No.811880

司馬日記外伝 穏の転職?

hujisaiさん

お久しぶりで御座います。穏の話であるような無いような…

2015-11-04 23:13:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9027   閲覧ユーザー数:6124

八の字に下がった細い眉に、憂いを帯びながらも彼女の比較的大人しい性質を表したように下がった目尻へと流れる瞳。

口元は不満げにへの字に結ばれ、押し問答からはや数分経つ。

 

「ですから、さっきから申し上げてますけど求人はしている筈ですっ。早く面接のほうお願いしますっ」

「…上司と相談して参ります、暫しお待ち下さい」

不機嫌ながらも行儀良く拳を膝の上に揃えたまま主張を述べる彼女にそれだけ答え、会釈して会議室を出る。

 

「わかった?」

「今ひとつ要を得ませんが…」

会議室の扉を閉め、執務室で待ち構えられていた詠様に軽く首を捻りながら報告する。

「子敬、まだ帰ってこないのよ。とりあえず聞いた話を教えて」

「こちら(総務室)の事務職の求人に応募したいと。呉の要職にあられる点を指摘しましたが呉は退職すると言われています」

「本気なのかしらねェ…呉で何かあったのか聞いた?」

「入職する上でそれは関係あることなのかと反問されました。就業規則には兼業時の給与については規定されていますが兼業の可否自体については記載はありません、規則の整備も必要かと」

「まあ就業規則はどうでもいいんだけど、つまり何かあったって考える方が自然ね。…あ、やっと帰ってきたわ」

 

詠様の視線に釣られて部屋の入り口を見ると、息せき切った子敬が扉を掴み戻って来ていた。

「どういうことなの?」

「ちょ、ちょっと水一杯飲まさして下さい」

湯飲みに水を注いでやると一息に飲み干し、はーっと息を大きくつくとおもむろに口を開いた。

 

「えっとつまりですね、一言で言っちゃって穏、ヘソ曲げてます」

 

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子敬の説明によるとこういうことらしい。

長年呉の屋台骨を支えて来た周瑜殿が最近世代交代を進める意向が強く、業務を次第に陸遜殿や呂蒙殿らに委譲し始めているが呉国内の協力体制に彼女は不満があるらしい。

「まホラ、うちってアク強い人多いじゃないですかぁ?祭さんとか思春とか、薫(張昭)さんとか小蓮様とか。そういう人たちの調整しながら進めなきゃいけないとこ持ってきて最近冥琳が夏侯淵さんとどっちが一刀様の正妻ならぬ正姉かって争いに入れこんじゃってて補佐足んないじゃない、おまけに下からの突き上げも激しくなってきてて。それでもぉやってらんないってなっちゃったみたい」

「あぁ~もぉ忙しいのに…蓮華ぁー!」

「あーでもそこ蓮華様に持ってくのはちょっと可哀想だと思うんですよ…蓮華様だって国王様達同士の中で立ち位置確保するだけだっていっぱいいっぱいだし、あの姉と妹に挟まれながら地元でも存在感出してくってのも大変だと思いますよ?」

苛立たしげに頭を掻き毟る詠様を宥める子敬に、疑問をぶつけてみた。

「亞莎が居るだろう。才気煥発、いずれ大都督、丞相にも相応しい資質の持ち主ではないか」

「あーダメダメ、確かに亞莎すごい優秀だけど若過ぎで貫禄足りなさ過ぎ」

「仲達、あんた亞莎が祭や張昭さんとかに意見してるところ想像出来る?それよか、子瑜(諸葛瑾)さんとか子綱(張紘)さんとかはどうしてるのよ」

「子瑜さん基本大人しいのと、厳しい事言おうとしても『あの(801的な意味で)妹の姉のくせに』とか反撃されるの気にしてるからあんまりねー。それと子綱さんじゃ子布さん止められないし、事と次第じゃ子布さん側についちゃうから。それにホラ、」

尚も言い募る子敬にお前自身が補佐してやればよいだろうと言おうとした所で陸遜殿が痺れを切らして会議室から出てこられた。

 

「それでぇー、採用試験のほうはまだですかぁー?」

陸遜殿は子敬の姿を認めるとふんとそっぽを向いてしまい、子敬は苦笑いを浮かべる。

最近は御機嫌麗しく余り寄せられていなかった詠様の眉根がかなり引き絞られ、捨て鉢な風にこう言われた。

 

