~真・恋姫✝無双 魏after to after~幕間
風と昼寝をした日から三日が過ぎた。今日は非番である一刀は食事のあと、この日をどうしようかと思案しながら部屋に戻っている途中。
「一刀!」
「ん?ああ、華琳か・・・丁度よかった」
「ちょうど良かった?」
華琳と向き合った一刀がそんなことを言った。
「うん。聞きたいことがあったんだけど、今いいかな?」
「ええ、構わないわ」
華琳の声は、迫力がありながらも、どこか弾んでいる。
彼女のそんな声が聞けることに淡い幸せを覚える一刀だった。
「えっとな、十一日後って空いてるかな?」
「十一日後?ずいぶん先のことね・・・・・・特にその日は予定なんてなかったはずよ。それがどうかしたの?」
「それを言う前に、ごめんね華琳。本当だったら一番最初に君とデートしなきゃいけなかった筈なのに・・・・・・」
「・・・その件に関しては私自身が凪に譲ったのよ。真桜、沙和、風の時は出遅れたというだけで、貴方が謝るようなことではないわ・・・・・・。それで、貴方が私に言いたいことというのは、一体何なのかしら?」
本心は違うだろう。だが、覇王としての矜持がそんな意地を張らせてしまっているのだ。
本当は淋しがり屋の一人の女の子である彼女は、きっと怒りたいだろうに。
「実は・・・華琳とのデートなんだけど、その十一日後まで待っててもらえないかな?」
「・・・・・・理由を聞いてもいいかしら?」
「詳しいことはその日まで楽しみにしておいてほしいんだけど・・・・どうしてもその日じゃないと駄目なんだ」
真摯な眼差しが、華琳の瞳を一点のブレもなく見つめている。
その一刀の瞳に誤魔化しがないことを感じた華琳は首肯でそれに応えた。
「ただし、それだけ待たせておいてこの私の期待を裏切りでもしたのであれば・・・・・・わかっているわね?」
「わかってるよ。絶対に華琳の期待は裏切らない」
「そう・・・だったら証を立ててもらうわ」
華琳の深い青色の瞳が一刀の眼前にあった。
「はむ・・・・んん・・・んぁ・・・ちゅ・・・・・・くちゅ、んむ・・・・・・」
長い、とても長い、甘い口付けだった。唇が離れた後、絡んだ舌と舌の間で繋がっていた唾液の糸がたわんでプツっと途切れる。
「いいわね?貴方はこれで私の期待を裏切らないと誓約したのよ」
「わかってる。だから楽しみにしててくれ、我が愛する覇王様」
それじゃあねと言って華琳は去って行った。
一刀と別れた華琳は今まで一刀に対して溜まっていた苛立ちが、嘘のように晴れていた。
「〝我が愛する覇王様〟・・・か。カッコつけちゃって、似合わないわよ」
それでも華琳の顔には笑顔があった。
~あとがき~
え~・・・今回は華琳にスポットライトを当ててますが、〝side華琳〟ではなく、あくまでも閑話休題的な感じです。
そろそろ華琳をなだめないと一刀の首と胴体がさよならしかねませんから。
あとがきを入れて立った2ページの短編ですが、如何でした?
楽しんでいただけたなら幸いです。
さて、今回はこのあたりで・・・・・・。
では次のお話でお会いしましょう。
感想、コメント待ってま~す。
Kanadeでした。
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side風と並行して書いていた作品です。
当作品は一刀および華琳への救済措置の短編となっております。
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