No.886068

本編補足

根曲さん

・必要事項のみ記載。
・グロテスクな描写がございますので18歳未満の方、もしくはそういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
・心理的嫌悪感を現す描写が多々含まれておりますのでそれういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。

2016-12-30 18:25:21 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:229   閲覧ユーザー数:229

C1 館

C2 入館

C3 逃亡者達

C4 死

C5 混乱

C6 探索

C7 妖精

C8 退治

C9 後悔

C1 館

 

早朝。ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。山中の木々の枝や葉を斬り上げて湿った地面を進む鎧を血で染めたポメラニア王国兵士マウトリア。

 

マウトリア『ち、あのクンゾクの野郎しくじりやがって!一介のこっちにはいい迷惑だぜ!ちくしょう!』

 

立ち止り、ため息をつくマウトリア。

 

マウトリア『人の心配しているどころじゃねえな。』

 

彼は剣を振り上げ木々をかき分けて進む。暫く進み、開けた場所にでるマウトリア。散乱する木の枝、木の葉。周りを見回すマウトリア。

 

マウトリア『ふむ。先客か…』

 

マウトリアは木に近づき、少し焦げた枝の切り口を見つめる。

 

マウトリア『厄介なのもいるらしい…。』

 

しゃがむマウトリア。彼は東へ続く大量の足跡を見つめる。

 

マウトリア『ふむ。』

 

立ち上がるマウトリア。

 

マウトリア『この時期に国境付近にいる奴なんざ、ろくなやつじゃねえだろ。行ってみるか。いや、行くしかねえ。』

 

マウトリアは後ろを振り向いた後、前を向き、足跡を辿り奥へ進む。暫く進み、息を切らして立ち止まるマウトリア。

 

マウトリア『ち、重えな…。鎧って奴は…。』

 

顔を上げるマウトリア。彼の眼は大きく見開かれて、遠くに見える館を映す。

 

C1 館 END

C2 入館

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館の前に立つマウトリア。館の正面玄関に立ち、腕を組むホホジロザメ人のシュザンギ。

 

シュザンギ『お前、ポメラニア王国軍だな。』

 

シュザンギを見つめるマウトリア。

 

マウトリア『…いや。』

シュザンギ『嘘はよくねえな。兄ちゃんよ。その鎧はポメラニア王国軍の支給品だぜ。しかも、素人じゃねえ着こなしだ。おまけに何人殺してきたんだ?その血は?』

 

マウトリアは自身の鎧を見る。

 

マウトリア『これは…。』

 

マウトリアはため息をつく。

 

マウトリア『…おれは逃亡兵だ。仲間が何人も目の前で死んでな。訓練とは違う実戦の恐怖に怖気づいて逃げ出したのさ。理想と現実とのギャップ、騎士物語は夢になりけりってな、まあ、情けない話、戦が嫌になっちまってな。』

 

眉を顰めるジュザンギ。ジュザンギの顔を見て、一歩前に出るマウトリア。

 

マウトリア『俺を疑うのか?おいおい。考えても見ろよ。』

 

後ろを振り返るマウトリア。

 

マウトリア『…今、戦乱の真っ最中なんだぜ。国王軍がグージェス卿とプロスデン騎士の連合軍と戦ってるんだ。クンゾク卿を始め他の貴族も国王軍とグージェス卿軍の間を行ったり来たりさ。

こんなところまで来て、あんたら捕まえたって、腹の足しにもならないだろ。戦場に行けば手柄は立てれるんだからよ。それに、俺はどの道、軍に戻ったところで銃殺刑。あんたらを売っても助かるとは思わんね。』

 

マウトリアを見つめるジュザンギ。少し開く扉。ジュザンギは扉の方を向き、2、3回頷いた後、マウトリアの方を向く。

 

シュザンギ『ふん。いいだろう。ただし、行動は俺達に従ってもらう。』

 

頷くマウトリア。

 

マウトリア『分かった。』

 

シュザンギは首で合図する。開く扉。マウトリアはシュザンギと共に館の中に入って行く。

 

C2 入館 END

C3 逃亡者達

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館。地面に座り込む老人のサーテコインに、娘で赤子のアリエナを抱く女性ミリミ。隣には眼鏡をかけたカピバラ獣人の男性のアズン。壁にもたれかかって座る男性のポーマッツとその妻のラインナ。椅子に座る魔法使いの女性シェルナ。奥のソファに座るがたいのいい男性で高価な腕時計を身に着けたのカルドルマと、痩せたクモザル獣人のクロモン。シュザンギは周りを見回すマウトリアを連れて、カルドルマの前まで来る。

 

シュザンギ『いいんですか?コイツ、ポメラニア軍の兵士ですぜ。』

 

