No.672795

管理者からの御遣い 魏√ 3 

ZZさん

二つに分けました。前編

2014-03-22 13:12:16 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3503   閲覧ユーザー数:2840

一刀「いつ見ても、壮観」

 

 

城壁の下で走り回っているのは、完全武装の曹魏。

皆、忙しそうに準備を着々と進めている。

 

 

春蘭「どうしたのだ、一刀」

一刀「春蘭・・・・・か。いや、戦いは久しぶりだからな」

春蘭「そうか」

華琳「何を、話しているの?」

春蘭「か、華琳様!!」

華琳「はぁ・・・・・春蘭。装備と兵の最終確認の報告を受けていないわよ。ちゃんと揃っているの?」

春蘭「はいっ。すべて滞りなく済んでいます」

華琳「それで、一刀の方は、糧食の最終点検の帳簿を受け取るように言ったはずよ」

 

 

俺は、久々の戦いで心が躍っており、肝心の指令を忘れていた。

 

 

一刀「すぐ、取りに行こう」

華琳「あなたが遅れることで、全軍が遅れるわ」

秋蘭「一刀。監督官は、馬具の確認をしていたはずだ。其処へ行くといい」

一刀「あぁ」

 

 

急ぎ足で厩舎の隣に急いだ。

 

 

 

一刀「其処の君、少し良いか」

??「何かしら?」

一刀「糧食の帳簿を取りに来たんだが、監督官を知らないか?」

??「監督官なら私だけど・・・・・・あんた、この間曹操様に拾われた御遣いでしょ」

一刀「それは、良いから。帳簿を渡してくれないか?」

??「何で、あんたなんかに・・・・・・」

一刀「華琳に、頼まれたからだ」

??「それを早く言いなさいよ・・・・・・これよ」

一刀「助かる」

 

 

監督官から帳簿を受け取り、少女にお礼を言い渡す。

 

 

 

一刀「華琳。最終点検の帳簿」

華琳「遅かったわね、見せなさい」

 

 

渡した帳簿を受け取り、華琳は確認を始めた。

 

 

華琳「・・・・・・・・・・・・・一刀」

一刀「ん?」

華琳「悪いけど、監督官を連れて来てくれないかしら」

一刀「構わんぞ」

 

 

急いで監督官の元へ行き、華琳に言われたとおり監督官を連れて来る。

 

 

一刀「連れて来たぞ」

華琳「あなたが帳簿を?」

少女「はい。必要な量は用意しました。問題でもありましたか?」

華琳「どういうことかしら、指定した量の半分しか準備してないじゃない!」

一刀「む。半分?」

春蘭・秋蘭「「!!??」」

 

 

ドスの効いた声で華琳は、少女に声をかける。

 

 

華琳「このまま、出撃すれば、糧食不足で行き倒れになっているわよ。そうなったら、あなたはどう責任をとるつもりかしら?」

少女「いえ、そうはなりません」

華琳「・・・・・・・どういう事かしら・・・・・・」

少女「理由は三つあります。お聞きいただけませんか?」

華琳「いいでしょう。説明しなさい。納得のいく理由なら許しましょう」

 

 

華琳は、納得のいく答えが聞けるか否か楽しそうな顔で答えを待っていた。

 

 

少女「納得頂けなければ、無能と判断しこの首、刎ねて頂いて結構です。」

華琳「・・・・・・二言はない」

少女「はっ。まず一つ。曹操様は慎重な方ゆえ、必ずやご自分の目で確認をなさいます。そこで問題があるとすれば責任者を呼ぶはず。行き倒れになりません」

華琳「馬鹿にする気・・・・・・春蘭!」

春蘭「はっ!」

一刀「待て、華琳。まだ、理由を全部聞いていない。判断が早すぎるぞ」

秋蘭「一刀の言う通りかと。それに、華琳様。先の約束も・・・・・・」

 

 

華琳は、一度は頭に血が上った。だが、すぐさま切り替え冷静に対応する。

 

 

華琳「・・・・・・・そうだったわね、次は?」

少女「次に、糧食が少なければ身軽となり、輸送全体の行軍速度が上がります。それにより、討伐時間が大幅に短縮できます」

 

 

そう。確かに速度が上がる。だが・・・・・・

 

 

