No.689706

九番目の熾天使・外伝 ~短編その⑫~

竜神丸さん

幽霊騒動その10

2014-05-27 17:51:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1812   閲覧ユーザー数:939

「―――これでよし、と」

 

ZEROの暴走で崩壊しかけている小学校にて、被害の出ていない音楽室に篭っていたユウナとスノーズ。ユウナは傷付いた右腕をスノーズに手当てして貰っている一方で、音楽室の入り口付近には亡霊と思われる氷の彫像が大量に存在している事から、強制的に音楽室から排除されたのだろう。哀れ、亡霊達。

 

「すみませんスノーズさん、傷の手当てまで…」

 

「君が謝る理由は無いよ。それより早く他の三人と合流しないと…」

 

「―――ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああっ!!!!!」

 

スノーズが窓を開けた先では、ZERO変身したガオウが残った亡霊達を相手に暴れ回っていた。ショッカーグリードを誤って跡形も無く消滅させてしまったのだ、気に入った“餌”が手に入らず苛立ちが収まらなくなっているのも無理は無いかも知れない。

 

「…あそこの暴れん坊さんに、何もかも破壊されてしまいかねない」

 

スノーズは呆れた様子で溜め息をつきながら、窓を閉めてユウナの下まで歩み寄る。

 

「他に怪我は無いかな?」

 

「あ、いえ。もう大丈夫です…」

 

「そうかい? なら、早く行くとしよう」

 

スノーズが音楽室の扉を開け、まず亡霊や怪人がいないか確認。何もいないのを確認してからユウナにOKの合図を出し、ユウナも恐る恐る廊下に出る。

 

「……」

 

共に廊下を進んでいく際、ユウナは再びスノーズの方を見据える。

 

「…ん? 何だい?」

 

「あ、いえ……スノーズさん、何だか不思議な雰囲気だなぁって思いまして…」

 

「あぁ、昔からよく言われたよ。今はあまり気にしてないけど」

 

「気にしてないのなら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてさっきから、あまり視線を合わせようとしないんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!」

 

スノーズがその場に立ち止まる。

 

「初めて助けて貰った時もそうです。必要な時だけ私の方を見て、それ以外の時はまるで視線を合わせようとしない……他人との関わりを出来る限り避けている。そんな風に思えてしまうんです」

 

「……」

 

「こんな事を言うのも失礼かも知れないですけど……何だかスノーズさん、私達とは一定の距離を置いてるみたいで…」

 

「…少し、気を使わせちゃったかな?」

 

「!」

 

黙っていたスノーズがここで口を開く。

 

「君の言う通り、僕は君達とはいくらか距離を置いた状態で接してたのかも知れない。それは自分でも薄々分かってはいた事だ」

 

「なら、どうして…」

 

二人の背後から、静かに亡霊達が接近する。ユウナはそれに気付かない。

 

「何故と聞かれれば、答えは実に単純」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「周りが僕の事を避けたがってるからさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『ッ!? ッ……ァ、カ…!!』』』

 

「…ッ!?」

 

その台詞と共に、二人の背後から氷の刃が次々と出現。天井から現れていた亡霊達をまとめて貫くと同時に凍結させ、一瞬で亡霊達が全滅。突然の攻撃にユウナが振り向き、ここでようやく背後から亡霊達が接近していた事に気付く。

 

「い、いつの間に…」

 

「数秒前から近付いて来てた。流石は亡霊だ、気配もなかなか察知しにくい」

 

スノーズが足で軽めに蹴ったからか、氷漬けの亡霊はそのまま粉々に砕け散り、跡形もなく消滅する。

 

「考えれば分かる話さ。普通の人間なら、ここまで異常な力を持っている奴に自分から近付こうだなんて思いはしない。僕の両親もそうだった」

 

「え…!?」

 

「僕にこの力が存在してると分かった途端、いきなり僕を住んでいた家から追い出したのさ。ご丁寧に、化け物扱いまでしてくれたよ」

 

「……」

 

スノーズが悲哀の目をしているところを、ユウナは見逃さなかった。そのまま彼の下まで近付き、ピタリと背中合わせになる。これには流石のスノーズも驚く。

 

「ユウナちゃん…?」

 

