No.662427

義輝記 雷雨の章 その八

いたさん

義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい!
2月11日一部本文を修正しました。

2014-02-11 14:08:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2223   閲覧ユーザー数:1922

【 いえちゃんの謀略 その壱 の件 】

 

〖汜水関 二日目〗

 

今朝から、反董卓連合軍の各陣営が騒がしかった。

 

兵士1「なんで知っているんだ!」

 

兵士2「誰だ! 俺の秘密を知って告げ口した奴は!?」

 

朝から置いてあった竹簡…。

 

中に書いてあるのは『お前の秘密を知っている』と言う文章。 

 

それと、横には…………

 

『お前がお金を盗んだ!』 

 

『あいつを騙したのはお前だ』

 

『この剣で、あの男を殺したんだ』等、曖昧な文章が…………

 

兵士「どうして、アイツを殺したのがわかるのだ!」と大声で叫び、自分の罪を白状したも同然の事をする者も出てきた。

 

また、別の竹簡には『天の御遣いの予言』と銘うった物がある。

これにも、文章が書いてあり………

 

『くれぐれも、矢に当たらないように気をつけて下さい……』

 

『次の戦で、貴方の隣の人が死にますよ……』

 

『後…少し待てば、幸運が訪れます』

 

と……曖昧な事が書いてあり、中には『当たった!』と言って大事に持ち歩く者も出てきた。

 

◆◇◆

 

【 いえちゃんの謀略 その弐 の件 】

 

〖汜水関 曹孟徳陣営内にて〗

 

華琳「兵士の騒ぎの元は、この竹簡と言うことなのね!」

 

桂花「そうです、華琳様! 兵士達に文字を読める者は少なく、読める者が代読すると、心当たりのある者が騒ぎ出すと言う有り様で…」

 

 『はわわわわ!』 『あわわわわ!』

 

華琳「誰だか分かる叫び声だけど…何があったのかしら?」

 

 ダダダダダダダダッ!!

 

朱里「し、失礼しましゅ!」 

 

雛里「失礼を…(カム)!!!」

 

桂花「どうしたの!? 華琳様の御前よ!!」

 

朱里「じ、実は将宛ての竹簡が見ちゅかって………」

 

雛里「皆が見て………落ち込むやら怒るやら、大変でしゅ!!」

 

華琳「わかった! 案内しなさい!!」

 

桂花「わ、私も行きます!」

 

 

☆★☆    ☆★☆

 

─────春蘭の場合────

 

華琳「……で、この状況が?」

 

春蘭が、竹簡片手に怒っているわね?

 

春蘭「華琳様! この竹簡が変なんですよ!」

 

華琳「どう言う事?」

 

秋蘭「………華琳様、これがそうです」

 

そこには…………………

 

*****************

 

『この竹簡には、とても艶めかしい曹孟徳の絵姿が書いてある。 だが、馬鹿には見えないので注意して欲しい!』

 

─────〖 余白 〗───────

 

*****************

 

華琳「………はぁ、で? 」

 

春蘭「私は馬鹿で無いと思いますが、いくら見ても見えないんです! 私より頭が良い秋蘭に見てもらっても見えないと言うし…」

 

桂花「春蘭! 当たり前でしょう! 見える訳ないでしょうが?」

 

その通りよ、桂花! もっと叱ってあげなさい!

 

桂花「これは、『華琳様への愛で、自分自身の妄想で見ろ!』と示唆しているのよ! 馬鹿に妄想なんて出来ないから!!」

 

春蘭「おぉ!! 流石、桂花だ! なるほど!」

 

………… (--#)♯♯♯♯♯♯

 

…その竹簡は没収、二人は当分の間、華琳との同衾禁止となった。

 

 

 

★★★     ★★★

 

──── 桂花の場合 ───────

 

桂花「私宛てがあるの?」

 

私は馬鹿じゃないから、注意深く確認するわよ!