春蘭「ん?・・・・・なぁ、秋蘭、一刀」

秋蘭「どうした姉者?」

一刀「難しい顔をしているな」

 

 

春蘭は、傍に居た俺達に声をかける。

 

 

春蘭「行軍速度が速くなっても、移動時間が短くなるだけではないのか?討伐にかかる時間までは半分にはならない・・・・・・よな」

秋蘭「ならないぞ」

一刀「あぁ」

 

 

移動だけではなく、戦闘も休息もいる。食料が軽くなった程度では倍にならない。

 

 

少女「そして、三つ目ですが・・・・・私が提案する策を取れば戦闘時間はさらに短くなります。よって、この糧食で十分だと判断しました。曹操様!どうかこの荀彧を、曹操様の軍師として配下としてお加え下さい!」

一刀・春蘭・秋蘭「「「なっ・・・・・・!!??」」」

 

 

彼女の正体は、かの有名な王佐の才だった。

 

 

華琳「・・・・・・・」

荀彧「どうか!曹操様!」

華琳「・・・・・・荀彧。あなたの真名は」

荀彧「桂花。といいます」

華琳「桂花。あなた・・・・・この私を試したわね?」

春蘭「な・・・・・っ!貴様!何を言っている。華琳様!この様な無礼な輩、即刻首を刎ねましょう」

荀彧「黙りなさい!これは、あなたが決めるのではなく曹操様が決めること!」

春蘭「ぐっ・・・・・・!貴様!」

 

 

春蘭が武器を構え桂花を殺そうしていたがため咄嗟に懐に飛び込み止める。

 

 

一刀「落ち着け!春蘭!」

 

 

俺は春蘭の肩に掴み掛かる。

 

 

春蘭「ぐっ・・・・・・・・」

華琳「桂花。軍師としての経験は?」

荀彧「は・・・・此処に来るまでは南皮ほうで」

華琳「そう・・・・・・」

一刀「なぁ、秋蘭。南皮って?」

 

 

俺は、まだ地域関係がはっきりしてない為、秋蘭に聞いた。

 

 

秋蘭「南皮というのは袁紹の本拠地だ。袁紹は、華琳様とは腐れ縁でな・・・・・」

一刀「なるほど」

 

 

俺は考えていた、袁紹の力量を

 

 

華琳「・・・・・・・・」

一刀「ふむ。寸止めか」

華琳「当然でしょう。・・・・・・桂花。私が振り下ろしていたら、どうするつもりだった?」

荀彧「天命と、受け取ります。その器に看取られるなら、誇りこそすれ、恨むなどございません」

 

 

 

馬は思ったよりも緩く進んでいた。

予定の半分だって言うから強行かと思っていたが、少し早い程度でしかない。

 

 

一刀「華琳も凄いことをするな」

秋蘭「うむ・・・・・・」

一刀「噂をすれば何とやら・・・・・・。桂花」

桂花「なっ・・・・・」

一刀「華琳が言っていただろう。真名で呼ぶと」

桂花「古参はともかく、なんであんたなんかに!訂正なさい!」

一刀「では、言い直そう。"文若"」

桂花「くっ・・・・・・・」

秋蘭「諦めるんだな、桂花。華琳様のお達しだ」

桂花「はぁ・・・・・いいわ。諦めるわよ」

一刀「しかし、中々に肝が冷える事をしたな」

秋蘭「全くだ。」

一刀「あんな事せずとも、自信があるのなら始めから軍師に志願すれば良いものを」

秋蘭「あぁ・・・・・それはだな」

桂花「試験がなかったのよ」

一刀「そうなのか?てっきり、やっていたのだとばかり」

 

 

秋蘭も大変だな・・・・・・。

 

 

秋蘭「偽って申告する輩が多くてな。武勇なら姉者あたりがやればいいのだが、文官の方は余程でない限り、使ってみないと判断ができんのだよ」

桂花「一刻も早く、目に留まる働きをして召して頂こうと思ったのよ」

一刀「だからか」

桂花「そうよ」

秋蘭「で、華琳様はどうだったのだ?」

桂花「思った通り、素晴らしいお方だったわ・・・・・・・」

一刀「そこまでか・・・・・・」

桂花「あなたには分からないでしょうね」

 

 