「同じですね、私達。私達兄妹も……父親に捨てられたんです」

 

「!?」

 

ユウナの発言に、スノーズは思わず目を見開く。

 

「小さい頃に母親がなくなって、父親は私達を放ったままいなくなっちゃったんです。おかげでタカナシ家は5人兄妹だけが残って、長男が父親代わりになっていました」

 

「…そうだったんだ」

 

「捨てられた者同士だからでしょうか、何となくだけど分かるんです。スノーズさんの気持ちも……でも」

 

「!?」

 

「…あなたも、人との繋がりは持って下さい。一人で生きるなんて、寂し過ぎますから」

 

背中合わせでいたユウナはくるりと振り向き、正面からスノーズと向き合う。思わず視線を逸らそうとしたスノーズだったが、何故か出来なかった。ユウナに正面から目を合わせられてしまった以上、今の彼に視線を逸らす手段など一つも存在してはいなかったのだから。

 

「…怖くないのかい? 僕の目が」

 

「私からすれば、長男の説教の方がもっと怖いです」

 

「……」

 

あっさり断言したユウナに、スノーズは思わず無言になり、そして心の中で悟った。今の彼女には、何を言っても恐らく論破されてしまうだろうと。

 

「…分かったよ。出来る限り、僕もそうする」

 

「はい、それが良いと思います」

 

スノーズの言葉に、ユウナは純粋に笑って見せた。彼女の純粋な笑顔を見せつけられたからか、スノーズもどう返せば良いか言葉が思いつかない。

 

その時…

 

-ビシビシィッ-

 

「「!?」」

 

そんな二人のいる廊下に、紫色の裂け目が出現。少しずつ床を割っていき、そのままあっという間に二人のいる床を崩壊させる。

 

「な、何!?」

 

「ッ…捕まって!!」

 

亡霊だらけの空間、せめて再び離れ離れになってしまうのだけは避けたい。そう判断したスノーズはユウナを自身の傍に抱き寄せ、二人一緒に裂け目の中へと落下していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、洞窟内部…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…こっちか?」

 

謎の声を聞いた支配人は、湖のある最奥部まで到着していた。ここにも複数の亡霊が漂っており、放っているオーラから明らかに敵意剥き出しのようだ。

 

(さっき聞こえてきた声……いや、まさかとは思うが…)

 

『貴様、ソコデ何ヲシテイル!!』

 

「!」

 

岩壁の陰に隠れていた支配人だったが、たまたま近くで見回りをしていたガニコウモルに見つかり、仕方なく湖前まで移動する。そこへショッカー戦闘員やダスタード、更にはオルフェノクやイマジン、ゾディアーツなどの怪人達が一斉に出現、そして怪人達の前に紫の体色をした怪人―――ヒルカメレオンが姿を現す。

 

「おうおう、また集まって来やがったな…」

 

『先程ノブレイドダナ!! 貴様ハコノブラック将軍ガ始末シテクレルワ!!』

 

「言ってろ。俺はブレイドに変身する気は無ぇからよ」

 

『何ィッ!?』

 

支配人はブレイバックルではなく、一本のグリップを取り出す。すると支配人の下に、水色のトンボを模したメカ“ドレイクゼクター”が何処から飛来。グリップと合体し、一本の銃となる。

 

「変身!」

 

≪HENSHIN≫

 

支配人は全身が装甲に包まれ、銃撃手型の戦士“仮面ライダードレイク・マスクドフォーム”に変身。すかさず近付いて来たショッカー戦闘員達を狙い撃ちにし始める。

 

『馬鹿ナ、貴様ハブレイドデハナイノカ!?』

 

「悪いなぁ? ライダーシステムなら、俺は元から複数所持してんだよ」

 

ドレイクはそう言いながらもダスタードを射撃で吹っ飛ばし、蹴り倒したロングホーンオルフェノクを踏みつけたまま連続射撃で爆散させる。その直後にガニコウモルに飛びかかられ転倒するも、銃口をガニコウモルの腹部に突き付けてからゼロ距離射撃で真上に撃ち上げる。

 

「キャストオフ」

 

≪CAST OFF≫

 