 

………ゆっくりと広げると………真ん中に文字が!

 

『この竹簡の後ろを見てご覧なさい』と記載がある。  

 

私はすぐに後ろを見ると、竹簡の後ろの真ん中にまた文字が……

 

『この竹簡の右上の端を見るがいい』と記載。 

 

それでも観察するとまた文字が『左上の端を見よ』と。

 

一体何の誘導かしらと考えるが分からない。 追わせる事に目的があるのなら、先に何かしら罠があるはず。

 

だが、途中過程を省けば、策の全貌を把握できず、その罠を崩す事が出来ない! ………より慎重に確認を…………。

 

次の指示は『左下端を見なさいよ!』

 

その次は『右下端を見れば最後だ! だが…警告しよう。 見ると後悔する事になるぞ!』と。 

 

何を今更、こんな警告文章を挙げるなんて……馬鹿じゃない!!

 

私は勢い良く最後の部分とやらを見た!! 

 

……そこには!?

 

 

 

 

   『 馬鹿が見る 豚の尻 』

 

 

桂花「いいぃぃぃやややぁぁぁ───────────!!!

 

 

 

☆★★    ☆★★

 

──── 李衣、流琉の場合 ────

 

二人宛てにきた竹簡を見ている。

 

中には未知なる日の本の『郷土料理』が…………。

 

 

季衣「ねぇ、琉流! これ食べてみたい!!」

 

流琉「これ? え~と『薩摩揚げ』? 

 

…………………うん! 調理方法も別段難しくないから出来るよ。 

 

でも菜種油を沢山使うから、華琳様達にも食べて貰わないとね!」

 

季衣「わぁーい! やったぁ────!!」

 

 

 

 

☆☆★     ☆☆★

 

─────華琳の場合─────

 

華琳「私宛ての竹簡が?」

 

桂花「はい! それも多数あるようで…………」

 

華琳「いいわ、今すぐ内容を拝見しましょう。 その竹簡を!!」

 

兵士「はっ!」   ドサッ!

 

華琳「あらっ? 題名が…『空と命と夢の狭間に』か…ふむ」

 

バラバラ───────ん!──────!────

 

────!!────バラバラ───これは?───

 

───ちょっと!────バラバラ──えっ!───

 

桂花「か、華琳様? ど、どうなさいました?」

 

華琳「あぁ……ごめんなさい。

 

…この『 物語 』に夢中になってしまったようでね。 

 

この竹簡には、私達のいる世に『別の北郷一刀』が降り立って、漢王朝を立て直すという物語が書いてあるのよ……」

 

春蘭「華琳様! 私は、私は? 出ているのですか?」

 

秋蘭「華琳様、私は………」

 

華琳「心配しないの。 …秋蘭は、もう少し後から出ているから!」

 

    ほらっ! ここね?   秋蘭は…ここ!

 

春蘭「おおっ! 秋蘭! 私が出ているぞ! 凄いぞ!!」

 

秋蘭「何となく、姉者らしくない普通の人のような……」

 

桂花「華琳様!!! 勿論、私も私も出ている──? 華琳様?

どうして、顔を背けるのですか? えぇ~~、まさか!?」

 

華琳「だ、大丈夫よ! まだ、最初を読んだ…だけだから、きっと後の竹簡に出てくるわよ!」

 

ダッ!  バラバラ! バラバラ! バラバラ……ガタン!!

 

桂花「わ、私の名前が無い? あの両袁家は分かるにしても、あのブ男が出ているのに、私が───? 私が──────!!」 

 

ダッ─────────!!