カルドルマはマウトリアをゆっくりと見回す。

 

カルドルマ『話は聞かせてもらった。それに腕の立つ奴は大歓迎でね。それだけの返り血を浴びてりゃ、何人もやったんだろ。』

マウトリア『まあな。』

カルドルマ『それに…貴族の兵隊にゃ、それぞれの鎧の着こなしのクセってのがあるもんだ。』

 

口角を上げてマウトリアを見つめるカルドルマ。

 

マウトリア『…何もかもお見通しって訳か。』

カルドルマ『国の奴らは、内紛の真っ最中で俺達のことに構ってられないだろうが、他国の奴らは黙っちゃいねえ。そん時は、頼むぜ。』

 

頷くマウトリア。

 

マウトリア『分かった。俺も安全なところに早く行きたいからな。』

 

首を横に振るカルドルマ。

 

カルドルマ『今は、駄目だ。日が高い。すぐにバレちまう。出発は今夜だ。』

 

頷くマウトリア。カルドルマはクロモンの方を向く。

 

カルドルマ『おい、クロ、こいつを案内してやってくれ。』

 

一礼するクロモン。

 

クロモン『分かりました。』

 

クロモンについていくマウトリア。

 

マウトリア『あんたら逃がし屋か。』

クロモン『まあ、そんなところです。』

マウトリア『儲かってんだろ。難民も多いって聞くしな。』

クロモン『はは、それがさっぱりで。妙な連中が市場に入り込んじまってるんですよ。』

マウトリア『妙な…。』

クロモン『よくわからない連中ですけど。俺達より断然ツテとカネをもっている奴らですよ。はぁ…。』

マウトリア『そうか…。まあ、それにしても悪くないアジトだな。』

 

立ち止まりマウトリアの方を向くクロモン。

 

クロモン『アジト…。』

 

首を横に振るクロモン。

 

クロモン『ここはアジトでもなんでもありません。』

 

眉を顰めるマウトリア。

 

マウトリア『…えっ??』

クロモン『仕事中に運よくここがあったんですよ。』

マウトリア『ここがあった?』

クロモン『しかしおどろきましたね。こんなところに館があるなんて、いつなんのために誰が建てたのかもわかりませんよ。こんな辺鄙な所、もの好きしか来ないんだから…。』

 

頷いた後、周りを見回すマウトリア。

 

マウトリア『それで、こいつらが逃亡者と…。色んな奴がいるな。若い女も…。』

クロモン『ああ、その女には近づかない方がいいぜ。』

マウトリア『そりゃ、どういうことだ?』

 

クロモンはシェルナの腰ベルトからぶら下がるビームロッドを見る。マウトリアもビームロッドを見る。

 

マウトリア『魔法使いか…。』

 

頷くクロモン。

 

クロモン『魔法使いだ。近づくと文字通りヤケドするぜ。』

マウトリア『なるほどな。』

 

立ち上がるサーテコイン。

 

サーテコイン『おい。逃がし屋。』

 

サーテコインの方へ行き、頭を下げる逃がし屋。札束を取り出すサーテコイン。

 

サーテコイン『…わしゃ年寄りじゃ。ここに蹲るのだけでも辛い。いい部屋を用意してくれないか?』

 

クロモンは札束を見つめる。クロモンの右頬を、次に左頬を札束で叩くサーテコイン。

 

サーテコイン『どうじゃ?』

 

札束を見つめ、息をのむ一同。立ち上がるカルドルマ。彼はサーテコインのもとに走って行く。

 

カルドルマ『た、ただいま用意させていただきます。』

サーテコイン『頼むぞ。しんどい。』

 

頭を下げるカルドルマ。

 

カルドルマ『おい!シュザンギ!クロモン!早く言い部屋を探しやがれ!』

シュザンギ『はい!』

クロモン『へい!』

 

階段を登って行くシュザンギとクロモン。マウトリアはサーテコインに近づく。

 

マウトリア『おい。爺さん。ここであまり金を見せびらかさない方がいいと思うが…。』

サーテコイン『御忠告どうも。しかし、わしゃ宗教法人の大幹部だったことのある男じゃ。それに…。』

 

サーテコインはコートの裏ポケットから金細工の枠に覆われ、半透明の部分からは肉片の様なものが見えるペンダントを取り出す。

 

サーテコイン『無駄なことじゃ。これさえあれば誰でも倒すことができる…これさえあれば…。』

 

ペンダントを見つめ満面の笑みを浮かべるサーテコイン。

 

サーテコイン『どこでもやり直すことができる。どこでもな…。ククククク。わしゃ、あいつとは違う。下らんことに拘ったあいつとはな…。』

 