ドレイクゼクターの尻尾を引くと同時にドレイクの装甲が弾け飛び、ドレイクはマスクドフォームからライダーフォームにチェンジ。近付いて来たカッパをエルボーで岩壁に押し付けてから、離れた位置にいたヒルカメレオン達に銃撃を浴びせ続ける。

 

『グ、ヌゥゥゥゥ…コウナレバァッ!!』

 

「!?」

 

直後、ヒルカメレオンは透明化し姿を消した。ドレイクは押さえ付けていたカッパを蹴り飛ばしてから周囲を見渡し、ヒルカメレオンの行方を追う。

 

「何処に消えた…ッ!」

 

ドレイクの装甲から火花が飛び散る。透明化したヒルカメレオンが、彼を何度も攻撃しているからだ。

 

「チッ…」

 

『討チ取ッタリ、仮面ライダァーッ!!』

 

「なんてな」

 

≪CLOCK UP≫

 

ヒルカメレオンが背後から飛びかかった瞬間、ドレイクはクロックアップを発動。一瞬でヒルカメレオンや周囲の怪人達のスピードがゆっくりになり、その隙にドレイクはドレイクゼクターの羽を閉じてから尻尾のトリガーを引く。

 

「ライダーシューティング…」

 

≪RIDER SHOOTING≫

 

「詰めが甘いぜ、将軍さんよ」

 

≪CLOCK OVER≫

 

『ナ…グワァァァァァァァァァァァァァッ!!?』

 

ライダーシューティングがゼロ距離で発動されると同時に、クロックアップも解除。ヒルカメレオンは自身に向かって放たれたエネルギー弾に気付くが逃げられる筈もなく、そのまま直撃して大爆発を引き起こし、消滅してしまった。

 

「ふぅ……さて、次はどいつだ?」

 

ゴーストショッカー幹部の一人であるヒルカメレオンが倒されたからか、怪人達は怯んで後ずさる。ドレイクは銃をクルクル回転させながら怪人達に近付いて行く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ココニイタンダネ、レイ…-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!?」

 

再び、謎の声がドレイクの脳内に響き渡ってきた。ドレイクはその場に立ち止まり、声の正体を知ろうと周囲を見渡す。

 

「誰だ!!」

 

『忘レタノ…? 私ダヨ、レイ…』

 

ドレイクの前に一体の亡霊が立ち塞がり、紫色のオーラの中から正体を現す。その正体を見て、ドレイクは手元から銃が落ち、変身が解除される。

 

「な、何で……何でお前が…!?」

 

『酷イジャナイ、レイ……私ノ事ヲスグニ思イ出セナイナンテ…』

 

「く…ッ!?」

 

現れた亡霊は女性だった。彼女は不気味な笑みを浮かべながら支配人に近寄って行き、彼の首元に両手を回して逃がさない。

 

『ネェ、ドウシテ逃ゲルノヨ……マサカ、私ノ事ガ大切ナンジャナカッタ…ナンテ言ウノカシラ…?』

 

「ッ……俺は…!!」

 

『ソウ……ジャア、アンタナンカ死ンジャエ』

 

「が、ぁ…!?」

 

女性の亡霊は支配人の頭を掴み、そのままオーラの中に彼を飲み込もうとし始めた。それをチャンスと見たのか、周囲の怪人達も次々と支配人の下まで集まり出す。

 

「ぅ、ぐ………やめ、ろ…!!」

 

『死ンデシマエ……私ノ事モ忘レテシマウヨウナレイナンカ、今スグ死ンデシマエッ!!!』

 

何かを言おうとする支配人に、女性の亡霊は聞く耳を持たない。そのまま彼女の放つオーラが支配人の全身を黒化させ、どんどん侵食させていく。

 

(何故…だ…………ク、レ…ア…)

 

その時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処からか、口笛が聞こえてきたのは。

 

『『『『『…?』』』』』

 

誰が口笛を?

