第十六話 獅子とまほら武道会―第一回戦第三試合&第四試合&第五試合?
「明日菜姉さん、流石にあの負け方は…」
「う~何よ何なのよウルまで~…あたしだってショック受けてるんだからそっとしておいてよ~…」
「…う~ん、俺もああはなるまい。流石に試合じゃルールは守るで俺も」
「うっ!」
「あ、明日菜さん、でもとっても良い闘気でしたよ!」
「フォローになってないわよ馬鹿ネギィ…」
ウル、ネギ、小太郎、明日菜の四人は選手控え室の隅っこでいじける明日菜に悪戦苦闘していた
正確に言えばフォローをしようとしているのはネギ一人、しかもフォローになっていないと言う有様だった
「まあそれはともかく、会場に行きましょう?愛衣さんの試合始まっちゃってますよ」
「おお、そうやった。あの姉ちゃんの試合も見とかんとな」
「ほら、明日菜さん行きましょう!」
「なーんであたしあんなに熱くなってたのかしらねぇ…」
四人は連れ合って、試合会場へと向かっていった
…一人は若干足元が覚束なかったが
★
「ぎ、ギブアップ!ギブアーップだぁぁぁ!!」
『なんと!山下選手ギブアップを宣言!…まあこれは仕方ないかと思われます!正直、私も年頃のJKなので目を逸らすしかありません!』
第三試合、佐倉愛衣VS山下慶一の試合は以外や以外
山下のギブアップ宣言で幕を閉じた
「は、はわわわわ…す、すいませぇぇぇん!」
試合に勝った筈の愛衣は逃げるように舞台から降りる
その手にアーティファクト『
オソウジダイスキの効果は『広範囲武装解除』
つまり相手の装備を強制的に引き剥がす効果である。それが武器でも、衣服でも
…ここまで言えばお分かりだろう。愛衣はアーティファクトの効果を対戦相手の山下に使用したのだ
その結果―
『なんと山下選手、佐倉選手が起こした突風によって服を全部剥ぎ取られてしまったー!パンツだけでも残っているのは、佐倉選手のわずかな良心故かー!?』
「わたしをスケベみたいに言わないでくださぁぁぁい!!」
選手控え室のある方向から愛衣の抗議の声が大きく聞こえていた
「「あ、あはははは」」
「ふーむ、やっぱりあの広範囲に使える武装解除術は戦闘に使えるわなー…」
「愛衣ちゃん…なんか、他人事に思えないわ…」
四人は舞台の傍、控え室から直ぐの場所で観戦していたのだが結果にウルとネギは苦笑い
小太郎は真面目に評価し、明日菜は愛衣にどこかシンパシーを感じていた
「ま、まあ切り替えましょう。確か次は刹那さんの試合ですよね」
「そ、そうだね!刹那さんなら負けることも無いと思うから、安心して観戦できるかも」
「うむ、刹那姉ちゃんは強いで。あの月詠に勝ったっちゅうんがその証拠や」
「その月詠も今回は参戦してるのよね…。せめて一般人に被害が出ないといいけど」
ウル以外の三人が月詠の話題で少し暗いムードになる
そこへ何者かが声をかけてきた
「ウルティムスさん、少し良いでしょうか」
「え?えっと…確かあなたは、イシュト・カリン・オーテさん、でしたっけ?僕に何か用ですか?」
「…ここでは邪魔が入るかもしれません。場所を変えても?」
「…」
ウルは考えていた
彼女は何者だ?また元老院からの刺客か?いやそもそもこのタイミングで僕に接触する意図は何だ?
