊重するタイプであるからなのか。

(極悪人と呼べる人物には一切の容赦は無いが・・・)

 

「曙ちゃんはいっくんを如何思ってる?」

 

「兄さん・・・?ん~・・・ヒーローかな。本人は悪党って言ってるけど」

 

「ホント何でだろうね?」

 

やはり話題は一夏のモノとなる様だ。

この後20分程の間のんびり談笑しながら昴と朝風呂を楽しんだ曙だった。

 

執務室で昴の仕事を秘書艦の扶桑と一緒に手伝っていると・・・

 

「おやつ持って来たぞ」

 

一夏がおやつを持ってきてくれた。

扶桑が目を輝かせている。

 

「扶桑さんが好きだって言ってた出来立ての本物の蕨餅の黒蜜掛け。

 黄粉も作りたてだから美味いと思う」

 

「有難う。一度食べてみたかったの」←昴

 

「小休止もかねて頂こうかしらね。曙ちゃんも」

 

嬉しそうに皿を受け取り、応接用の椅子に座り蕨餅を口へ入れた扶桑。

昴も味が気に入ったらしくニコニコしながら食べている。

曙はと言うと・・・・

 

「ハム・・・ん~♪」

 

一夏の膝の上で食べさせてもらっている。

応接机には既に一番茶が出されている。

 

「やっぱりこの組み合わせは鉄板ですね」

 

「そうだね~♪」

 

「美味しい♪」

 

(っていうか何処で蕨取ってきたんだろう?)

 

昴は扶桑の言葉に頷きつつ何処から原料調達したのか不思議がっていた。

一夏はまた別の事をするためなのか曙が蕨餅を半分食べた所で彼女を降ろして退出した。

曙は扶桑の膝の上で彼女と一緒に蕨餅で舌鼓・・・。

お互いに食べさせあっている姿は、一寸年の離れた姉妹にしか見えない昴だった。

 

そしてお昼になる頃には全ての書類が片付いた。

書類関連は基本午前中提出がこの鎮守府でのルールなので遠征関連の判を押す以外

もう基本書類仕事は無い。

 

「さて、間宮さんの所と鳳翔さんの所、どっちにしようか?」

 

「兄さんは間宮さん手伝ってるって」

 

一夏の人徳なのか、時折彼が二人の内どちらかを手伝う時はそちらに客が集中する。

整備委員や提督以外での異性が彼しか居ないと言うのもあるのだろうか。

 

「♪~~~~♪♪」

 

曙は昴と一緒に鳳翔の店に入った。

 

「でもいいの?いっくんの居る方じゃなくて」

 

「大丈夫♪」

 

曙はゆっくりとご飯を食べながら笑顔で答える。

 

「兄さんとは夕飯一緒に食べてるし。今は提督とか皆と一緒に居ると楽しいから」

 

雷太や義直が見たら顎が外れる程驚くであろう笑顔で居る曙。

昴はそんな彼女が可愛くて頭を撫でるのを暫く楽しんだ。

無論、彼女を膝の上に乗せながら。

 

昼食後は基本出撃が無ければ提督も含め鎮守府内限定だが自由行動が可能だ。

現在昴は扶桑を伴い、最近港の隅に造られた干潟に居る。

 

「やっぱり此処は涼しくて良いね」

 

曙は既に居た。ゆっくりと歩きながら水の中の砂を耕している。

 

「♪~」

 

(確かこうすればアサリとかが棲み易くなるんだっけ)

 

「干潟は涼しくて過ごしやすいですね提督」

 

「そうね。造ってくれて感謝だね」

 

干潟の少し先には赤潮を防ぐ為なのかムラサイイガイ(ムール貝)を吊り下げたロープがある。

フジツボ等他の水を浄化する生物達も棲み着いているので干潟周辺の水はとても綺麗だ。

 

(実際に水に入っていたら結構危険なんだろうなぁ・・・アカエイとか色々と)

 

曙の作業を見ながらその場に潜む危険に若干顔を蒼くした昴。

扶桑も彼女が何を考えていたのか分かったらしく苦笑している。

 

すると最近建造された扶桑の妹山城が4人分の飲み物とクーラーボックスを持ってやって来た。

 

「姉様、提督、彼からおやつの差し入れです。曙!貴女もいらっしゃいな」

 

「!」

 

曙は山城の声に真っ先に反応してやって来た。一夏からアイスの差し入れと聞くととても嬉しそうにしている。

 

「癒されるわ~♪」

 

「あらあら山城ったら」

 

「もう皆の妹って称号を送りたいよ」

 

山城は曙を膝の上に乗せて一緒にアイスを堪能中・・・。

彼女を建造したのが曙で建造機の中から出てきた彼女を見て真っ先に扶桑を呼んで来てくれた事もあり

山城は曙をとても可愛がっている。

というより妹として扱っている。そんな曙も扶桑姉妹を姉のように慕っているので事情など知らなければ

仲の良い年の離れた姉妹にしか見えない3人である。

 

曙SIDE

 

そろそろ夕飯だなぁ・・・。

それにしてもどうも最近兄さんの様子がおかしい。

妙に大人しいというのかあの視察の時にあったあのアクシデント?といえばいいのか。

それ以降なんだか警戒心が強い感じがする・・・。

 

特に青葉とか球磨型の人達とか雷太提督に対しては。

義直提督は逆に信頼されているからかこれっぽっちも警戒されてない感じ。

 

「曙ちゃん、ご飯だって」

 

「分ったわ子日」

 