 

怪人達が一斉に周囲を見渡すが、口笛を吹いているような存在は何処にも確認出来ない。それでも口笛は怪人達の耳に聞こえてくる為、支配人を侵食しようとした女性の亡霊も不審に感じ始める。

 

『…ッ!! アソコニイルゾ!!』

 

ザンジオーが指差した方向に、怪人達が一斉に振り向く。その先には、高い崖の上で口笛を吹いている仮面の戦士が背を向けた状態のまま立っていた。

 

『アンナ所ニ……貴様、何者ダァッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ……悪を倒せと、俺を呼ぶ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『!?』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞け、悪人共!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面の戦士は振り返り、怪人達を見下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は正義の戦士……仮面ライダー、ストロンガーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面の戦士―――仮面ライダーストロンガーはそう言い放ち、崖から大きく飛び降りてみせた。

 

『ナ、何ダト……フギャアッ!?』

 

早速、ストロンガーの飛び降りた先にいたザンジオーが踏み台にされる。ザンジオーを踏み台にしてから地面に着地したストロンガーは両手拳を握り締め、怪人達と相対する。

 

「さぁ来い、怪人共!!」

 

『カカレェッ!!』

 

『『『『『イィーッ!!』』』』』

 

ショッカー戦闘員やダスタードが一斉に襲い掛かるも、ストロンガーはそれでも怯まずに一体ずつ確実に薙ぎ倒し始める。一体は殴られ、一体は蹴られ、一体は掴まれてから投げ飛ばされ、次々とショッカー戦闘員やダスタードが倒されていく。

 

「ッ……うあぁ!!」

 

≪HENSHIN≫

 

『!? ナ、何デスッテ…!?』

 

それを見ていた支配人も、自身の気合いだけでオーラの侵食から脱出。先程落としたドレイクグリップを拾い上げると同時に再びドレイクゼクターがセットされ、そのままドレイク・マスクドフォームへと変身。すぐさま怪人達に向かって射撃を繰り出す。

 

「電パンチ!!」

 

『ガァァァァァッ!?』

 

カメレオン・ゾディアーツを撃破したストロンガーはキャマラスワームの攻撃を回避し、ドレイクの下まで駆け寄る。

 

「げんぶか…?」

 

「おいおい。こんな場所で音を上げるとはらしくないな、支配人」

 

「…あぁ、すまん」

 

『逃ガサナイワヨ、レイィ~…!!』

 

『『『イィーッ!!』』』

 

「「…!!」」

 

女性の亡霊だけでなくショッカー戦闘員やダスタードの集団も立ち塞がり、ストロンガーとドレイクはすぐに身構えるが…

 

『イーッ!?』

 

「「!?」」

 

突如、一体のショッカー戦闘員が他の戦闘員を蹴り倒してしまった。細いボディと膨らんでいる胸からしてどうやら中身は女性のようで、その戦闘員はダスタードを蹴散らしてから一本のベルトを装着し、携帯を取り出す。

 

≪3≫

 

≪1≫

 

≪5≫

 

≪Stunding by≫

 

「変身」

 

≪Complete≫

 

その戦闘員は携帯―――サイガフォンをベルトにセットし、仮面ライダーサイガに変身。すかさずサイガフォンをフォンブラスターに切り替えショッカー戦闘員やダスタード達を狙い撃つ。

 

「ユイ…!?」

 

「ごめん、兄さん。駆け付けるの遅くなった」

 

「…いや、グッドタイミングだ」

 

≪CAST OFF≫

 

ドレイクはすぐにライダーフォームとなり、戦闘員―――もといユイの変身したサイガ、げんぶの変身したストロンガーが並び立つ。そんな三人を怪人達が取り囲み、ジリジリと迫ろうとするも…

 

『『『『『グギャァァァァァァァァァァッ!?』』』』』

 

「「「!?」」」

 

別方向から放たれた巨大な斬撃が、怪人達を次々と吹き飛ばした。斬撃の飛んで来た方向には、青色を基調としたドレスに銀色のアーマーを装備したバリアジャケットを纏った凛の姿があった。

 

「凛ちゃん!?」

 

「三人共、急いで!! 撤退するわよ!!」

 

「…そうした方が良さそうだな!」

 

『逃ガサ…ゴブッ!?』

 

「…邪魔」

 

ストロンガーは凛のいる方向まで駆け出し、サイガは行く手を阻もうとしたビースト・ドーパントの顔面に容赦なく膝蹴りを放ち転倒させる。ドレイクも駈け出そうとしたが、その前に女性の亡霊の方を見据える。

 