階段を駆け下りて来るシュザンギとクロモン・

 

シュザンギ『親分!ありました!』

カルドルマ『そうか!なら、はやく案内しろ!』

クロモン『へ、へい!』

 

シュザンギとクロモンの方を向くサーテコイン。

 

サーテコイン『そうか、なら行こう。』

クロモン『こちらです。』

 

シュザンギとクロモンについていくサーテコイン。マウトリアはシェルナの隣に座る。

 

マウトリア『何もんなんだ?あの爺さん…。随分と羽振りがいいようだが。』

 

マウトリアの方を向くシェルナ。

 

シェルナ『マウリュウ教って知ってる?』

マウトリア『マウリュウ教…ああ、ここで勧誘して、洗脳し、金をだまし取るっていうあのインチキ宗教法人やってたやつか。』

シェルナ『その教祖よ。』

 

笑い出すマウトリア。

 

マウトリア『何が大幹部だ!教祖じゃねえか!』

シェルナ『いえ、元はどこかの教団に勤めていたようだけどね…。』

マウトリア『ふん。まあ、それじゃ…俺達は太刀打ちできないな。』

シェルナ『ええ、宗教法人はインチキだけど、魔法の腕は本物だから。敵いっこないわ。』

 

俯く、マウトリア、シェルナ、カルドルマ以外の一同。

 

C3 逃亡者達 END

C4 死

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館。床に転がる心臓病の薬の小瓶を見つめるクロモン。

 

クロモン『なんだこりゃ。』

 

クロモンの近くに集う一同。

 

ミリミ『どうしたの?』

 

クロモンは心臓病の薬の入った小瓶を指さす。

 

クロモン『なんか落ちてるんだが…。う~ん。』

 

一歩前に出て、眼鏡を上げるアズン。

 

アズン『・・・これは、心臓病の薬ですよ。』

 

アズンの方を向くポーマッツ。

 

ポーマッツ『心臓病…。』

 

頷くアズン。

 

アズン『間違いありません。同僚が使っていたのを何回か見たことがありますから…。』

マウトリア『誰のだ?』

 

周りを見回すマウトリア。

 

シェルナ『ここにいる人たちの者ではないらしいわね。』

マウトリア『となると…あの爺さんか、ここの館の住人。』

シュザンギ『ここの館の住人ってことはねえだろ。』

 

周りを見回すシュザンギ。

 

シュザンギ『あきらかに、ここは立てられてから数百年はたってらあ。』

カルドルマ『壁にしろ、備品にしろデザインが古くせえからな。』

 

顔を見合わせる一同。

 

一同『ってことは…。』

 

2階の方を向く一同。

 

マウトリア『あの爺さんのものか。』

カルドルマ『まずいな…。』

 

彼らは階段を駆け上がる。2階の中央の部屋の扉を叩くカルドルマ。

 

カルドルマ『おい!爺さん!爺さん!いるか!』

 

暫し、沈黙。激しく扉を叩くカルドルマ。

 

カルドルマ『爺さん!爺さん!おい、大丈夫か!爺さんよ!!』

 

一同の方を向くカルドルマ。頷く一同。

 

カルドルマ『扉を開けるぞ!爺さんよ!』

 

扉を開けて中央の部屋に入る一同。広い部屋。中央にベット。奥の壁には数百年前の女性のウレイア公爵夫人の肖像画が飾られている。扉の近くには本棚。窓際の壁にもたれかかるサーテコインの死体。胸から天井にかけて肉壁の様なものが伸びる。後退りするラインナ。

 

ラインナ『ひっ!』

 

部屋の中に入るカルドルマとシュザンギにクロモン。

 

カルドルマ『ちっ…手遅れだったか。』

 

カルドルマはサーテコインの死体に近づく。一歩前に出るミリミ。

 

ミリミ『ち、近づいて大丈夫なの?その爺から伸びるその変なの、へんなビョーキもってるんじゃないの!!』

カルドルマ『黙ってろ。魔法が強えからって、こうなっちまえば、誰も一緒なんだよ。』

 

サーテコインの持ち物を物色し始めるカルドルマにシュザンギとクロモン。

 

カルドルマ『へ、病気の何が怖え。このご時世だ。いつ死んでもおかしくはねえ。だが、こいつは金を大量に持ってんだ!』

 

サーテコインのコートから金品を取り出すシュザンギ。

 

シュザンギ『すげえ、こんなに持ってやがる。』

クロモン『しかし、あのお守りはみあたりませんね…。』

 

カルドルマ達を見つめる一同。サーテコインから伸びる肉壁を見つめ、ポーマッツに抱き付くラインナ。

 

