No.758789

吉川ともこ誕生日SS 2015

初音軍さん

ともこさんといえばもうあかねさんしかいないですよね。
ちょっと甘酸っぱいようなお話ですが二人結ばれたら良い感じになりそうですよね!
少しでも楽しんでもらえたら幸いです♪
本日数分前に書き終わったほやほや即興百合ですが・・・w;
イラストはこちら→http://www.tinami.com/view/758787

2015-02-16 00:12:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:812   閲覧ユーザー数:812

がちゆり~吉川ともこ誕生日SS 2015~

 

 久しぶりにあかねちゃんとデートの日。私はこの日、精一杯のおしゃれをして

待ち合わせ場所に指定していた所で待っていた。

 

 電車に乗って少し遠出、人通りが多い駅前の大きな街路樹がある下にある

ベンチに座っていた。

 

 本当はあかねちゃんと一緒に来たかったけれどちょっとした用事があって

少し遅れるそうだったから。

 

 待つことが苦じゃない私は予定より早くその場所であかねちゃんが来るのを

待っていた。

 

(ふふっ、あかねちゃんが来たらどこから回ろうかな)

 

 考えるだけで笑みが出てきてしまう。幸せな気持ちに浸れる。

デートとはいったけどまだ私たちは親友としての意味合いが強い。

彼女には私よりも大切な子がいる、そのことに気付いているから。

 

「はぁ…あかりちゃん羨ましいなぁ…」

 

 誰ともなく溜息混じりに呟くと不意に聞きなれない声の人が私に尋ねてきた。

 

「ねぇねぇ、君今暇なの?」

「え・・・?」

 

 今までに経験のないことが妄想に浸っていた私に降りかかってきたから一気に

思考が停止してしまった。頭の中がまっしろだった。

 

「俺と楽しいことしない?」

 

 いかにもチャラそうな男性が私に声をかけてきて、どことなく笑いかける表情。

いや…目が厭らしい感じがして怖くなっていた。

 

「あ、私待ってる人いるので遠慮…します…」

 

 勇気を出して言った言葉も何で何でって逆に質問するような形で攻められて

どうしたらいいのかわからなくなった時、私の腕を掴んで引っ張りながら走り出す

人がいて私はその人の勢いのまま一緒になって走るはめに。

 

「きゃっ・・!」

 

 軽い悲鳴をあげてから振り返るとチャラい男性の人からどんどん離れていってるのが

わかった。そして、少し離れた場所で走っていた人が徐々に速度を落としていって

やがては動きを止めるとちょっと息苦しそうにしているのを見て私はハッと気がついた。

 

 その後ろ姿を見るや今まで気付かなかった自分が恥ずかしかった。

必死に走ったせいか振り返った時に少し汗をかいていたのはあかねちゃんだった。

 

「ふぅ…もう少し自分を守ることを覚えないとね。ともこ」

「あっ、ごめんなさい…」

 

 あかねちゃんと今日最初の会話をしてからようやく自分の置かれていた立場に気付いて

まずは最初に頭を下げて謝った。

 

 下げた私の頭に手を置いて笑いながら優しく撫でるあかねちゃん。

それだけで胸の中がジンッと暖かくなるような感覚に包まれた。

 

「まぁ、無事でよかったけど」

「うん、ありがとう」

 

 言ってからお互いに顔を見やって笑い合った後、ぎゅっと手を握って歩き出した。

これまでがんばって考えていたプランも全てさっきのことで忘れちゃったけれど

正直あかねちゃんとこうやって傍にいられるだけで幸せだった。

 

「そういえば用事って?」

「ん、あかりが相談したいことあるっていうからちょっと聞いてたの」

 

「そう…」

「どうかした?」

 

「ううん…なんでもない」

 

 何でもないわけないけれど、あかねちゃんの気分をわざわざ損ねさせることはないし。

私は気持ちをちょっと切り替えて明るく振舞いながらあかねちゃんに聞いた。

 