なんか、ムカつくぞコイツ。

 

 

春蘭「おぉ、此処にいたのか?」

一刀「どうかしたか?」

春蘭「華琳様がお呼びだ」

秋蘭「急ぎか。姉者」

春蘭「うむ」

桂花「分かったわ」

 

 

華琳に呼ばれ、一同は華琳の元へ急ぐことにする。

 

 

秋蘭「・・・・・遅くなりました」

華琳「ちょうど良かったわ。報告を」

兵士「はっ!行軍中の全ほう集団は数名ほど。旗が揚がっていないためか所属は不明ですが、格好からして野盗かと思われます。」

桂花「もう一度、偵察を出しましょう。夏侯惇、黄飛、あなた達が指揮を執りなさい」

春蘭「応!」

一刀「あぁ、春蘭の手綱を握っておこう」

春蘭「おい、何を言っている!それでは、わたしが敵と見れば突撃してしまう様ではないか!」

桂花「違うの?」

一刀「違わないだろ?」

華琳「違わないでしょ?」

春蘭「か、華琳様までぇ~・・・・・・」

秋蘭「わたしも出ると、此方が手薄になる。それに戦闘になった場合、姉者の方が適している。そういうことだろ、桂花」

桂花「そうよ」

華琳「行ってくれるでしょ、春蘭。」

春蘭「お任せを!」

華琳「一刀、春蘭をよろしくね」

一刀「任されましょう」

秋蘭「頼むぞ」

 

 

春蘭「まったく。先行部隊など、わたし一人で十分なのに・・・・・・・」

一刀「先行じゃない、偵察だ。突っ込むなよ?」

春蘭「分かっている!貴様に言われずとも」

 

 

フラグが立った気がする・・・・・・・。

 

 

兵士A「夏侯惇様、見えました」

春蘭「ご苦労!」

一刀「あれだな。む・・・・・行軍の感じではないな・・・・・・」

 

 

随分と騒がし軍団だな。

 

 

春蘭「何かと戦っているようだな・・・・」

一刀「そうだな・・・・・」

兵士A「誰かが戦っている模様。その数・・・・一人です。それも子供の模様!」

春蘭「なんだとっ!」

 

 

その報告を聞き、春蘭は一目散に駆ける。

 

 

一刀「って!おい、春蘭!」

兵士A「如何しましょうか?黄飛様?」

一刀「はぁ・・・・・・結局こうなるのか・・・・。仕方がない、数名は俺に続け。残りの者は逃げ出すであろう、族を追跡し根城を突き止めよ」

兵士「「「「「はっ!!」」」」」

 

 

 

子供「でええいっ!」

野盗A「ぐはぁっ!」

子供「まだまだっ!でやああああっ!」

野盗B「がはっ!」

野盗「何、手こずっている!たかがガキ一人に!数で押し切れ!」

野盗「「「おおおおおぉぉっ!」」」

子供「はぁ・・・・、はぁ・・・・こんなにたくさん。はぁ・・・・・多すぎるよ」

野盗C「ぐへぇっ!」

子供「・・・・え?」

春蘭「はぁぁぁっ!」

野盗D「ぐっ!」

春蘭「大丈夫か!」

子供「え・・・・あっはい!」

春蘭「貴様ぁ!子供一人に寄って集って・・・・・はぁぁぁぁっ!」

野盗「うわぁ・・・・退却!退却ーーーーー!」

春蘭「待て!貴様ら!」

一刀「待つのは、お前だ。春蘭!」

 

 

やれやれ、全力で駆けやがって・・・・・・。

 

 

春蘭「一刀、止めるな!」

一刀「止めるわ!俺達の任務を忘れたわけではあるまい。人助けはいいが殲滅が目的ではないぞ」

春蘭「戦力を削って何が悪い!」

一刀「やれやれ・・・・・。兵を何人が追わせた、追撃せずともよい」

春蘭「ぐう・・・・・」

 

 

はぁ・・・・これが本当に最強かよ。武勇はいいが、本当に手綱を握るとは思いもしなかった・・・・。

 

 

子供「あ、あの・・・・」

春蘭「おお、怪我はないか?」

子供「はい・・・・・大丈夫です!助けていただいて、ありがとうございます」

 

 