 

春蘭「おぉーい、軍議までには帰ってこいよ────!!」

 

秋蘭「…………で、華琳様。 桂花の事は置いて、この物語はどうですか? かなり熱心に読まれていたような…………」

 

華琳「そうね、何故、この文筆者が我らの『真名』を知っているかは、まず不問にするわ。 第一、そんな事言っていたら、皇帝陛下の物語を執筆いてる時点で、不敬罪で捕縛対象ものよ………。 

 

コホン! 感想としては、物語の構成、人物、背景は現状況でも充分有り得る事だわ。 すでに劉備達はこちらに来ているし訳だし……。 

 

だから、素直に『素晴らしい物語』だと認めるわよ。

 

ん!? 物語に出てくる『私』の扱いが雑というの、秋蘭?

 

それは違うわよ! 主役を際立ったせるのは、脇役としては当然のこと! 脇役が主役を食らうのもアリだけど、この物語は、一刀と周りの女性達が関わりあう事。 私が出る幕は、まだ無いわ。

 

それに、この主人公の『一刀』なら、私だって欲しいわよ。 優秀だしね。 こちらの一刀と比べれば………… 」

 

秋蘭「では、問題は無いと「 一つだけだけ…… 」何か……?」

 

華琳「『気配を殺す、消す』とか表現があったのだけど、武人として考えると納得がいかないの……。 ちょっとした事だけど… 」

 

『気』という物は、万物に全部備わる物。 だから、木や石にも『気』は出ているのよ。 

 

そんな中で『気』を殺すと言うのは、『気』を発生する源自体を完全に遮断する事。 物であれば破壊し、生き物なら殺すしかない。 

 

それに、百歩譲って気配を絶てたとしても、他の物からは『気』は出ているのに、そこだけ遮断された状態。 

 

それなら、周りから浮いてしまい、逆に見つかるわよ。 

 

周りがいろんな気の彩りしているのに、そこだけ『白紙』なんて言う訳ないもの。 どちらかと言えば、『同化している』が正解よ。

 

『木の葉を隠すには、森の中』の格言の通りに………!

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

……後に、全員で確認したら、最後辺りで軍師で動いていた場面があり、桂花に教えたら喜んでいたわね。 人騒がせなんだから。

 

そんな桂花に罰として、二つ命令を出しましょう! 

 

一つは、この竹簡の束を陳留まで『最重要』で運ぶように手配。 

 

もう一つは……この文筆者を探し出し、我が軍の文官に登用するようになさい。 董卓軍側の策だから、向こうの軍に関与しているはず。

 

至急、間者を放ち、天水から探りなさい! あそこに向かった別動隊の様子も気掛かりだから………。

 

もし、見つかったら、辞を低くして迎入れなさい! 

 

ここまで先帝や現皇帝を賛美して物語を執筆する者ですもの。 かなり現漢王朝に忠誠を尽くしているはず! 

 

そのような硬骨漢が、私の傍には必要なのだから!!!

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

桂花は行ったようね? 

 

あの娘は、すぐに嫉妬して良き人材を蔑ろにするから、困るのよ………。 そこも、可愛いんだけど。

 

フフフ……こんな優秀な人材を放っておくわけ、曹孟徳がする訳ないじゃない。我が配下に迎入れて、続きを綴ってもらわないと……!

 

 

 

★★☆      ★★☆

 

────桃香の場合────

 

私にも、竹簡が届いたけど…なんの事を言ってるのか分からない…

 

****************

 

『 《髀肉之嘆》ってなんですか? 

 

私達、貧乳達を嘲笑う言葉ですか?

 

貴女は、自分の出ている所を気にしていますが

 

私達からして見れば、嘲笑の類に聞こえますよ。

 

今度から《髀肉之嘆》ではなく《皮肉之嘆》とでも

 

名付けさせてもらいましょうかね 』

 

****************

 

だけど、恨まれているのは分かるんだけど………

 

理由をいくら考えても…………思い当たらない…………

 

 

 

★★★      ★★★

 

─────朱里、雛里の場合 ──────

 

朱里「ひ、ひひ雛里ちゃん、ど、どどどうしよう!?」

 

雛里「しゅしゅ朱里ちゃん!! おちお~~落ち着いて!!」

 