ラインナ『気味が悪いわ。それにもうすぐ夜ですし、すぐに出発しましょ。』

ミリミ『そうよ。はやく行こうよ。』

 

ラインナはカルドルマの方を向く。

 

ラインナ『ねえ、カルドルマさん。』

カルドルマ『…物色が終わったらすぐだ。ちっと待てよ。』

 

アズンがウレイア公爵夫人の肖像がを見つめて一歩前に出る。アズンの方を向くマウトリア。

 

マウトリア『どうした?』

アズン『いや…あの肖像画の女性、どこかで見たことがあると思ったら、ウレイア公爵夫人ですよ。』

 

アズンの方を向く一同。

 

一同『ウレイア!』

アズン『ええ。よく美術の課題の題材になるんです。毒殺と裏金の美女…魅力的でしょ。』

 

アズンの傍らに寄るマウトリア。

 

マウトリア『ってことはあんた画家か。』

 

頭を掻くアズン。

 

アズン『え…ええ。美術教師です。でも、このご時世じゃ絵や絵の技術よりも戦の技術の方が売れるでしょ。商売あがったりですよ。生徒が集まらず借金だけがふくらんで、逃避行ですよ。はは…。』

 

立ち上がるカルドルマとシュザンギにクロモン。

 

カルドルマ『…するってえと、ここはウレイア公爵夫人の隠し館ってことか。』

シェルナ『まだ、確定はしてないけど…。その可能性は高いわね。』

カルドルマ『ふん。ウレイア公爵夫人と隠し財産の伝説なら誰でも知ってるからな…。』

 

カルドルマはサーテコインの方を向く。

 

カルドルマ『こんなしけた爺の持ってるちんけな金よりも莫大だ…。』

 

顎に手を当てるカルドルマ。

 

カルドルマ『う~ん。』

 

カルドルマは一同の方を向く。

 

カルドルマ『…おい。予定を遅らせていいか?』

 

顔を見合わせる一同。

 

一同『えっ!』

カルドルマ『何もただとはいわねえ。この館あるウレイア公爵夫人の隠し財産が見つかりゃ、山分けだ。伝説だと俺達全員で分けたとしても一生暮らしてもお釣りが来る分の金額にはなる。』

 

顔を見合わせる一同。

 

カルドルマ『…国を脱出しなくてよくなるかもしれないんだぜ。』

シェルナ『まだ、ウレイア公爵夫人の隠し館と決まったわけじゃないわ。』

カルドルマ『だが、その可能性はあるだろう。どの道、俺達はあんまり急いでいないんだ。見つからなきゃ、あんたらを国外に脱出させてやるよ。』

 

暫し、沈黙。カルドルマの方を向いて頷く一同。

 

シェルナ『そういうことなら協力するわ。』

マウトリア『まあ、用心棒としてあんたらに受け入れられたんだ。あんたらに任せるよ。』

 

笑うカルドルマ。

 

カルドルマ『そうか。分かった。今日は遅い。もう、日が陰ってやがる。明日の朝、隠し財産を探すとしよう…。』

 

C4 死 END

C5 混乱

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館。眼を開くマウトリア。眼を開くマウトリア。シェルナが時計を見た後、窓の方を向く。

 

シェルナ『朝だというのに、この薄暗さ…。』

マウトリア『なんだ曇りか。』

 

マウトリアの傍らに寄るアズン。

 

アズン『まるでこの世の終わりの様な色合いだ。』

マウトリア『芸術家は言うことが違うねえ…。』

 

一同の方へ歩いてくるシュザンギにクロモン。彼らはマウトリアの方を向く。

 

クロモン『おい、親分をしらねえか?』

マウトリア『親分…。そういや見ねえな。』

シュザンギ『見当たらねえんだ。さっきまでいたのに…。』

マウトリア『まさか…。』

 

顔を見合わせる一同。

 

マウトリア『自分だけ金持って逃げ出したのか!』

 

歯ぎしりするシュザンギ。

 

シュザンギ『なっ!あの野郎!』

クロモン『俺達を、今まで散々こき使いやがって!ぶっ殺してやる!!』

 

扉の方を向くシュザンギとクロモン。階段から転がり落ち、シュザンギとクロモンの前で止まる高級時計をつけたカルドルマの腕。

 

シュザンギ『えっ…。』

クロモン『あ…。』

ミリミ『きゃああああああああああああああああああ!』

ラインナ『いやあああああああああああああああああ!』

 

カルドルマの腕を見つめるシュザンギ。

 

シュザンギ『おい、これは…どういうことだ。』

クロモン『親分の腕…。』

 

怯えるラインナとミリミとアズン。クロモンは血で黒ずんだ腕の切り口を見つめる。

 

