No.759634

がちゆり~結衣v向日葵~

初音軍さん

OVAなちゅやちゅみを見て何となく結衣向日葵な気分だったので書いてみた。櫻子がどうあがいても悲劇だけどIF話ということでw
普段二人で料理しながら日常会話してるとこ想像したりするとすごくほんわかすると思います。

2015-02-20 17:47:19 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:962   閲覧ユーザー数:962

がちゆり~結衣v向日葵~

 

 小さい頃から私は櫻子と結婚するくらい好きだと思っていて中学入ってからしばらく

経ってもそれは少し形は違えどずっと保っていたはずだったのに。

 

 船見先輩と会う機会が増えていくうちに気持ちが私の中でぶれていって怖かった。

 

「は!?なにそれ、別に私は向日葵のこと好きじゃねーし!」

「こちらは真剣に話していますのよ、ちゃんと聞いてくださいな」

 

「あー、あー、聞こえない!そんな話聞きたくもない!」

「櫻子・・・」

 

 櫻子の表情を見ればわかるほど私は櫻子との付き合いが長いことを感じていた。

私たちはお互いに想い合っていたはずだったのに・・・それも自信を失いかけていた。

 

 気持ちがふわふわしていて定まらない状況に、ちゃんと話を聞いてくれない

櫻子に対しての変化がわずかながらに感じていた。

 

「わかりましたわ・・・」

「お、おい。どこいくんだよ、向日葵」

 

「帰りますわ・・・」

 

 私の普段と違う様子に戸惑う櫻子は私を軽く引き止めはするが強引にまでに

いくことはなく、私は難なく外へと出た。

 

 すぐ家に帰ることはしなかった。

ボーっとした思考のまま歩いていると途中で船見先輩に会った私を見て驚かれた。

 

「どうしたの、古谷さん!」

 

 その顔を見て安心したのか私の足元はふらついておぼつかなかったのを先輩は

支えてくれた。

 

「とりあえずうちに行こう」

「い、いえ・・・大丈夫」

 

「大丈夫なわけない、こんな調子悪そうなのに。いいからついてきて」

 

 語気を強めで言って私の腕を引き寄せてから自分で巻いていたマフラーを私に巻いてくれた。

暖かい・・・。そういえば真冬だというのにそんなに厚着していなくて更に顔だけは妙に火照っていた

のは覚えていた。

 

 船見先輩の家についてから船見先輩が敷いてくれた布団で横になり冷たい麦茶を

ごちそうになった。常備してあるのか冷えピタを持ってきてくれて私の額に貼り付けてくれた。

 

「うーん、やっぱり高いね。風邪じゃなさそうだからしっかり休めばすぐ治るよ」

 

 着いてすぐに体温計で計ったのを確認すると私に聞こえるようにだけど優しく静かに

伝えてくれた。

 

「ありがとうございます・・・先輩に迷惑かけて」

「迷惑なんかじゃないよ。逆にうれしいんだ、古谷さんに会えて」

 

「え?」

「こんな落ち着ける子は周りにそういないから・・・。

あ、あかりとかもそんな感じだけどハラハラするんだよね、見ていて」

 

「ふふっわかります」

「でしょ?」

 

 そんな風に他愛のない話で盛り上がりながらも船見先輩は「それにしても・・・」

という言葉から始まり。

 

「古谷さん、普段しっかりしてるからこういう姿を見るのが初めてだから少し新鮮かも」

「ごめんなさい」

 

「いいよ、謝らなくて。もっと甘えてくれて構わないよ」

 

 そんなこと今の状態で言われたら本当に甘えたくなってしまう。

「じゃあ甘えちゃいます・・・」

「うん」

 

 このドキドキは熱からくるものなのか、先輩のことが好きになってしまったかわからなかったけど。

何だか考えるのも疲れてきて目を瞑るとすぐに眠気に襲われて眠りに就いていた。

 

 

**

 

「古谷さん、起きた?」

「あ、私どれくらい寝ていたのかしら」

 

 頭を軽く振りながら部屋の時計を見るとなんと夜の10時になっていたではないか。

あまりに寝過ぎた自分に驚いて絶句をしていると。

 

「途中で起こそうとしたんだけど、起きたかと思うと寝言を言いながらまた

寝ちゃったから面白いのと完全に起こしちゃうのはかわいそうだと思ってつい」

 

「・・・それ絶対前者の方が本音でしょう?」

「あ、ばれた?」

 

 人様のお宅でここまで爆睡するとは・・・。私は慌てて帰る準備をしようとすると

まだ少しふらついた体を船見先輩が優しく支えてくれた。

 

「今日はもううちに泊まりなよ、時間も遅いからさ。 でも家に連絡はしときなよ」

「はい、すみません・・・」

 

 私は先輩の優しさに甘えて携帯電話を取り出して自宅に連絡をいれた。

出たのは楓で心配そうにしていたけれど私が心配ないよと告げると安心したように

いつもの嬉しそうな声で両親に伝えると言って電話を切った。

 