私達、朱里ちゃんと連名で届いていた竹簡には………

 

『お前達の秘密を知っている』と、兵士さん達に届いた文章と同じ物が……。

 

兵士さんから話を聞いた時は、人の疑心暗鬼を利用した、恐るべき策だと気付きました。 曖昧な言葉、外しても本人の責任にすれば、その事に気付かない。

 

例えば、『近々、あなたは矢に当たるかもしれません』と書いてあれば、今は戦の真っ最中ですから、矢は高い確率で飛来してきます。

 

そして、問題の『近々~当たるかも』で、当たる確率の日数を増やし

『~かも』を付ける事で、当たり外れを曖昧にしています。

 

ですので、当たれば竹簡通りと驚き、外れても次の可能性が残っていると言う事で、外す事自体が難しい言葉になるのです!!

 

………………ですが、私達の竹簡には、その文字の横に……

 

 

****************

 

『八百一はどこにあるの? 

 

寝台の下? 戸棚の奥? 

 

……………それとも………?』

 

****************

 

 

 

何でぇぇぇ、その趣味と隠し場所が、ここまで的確に判るのですかぁぁぁ!! 

 

全然、曖昧じゃありましぇ~ん!!!

 

朱里ちゃん! 朱里ちゃん? 朱里ちゃん!?

 

朱里「はわわわわ………、もう『腐れ軍師』と渾名を付けられ、二人で寂しく世を儚んで暮らしていくの…………」

 

朱里ちゃん!? わ、私も確定!? やだ、やだ! やだよー!!

 

 

 

★☆☆     ★☆☆

 

─────星の場合─────

 

 

ダダダダダダダダダダダダ!! 

 

シュッン!!

 

星「華琳様!! 私を早急に陳留への帰還、許可してくれ!!」

 

桂花「ちょっと!! 華琳様の御前「急用だ! 黙っていろ!」────!」

 

華琳「どうしたの!? まず理由を説明しなさい!! 」

 

星「…………この竹簡を、拝見していただきたい!!」

 

 

華琳、桂花「──────────────!」

 

 

 

*****************

 

『 くくく! 我が董卓軍に刃向かう愚か者よ!

 

お前の秘蔵のメンマに妖術を掛けてやる。 

 

お前以外の物が中身を見たら、メンマがミミズに変わるだろう……』

 

*****************

 

 

 

星「このまま汜水関に止まり、万が一、他の誰かに見られたら、ミミズに変わってしまう!! あの高級メンマが────!!」

 

桂花「アンタねぇ!? たかがメンマ「たかが……!?」ヒッ!!」

 

華琳「わかったわ、星。…だけど、貴女程の者が出払うと私達の勝敗が判らなくなるの。 だから、条件付きで、その高級メンマを二倍用意しましょう!!」

 

桂花「華琳様!?」  

 

星「これは剛毅な…。 して、条件とは?」

 

華琳「陳留に戻り次第、私の目の前で開封するように!!」

 

星「……それだけですか?」 

 

 

華琳「えぇ、それだけ」ニコリ

 

………………………………

 

星「承知致しましょう! ……約束は必ずですぞ!」

 

華琳「覇王の名に掛けて!!」 

 

星「では、持ち場に戻らせていただく。 失礼した!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

桂花「華琳様!! 星の事です、中身をすり替えて華琳様にお見せし、高級メンマをせしめんと謀を企んでいるかと……!」

 

華琳「そうでしょうね。 さっきまで見ていた竹簡は、明らかに削って文字が上書きされていたわ。 この曹孟徳を甘くみた罰を与えなければ……………!