クロモン『おい。シュザンギさんよ。』

 

クロモンの方を向くシュザンギ。

 

シュザンギ『なんだ。クロ。口のきき方に…。』

 

クロモンは懐から短刀を取り出す。

 

シュザンギ『なっ!おめえ、どこでそれを。』

クロモン『お前が寝てるときにくすねたのよ。案外脇があめえな。それに、おめえ、ホホジロザメ人だろ。ヒューマンなんざ殺すの訳ねえよな。』

シュザンギ『ななな、何言ってんだおめえ!』

クロモン『腕の切り口見て見ろ、こんな殺し方ができるのは、ここじゃあ、おめえしかいねえんだよ!俺はクモザル獣人、後いるのはカピバラ獣人しかいねえ!』

シュザンギ『お、おいおい、ちょっと待て!』

クロモン『今まで、散々威張り散らしやがって!』

シュザンギ『ま、待て待て待て!』

 

クロモンはシュザンギの腹に短刀を突き刺す。シュザンギの血を浴びるクロモン。

 

ミリミ『きゃああああああああああああああああああ!』

ラインナ『いやあああああああああああああああああ!』

 

シュザンギから短刀を抜き、一振りするクロモン。

 

クロモン『へ。情けねえ奴だ。』

 

ビームロッドをクロモンに向けるシェルナ。クロモンはシェルナを見つめる。

 

クロモン『へっへ、いいのか俺を殺しても。』

 

自身の蟀谷に人差し指をさすクロモン。

 

クロモン『おい、魔法使い。いいのか?俺の頭には、色んな外国への安全な逃亡ルートが入ってんだ。殺せば、こっからどうするよ。まだ財宝も見つけてねえだろ。』

 

舌打ちするシェルナ。頭の毛を掻き、笑い出すクロモン。

 

クロモン『いいか。今から俺がヘッドだ。俺の命に反した妙な動きをして見ろ!』

 

短刀を一同に向けるクロモン。

 

クロモン『一人残らずぶっ殺してやる!』

 

クロモンの方を向く一同。

 

クロモン『決まりだな。じゃあ俺の言う通りに館を探索するんだ。』

 

クロモンはマウトリアとポーマッツにラインナの方を短刀で指す。

 

クロモン『お前らは2階へ行け!残りは、1階を調べろ!』

 

クロモンを睨むミリミ。

 

ミリミ『ちょっと、わ、私には赤ちゃんがいるのよ。』

 

ミリミを睨み付けるクロモン。

 

クロモン『黙ってろ!俺の命に従えねえ奴は刺すぞ!コルラァ!』

 

下を向くミリミ。階段を上がるマウトリアとポーマッツとラインナ。

 

ラインナ『あなた。怖いわ。』

ポーマッツ『大丈夫だよ。僕がついているから。』

 

階段を上がり、血で染まった2階の廊下を見つめるマウトリア。

 

マウトリア『すげえ血だな。ここでやられたのか…。』

 

C5 混乱 END

C6 探索

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館。2階。中央の部屋。戸棚を物色するマウトリア。本棚を見回すポーマッツ。その傍らにはラインナ。

 

マウトリア『特になにもねえな。』

ポーマッツ『右の部屋にも左の部屋にも特にめぼしいものはありませんでしたね。』

 

マウトリアは立ち上がりサーテコインの死体から伸びる肉壁の様なものを見つめる。

 

マウトリア『気のせいか。爺さんから伸びるアレでかくなってないか?何か動いているような…。』

 

ポーマッツの後ろに隠れるラインナ。

 

ラインナ『ひっ…。』

 

ポーマッツはマウトリアを睨む。

 

ポーマッツ『妻を怖がらせるような真似は止めてください。』

マウトリア『……そうだな。すまんな。』

ラインナ『何もないならここをでましょう。気味が悪いわ。』

 

ラインナの方を向き、頷くポーマッツとマウトリア。彼らは中央の部屋から出る。蠢く肉壁。

マウトリアとポーマッツの方を向くラインナ。

 

ラインナ『ここにはもう来たくないわ。』

マウトリア『そうだな。あの爺さん。何の病気だったんだ?』

ラインナ『それに…。』

 

ラインナはポーマッツを見つめる。

 

ラインナ『あ、あの…。トイレ…。』

 

頷くポーマッツ。

 

ポーマッツ『分かった。』

 

階段を下りていくマウトリア、ポーマッツ、ラインナ。ソファでくつろぐクロモン。

 

クロモン『おう、見つけたか。財宝を…。』

 

首を横に振るマウトリア。

 

マウトリア『いや、めぼしいものは特に…。』

 