「…試験は省略、穏を仮採用するわ。試用期間を二週間としてその後本採用不採用を決定するから、とりあえず仲達の下について」

「有難う御座いますー」

満面の笑みを浮かべて頭を下げる彼女の首の下で、豊か過ぎる乳房がぶるんと揺れた。

 

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陸遜殿が入室され、併せて子敬が都督代理として急遽呉に派遣されて三日が過ぎた。

『この分の給与は絶対一刀様の腰で払って頂くからね』と呪詛の言葉を残して呉に旅立った子敬の事はさておき、噂には聞いていたし実際に見る機会もあったのだが、改めて陸遜殿は優秀であり国家の柱石として相応しい人材であると感じた。

事務について説明すると、何一つ手をつけないうちに問題点となると思われる事項について的確に質問され、私の回答によって『ではこのように進めればよいですね』と事務の方向性を確認されるほか、よりよい事業となるように提案も速やかに成される。

また月様は初対面時はぎょっとされたような表情でしげしげと彼女の胸元を見られていたが、勤務中も朗らかな笑顔を絶やさぬ彼女の態度に月様や他のメイド職らとの間柄も当座良好だ。逢紀が

「すっごいですねぇあのおっぱい!いや今まで仲達さんのも凄いと思ってましたけど、どっいいいーんでどたぷーんですよ、あとで触らして貰ってもいいですかねぇアレ」

等と耳打ちされ、失礼なことはせぬよう窘めておいたが親しみ易さの表れとも言えるだろう。

 

「すごいですねぇー、仲達さんはぁ。こっちの仕事しながら魏でも総務のお仕事されてるんですかぁ」

「関連の強い事務が多いですから、単純に別々の二つの仕事を持つ事に比べれば楽だと思います」

陸遜殿こそ都督の重責は大変なのでは、と言いかけたが経緯を慮り言うのをやめた。代わりにふと新後宮を建設する際の事を思い出した。

 

「そういえば陸遜殿は後宮にも個人的な書斎をお持ちで、大変勉強熱心なのですね」

「ふえっ!?え、えーっとぉー、それほどでもぉー、あははぁー」

と照れながら謙遜されたが、私も勉学は嫌いな方ではないので近々、そちらで蔵書の御案内等頂けないでしょうかと伺ったが

「ふぇぇぇぇーっ?そ、それは困りますぅー!わ、私はそっちの方の趣味はちょっとぉー…」

と尚も赤くなられ、固辞されてしまった。それはいいのだが、詠様が生温かい眼差しで

「穏、これが仲達だから」

と言われたのには何とはなしに釈然としないものがあった。

 

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四日目の朝、陸遜殿は午前休を取られると詠様が言われた。通常通り執務を行っていたところ、背後に物凄い形相をした子敬をぶらさげながら一刀様が総務室に来られた。子敬に御執務中に不敬であるので降りろと言ったが、五月蝿いわねと一蹴された上に一刀様が構わないからと言われたので一応黙ることとした。

一刀様が詠様の元へ行かれると、詠様も席を立たれお茶を用意して会議室へ来るように言われた。

 

「で、どうなのよ」

「いやぁ、うーん…まあ、慰めはしたけど」

机から半身を乗り出す詠様に一刀様が首を振りながらお答えになる。

「穏、まだ拗ねてる感じです?」

「子敬、いい加減に一刀様の首から離れろ」

「やぁよこの後一刀様としっぽりだもん。つーかそれくらい役得なきゃやってられないわよこんな板挟み地獄!あたしだって後三日(呉に)居たらキレて手ェ出してたわ、武闘派事務職舐めんじゃないわよ!?」

「まあ子敬の事はおいといて、いっそ凌遅かけたら?何冊でも軍略書使っていいわ、あの娘そっち系の素質もあるでしょ」

「いや仕事的に切羽詰ってるのは分かるけどさ、それは止めようよ」

詠様の御提案を即座に否定される一刀様。

「…蓮華も説得したんでしょ?」

「うん、それは効いてるみたい。ただ立場的に、蓮華の出来る事は…」

「下(臣下)同士の協力の話だから限られてるしね。それにあんまり蓮華に負荷がかかると今度は蓮華が潰れちゃうわ」

筆の端部で米神をぐりぐりと押しながら溜息を吐く詠様に、一刀様の肩に顎を乗せた子敬が続く。

 