『待ッテ、レイ……何デ…ドウシテ行ッチャウノ…?』

 

「ッ…クレ―――」

 

「支配人、ボサッとするな!!」

 

「!!」

 

ストロンガーの声にドレイクはハッと我に返り、クロックアップでその場から逃走。それを見たストロンガー達も逃走を図るが、それをシアゴーストやダークローチ、グールなどが阻もうとする。

 

「邪魔だ……とうっ!」

 

ストロンガーは大きく跳躍し、前方に一回転してからキックの構えに入る。

 

「ストロンガー…電キィィィィィィィィィィック!!!」

 

『『『『『グガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!??』』』』』

 

ストロンガーの電撃を纏ったキックを受け、怪人達が一斉に爆発。その隙にストロンガーは逃走し、サイガも凛を連れたままフライングアタッカーで脱出。結局、残った怪人達はその場に置いてけぼりにされる羽目になった。

 

『ほう……面白イ連中がいるようダナ…』

 

怪人達のいる後方では、アザゼルが興味深そうに呟いてみせていた。その横では…

 

 

 

 

 

 

『ドウシテナノ……レイ…』

 

 

 

 

 

 

ただ一人、女性の亡霊が悲しげに涙を流すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ここまで来れば良いか」

 

その後、洞窟の外まで脱出した支配人達。ライダーに変身していた三人は変身を解除し、凛もバリアジャケットを解除して私服姿に戻る。

 

「はぁ、はぁ……全く、多過ぎるわよあの怪人共!! どんだけいるの!?」

 

「いや、それもあるんだが……まずはお前だ、支配人」

 

げんぶはちょうど良い大きさの岩に座ってから、岩壁を背に座り込んでいる支配人に問いかける。

 

「お前程の実力なら、あんな場所で苦戦する事なんてあり得ない筈だ……あの女、お前とはどういう関係だ?」

 

「…そこまで気付いてたのか」

 

凛やユイからも視線を感じた事から、支配人は観念した様子で口を開く。

 

「彼女の名はクレア・クレスメント。かつての俺のパートナーで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の所為で、命を落としてしまった女だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、神社前では…

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ……ま、またしても穢されてしまうかと思った…」

 

「「「「「いっそ穢されてしまえば面白いのに」」」」」

 

「揃いも揃って人でなし過ぎる!?」

 

あれから結局、巫女服を脱がされる事だけは意地でも阻止してみせたUnknown。デルタ達からは口の揃った状態で弄られ続けるも、それでも彼はめげない。

 

「…結局、あなた達は何をしていたんですか? このような場所で」

 

「何をしてたって、そりゃあ…」

 

「アン娘があの美人さん達と淫らに絡みまくってる光景を、録画しながら見て楽しんでた!」

 

「自分は敢えてそれに便乗しなきゃいけない気がした!」

 

「女の亡霊達に、危うく穢されかけた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、他に言いたい事は?」

 

「「スミマセンデシタ」」

 

(おぉ怖い怖い)

 

デルタの取り出した注射器を見て、すぐさま土下座をしてみせた蒼崎とkaito。ちなみにガルムは元から慣れてるのか土下座はしていない。その横ではUnknownが乱れた巫女服を丁寧に着直している。

 

「アンタ達ねぇ、咲良ちゃんが行方不明だってのに呑気にし過ぎでしょうが」

 

「ユウナ姉さんもですよアキさん……あれ、ところでどうしてアン娘さんまでここに? 確か今回の捜索メンバーの中にはいなかった筈ですけど…」

 

「あぁ、その事なんだが」

 

巫女服を着直したUnknownは一度だけ咳き込んでから、事情説明を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜神丸さんから依頼された?」

 

「そういう事。多分、今も何処かで竜神丸が亡霊共を狩ってると思う」

 

「じゃあ、竜神丸もこの空間内に…」

 

そこまで説明を聞いた事で、ルカやアキ達も疑問に思い始めた。いつの間にかUnknownを連れて、この空間内で活動を開始していた竜神丸。亡霊という不確かな存在には対して興味を示さない筈の彼が、何故こんな場所に来ているのか。任務だとしても、何故そのような任務を言い渡されたのかが分からない。

 