 

桂花! 至急陳留に伝令! 趙子竜の部屋から高級メンマを気付かれぬよう探しだし、中身をミミズとすり替えるように!!」

 

桂花「はっ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

後の世に伝わる───────

 

『趙子竜が壺を開けると、中身が全部ミミズとなった。 子竜曰わく「私だ! 趙子竜だ! 早くメンマにならないか!!」と騒ぎ立てたという』 明命書房刊 《本当にあった…大陸の昔話》より

 

 

 

★☆☆     ★☆☆

 

 

 

───── 凪の場合 (策関係無し)─────

 

凪「…………………ふぅ 」

 

今、華琳様の陣営内は慌ただしい。 

 

洛陽側の御遣いの策で混乱していてると聞いている。

 

なのに何故、私がここに居ると言うと……体調を崩し寝台で横になっている。 体が大事なのに、この体たらく…華琳様に申し訳ない。

 

体調は、陳留を出発したときから悪かった。 多分、天城様と対峙すると決定したからだと思う……。

 

それでも、華琳様や皆や兵のために頑張ろうと、気を張り詰めて動いていた。 あのときまで……………。

 

汜水関で、愛紗の挑発を聞いた瞬間、目の前が白くなった!!

 

袁本初様からの決起の竹簡も聞いて、激しく怒りを覚えたが……今度の事は、言葉が刃となり我が身を切り裂く!!

 

そして、私の心が、その度に叫ぶのだ!!

 

  『違う!! あの方はそんな人では無い!!』

 

敵の私を心配し浮かべた悲しそうな顔、背負って味方の所まで運んで貰った温かさ、傷だらけの体なのに、意に介さず賛辞してくれた優しさ………!!

 

…………気が付けば、寝台に寝かされていた。

 

華琳「体調が悪ければ、素直に言いなさい! 貴女も我が軍の大事な将なのよ? 早く体調を整えて、皆を安心させない!!」

 

傍には、華琳様と春蘭様、秋蘭様。 そして、心配そうな様子で見つめている真桜と沙和の姿が、華琳様の一歩離れた場所で佇んでいる。

 

軍医によれば、軽い心の疲れからくる発熱だと言う。 一日安静すれば大丈夫だと……。 そのため、寝台に寝ているのだが……!

 

凪「誰だ!」  

 

??「……あんたが、楽文謙殿で良いかい?」

 

入り口の所で、気配を感じ誰何(すいか)すると、曹操軍の鎧を来た者が入ってきた。 だが、ここの兵士じゃない!!

 

新任の兵士は、私や真桜や沙和の担当。 それなのに見たことが無い顔だ。 それに、腕もかなりのモノ、今の私では─────!

 

三太夫「天城の旦那が、アンタが倒れたと聞いて心配してね。 『前の戦いの傷が悪化したんじゃないか?』と狼狽えるだぜ!? 敵将なのに………まぁ、俺もその心根は気に入ってるんだかね」

 

えっ…? 天城………様? 心……配? 誰…私を!!!

 

三太夫「済まなんだなぁ、驚かせて。 …うん、大丈夫そうだな!

他の兵士も、病状は軽いと言っていたからいいだろう。 邪魔したな「待って!」………と、何か用があるのかい? 」

 

凪「……天城…様は、この戦、勝つ、つもりなのですか?」

 

三太夫「そりゃ、勿論! 間違いなく勝つさ!」

 

この方は屈託なる笑うが、私は思う…あの悲しそうな顔を……

 

人を傷つけたくないが、目的の為には容赦なく行う実行力。

 

その策で何十人、何百、何千人が死ぬか分からないが、天城様が背中に背負うのだろう。 自分の責任と罪として…………。

 

凪「天城様にお伝え下さい! 私は、貴方の策を出来る限り阻んでみせます!! 悲しい顔を浮かばせない為にも!!」

 

三太夫「…………やれやれ。 了解! 旦那には伝えておくよ。 アンタも早く体を整えな! それじゃ、今度こそ…お別れだ!」

 

天城様………貴方の傍で一緒に戦う事は出来ませんが、貴方の悲しみを少しでも薄れさせるために、私は……行かせてもらいます!!!