一歩前に出るポーマッツ。

 

ポーマッツ『それよりも、妻がトイレに…。』

クロモン『トイレ、ああ、行きゃいいぜ。』

 

駆け去って行くラインナ。

 

クロモン『2階にゃあ、なかったか。嘘はついてないだろうな。』

 

頷くマウトリアとポーマッツ。

 

マウトリア『ああ、特にな。だいたいこういうモンは地下に隠すんじゃないか?』

クロモン『そうかもな…。』

ラインナの声『ぎいやああああああああああああああああああああああああ!』

 

周りを見回すクロモンとマウトリア。血相を変えて、駆けて行くポーマッツ。

 

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館。トイレの前に集う一同。下半身だけのラインナの死体を何回もさするポーマッツ。

 

ポーマッツ『ラインナ、ラインナ、ラインナ!』

 

シェルナがポーマッツの傍らに寄り、肩に手を当てて首を横に振る。

 

シェルナ『…もう手遅れよ。』

ポーマッツ『あああ。』

 

泣き崩れるポーマッツ。

 

クロモンの方を向く一同。

 

ミリミ『これは、どういうことよ!』

アズン『殺人犯はもういないんじゃなかったのか!』

 

首を横に振るクロモン。

 

クロモン『…俺が知るか!い、いや、』

 

クロモンは短刀を取り出し、一同に向ける。

 

クロモン『そ、それ以上来るんじゃねえ!刺すぞ!!』

アズン『お前がやったんじゃないのか!』

ミリミ『そうよ。こいつ、使いっぱしりだったから、今までの鬱憤晴らすために仲間を殺したのよ!』

 

クロモンを睨み付けるポーマッツ。

 

ポーマッツ『…お前か!お前が!!』

 

剣に手を掛けるマウトリアとビームロッドを構えるシェルナ。ポーマッツはクロモンに近づく。

 

クロモン『違う違う違う。おいおい、だいたい俺があんたの妻を殺したところで、なんの得がある。あんたらは夫婦だ。取り分なんて減らねえぞ。それに俺はあんたらと一緒にいただろう。』

 

ポーマッツとマウトリアの方を向くクロモン。

 

マウトリア『あ、ああ。』

アズン『屁理屈だ!だったら、何か仕掛けを使って、こいつがやったに決まっている!』

 

クロモンの前に立つアズン。クロモンはアズンを見つめる。

 

クロモン『いや…。』

 

笑い出すクロモン。

 

クロモン『何で今の今まで気づかなかったのか!』

 

クロモンはアズンを睨み付ける。

 

クロモン『やい!』

 

クロモンは蟀谷に人差し指を当てる。

 

クロモン『俺の頭にな顧客情報のデータはちゃんと入ってるんだよ…。後で金をせびれるようにな。』

 

眼を見開き、後ずさりするアズン。

 

クロモン『…美術教師。うまくごまかしたやがってよ!こいつはな。児童ポルノ御用達のペド絵師だぜ。へっ、参考資料と抜かして、少年少女の写真を大量に持ち歩き、参考体験っていって少年少女の体を弄んだ変態だ!』

ミリミ『ひっ!』

 

後退りするミリミ。眉を顰めてアズンを見るシェルナ。

 

アズン『ち、違う!』

クロモン『何が違うだ!お前の国外逃亡の理由はそれだろう!おまけに今度は熟女にはまったていうじゃねえか。幅が広すぎだぜ。先生よ!』

アズン『私は…。』

クロモン『おい、変態でロリコンさんよ。少年少女を襲う草食…ならぬ肉食系の変質者だな。お前が手籠めにした子ども達でどれだけもうけたよ、ああ?抵抗できない子どもを襲うんだからな。お前の絵なんてな、そういった犠牲にされた子どもたちの上に成り立ってるんだ。お前を恨む声で…。』

アズン『貴様、言わせておけば!!絵の少年少女は私を愛してくれているんだ!絵の中の少年少女たちは皆私を愛してくれているんだ!!それを貴様!!』

 

アズンはクロモンに跳びかかる。唖然とする一同。クロモンの手から落ちる短刀。アズンはクロモンの腹を何回も噛む。

 

クロモン『キッ、キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』

 

息を切らして顔を上げるアズン。ポーマッツは短刀を持ち、アズンの腹を突き刺す。、

 

ポーマッツ『お前がラインナを!おのれ!お前が!!』

 

何回もアズンを突き刺すポーマッツ。アリエナを置いてトイレから駆けて行くミリミ。

 

マウトリア『あっ。』

シェルナ『ちょっと!』

 

彼女を追うマウトリアとシェルナ。

 