 ホッと胸を撫で下ろして携帯をしまうと船見先輩は私にホットココアを渡してくれた。

船見先輩は自分の分を啜ると笑顔を私に向けてくれた。

 

「大丈夫?」

「はい、ありがとうございます」

 

「今日はゆっくりしていきな」

「はい・・・」

 

 昔、櫻子に抱いた感情が船見先輩に対して似たようなものが湧き出しているのがわかる。

傍にいると安心して落ち着いていられる。ずっと一緒にいたいという気持ち。

だけど・・・面識の薄い私にはその居場所はないんじゃないかと考えていると。

 

「また悩んでる顔をしているよ、古谷さんはいつものようにちょっと強気だけど周りを

見ている優しい眼差しを向けているその感じが私は好きだな」

「す・・・」

 

「うん、今日の古谷さんはちょっと心配になっちゃうくらい。

だからね、何も考えずに私に甘えてよ」

「でも・・・」

 

「知り合ったばかりで気が引けるかな?

でもね、私はあまり知りあってからの時間は関係ないと思ってるんだ。

お互いに感じたものを相手に向けていればそれでいいと思う」

 

 そういって船見先輩は私のことを優しくしつつも力強く身を任せたくなるくらいの

抱擁感を私に与えてくれた。私もそれに甘えるように先輩の体に顔を

近づけて抱きついていた。

 

「前々から気になってはいたんだ。私も古谷さんのように接し方がわからなくて

距離感があったけど、前に待ち合わせしているときに話した時、

あぁ、別にむずかしく考えることはなかったんだって悟ったんだよ」

 

「どうしてです?」

「だって誰しも仲良くなる最初は緊張ものだし。かといって長く付き合っていれば

わかりあえるとも限らない。

 その瞬間瞬間の抱く気持ちが大事なんだと古谷さんと話していて感じたことなんだよ」

 

「わかります・・・」

「だから今日はもう何も考えないで私に甘えてくればいい、こうやってね。

もちろん今日に限らずこれからも私は構わないよ」

 

「考えておきます・・・」

 

 しばらく二人でそうしてから船見先輩が私の寝ている間に作ったお粥を温めてくれていた。

胃に優しいようにシンプルなお粥。梅干しと塩、それに温める際にとかしていれた卵がほどよく

熱が通って固まっているのがちょっと深みを足しているようで美味しかった。

 

「おいしい」

 

 いつも作っている側だからこうやって作ってもらえるのは新鮮な気持ちだった。

そういえば極たまにたけど櫻子も作ってくれたこともあったっけ。

 

 今でも櫻子のことは大切だけど、今隣にいる船見先輩に抱く感情とは違うものになっていた。

ちょっとそれは複雑だけれど切ないけれど、嫌なことはなかった。

 

「ありがとう、作ってよかったよ」

「ほんとうに、すごく美味しいです・・・」

 

 涙が溢れそうになるのを堪えて私はお粥を平らげてから布団の中に入った。

それから目を閉じてゆっくりと体を休めた。

 

 いつの間に寝ていたのか夜中に目を覚ますとちょっとだけ離れた場所に先輩が寝ていた。

静かに寝息を立てている先輩の顔を見ると愛おしい感情がこみあげてきて

私は本人に気付かれないようにそっと唇を重ねてから、もう一度自分の布団に入って

目を瞑った。

 

 今度は意識がはっきりしすぎて朝になるまで顔を火照らせながら目を瞑り続け

時間を過ごした。

 

 朝になって朝食を取り、熱が下がったのも確認をしてから大事をとって一日学校を休んで

自宅で療養することにした。帰り際にちょっと作りすぎたと船見先輩の手作りの煮物を

タッパーにいれて持ち帰ることにした。

 

「またおいでね。今度は普通に遊びにね」

「はい、今度は普通にお邪魔しにきますね」

 

 二人で手を振りながら歩いて徐々に遠ざかっていく。

距離は遠くなるのに不思議と心の中では船見先輩とは近い関係になった気がした。

ふとおみやげに目を配るとタッパーの蓋にメモ用紙が入っていることに

気付いて道中に開いてみると。

 

『わざわざ言うのもなんだけど、古谷さんの気持ち嬉しかった。

ありがとう。夜のこともちょっと驚いたけどね。今度また一緒に料理作ろう』

 

 と書いてあって私の頭は一気に大発火していた。

そう、先輩は気付いていたのだ。あの時のことを・・・。

それでもいつもと変わらない態度で接してくれて・・・。

 

「もう、船見先輩のこと好きになってしまいそうですわ・・・」

 

 借りたマフラーについた先輩の匂いを感じながら私はゆっくりと歩きながら

名残惜しいようにほんとうにゆっくりと帰路に就いたのだった。

 

お終い

 


 
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