「あかねちゃん、どこか行きたいところある?」

「うーん…」

 

 ちょっと考えるような仕草をした後に再び笑顔に戻るあかねちゃんは。

 

「ともこの行きたい場所に連れて行ってもらえる?」

 

 だからそれは今さっきどこか行っちゃって咄嗟に浮かばないの~。

とか思ったけど口にはしなかった。さっき変に気が動転していたのを気付かれるのは

ちょっと恥ずかしかったし。

 

「ん・・・じゃあねえ・・・」

 

 すっごく無難におしゃれな喫茶店を見つけてここに入ろうとあかねちゃんを

連れてきたはいいけれど、ここは全く予定に入っていない場所だった。

 

 でも…。

 

「すごく良い場所じゃない。雰囲気が好きかも」

「ほんと!? よかった~」

 

 偶然とはいえ気にいってもらえてよかったと、ホッと胸を撫で下ろした。

注文したハーブティーを口に含んで香りを鼻から抜くとふわっとした香りに

心がリラックスしていく。

 

 そんな中であかねちゃんは私の顔をジッとみていつになく真剣な眼差しを向けていた。

・・・相変わらず細い目をしているけど彼女のことが好きな私にはわかった。

 

「ねぇ、ともこ。何か私のこと気つかってるようだけど、そんなに肩に力入れないで

ちょうだい」

「え・・・」

 

「いつでも対等でいたいのよ私達。私…ともこのことも大切に想ってるから」

「あかねちゃん…」

 

 あかりちゃんより、あかりちゃんと同じくらいっていう言葉を期待したけどそこは

出なかった。けれど・・・けれど・・・何だか涙が出そうな感じの勢いに嬉しい感情が溢れそう

になる。

 

「好きよ、ともこ」

「・・・! ずるいよ、あかねちゃんは」

 

「ふふっ、そうかしら?」

「うん・・・すごくずるい・・・」

 

 私の気持ちに本当は気付いているのではないかと思ってしまう。

気付かないフリをして。

 

 私に告白できる度胸がないことを知っていているから。

だから私は私にできる言葉を振り絞ってあかねちゃんに伝えた。

 

「私も・・・!」

 

 そっと耳元で好きだよって告げると気のせいか僅かながら表情が固まった瞬間の後。

うっすらと赤面していくのがわかった。

 

「そうなの・・・」

「うん」

 

 しばらくの間、沈黙が続いた後に誰からともなく笑みを浮かべてくすくすと

笑い始めるともうお互い固くなっていたこと自体がおかしくなって二人して周りに迷惑

かけない程度に笑ってからお茶を飲み終わってから外へと出た。

 

 まだ寒い日に暖かい場所から出て寒がる私を傍に引き寄せてくるあかねちゃん。

それから私達は雑貨屋さんに寄ったり、洋服を見に行ったり。

 

 予算に合う買い物をしてから映画を見たり。

何も特別なことはできなかったけれど私の気持ちは満ち足りていた。

今はもうこれ以上は求めることはしない。それ以上、今は踏み込んではいけないと

感じたのだ。

 

 いつかはあかねちゃんにこの気持ちをもっとはっきりと伝えられる機会はあるだろう。

急ぐことはない。今はこの大切な時間を精一杯楽しむことが大事なんだ。

 

「あかねちゃん、ありがとう」

 

 私の言葉は聞こえないくらいに小さな声で呟いたけれどその後にあかねちゃんと

握っていた手が力強く握ってきて、それが返事のように思えた。

 

 本当にいつもありがとう。そしてこれからもまたよろしくねって思いながら

私も更に少し強く握り返しながら二人街の中を歩いていく。

 

 その時、ふとあかねちゃんの匂いを感じて私は安心した気持ちで

あかねちゃんに心を全てを預けるような形で残りの時間を楽しむことにした。

 

お終い

 


 
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