C6 探索 END

C7 妖精

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館。1階。正面玄関の扉のノブを何回も回して押すミリミ。

 

ミリミ『出して、出してよ!!』

 

ミリミの方へ駆けていくマウトリアとシェルナ。

 

マウトリア『落ち着け。』

ミリミ『もう、いや、こんなのもういやよ!どうして開かないの?』

 

眉を顰めるシェルナ。

 

シェルナ『開かない?』

 

首を傾げるマウトリア。

 

マウトリア『開かない…。』

 

マウトリアは扉のノブを回して押す。

 

マウトリア『おかしいぞ。少しそこをどけ。』

 

マウトリアから離れるミリミとシェルナ。マウトリアは扉に体当たりする。開かない扉を見つめるシェルナにミリミ。

シェルナはマウトリアの方を向く。

 

シェルナ『離れて!』

 

呪文を唱えるシェルナ。ビームロッドから放たれるビームが扉にあたり爆発を起こす。煙が巻き上がり、咳き込む一同。

 

マウトリア『開いたか?』

 

無傷の扉や壁を見る一同。眼を見開くシェルナ。

 

シェルナ『どういうこと…。』

 

首を横に振るマウトリア。

 

マウトリア『いったいこれは…。』

ミリミ『まさか、ウレイア公爵夫人の呪いなの…わ、私達が財宝を横取りしようとしたから。あ…。』

 

ミリミは自身の両手を見つめる。

 

ミリミ『アリエナ…。』

 

ミリミの方を向くマウトリアとシェルナ。

 

ミリミ『そんな。私…。』

アリエナの声『バアアアアアブウウウウウウウウウウウ、バアアアアアアアブウウウウウウウウ!』

 

振り返る一同。

 

マウトリア『近づいてくるな。奴か。』

シェルナ『正気に戻ったのかしら。』

マウトリア『だといいが…。』

 

開かれたトイレの扉を見つめる一同。暗がりから、血のついたポーマッツの顔が浮かび上がる。

 

マウトリア『おい。赤子は大丈夫か!』

 

ゆっくりと横に揺れるポーマッツの顔。眉を顰めるマウトリアとシェルナ。

 

ミリミ『あの子は、アリエナは…。』

 

床に落ちるポーマッツの生首。間を見開く一同。

 

ミリミ『きゃあああああああああああああああ!』

 

ゆっくりとトイレの扉から出てくる、体中から触手が飛び出、四本の長い触手を使って歩く体の色が赤黒く変色する怪物化したアリエナ。剣を構えるマウトリア。ビームロッドを構えるシェルナ。彼らはミリミに剣とビームロッドを向ける。

 

マウトリア『お前か!』

 

首を横に振るミリミ。

 

ミリミ『ち、違う…。』

シェルナ『あの赤ちゃんは、あなたの子よね。赤ちゃんって油断してたけど!』

ミリミ『ななな、何を言っているの?わ、私は…。』

マウトリア『これでもシラをきるってんのか。』

シェルナ『あなたを殺せばこの茶番も終わりよ!弱い赤ちゃんを使って化け物をつくるなんて最低のクズの魔女ね!!』

 

泣きながら、マウトリアとシェルナを振り払い、駆けて行くミリミ。

 

ミリミ『違う、違う!!ひ、ひぃいいいいいいい!』

マウトリア『あ、待て!』

怪物化したアリエナ『バアブッ!』

 

四本の長い触手をしならせ、跳躍する怪物化したアリエナ。

 

怪物化したアリエナ『オギャッ!!』

 

怪物化したアリエナの方を向くミリミ。

 

ミリミ『ひっ、ひぃいいいいいいいいいいぃいいい!』

 

ミリミはその場に立ち尽くす。

 

怪物化したアリエナ『バアアアアアアアアアアヴウ!バアアアアアアアアアアアヴウゥウウウウウ!』

ミリミ『あ…あ…。』

 

怪物化したアリエナの触手がミリミの額を貫く。

 

ミリミ『ぴゃっ!』

 

怪物化したアリエナはミリミの腹を喰う。一歩前に出るシェルナ。

 

シェルナ『これはどういう…。』

 

一歩前に出るマウトリア。甲冑の金属音が鳴る。

 

怪物化したアリエナ『バブッ!』

 

怪物化したアリエナはゆっくりとマウトリアとシェルナのほうへ向く。

 

怪物化したアリエナ『ホンギシャアアアアアアアアア!ホンギシャアアアアアアアア!』

 

跳躍する怪物化したアリエナ。

 

C7 妖精 END

C8 退治

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館。1階。マウトリアとシェルナの前に降り立つ怪物化したアリエナ。砂煙が立つ。舌打ちするマウトリア。

 

