No.65466

『真・恋姫†無双』 「すくいず(前編)」

山河さん

※キャラクター崩壊、及び鬱展開ありとなっております。

ご同意いただけました方のみ、お進みください。

内容としましては、パロディのそのまたパロディとなっております。

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2009-03-27 04:59:27 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:8929   閲覧ユーザー数:7489

天和は一刀の両手を取り、自らの胸元に引き寄せる。

「天和……」

手に舞った雪が二人の体温で、じんわりと溶けた。

-二刻前・一刀私室にて-

「だから今日は用事があるんだって」

一刀は声を押し殺し、しかし強い調子で言った。

窓の外には雪が舞い始める。

白蓮はお腹に手を当て、摩るような素振りを見せ、キッと一刀を睨んだ。

「もう料理はできてるんだ。また温め直さないといけないじゃないか」

その言葉を聞き、一刀は黙ったまま白蓮の作った料理に目を向けた。

「……北郷と一緒に食べたいから頑張って作ったんだ……」

狐色に焼かれた鶏肉の湯気が、窓硝子を白く曇らせる。

一刀はその様子に目を向けたまま、重い口を開く。

「……すまん……どうしても外せない用事ができたんだ……」

「……嘘……。また浮気? ……これから誰と会うんだ、北郷!」

「なっ!? いろいろ大変なんだって、こっちも!」

「だからそれを説明しろって言ってるんだ!」

白蓮の気迫に一刀は口ごもる。

「…………お願いだから……自覚を持ってくれ……北郷……」

白蓮は手に、一刀の子供を宿したお腹に当てた手に、力をこめる。

しかし一刀は無視するかのように目を伏せ、そして呟くように言った。

「……天和なら……そんなこと、言わないのに……」

「え……?」

白蓮の眸が不安に揺れる。

「……北郷……まさか……。……北郷!」

「……もういいから帰ってくれ! 正妻面してここに居座らないでくれよ!」

そう言って一刀は部屋から飛び出して行ってしまった。

そして城には、白く冷たい結晶が静かに、しかし確実に積もり始める。

-三刻後・一刀私室にて-

「待ってて、今お茶を淹れるよ」

一刀は天和にそう言うと、奥に備え付けられた簡易の調理場へと入って行った。

薬缶を火にかけると、冷え切っていた室内が徐々に温もりを取り戻し始める。

「ふぅ……」

一刀はため息をつく。

床には、白蓮の手によって作られた料理の冷え切った残骸が散乱している。

「……一緒に食べたいから、か……」

手にした雑巾で床をふき取りながら、一刀はそう呟いた。

コンコンッ!

扉を敲く音がする。

一刀は手を止め、入り口へと足を進めた。途中、さっきまで座っていた椅子に天和がいないことを疑問に思いながら。

すると、「パシンッ」と何か柔らかいものを叩いたような音が聞こえた。

「なんで張角が出てくるんだっ」

一刀は、最初に天和の赤くなった頬を、そして次に天和と対峙していた白蓮に目を向けた。

「……白蓮、どうして!?」

「どうしても何も、何で張角と一緒なんだ!?」

白蓮は天和の顔に指をさす。

そして肩を強く掴み、

「帰って! お願いだからもう北郷に付き纏わないでくれ!」

と、天和に詰め寄った。

「違うんだ白蓮」

そう一刀が止めに入っても、白蓮の剣幕は収まらない。

「何が違うっていうんだ!? 張角とは別れたんじゃなかったのか!? 私に子供ができた途端、今度は私を捨てるって言うのか……北郷っ!」

「……それは……」

一刀が口ごもっていると、白蓮のその勢いは増した。

身を乗り出し、じりじりと一刀に詰め寄る。

「北郷、もう張角のこと好きじゃなかっただろ!? お前から誘ったんじゃないよな……? 張角が何かしたんだろ……?」

一刀は口ごもる。

「…………天和は……何も……」

「嘘っ! 張角が北郷のこと誘ったんだろ!? なぁ、出てってくれ! 出てってくれよっ!」

すると、白蓮に詰め寄られ、沈黙を守っていた天和が口を開いた。

「…………一刀を誘惑したのは、公孫賛さんの方でしょう……?」

「……天和?」

驚きの表情を見せる白蓮に向き直り、天和はしっかりとした口調で告げる。

「私と一刀を引き離そうとしてあんなことを……」

「違う! 私と北郷は愛し合って……っ! 二人の気持ちが一緒だからって」

白蓮は天和の言葉を否定するように首を横に振った。

しかし天和は。

「そう思いたかったんでしょう?」

「え……?」

「劉備さんも、本当は公孫賛さんに頼まれたんでしょう?」

天和は、裏庭で一刀と桃香が口付けをしていた様子を思い出しながらそう言った。

しかし白蓮は、天和の口から出た意外な名前に驚愕の表情を浮かべている。

「……桃香? 桃香がどうかしたのか!? ……頼まれたって……何を?」

「……そう、知らなかったのね、公孫賛さん」

「え? 何……?」

白蓮は不安と動揺に眸を揺らす。

そして天和の、

「劉備さんも、一刀のこと、好きだったんだよ」

という発言を聞き、思考が完全に停止してしまった。

そんな白蓮の様子を見て、天和は納得するように続ける。

「あれは、私に諦めさせようとしたんじゃなくて、劉備さんの本当の気持ちだったんだね……」

「い、いいかげんなこと言うなよ! 桃香は私の……し、親友なんだっ」

白蓮は天和の言葉を一生懸命に否定しようとする。

しかし天和は、

「私、こう見えても寛容だから、そのくらい許してあげる。それに、わかったんだ。一刀はずっと私のそばにいてくれたって。……だから、もう迷わない」

そう言って一刀の方に顔を向け、ゆっくりと眸を閉じた。

そして一刀も天和を抱き寄せ、その唇に自分の唇を重ねる。

二人の口付けは石炭の如く内に火を秘め、そして長く心地よい温度が流れているようだった。

だが白蓮は、冷え切った涙が流れる目を蓋いしゃがみこむ。

「……やめてくれ……やめてくれってば!」

そして、白蓮の悲痛な叫びだけが響いた。【続?】


 
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