 

 

◆◇◆

 

【 いえちゃんの謀略 その参 の件 】

 

〖汜水関 孫伯符陣営にて〗

 

雪蓮「困ったわね……。単純にして、ここまで人の心に入り込む策を使われるなんて…………」

 

思春「雪蓮様、冥琳様、申し訳ありません!! 私が気付かないばかりに………!!」

 

冥琳「いや、今回は思春が悪い訳では無い。 

 

侵入者にすぐ気付く雪蓮の勘さえも掻い潜り(かいくぐり)、この竹簡を置いていった奴が上だったのだ。

 

それに、今は同じ過ちを犯さないよう対策を練るように……!! 」

 

蓮華「姉様! 冥琳! 天幕の傍に私達、将に宛てた竹簡が!!」

 

穏「待ってくださ~い! はぁ~、はぁ~、ふぅ~!」

 

祭「ほらほら、早く持って行かないと、軍議が終了してしまうぞ?」

 

    ドシャ! ドシャ!

 

冥琳「これがか………? だが、数が少ないようだが………?」

 

穏「将に宛てた物は、三個で『雪蓮様』、『冥琳様』、『蓮華様』だけですね~! 」

 

雪蓮「じゃ! 開けて見ましょう!?」

 

     バラバラ   バッ!!

 

 

***************

 

雪蓮へ

 

この竹簡見たら、後ろを確認しないで、

 

直ぐに逃げる事!

 

天城颯馬より

 

****************

 

 

雪蓮「へ!? どういう意味なの…『ガシィ!!』えっ!?」

 

冥琳「雪~蓮~! 貴女、また皇帝陛下に贈呈予定の酒壺を飲んだようねぇぇぇ!!!!!」ゴゴゴゴゴ!!

 

雪蓮「え!? 上手く隠したつもり……ヤバッ!!」

 

冥琳「ほぅ~~ (-_-#) ピクッ」

 

雪蓮「ご、ごめんなさい!!」ダッ!!

 

冥琳「待てー!! 雪蓮!!!」ダッダッダッ!!!

 

      ポイッ!!

 

祭「おっと! 何々………! これは……」

 

穏「祭様! 見せて下さい~!「ほれ!」トットト…はい!」

 

 バラバラ  ───────────!

 

思春「穏様、なんと?」

 

穏「う~ん、『孫呉の城に調査に侵入、途中で雪蓮様が高級そうなお酒飲んでたから、冥琳様に報告した』と言う内容ですよ?」

 

思春「─────────!!!」

 

穏「孫呉の本拠地内の城ですから、警備も強化してあるのに、白昼に入り込む事が出来るなんて………どんな腕前の間者なのですかね~」

 

思春「…………………………」ギュッ!!

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

雪蓮「あ、謝るから許して────!」

 

冥琳「謝って済む問題かぁぁぁ───!!」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

蓮華「……………えーと、私宛ての竹簡には……」ドキドキ

 

 

***************

 

酒に因る悪酔い注意

 

****************

 

蓮華「…………私って悪酔いするの? 思春? 穏?」

 

思春「………………………………」プィ!

 

穏「………………………………」サッ!

 

蓮華「ちょっと!! その動作は何!? 私は一体何をしているの? ねぇ、教えて頂戴!!!」

 

思春「………知らない方が……宜しいかと………」

 

穏「あははははは…………………」コソコソ

 

蓮華「お~し~え~な~さ~い~!!!」ダッ!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

余談だが、この場に周幼平は居ない……。 

 

天水攻撃の別動隊に向かったため。 

 

孫呉としては、情報が足らない。 ……董卓軍や天城颯馬達の力がいか程か判断出来ないため。 

 

敵にまわるべきか? 同盟を目指すべきか?