「これ、根本的にウチの体制の問題なんですよねー…豪族の権力がまだ強くて魏ほど官僚制が確立してないし、蜀ほど劉備様の個人的な魅力で意思統一してるわけじゃないし。蓮華様も頑張ってるのは分かるんですけど。そこでやっぱり一刀様のココが出番だと思うんですよ」

「うひゃ!?ちょっ、夕(魯粛)さんどこ触ってんの!」

「子敬!」

言いながら机の下で一刀様の下腹付近でごそごそと蠢かせる子敬の手を掴んで捩じ上げる。

「いたたたたっ!?わかった触らないから今はっ、ちょっとその手離して!」

離してやんなさいよという詠様の言葉に渋々手を離す。

「その手はアリかもね、現実問題」

机の上で組んだ手の上に顎を乗せながら言われた詠様の言葉が、先程の子敬の提案の答えだと理解するのに少しかかった。

「ですよねー!要は結局、欲求不満なんですよ皆、お前らばっかりイチャコラしやがってっていう」

「具体的に誰から行けばいいの?全部で何人位?」

「ごめんちょっと待ってなんかおかしな話になってない?内政のサポート態勢の話じゃなかったの!?」

「とにかくまず子布(張昭)さん、とそっちだけだと子綱(張紘)さんが地味にやる気失くしちゃうから子綱さんも。あと今まで何回も寸止めお預け食らってる文嚮(徐盛)は必須、あの娘やる気出して貰わないとちょっと(仕事)回らない。黄忠さんのとこと差がついてかなりキリキリきてる凌操さんの娘の公績(凌統)もいい加減処女破っとかないと三国母親会が険悪になりそうだし、そうなると朱治さんの娘の義封(朱然)の方が年上だからここも外すとまずいかな。それに丁姉妹も押さえておきたいけどとりあえず姉の承淵(丁奉)の方が腕が上だからそっちだけでも。あと貧乳枠で元歎(顧雍)も愛されてますってとこ見せとかないと貧乳組がグレるんで、とりあえずここらへんを」

「張昭さんは張紘さんと二人一組でお願い出来ないかしら。あと若い娘達もまとめてやっちゃえば母親達も含めて抑えられるなら割がいいわね」

「そうですね、子綱さん達は名実共に姉妹だし問題ないと思います。それに若い娘達の方は何人もで尻並べて待つのが当たり前って躾をしていかないと今後の当番が回らないってとこもありますし」

「ちょっと待とうか!今凄く非人道的な話が進められてる気がするんだけど!?」

「あ゛?今名前出た女達、あんた別に知らない顔じゃないでしょ?」

「それはそうだけど!」

「男冥利に尽きるじゃないですか、こんだけ美女に愛されまくって。大丈夫ですよ、昔の王とか千人くらい普通に囲ってたって言うじゃないですか(適当)。仲達だって思うでしょ、一刀様の愛が遍く若く美しい娘達にズコバコ注ぎ込まれるのは素晴らしい事だって」

お三方の会話に割り込む間が無かったので黙っていたが、その通りであるので首肯した。『ずこばこ』とはどういう意味か今一つ分からなかったが音の雰囲気から非常に強く多くという事だろう。

 

「ほら仲達だってそう言ってる、一刀様この仲達の無垢な瞳を裏切るの!?裏切っちゃうの?度量の小さいとこ見せちゃうの?」

「そういう話じゃないだろ!?」

「ま、いいから黙んなさいよ?」

尚も反駁され立ち上がられた一刀様に、詠様も立ち上がるとおでこをぶつけて睨む様に見上げながら

「『鳴かぬなら せめてケツ拭け 不如帰』。…コレ、そもそもあんたの所為なんだからね?あんたが不満持たせてるからこういう事になるんだからね?」

と、妙に迫力のある低い声で言われ、席に着かれた。

 

一刀様は暫く絶句され呆然と立たれていたが、やおら脱力されたように席に着かれると詠様に

「…あくまで、本人達の自由意志次第、ということでなら…」

と掠れた声で言われ、それに詠様は顎をしゃくった。

 

暫く部屋を沈黙が支配していたが、まとめるかのように子敬が

「いや一刀様(の腰)には御負担かけちゃいますけど、これで呉が平和に廻していけるんで宜しくお願いしますね。ところでこの話呉以外にはここだけって事で、魏や蜀に伝わると」

