No.657975

【獣機特警K-9ⅡG】ココノエ流喧嘩の作法【交流】

古淵工機さん

それは空手道の精神に則った、
ファンガルドで最も美しい…


…夫婦喧嘩(コラ

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2014-01-27 00:05:37 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1070   閲覧ユーザー数:1025

「だから今夜は挽肉カレーだって!さっきから言ってるじゃないか!!」

「わからずやめ!挽肉があるんだったらハンバーグがいいに決まってるだろうが!!」

 

…ここはバンブーヒル市にあるココノエ家。

そのリビングで激しくぶつかり合っているのはジャックと、その妻クオン。

いつも仲むつまじい二人であるが、どうやら今夜の夕飯を何にするかで喧嘩になってしまったようである。

 

「わからずやはそっちだよ!ジャックのバカ!!」

「言ったな!クオンのカタブツ!!」

「ちょ、ちょっと、ママもパパもやめてよ…」

「そーだよ、何でこんなことで喧嘩なんか…」

必死にマリンとカリンの姉妹が制止するが、それも聞かずなおも言い争う夫婦。

すると突然ジャックが机を叩き立ち上がり言い放った。

「ようしわかった!どうしても折れないつもりなら白黒付けようじゃないか!!」

それに呼応するようにクオンも立ち上がる。

「フン!望むところだよ。後で後悔したって知らないんだから!!」

肩を怒らせながら部屋に戻る二人。

 

取り残された娘二人はしばらく唖然としていたが、マリンがため息をつきながらつぶやいた。

「あーぁ、始まっちまったか…」

「どうするのマリンちゃん?」

「こうなったら行くに決まってるだろ。さ、準備準備っと」

そういいながら立ち上がり、子供部屋に戻っていく二人。

そして数分後、ココノエ家の奥にある道場。

「…さぁクオン、準備はいいな?」

「いつでもいいよ…」

そこには、すでに道着に着替えたジャックの姿があった。対峙するクオンも、やはり道着姿であった。

緊迫した空気が走る中、二人は一歩ずつ引き下がると、お互い直立不動のままにらみ合う。

 

「…赤、ジャック・ココノエ、青、クオン・ココノエ。両者入場、前へ」

審判を買って出たマリンの合図でジャックとクオンは競技場に出てなおもにらみ合う。

「それでは、礼!」

「「お願いします」」

深々と頭を下げるジャックとクオン。二人の間では何かに決着を付けるときは、必ず空手で決める。

まさに武道の精神に則った夫婦喧嘩である。

「勝負始め!!」

マリンの掛け声とともに取り組みが開始される。

お互い、隙をうかがいながら必死に取り組んでいる。

二人の間に言葉はない。ただ真剣な眼差しを浮かべながら、ひたすらに相手の隙をうかがう。

(相手のバランスを崩して、そこから足払いで一本を取ってやる…)

ジャックがクオンの下に回りこみ、わずかな油断を誘おうと動く。

だが、ふいにクオンの瞳が輝いたかと思うと、ジャックは咄嗟に怯んだ。

クオンがそこへ飛び掛ろうとする。すぐに相手の拳を拳で受けるジャック。

 

「はぁっ!!」

「っ…!!」

だが、ジャックは突然、背中に強烈な一撃をもらい倒れ、受身の態勢をとる。

「一本!!」

響き渡るマリンの声。クオンの上段蹴りが決まったのだ!

カリンはすぐに点数を書き取る。

(油断したか、だがまだまだ勝負はついていないぞ)

ジャックは歯を食いしばりながら立ち上がる。

そのあとの流れを見ると、ジャックが中段蹴りを食らわせ技有り、

しかしその後クオンがジャックの背を突き技有り。

負けじと、反撃に転じたジャックが上段突きで有効、さらにクオンを崩し技有り…。

 

だがその接戦も長くは続かなかった。ジャックが上段蹴りをクオンにかけようとしたその時である。

「うわっ!?」

右足を地面から離した瞬間、クオンの素早い足払いが決まったのだ!

「一本!両者やめ!」

マリンの声が響き、両者は所定の位置に戻る。

 

「えーと、ジャック・ココノエ12点、クオン・ココノエ16点…」

カリンが両者の得点を読み上げると、マリンは左腕を斜め上に上げる。

「勝者!クオン・ココノエ!!」

その声を聞き届けると、ジャックとクオンは揃って一礼する。

「「ありがとうございました」」

かくして、空手道精神美しい夫婦喧嘩は終わり、今晩の夕食は挽肉カレーに決定したのである。

「あーぁ、負けちゃったか。それにしてもクオン、随分強くなったな」

と、苦笑いを浮かべながらカレーを頬張るジャックに、クオンは得意げに答える。

「ふふん、誰に鍛えられたと思ってるの?プロの空手家さん?」

「それもそうかww」

と、談笑していたジャックとクオンのもとに元気な声が響く。

「母ちゃん!カレーおかわり!!」

「あ、わたしも」

「おー、二人ともよく食べるなあ。ちょっと待っててね」

 

…ココノエ家の食卓は、今日も平和だった。


 
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