 

 

 

◆◇◆

 

【 いえちゃんの謀略 その四 の件 】

 

〖反董卓軍陣営内にて〗

 

七乃「お嬢様! ほら、例の竹簡がありましたよ!? しかも、お嬢様の名前入りで!」

 

美羽「おぉ!? 兵士達が申す『よく当たる御遣いの予言竹簡』じゃな! でかしたぞ、七乃や!!」

 

七乃「お嬢様、早く開けて下さい~!!」ワクワク

 

    バッ!!

 

 

**************

 

『お前の秘密を知っている。

 

 黄色の液体…

 

 それにより、汝は不幸になるだろう!』

 

***************

 

 

美羽「………七乃、妾は知らんぞ! お漏らしなどした「お嬢様~! また粗相をしましたね!!」 ピィー、あ、当たったのじゃ………!? 当たったのじゃ!!」ダッ!! バタバタ

 

七乃「う~ん、でも、竹簡の言葉は『蜂蜜水』とも取れますしね~。どちらにも取れる言い回しを使い、人を貶めるですか……。 

 

この策を編み出した人は、私より根性が捻くれてますよ~。本当に……!」ダッ!!

 

 

★☆☆

 

 

斗詩「姫───! ありましたよ!!」

 

麗羽「斗詩さん、私宛ての竹簡は?」

 

斗詩「はい! これですよ!」

 

猪々子「斗詩! アタイのヤツは!?」

 

斗詩「文ちゃんは私と連名になってるよ?」

 

麗羽「おーっほっほっほっほっ! 当然ですわ!! 私と斗詩さんや猪々子さんでは、格式が違いますもの!!」

 

猪々子「アタイは斗詩との連名で充分! 姫は仲間外れ……」

 

麗羽「キィィ───!! 私は仕える臣下にも見離された寂しい王とでも……猪々子さん…!?」

 

斗詩「姫~! 馬鹿な事言ってないで確認して下さい! 文ちゃんも私も袁家に、いえ麗羽様に忠誠を誓っているんですから!!

 

ほら! 軍議が始まっちゃいますよ!! 」

 

麗羽「…ふ、ふん!! 仕方無いですわね……。 では──!」

 

 

***************

 

(猪々子と斗詩の竹簡)

 

『お前の秘密を知っている…』

 

***************

 

 

麗羽達「「「 …………………………………… 」」」

 

斗詩「秘密……ですか?」

 

猪々子「アタイは斗詩に隠し事なんかしてねぇ~ぞ!? だとしたら………はっ!? 斗詩! アタイに隠れて、別に好きな奴が!!」

 

斗詩「なんで、そうなるの!!!」

 

猪々子「斗詩!! 頼むからアタイを捨てないでくれ!!!!」

 

麗羽「袁家の秘密…それは、私の神秘的かつ神々しい美しさの源を知っている……と言う事ですわね? 恐るべし董卓軍ですわ!」

 

猪々子「姫~! 姫には姫の竹簡が届いているんですから、ソッチのを見てから言って下さいよ。 この竹簡はアタイ達宛てですから!」

 

麗羽「─────! わかりましたわよ!!」

 

***************

 

(麗羽の竹簡)

 

  『………………………』 

 

***************

 

斗詩「はぁ?」 猪々子「何これ?」

 

麗羽「…まさか『絵にも描けない美しさ』と言う…」

 

猪々子「………いえ、普通、文章、書きますから…」

 

斗詩「もしかして………」

 

麗羽「斗詩さん? 意味判りました?」

 

斗詩「…文章が書いて無いですので、『呆れてモノが言えない』とか考えたのですが……」

 

麗羽「何ですって!! この漢を背負って起つ私に、馬鹿にする言葉を発するなんて、華琳さんぐらいしか居ないと思っていたのに!」

 

猪々子「ボソ(結構みんな言ってるよな……)」

 

斗詩「ボソ(うん。でも…今は言っちゃ駄目だよ)」

 

麗羽「キィィィィ───────────!!」

 

 

★★☆

 

白蓮「はぁ──── 董卓軍より『不幸の竹簡』が送られてくると言うが……正直…気が重いなぁ……。 なんて、来るんだろう…… 」

 

兵士「白蓮様! 竹簡がありました!!」

 

白蓮「げっ! 遂にきたか? …よし、こっちに持って来てくれ!」

 

ザッザッザッ ドカドカドカ!!