色々な考えがウルの頭をぐるぐる回る
数瞬考えた挙句『ここでなら襲われてもネギさんやマスター、タカミチさん達が居る。襲われても問題はない』と言う事で彼女の話に乗ることにしたのだ
「…良いですよ。ネギさん、小太郎さん、明日菜姉さん。少し行ってきます」
「ウル君、大丈夫かい?」
「不安なら俺達も着いてくで」
「大丈夫ですよ。子供のお使いじゃないんですから。じゃ、行きましょうか」
「では、着いてきてください」
ウルはカリンに連れられて、選手控え室の方へと姿を消した
「うーん…ウル君大丈夫かな…?」
「ウルが大丈夫って言ってんだから大丈夫でしょ?ほら、刹那さんの試合始まっちゃうわよ!」
「…まあウルなら不意打ちでもされなきゃ大丈夫やろ」
三人はそのまま、刹那の試合を観戦するのだった
★
さて、ウルがカリンに連れられて来たのは試合会場の真下に位置するであろう下水道の中
しかし普段は余り使われないため臭いはそこまで無く、下水も余り流れてはいない
「…で、こんなとこに呼び出して何のようですか、オーテさん」
怪訝そうな顔でウルがカリンに尋ねる
心なしか不機嫌そうだ
「…貴方は、」
「はい?」
「貴方は、何故あの方の家族になっているんです?」
その言葉と同時にカリンは背中に携えたハンマーをウルに向かって振り下ろす
反射的にウルは後ろに跳んで回避
警戒レベルを一気に引き上げ、戦闘体勢に入る
「…あの方、とは誰のことです?僕は貴女に狙われる覚えは無いのですが?」
「白々しい…あなたの家族と言える人などただ一人」
「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル様に決まっているじゃないです、かッ!」
またもカリンは言葉を放ちながらハンマーを横薙ぎに振るう
「マスター!?貴女はマスターのお知り合いですか!?」
「私はあの人に拾ってもらった!貴方よりもずっと先に!なのに、何故!」
叫びながらカリンは何度もハンマーを振るう
それをウルは紙一重でかわしていく
何度か髪や服に掠めることもあった
「私の生きる目的は!あの人に尽くすため!私の目標は!あの人の隣に立つこと!…それを貴方が横から掻っ攫って行ってしまった!」
真正面から振り下ろされたハンマーを、柄を掴むことでウルは防ぐ
「っ貴女がマスターと何百年前から一緒に居るのかは分かりません…。僕はあの人に拾われることでここで生きていく事が出来る様になりました。あなたもそうなんでしょう!?」
「貴方と一緒にしないでください!私は、本当にあの人が居なければ…!」
「だからこそ!」
ウルはグイッとハンマーを無理やり下に向けさせ、カリンに近づく
二人の距離はお互いの息がかかるほどだ
「僕らがここで殺しあうことを、あの人が望んでいるとは思えません!僕達は協力し合って生きていけると思うんです!」
「ッ!分かった様な口を!」
激昂したカリンは下から掬い上げるようにハンマーでのアッパーを放つ
そのハンマーはウルの右腕に直撃、肩口から千切り取られた腕は下水に入ってしまった
「っぐあぁぁぁ!?」
「ッハァ、ハア、ハア…!」
倒れ付すウルをカリンは息を切らし、肩で息をしながら見下ろす
「私はですね、不老不死の化け物なんですよ。斬っても撃っても死なない上に傷すらつかない。勿論寿命なんてありません。そんな私と一緒に生きてくれたのはエヴァンジェリン様だけでした」
ポロポロと両目から涙を零しながらカリンが話を切り出す
「あの人に捨てられたら、私はまた一人…。一人で永劫に続く世界を行きぬく自信なんて、私には…!」
「―なら!」
と、ここでカリンの耳に聞こえるはずの無い声が聞こえてきた
なぜならその声の主は今、自分が確かに○したはず―
「それなら、僕が貴女と一緒に生きていきます。一人では無理でも、二人なら希望はあるでしょう!」
「…何を言ってるんですか。言ったでしょう?私は不老不死の化け物です。いくら貴方が強くても、いつかは寿命で―」
そこまで言って、カリンの目は見開かれる
先ほど吹き飛ばしたはずのウルの右腕が、肩から蒸気を吹き上げつつ再生しているのだ
「…僕もその、不老不死の化け物なんですよ。マスターの技法『
「貴方、も…」
「先ほども言いましたけど、僕達は協力し合って生きていけると思うんです。不死者同士協力して、手を取り合って生きていきませんか?」
ウルは再生を終えた右手をカリンへと差し出す
カリンは逡巡しながらもウルの手を取った
「…貴方だけでは嫌です。エヴァンジェリン様も一緒だったら、考えてあげなくもありません」
「これはまた、手厳しい」
「それと今度からはカリン、と呼んでも良いですよ」
この後、試合会場に戻ったカリンとウルだったがカリンは試合を棄権
ウルは二回戦へと駒を進めることとなったのだ
大分手抜きです申し訳ございません…orz
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第十六話 まほら武道会―本戦第一回戦第三試合&第四試合?&第五試合?