マウトリア『ちっ、こいつ…どうする。』

怪物化したアリエナ『ギャッ、ギャッ!』

 

怪物化したアリエナの方を向くシェルナ。彼女は呪文を唱える。振り返るマウトリア。

彼はシェルナのビームロッドから発射されるビームを避ける。

 

マウトリア『なっ!おま…。』

 

マウトリアに跳びかかり、ビームロッドを振り下ろすシェルナ。マウトリアは剣でそれを受け止める。

 

マウトリア『な、なんだ!敵は…。』

 

マウトリアは怪物化したアリエナの方を向く。

 

マウトリア『あっちだぞ!』

 

マウトリアを睨み付けるシェルナ。

 

シェルナ『あんた殺せば終わるのよ!ここはウレイア公爵夫人の隠れ館。あんたはそれを守る伝説の一族。そして、一族の掟に従って、侵入者を排除しに来た!財宝を守る為に!一族秘伝の人を怪物化させる魔法をつかえるんでしょ。』

 

眉を顰めるマウトリア。

 

マウトリア『おいおい。何言ってるんだ?なんだよその中二病の様な設定は!』

シェルナ『五月蠅い!お前を殺せば終わるのよ!』

 

ビームロッドを何回も振りかざすシェルナ。それを受け止めるマウトリア。シェルナのビームロッドの一撃を避け、シェルナの腹部を貫くマウトリアの剣。マウトリアは息を切らす。眼を見開くシェルナ。彼女はゆっくりと倒れる。ため息をつくマウトリア。

 

マウトリア『ふう…。なんだよ。そんな設定ねえぞ…。たくっ。』

 

マウトリアはゆっくりと怪物化したアリエナを見つめる。

 

怪物化したアリエナ『バアアアアアアアブウウウウウウウウ、バアアアアアアアアアアブウウウウウウゥウウウウウ。』

 

マウトリア『…あんなのどう倒せと。まだ、戦場で敵兵を相手してた方がましだぜ。』

 

マウトリアはシェルナの死体の横に転がるビームロッドを見つめる。

 

マウトリア『確か。マジックアイテムは使えば効果を発揮する奴もあったか…。こいつがそうだといいが。』

 

立ち上がるマウトリア。怪物化したアリエナの触手が振り下ろされる。避けながらビームロッドを掴むマウトリア。

マウトリアは立ち止まりビームロッドの魔方陣を見つめる。

 

マウトリア『ここの魔方陣だな。ものは違うが上官はたしかこう…。』

 

魔法陣をなぞるマウトリア。光りだすビームロッド。

 

マウトリア『あ、やべ…どうする。ええい』

 

怪物化したアリエナはマウトリアの方を向く。

 

怪物化したアリエナ『オギャッ!』

 

マウトリアはビームロッドを怪物化したアリエナに投げつける。爆発が起こり、四散する怪物化したアリエナ。マウトリアは息を切らして、その場に座り込む。

 

C8 退治 END

C9 後悔

 

ポメラニア王国。国境付近。リツルリニア山。朽ちた館。1階。周りに飛び散る肉片。階段にはミリミの死体。階下にはポーマッツの生首とシェルナの死体。息を切らしながら座るマウトリア。

 

マウトリア『はあはあ、何だよ。これは…。たくっ!クンゾクは負けるは、コイツらは殺しあうわ!本当についてねえ…。はぁ。』

 

立ち上がるマウトリア。

 

マウトリア『まったく…。』

 

音が鳴り響き、1階の床が抜ける。抜けた床の方を向くマウトリア。

 

マウトリア『…壊れたか。まあ、古いからな。しかたねえ…。んっ?』

 

光が1階を覆う。眼を見開くマウトリア。

 

マウトリア『これは…。』

 

マウトリアの眼に映る金銀財宝。

 

マウトリア『伝説は本当だったんだな。こりゃ、すげえ。へっへ、まあ、散々だったが。ついてやがる。これだけの金がありゃ、もう戦に出なくても何処で暮らしても大丈夫だろう。へへへ。ようやく俺にもツキが…。』

 

大音響とともに壁が崩れ、現れる肉壁。

 

マウトリア『えっ?』

 

周りを見回すマウトリア。無数の触手がとび出る肉壁がゆっくりとマウトリアに向かってくる。

 

マウトリア『あ…ああ。へっ…へへへ。』

 

笑い出すマウトリア。

 

マウトリア『へっへっへ…もっと早く気づくべきだったぜ…。欲に目がくらんでこの館に閉じこもった時から、俺達はもう…。』

 

高笑いするマウトリアにゆっくりと進む無数の触手がとび出る肉壁。潰れる音。

 

C9 後悔 END

 

END

 


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