食堂で兄さんの膝に子日と一緒に座った。兄さんも大して気にしていないし邪魔だったら

「退け(のけ)」って言うし。一寸古風な感じはするけど(汗)

 

メニューは焼き鳥だ。私としては皮とねぎまが好き。

焼けた葱のあの甘さと苦さ、食感がたまらない。

 

兄さんは基本好物か大好物しかないから時折ポリバケツとか言われてる。

たべる量も半端じゃないから偶にとあるゲームをやってる面々から

 

「コイツ絶対にジョーだろ!あのゴーヤめぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「いやどっちかというとアラガミ・・・」

 

「青葉上だ!」

 

「アイエェェェェェェェェェェェ!?!?」

 

「青葉が食われた!?」

 

「この人でなしィ!」

 

「この野菜人どうにかしてくれぇぇぇ!?」

 

とか言われてる。望月とか長月達はその理由が解ってるらしいけど・・・。

ていうか何コントしてるの?途中から赤城さんも混じってるし・・・。

そういえば吹雪姉から聞いたけど3~5歳の時は戦場に居たから土だろうが人肉だろうが

口に入れられる物は武器以外何でも食べてたって・・・悪食が過ぎない?

っていうかなんで食事の時にこんな事考えてるんだろう私・・・。

 

まぁいいや。焼き鳥美味しいし。あ、皮とねぎま、ドリンク追加で!

子日は皮とレバー、モモが好きみたい。

 

「お代わり!」

 

「早いです赤城さん!沢山食べるのは構いませんが一夏君を見習ってもう少しゆっくり食べて下さい!!

加賀さん貴女までなんですか!?瑞鶴ちゃんや翔鶴ちゃんのまで奪い取って!貴方はもうご飯抜きです!」

 

赤城さんと加賀が鳳翔さんに怒られている。当たり前だよね、瞬食してるんだもん。

兄さんや五航戦の人達の焼き鳥に手を出そうとした加賀さんは鳳翔さんに投げ飛ばされて海の中へ・・・

大和さんや瑞鶴さんは声を掛けてから持っていくから何も言われず・・・。

一航戦の人達って割りと常識知らずなのね。他の空母の人達も食べるけど普通の人より少し多めなだけなのに。

大鳳さん達戦時末期組みの事は良く分からない。ただ食が控えめって事しか知らないのよね。

 

今日の夕食で食べた量(一部代表者のみ記載)

出されたのは皮、ねぎま、もも、レバー、塩焼き(もも)の5種類

 

曙   皮6本、ねぎま10本、塩3本

 

子日  皮4本、レバー4本、モモ6本、塩4本(ねぎま苦手なのかしら?葱美味しいのに)

 

赤城  全種類60本づつ(暴食の赤城って渾名の理由が分かった気がする)

 

大和  全種類70本づつ(そういえば最近兄さんを「お父様」って呼んでた様な・・・)

 

加賀  皮。ねぎま5本づつ(他人の物を奪った為、強制排除)

 

瑞鶴Z 全種類8本づつ(空母にしては意外と小食なんですよねこの人)

 

吹雪Z 全種類10本づつ(割と食べるのね姉さん)

 

一夏  全種類少なくとも200本づつ+割と多めに残った昼のご飯(化け物だわ・・・)

 

・・・・・・・・・・兄さん食べすぎじゃない?

でも確か腹2文目とか言ってた様な・・・。とある漫画の野菜人とか美食屋じゃあるまいし・・・。

 

曙SIDE END

 

一夏の暴食という事件はあったが彼自身は月に一度の食い溜めをしただけなので

(しかも事前に予告して)何も言われる事も無かった。

風呂に入りおえると曙は真っ先に一夏か昴の下に向かう。今回は一夏の下に向った。

彼の膝に乗り、タオルを渡すと

 

「兄さん」

 

「解ってる」

 

彼が大きめのタオルを受け取ってまだ濡れている曙の髪を拭く。

拭き追えるとドライヤーを掛けてから髪を梳かし、綺麗に束ねた。

 

「確か昴の姐さん(とある事実に行き着き呼び方を変えた)と寝るんだっけか?」

 

「うん♪」

 

(最初の頃の警戒心むき出しが嘘のようだな・・・)

 

「提督ってとっても暖かくって柔らかい感じがしてお母さんみたいで好き」

 

「・・・そうか(そう呼んでやればいいんじゃねぇのか?)」

 

「兄さんは本能的に?なんていうか・・・う~ん・・・傍に居たくなる感じ。

 近くに居れば守護されているような感覚があってそれが好き」

 

「俺が守護って・・・」

 

「事実でしょ?」

 

「・・・」←何かと子供を護っていたので全く反論できない

 

苦笑いする一夏に頬刷りしながら甘えて満足できたのか昴の部屋に向う曙。

去り際にきちんと「おやすみなさい」と言う辺り他の曙より礼儀がなっていると思う一夏であった。

 

「提督」

 

「お、来たね」

 

風呂から上がって髪を拭いている昴に抱きつく曙。

昴も彼女を受け止めてわしゃわしゃと頭を撫でる。

 

「ん~♪」

 

「ふふふっ」

 

「んじゃ後は任せた昴の姐さん」

 

「任されたよ~(何で姐さんになったんだろ?)」

 

「おやすみ兄さん」

 

彼は振り返らずに手をあげる事で返事をするだけだった。

曙と昴はベットに入ると直ぐに眠気が襲ってきたらしく寝てしまうのだった。

 

翌日、青葉に大騒ぎされたが衣笠が青葉をボコボコにした為に新聞にこの事はのる事はなかった。

 

とある駆逐艦の少女のお話でした

 

 
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