「とにかくだ。ガルム達から聞いた話じゃ、咲良ちゃんとユウナちゃんがここに来てるかも知れないそうじゃないか。亡霊退治も当然大事だが、先にその二人の捜索から完了させなければな」

 

「当然よ! 早く見つけ出さないと、咲良ちゃんがどんな目に遭わされてるか…」

 

「咲良ちゃんなら案外、亡霊とも馴染めそうな気がするんだが」

 

「「「「「確かに」」」」」

 

「…否定出来ない自分が悔しいわね」

 

ガルムの言った事に、アキや他のメンバーもイマイチ否定出来なかったのは言うまでもないだろう。

 

「…あ、そうだ。皆さん、ここらで怪物を見ませんでしたか? kaitoさんが遭遇したみたいなんですが」

 

「怪物? いや、私は見てないが…」

 

「そうですか…」

 

ルカの問いかけについては、Unknownは何も知らない。しかしガルムが何かを思い出したのらしく、「あ」と口を開く。

 

「そういや、ここへ来る前に怪人共と出くわしたな」

 

「「「怪人?」」」

 

「支配人に戦闘を任せちゃったからよく見てないが……ひょっとして、それとも何か関係してるとか?」

 

「怪人が…?」

 

ますます訳が分からなくなる一同であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、病院では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルゥゥゥゥ無事で良がっだぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」

 

「アハハ、ごめんねアスナ…」

 

「本当に泣き虫だなディアラヴァーズ共は…」

 

「だ、だっで…!! あんなズブリっで刺ざれでだんだもん…うぇぇぇぇん…!!」

 

「ちょ、本当にごめんってば…!!」

 

未だ泣き続けるアスナを必死に慰めようとするディアーリーズ。そんな彼等から少し離れた位置で、okakaは持って来ていたノートパソコンにあるデータを纏めていた。

 

(この空間、死者の魂をこの地に縛り付けるだけの力が存在しているのは確かだ……今のところ、確認出来た亡霊達の共通点について、それらしい法則は見えてないが…)

 

『『『真司兄ちゃん、遊んでよー!』』』

 

『ちょ、分かった分かった!! 遊んであげるから服を引っ張るなって!?』

 

チラリと横目で見た先では、真司が慌てた様子で子供達の面倒を見ていた。見たところ、

 

(さっきのあの様子じゃ……相乗りする覚悟(・・・・・・・)は持ってるみたいだな)

 

okakaは小さく笑みを浮かべる。

 

「真司」

 

『へ?』

 

「悪魔と……いや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「破壊者と、相乗りする覚悟はあるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

okakaが操作しているノートパソコンの画面……そこには、真司と同じ姿と体系をしたアンドロイドが映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OTAKU旅団アジト楽園(エデン)

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ帰って来ないのか? アイツ等は」

 

「あぁ。まだ時間はかかりそうだぜ」

 

「早く戻って貰わないと、こちらの任務に支障が出るんだがな……ま、あのNo.3に関しては本当にどうでも良いんだが」

 

「「どんだけ仲悪いんだよアンタとデルタさん」」

 

「アン娘ちゃんは気付いたらいなくなってるし……はぁ、一体何処に行っちゃったのかしらねぇ…」

 

二百式やmiri、Blazや朱音が捜索組メンバー達の安否を心配する中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

団長室にて、クライシスは椅子に座ったまま目を閉じていた。彼の前には映像が出現しており、そこには竜神丸の姿も映っていた。

 

「…つまり、大規模な事件に発展する可能性があると?」

 

『その可能性が非常に高いと思われます。今のところ、退治した亡霊の魂が何処にいるのかはまだ分かっておりませんが…』

 

「お前はそのまま調査を続けろ。何か分かり次第、すぐに報告を入れろ」

 

『了解』

 

映像が消え、クライシスは閉じていた目をようやく開く。

 

「異界……私もまさかとは思っていたが……一応、構えておく必要はあるようだな…」

 

クライシスは椅子から立ち上がり、団長室を後にする。その後方から…

 

 

 

 

 

 

-ブゥゥゥゥゥゥゥン…-

 

 

 

 

 

 

金色のカブティックゼクターが、彼の後を追いかけて行くのだった。

 


 
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