No.81699

おまじない

BLOさん

魔法少女リリカルなのはシリーズより
【なのフェイ】百合CPです

想い伝う時の続編になります
お・ま・じ・な・い♪

2009-06-29 21:54:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:940   閲覧ユーザー数:884

 おまじない

 

鳴海市から電車に揺られて10数分、今日はフェイトちゃんと遊園地に来ています。

私達の仲をみんなに公表してから、学校で一緒にいられる時間も増えました。とっても嬉しいです。

でも、デートとなると話は別で、フェイトちゃんの横に居るとやっぱりドキドキします。今からこんなので大丈夫かなぁ・・・。

え~と、はやてちゃんによるとこの遊園地はデートスポットとしては有名な所らしいです。

「ええか、あそこの遊園地は、まさに恋人達の為にあるんや。全てが甘い時の為にある。メーリーゴーランドは2人乗り専用、ジェットコースターは横2席しかない。とどめは観覧車や、窓は黒っぽいし景色は最高。中でキスをするのも、ムフフな事をするのもOKなんや」

にゃはは・・・、はやてちゃんは私達に何を期待しているのかな。何だか素直に喜べないよ。

でもチケットまで貰っちゃって良かったのかな?あたしの都合もあるから、気にせんでって言われたけど・・・お土産ぐらい買って帰らないとね。

 

「うわぁ、凄いねなのは」

でも、フェイトちゃんの喜んでいる姿が目に入った瞬間、私はそれどころではなくなりました。

日頃はどこか大人びていて凛としているフェイトちゃんが、まさに年相応に喜んでいるのです。私の横で目を輝かせて、あっちに行ったり、こっちに行ったり大忙し。

可愛い・・・いつものフェイトちゃんも可愛いけど、今日のフェイトちゃんは可愛過ぎます。もう、抱きついて頬ずりしたいよ。

デートの最後で、大事なお話をしようと思っているのを忘れそうになります。

「待ってよ~、フェイトちゃ~ん」

尻尾があれば千切れるぐらいのテンションで、ジェットコースターに突撃していくフェイトちゃん。その後を追って私も駆け出した。

 

 

      ◇

 

 

「楽しいね、なのはっ」

「にゃはは・・・フェイトちゃんは元気だね」

フェイトちゃん元気過ぎだよ。ジェットコースターにメリーゴランド、コーヒーカップにボート、他にも午前中いっぱい乗り物で遊び続けた。

日頃から鍛えているフェイトちゃんとは違って、運動がちょっと苦手な私は大変だった。

お昼ごはんにしようとレストランに入り、やっと休憩する事がの出来た気分。

「あ・・・なのは疲れちゃったよね。ごめんね、私楽しくて・・・その・・・」

「大丈夫だよフェイトちゃん。私も楽しいし、まだまだ元気だよ?」

そう、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ疲れたかもしれないけど、私もとっても楽しい。乗り物も楽しいし、景色だって素敵、何よりフェイトちゃんの輝く笑顔を間近で見せて貰える。

こんな状況で疲れるなんて、楽しめないなんて、そんな勿体無い事出来無いよ。あまりにも嬉し過ぎて、ごはんが喉を通らないぐらいだもん。

「時間はまだまだいっぱいあるんだよ?フェイトちゃんとの初デートなんだし、午前中だけで疲れるなんて勿体無いよ」

「な、なのは・・・初デートだなんて、そんな事急に言われたら恥ずかしいよ・・・」

さっきまで私を気遣い大人びた表情をしていたフェイトちゃん。だけど、たった一言でその表情は一転し、目の前で真っ赤になって恥ずかしそうにしているフェイトちゃん。その姿はいつもの通り、私をおかしくしちゃうぐらい可愛い。

でも、何だかちょっと悔しいな・・・。フェイトちゃんは私の恋人なのに、ここだと他の人にも可愛い姿を見られちゃう。

「フェイトちゃん、行こう。まだ乗ってないのが沢山あるよ」

「あ、なのは引っ張らないで・・・」

ちょっと強引かもしれないけど、私達はご飯もそこそこにお店を出た。

引っ張っちゃってごめんね・・・。

 

 

      ◇

 

 

レストランを出た直後は大人しかったフェイトちゃん。でも、すぐに回復して思いっきり2人で楽しんだ。

フリーフォール、ジェットコースター、バンジージャンプなど・・・明らかに内容がヒートアップしている。

その楽しさに疲れてきたけど、嬉しそうに飛び回るフェイトちゃんを見れば暖かな気持ちでいっぱいになれる。このままなら、お願いも素直に言えそうだなぁ。

恥ずかしいけど、2人の仲を発展させるのに必要のイベントだもん。いつかは通る道だけど、どうせなら私の手で進みたい。フェイトちゃん、なのは頑張るからね。必ず成功させて見せるよ・・・。

「ねぇ、フェイトちゃん。最後にあれに乗ってみない?」

絶叫系を一通り乗りつくし、満足そうな彼女。

その横顔をいつまでも見つめていたいけど、あんまり遅くなったらお母さん達に心配をかけちゃう。

だから、最後に乗りたい・・・。

「観覧車かぁ・・・良いね。行こうなのは」

いつもは私が引いてる手を逆に引かれ、私はフェイトちゃんの後ろをついて行く。

大丈夫、ちゃんと言える。

そして、おまじないをかける。いつまでも2人幸せで居る為に―――

 

 

      ◇

 

 

ゆっくりと揺れながら上昇していくゴンドラ、そして外に見える景色をバックに見るフェイトちゃんははとても綺麗で、妖精さんみたい。はぁ・・・この夢見たいなシチュエーション、現実なんだよね。