と言いかけたが、いつの間にか開かれていた会議室の扉と、その前に立っていた妙に爽やかな笑顔の元直(徐庶)を見て絶句していた。

 

「…伝わると何かしらね子敬?ウチ、もともと桃香様が(後宮の女)増やす事に消極的じゃないから結構増えるわよ?本国の方のやる気が上がればこっちの仕事も捗るから助かるわぁ。あ、魏に喋られたくなかったら私の一人枠は確保してね?」

と笑顔のままそう言って元直は去っていった。

その後一刀様らは何故か頭を抱えておられたが、先程も問われたように一刀様を慕う性情の良い女達に広く深き御愛情をお注ぎ頂ける事は極めて好ましい事に違いない。

 

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一週間後、陸遜殿は呉に復職することとなった。

統一後に後宮入りした呉の娘達の御伽番編成権が彼女に授与されたのに伴い若く優秀な娘達が高位職に抜擢され亞莎らと共に補佐する事となった他、年長者らも積極的に守り立ててくれているという。

総務室としては残念至極ではあるが大陸の平和、一刀様の御世の為には良いことなのだろう。

短い期間ではあったが良く働いてくれたこともあり、ささやかながら送別会を開いた。

開会の御挨拶で月様が無礼講でとは仰ったが、宴が進むや逢紀が陸遜殿の前に出て何故か平伏をした。

何事かと陸遜殿が困惑していると、

「すみません、メイドの土産にそのおっぱい!一揉みでいいから触らせて下さい!」

と拝み倒し始めた。失礼なので止めないかと再び窘めたが、陸遜殿はここは女性だけなのでちょっとだけでしたらと承諾されるとぱああと満面の笑みを浮かべ、失礼しますと言ってそのたわわな胸を掴んだ。すると

『ふおおおおお…すごい!大っきい!柔らかい!』

と叫び、これは御利益あるよと言い柏手を打って拝みだすと劉璋殿や許攸、果ては月様までがにこにことされながら我も我もと触って拝むという訳の分からない事をされていたが陸遜殿は困惑されながらもにこやかに飲まれていた。

尚酔いが回っているらしい逢紀が『こっちも拝ませて下さい』等と言いながら私の胸にも手を伸ばして来た為手刀で撃退した。

その後執務を終えられた一刀様もお見えになり、御慰労の餞別を渡されていた。薄い箱様のもので中身は勉学熱心な彼女に相応しい書籍と思われ、彼女に折角の御賞与であるのでここで開封するように勧めたが御本人や詠様、一刀様ら皆から後でと止められた。すると月様がもう散会時間なのでこれから二次会で一刀様と二人きりでその書籍で勉学に励まれてはと言われると陸遜殿は照れながらも承諾され、一刀様に肩を抱かれて後宮へと帰っていった。

 

二人が見えなくなった後、月様の御配慮は彼女も有難いものと思われたでしょうが酒席の後に勉学というのは如何なものでしょうかと申し上げたところ、何故か詠様・元直・子敬から声を揃えて『仲達』と生温かい眼差しと共に言われ、月様は笑顔のまま『穏さんはお酒の後に書を読まれるのも御主人様となら苦にされない方ですから大丈夫ですよ』と言われた。

元々交流深い方同士ではなかった筈だが、流石の御心遣いだ。

 

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まだ眠かったのに、酷い頭痛が眼を覚まさせてくれた。

ガンガンとする後頭部。と、それとは別の鈍い痛みがする眉間をさわってみる。

「痛ったー…なんでタンコブ出来てんだろ…?」

確か昨日は陸遜さんの送別会だったはずだ。後頭部の痛みは所謂二日酔い。眉間の痛みは思い出せないけどまあどっかでコケるとかして打ったんだろう。

「とりあえず、水飲も…」

呟いて起こした上半身に違和感を覚えた。

「…あれっ?」

裸だ。首から下を見下ろすと、あたしちゃんの形のいいおっぱいが直接見える。

おかしい。

私は寝るときは普通に服着る方だ、って言うか相部屋なのにまっぱで寝てたら結構顰蹙だし。酔っ払って裸で寝ちゃったのか。まあいいや水飲みに行こう、と思って寝台に手を突いて起き上がろうとしたら髪を掴んだ感触がした。