 

白蓮「なんだ!? この量は!! 三十くらいあるぞ!! まさか、中身は全部同じ言葉で『普通』とか書いて…………」

 

恐る恐る竹簡を取り上げ、中身を読むと…………

 

 

*************

 

『頑張れ!! 我々の主、白蓮様!!』

 

********

 

『貴女は立派な太守です! 

 

自信をお持ちになって下さい!』

 

********

 

『白馬義従、最高!!!』

 

**************

 

公孫賛陣営に届いた竹簡は、全部で三十壱。 

 

一つだけ除いて、全部無記入の状態だった。 

 

宛名は、『公孫兵の皆様へ』と。

 

************

 

『公孫殿に、励ましの竹簡を贈ろう!!!』

 

************

 

竹簡には、そのような言葉が記載されていた……と云う。

 

 

 

勿論、公孫賛は嬉し泣きに泣き、兵達に感謝したそうだ。

 

 

◇◆◇

 

 

【 第二の策発動 の件 】

 

〖汜水関 董卓軍陣営内〗

 

颯馬「三太夫、どうだった? 連合軍の反応は?」

 

三太夫「総大将は元より、他の所も似たり寄ったりだぜ!!」

 

家久「どう? 上手くいったでしょ?」

 

颯馬「あぁ、凄い凄い!!」

 

本当に見事なものだ。 言葉の言い回し一つでも違うのに、それを逆手に取って相手に誤解させて、混乱に持ち込む。 凄い策だ!

 

家久「颯馬お兄ちゃんも、兵士の皆が書いたところに補足書いてくれたから、余計に引っかかったんだよ! ありがとね!!」

 

昨日は、信長の機転のお陰で、皆が被害無く退陣する事が出来た! 

 

御礼を言おうとしたら、既に虎牢関に戻ってしまったと言う三太夫の話だ。 義輝にもお説教をしっかりしたし。

 

次の策の準備に移ろうか!

 

信廉「颯馬! 次は私と貴方の策です! 混乱している隙に準備致しましょう!! 」

 

そう考えていたら、信廉殿の進言。 

 

本来なら、この時に連合軍に攻めるべきなんだが、曹操軍と孫策軍の監視の兵士が、普通より増えてこちらを見ている!

 

こちらが攻めれば、間違いなく直ぐに陣営内を引き締めて、反撃に移すのだろう……。 そうなれば、数に劣る我等の不利!

 

第二、第三の策を出して、弱らせなくては!!

 

颯馬「では! 準備を始めましょう!!」

 

俺は、信廉や兵達に命じて始める。

 

颯馬「その藁人形を、敵側方向の壁に人が立ってるように、固定するんだ! 藁人形の顔に貼り付けてある『紙』が取れないように、固定するのも忘れるな!!」

 

 

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あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

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mokiti1976-2010様!

 

大事な作品名を心良く貸していただき、ありがとうございます!

 

このような結果になりました!

 

感想が楽しみなような、怖いような…………

 

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この作品で華琳サマが読んでいた小説は、『 真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」』となります。

 

実際にTinamiに掲載されていますので、ぜひ、読んで下さい!!

 

華琳サマの事ですので、勧誘の手が来るかもしれませんが、そこは作者様にお任せしましょう。

 

今回の策は、元になった言葉とある種の話し方を絡めて作った策なんですが、作者の書き方が力不足で、どこまでご理解いただけるかわかりません。 その話し方の本も出版されてますけどね。

 

次回は、第二の策となります。

 

また、次回もよろしければ、読んで下さい。

 


 
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