更に窓が少し黒くて、はやてちゃんの言った通り外からは見えにくい。

こんな絶好のチャンスを逃すわけないよね。

「ねぇ、フェイトちゃん。ちょっと、お願いがあるんだけどいいかな?」

「な、なに、なのは?」

う~ん、気のせいかもしれないけど、観覧車に乗ったあたりからフェイトちゃんの様子がちょっとおかしい。

赤くなったり、もじもじしたり、背筋を伸ばしたり、キョロキョロしたりと忙しそう・・・。

でも、ごめんね。今はあまり時間が無いから言わせて貰うね

「じ、実はね、この遊園地には恋人達を祝福してくれるおまじないがあるんだって・・・。離れることが無くなって、もっともっと仲良くなれるようにって・・・。え~と、その、か、観覧車が一番上に来たときにね・・・。そ、そのね、キ・・・キキキ・・・」

「観覧車が・・・一番上に来た時に・・・キスをすれば・・・そのカップルは永遠に幸せになれる。でしょ?」

え?な、何で知ってるの?私喋ってたのかな?

「昨日、はやてに聞いたんだ。だから、なのはに観覧車に乗ろうって誘って貰えた時は嬉しかったんだけど、いざ乗ってみると恥ずかしくて、どうしようかと思ってたんだ」

はにかんだような笑顔を浮かべているフェイトちゃん。

「にゃはは・・・先に言われちゃったね。というか、はやてちゃんはフェイトちゃんにも同じこと伝えてたんだ・・・」

いつもいつも、私達のデートを全面的に応援してくれるはやてちゃん。アドバイスを貰った回数は既に数えられないし・・・もす、感謝してもしきれないよ。

「はやてには感謝しないと・・・。私に告白する勇気もくれたしね」

でも、いつまでも頼ってばかりじゃ駄目だよね。。これからは、私達2人で歩いていかないと・・・。

「あっ、なのは頂上来ちゃうよ」

「えっ?ふぇぇぇ。ど、どうしよう、フェイトちゃ・・・」

慌てていた私には完全に不意打ちだった。

目の前には目を閉じたフェイトちゃん・・・唇には柔らかくて、それでいて暖かい感触。

キスしちゃった―――

「なのはのファーストキス貰ちゃった・・・」

「フェ、フェイトちゃんとファーストキス・・・」

え~と、何て言えば良いのかな?

ご馳走様?ありがとう?何だかどっちも違うような気がする。

もう、嬉しさと驚きがいっぱい過ぎて、何が何だか分からないよ・・・。

 

 

      ◇

 

 

あの後、私達は下に降りるまでの間、ずっと抱き合ったままだった。

でも、係りの人に声をかけられるまで、それに気づけなくて残念。

そして、大きな問題がもう1つ。

フェイトちゃんにキスして貰ったし、とっても嬉しかった。思い出しただけでとろけそうになるよ?でも、なのはは満足出来ない。

恋人としては、とっておきのおまじないだったけど、誰かの意思でキスしたみたいで・・・おまじないに乗せられたようなキスだった。それでも、フェイトちゃんは満足しているみたいだけど、私は私だけの意思で、私だけの気持ちを込めてフェイトちゃんにキスしたい。

ただの我侭かもしれないけど・・・さっきのじゃ物足りない。もっとフェイトちゃんを感じながら、私を感じてもらいながらキスをしたい。

もう、衝動は止められない、フェイトちゃんへと真直ぐ向かっていく。

「フェイトちゃん、ちょっと良いかな・・・」

「何かな、なのは?」

さっきの名残か、フェイトちゃんの顔はまだ少し赤くて熱っぽい気がする。でも、私は止まれない・・・。

「私、フェイトちゃんとキスしたいな」

「え?さ、さっき観覧車でしたよ?」

「うん、観覧車でもしたよ。でも、なのはは、なのはの意思だけでフェイトちゃんとキスをしたいの・・・ダメかな?」

拒否されれば止まれるだろう。待ってと言われれば止まれるだろう。

でも、その代わりに私は拒否されない限り、止まるつもりはない。

「え~と、なのはがしたいなら・・・良いよ。あ、で、でも出来れば家に帰ってか・・・んっ」

フェイトちゃんが受け入れてくれた。嬉しいなぁ。最後に何か言いかけてた気がするけど・・・何でもないよね。

 

ちゅっ・・・

 

あぁ、やっぱり甘いんだ。レモンの味がするって聞いた事があるから、おかしいなとは思っていたけどとっても甘い。

何で甘いのかは、よく分からないけど。これがフェイトちゃんとの本当のファーストキス。

柔らかく、優しくフェイトちゃんを抱きしめながら暫く口付けを続けた。

「きゅぅ・・・」

突然、私に全身を預けてくるフェイトちゃん。

「フェイトちゃん?もしも~し、フェイトちゃ~ん?」

にゃはは・・・気絶しちゃった。

恥ずかしがり屋のフェイトちゃん。みんなの前でキスをするのは、ちょっときつかったみたいだね。

気絶して眠ってるフェイトちゃんは、犯罪級の可愛さだよね。これは私が責任をもって連れて帰らないと危険だよ。

よいしょっと、背中にフェイトちゃんを背負う・・・軽いなぁ。ちょっとだけ羨ましい。

肌寒くなってきたけど、背中に暖かくて優しい愛おしい人が居る。だから私は大丈夫。俯く事も、怯える事も無く歩ける。

「大好きだよ、フェイトちゃん♪」

 

そのつぶやきは、風に運ばれと舞い上った―――

 


 
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