「えっ?」

あたしは上体を起こしてる、だから髪は背中にあるはずで寝台の上には無い筈だ。なのに掴んだこの髪はなんだろうと思ってその先を見たら、

燕(許攸)さんが隣ですーすーと寝息を立てていた。

 

 

 

 

 

裸の自分。(見たらぱんつも穿いてなかった)

無い記憶。

一刀さんに開発されつつあって正直最近欲求不満だった自分の体。

隣で寝てる燕さん。

 

 

 

 

 

 

そこから導かれる結論に、あとから心配して見に来てくれた警備の周泰さんに『とても女の子のものとは思われない豚の断末魔のような悲鳴が聞こえたのですがどうしましたか』と言われたような叫び声をあげてしまった。

 

「…っるっさいわねー…起きんの勝手だけど静かにしなさいよね…」

「つつつつつつつ燕さんっ、夕べ何がありました!?私何してました!?」

「あー?………そーね、とんでもない事してたわよこの変態」

「」

あ、これあかんやつだ。

進みたくも無い方向に進んじゃったんだ。

ごめんなさい一刀さん。でも一刀さんも悪いんですこんなめちゃシコ美少(?)女を中途半端な開発してほったらかすから。

あーでも複数とかアリらしいし。複数だったらそういうのもきっとあるんだよね?ちょっとでびゅーが早まっちゃったと思えば?

 

「何白目剥いて間抜けな顔してんのよ、さっさと服着て出てきなさいよ」

「えっ?………………燕さん、服着てたの?」

「そりゃそーよ!何が悲しくて女同士でまっぱで一つの布団に収まんなきゃならないのよ!」

「…………ひょっとして、私燕さんになんにもしてない?」

「おぞましい事言わないでよ!?あんたそのケがあったの!?」

「無いです無いですよかったぁぁぁあああ!」

ううっ、思わず目尻に涙が。あれ?でも解決してない問題があるんじゃない?

 

「…ところで戻りますけど、私何で裸で燕さんの寝台なのかとか教えてもらってもいいです?」

「やっぱり全然覚えてないのね。あんたべろんべろんに酔っ払って、あたしが担いで帰ってきてやったのよ。そしたら暑いとか言い出して素っ裸になるし、私だって陸遜さんほどじゃないけど負けたもんじゃないんですからとか言って頼んでもいないのに胸の谷間に酒注いで私だって出来るんですからとかわめいて自分の寝台の上に酒零して寝れなくして!しょうがないからあたしの寝台に寝かさしてやったのよ、感謝しなさい」

「…大変申し訳有難う御座います…ところでこのタンコブは?」

 

おでこの青痣を指差すと、燕さんがニヤリとした。

 

「覚えてないの?まずあんた、陸遜のおっぱい揉んだのよ」

「…………そういえば、そんな気が…」

「それもたぷたぷたぷたぷ、執拗にたぷたぷたぷたぷ」

「たぷたぷ!?そんなに!?」

いやあの乳は一度触ってみたいって思ってはいたけどそこまでするかあたし!?

「まあでも陸遜は大人しいからそんなに怒んなかったんだけど。その後仲達にも手を伸ばして」

「マジで!?」

「マジよ。それで殴られたのがそのおでこ」

「ゲェ…」

おでこを触る。痛い。でも仲達さんに殴られてこんなもんで済んだならかなりマシな方だろう。ところで折角仲達さんのも揉んだのならその感触を覚えて居たかった。

 

「しかもとどめが董卓よ」

「は?」

「董卓」

「……月様?」

一気に背筋が冷える。仲達さんならまだいい、殴られても殺されはしない。(多分)

 

「背後から『揉めな~い(スカッスカッ)』とかやってて。あんた一人だけゲラゲラ笑ってたけど全員ドン引きよ、で顔は笑って目は笑ってない董卓が『明日謝って貰うからいいです』って言ってたけどあんた、ここでこんなことしてていいの?」

「それ早く言って下さいよぉぉぉぉ!?」

 

 

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下着もつけずに服だけ着て全力で総務室へ駆け出す杏を見送った。

実際夕べの杏はうざかった。人の胸が慎ましいからって見せびらかしたりもっと揉まれないから駄目なんだだの。

「ま、いい薬よね」

 

騙したな、と杏が涙目で駆け戻ってくるまで多分約一時間。

あたしは寝台に再び横になって、休日の朝寝坊を楽しむことにした。

 

 


 
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