女の子が話そうとしたとき、本隊が近づいてきた。

 

 

一刀「来たか・・・・・」

子供「っ!」

華琳「一刀。謎の集団はどうしたの?戦闘が遭ったって聞いたけれど・・・・・」

一刀「奴等なら、春蘭の気迫に押し負け逃げたよ。何人か追わせてあるから、本拠地はすぐ見つかる」

華琳「そう・・・・。分かったわ」

子供「っ!」

華琳「ん?その子は?」

子供「お姉さん。もしかして国の軍隊!?」

春蘭「まぁ、そうだが・・・・・ぐっ」

 

 

突然、攻撃が飛んできた。

 

 

一刀「む!?」

 

 

攻撃してきたのは先ほどの子供だった。相手が春蘭でなければ、間違いなくやられていた。

 

 

春蘭「い、いきなり何を!」

子供「軍隊なんて信用できるもんか!守ってもくれないのに税金ばっかり持っていって!ていやややっ!」

春蘭「くぅっ・・・・・」

一刀「だから、一人でか」

子供「そうだよ!ボクが村で一番強いから、守らなきゃいけないんだ!」

春蘭「なかなか・・・・・やる」

一刀「(春蘭を押し込んでいるか・・・・。守りたいという気持ちがあの子の源になっている・・・・か)なぁ、桂花。あの子の話はどういうことなんだ?見た感じでは華琳がそんなことするはずないが・・・・」

桂花「この辺りの街は、曹操様の治める土地ではないの。名目で遠征に来てはいるけど・・・・政策には口出しできないの」

一刀「なるほど」

華琳「・・・・・」

 

 

すぐ傍では、春蘭たちが攻防を繰り広げていた。

 

 

 

華琳「二人とも、そこまでよ!」

 

 

華琳が覇気を出し一括する。

 

 

子供「え・・・・・・」

華琳「剣を引きなさい!」

 

 

子供は素直に言う事を聞き、持っていた武器を落した。

 

 

一刀「・・・・・・」

 

 

陥没したぞ。どんだけ、重いのだよ。

 

 

華琳「春蘭。この子の名は?」

春蘭「えぇ・・・・っと」

子供「き、許緒と言います」

 

 

初めての経験なんだろう。完全に華琳の空気に呑まれている。

 

 

華琳「そう」

 

 

華琳が行動に移った。

 

 

華琳「許緒、ごめんなさい」

許緒「え?」

 

 

あの華琳が頭を下げた。

 

 

桂花「曹操・・・様・・・」

春蘭「華琳様?」

一刀「・・・・・・」

秋蘭「・・・・・・」

 

 

皆、驚きを隠せずにいる。

 

 

許緒「あ、あの・・・・・」

華琳「名乗るのが遅れたわね。私は曹操、陳留の街で、刺史をしている者よ」

許緒「陳留・・・・?それじゃっ!?ご、ごめんなさい!」

春蘭「おっ・・・・・・?」

許緒「陳留の噂は聞いてます!向こうの刺史さまは立派で悪いことはしないって・・・・・ボ、ボク」

華琳「構わないわ。今の国は腐敗しているのは刺史をしている私が良く知っているもの。官と聞いて許緒が怒るのも無理ないわ」

許緒「で、でも・・・・・・」

華琳「あなたの力。この私に貸してくれないかしら」

許緒「え・・・・・?」

華琳「私はいずれ大陸の王となるわ。けど、今の私は、余りにも力が少ない。だからこそ、村を守るために振るったその力を貸して欲しいの」

許緒「それって・・・・」

桂花「曹操様、偵察の兵が戻りました!本拠地は、すぐそこです」

華琳「解ったわ。・・・・・・許緒」

許緒「は、はい!」

華琳「まず、あなたの村を脅かす盗賊団を根絶やしにするわ。あなたの力貸してくれないかしら」

許緒「はい!分かりました」

華琳「許緒はひとまず、春蘭、秋蘭の元に付ける。分からないことは教えてあげなさい」

春蘭・秋蘭「「はっ!」」

許緒「あの・・・・夏侯惇さま」

春蘭「さっきの事なら気にせんで良い。華琳様のためにしっかり役立ててくれよ?」

許緒「はい!」

華琳「・・・・では、総員行軍を開始する。」

 


 
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