No.637077

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

圧倒:破壊と蹂躙と応援と

2013-11-15 18:51:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2916   閲覧ユーザー数:1030

-ドゴォォォォンッ!!-

 

「ガッハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

「ぬぉっとと、危ない危ない」

 

通路の床を破壊し、ガルムとNo.88の二人が下の階へと移動する。No.88が豪快に着地するのに対し、ガルムは気楽そうに床へ着地する。

 

「危なっかしい事するな、お前さん」

 

「はん、今更何言ってやがる? 警備の者が侵入者を排除すんのは当たり前だろうがよ」

 

「まぁ、それは確かにそうだが……ん?」

 

ガルムはある事に気付く。

 

「…竜神丸の奴、先に行きやがったな」

 

現在この場にいるのはガルムとNo.88の二人だけ。いつの間にか、竜神丸が姿を消しているのだ。

 

「あぁ? 一人いねぇな……まぁ良い。俺が殺らずとも、No.91が勝手に殺してるだろうな」

 

「No.91? お前以外にも実験体がいるのか?」

 

「あぁそうさ。最近どっかの世界から誘拐されてきた雌ガキを利用したんだとよ。人格自体は封じられてるみたいだがなぁ」

 

(誘拐されてきた? おいおい、ディアーリーズがキレるだろそりゃあ…)

 

「余所見してんじゃねぇ!!」

 

「おっと」

 

No.88の振るってきた右腕の巨大アームを、ガルムは身体を後方に逸らして上手く回避する。

 

「とにかくだ!! テメェ等侵入者をこのまま生かしておく訳にゃいかねぇもんでなぁ、ここで大人しく死んでくれやぁ!!!」

 

「はん、殺せるもんなら殺してみろっての」

 

そう言いつつ、ガルムはNo.88の攻撃を回避し続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、上手くいったようですね」

 

ガルムがNo.88と対峙している一方、竜神丸は最奥部まで辿り着こうとしていた。戦うのが面倒という単純な理由から、ガルムにNo.88の相手を押し付けたようだ。

 

「それでは……ほっと」

 

-ズギャンッ!!-

 

「「「「「!?」」」」」

 

閉まっている自動ドアを蹴りの一撃で破壊し、部屋へと侵入する。

 

「し、侵入者だと!? 馬鹿な、No.88はどうした!!」

 

「さっきの実験体なら、私の仲間に押し付けてきました。ここへは情報収集の為にやって来ました」

 

「情報収集だと……ク、クククク」

 

「?」

 

班長が不敵に笑い、竜神丸は頭にクエスチョンマークを浮かべる。

 

「馬鹿め……ここにいるのが、実験体だけだと思うな!!」

 

「何…ッ!!」

 

『『『ピピピピピピ』』』

 

竜神丸の真上から、何機ものアンドロイドが襲い掛かって来た。竜神丸が横へ引くと同時に、竜神丸のいた場所にアンドロイドの撃ったビームが命中する。

 

「これまた用意の良い…」

 

「ハハハハハハハハ!! さぁどうする侵入者、たった一人でこの数を捌き切れるかなぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「断ち切れ、神刃(カミキリ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-シュパパパパパパァンッ!!-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「…は?」」」」」」

 

一瞬だった。

 

竜神丸を囲んでいたアンドロイド達が一斉に真っ二つになり、数秒の内に全滅してしまった。竜神丸の右手にはPSIエネルギーで出来た刀剣“神刃(カミキリ)”が出現しており、恐らくこれで斬ったのだと思われる。

 

「ば、馬鹿な!? 一瞬で全滅だと!?」

 

「大して強度も高くありませんね。もう少しくらい頑丈に作れたでしょうに」

 

こんなアッサリ片付けられるとは思っていなかったのか、班長は先程までの余裕が消え失せ、青ざめた表情になる。

 

「…さて」

 

「ひぃ!?」

 

竜神丸の視線が班長に向けられ、班長は恐怖でその場にへたり込む。

 

「ま、待て、待ってくれ!? 私達が悪かった!!」

 

「まぁ、悪いんでしょうねぇ……私と同じで」

 

「す、好きでやってた訳ではないんだ!! 頼む、命だけはぁ!!」

 

「命だけは、ねぇ……まぁ、私の目的は情報収集だけですし。別に良いんですけど」

 

竜神丸は神刃(カミキリ)を消し、後ろを向く。

 

(よ、よし、そのまま振り向くなよ侵入者め…!!)

 

竜神丸が後ろを向いたのを見た班長はニヤリと下卑た笑みを浮かべ、懐から取り出した拳銃で彼の背中に向ける。

 

(死ね…!!)

 

班長は拳銃の引き金を―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-グシャアッ!!-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――引く事は出来なかった。

 

「おや、お疲れ様ですイワン」

 

転移されたイワンによって、真上から踏み潰されたからだ。踏み潰された班長は人の原型も留めないまま一瞬で絶命し、その返り血がイワンの白いトレンチコートに付着する。

 

「「「「「ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ!?」」」」」

 

班長が潰されてミンチになったのを見て、他の研究員達は部屋から逃げ出そうとする。

 

「あ、言い忘れてました。私は別に殺す気は無いんですが…」

 

竜神丸が指を鳴らすと、部屋の入り口を封じる形で複数のタイラント達が転移される。

 

「「「「「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」」」

 

「どうやら……彼等は逃がす気が無い(・・・・・・・・・・)みたいですよ?」

 

竜神丸がニヤリと笑みを浮かべたのを合図に、タイラント達は一斉に蹂躙を開始した。

 

「ひ、ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

 

「助けて!! お願…嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「やめ…ぐぎゃっ!?」

 

「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

研究員達がタイラント達によって一方的に蹂躙されている中、竜神丸は机のパソコンを操作してデータを閲覧し始める。

 

「ナノマシンによる、肉体と機械の融合ですか……既にテイロスは完成させていますが、一応ここ等のデータも回収するとしましょうかね」

 

竜神丸は取り出したUSBメモリを使い、パソコンに残っているデータの回収に取り掛かる。

 

「む? これは…」

 

竜神丸は部屋にあるモニターに気付く。モニターには、ガルムとNo.88が戦っている映像と、ロキやディアーリーズがNo.91と戦っている映像が映っていた。

 

「ガルムさんはいつも通り、手を抜いているようですね。ロキさん達の方は……ん?」

 

ロキやディアーリーズが戦っている映像を見て、竜神丸はある違和感に気付く。

 

(何故、相手を殺そうとしていない…?)

 

映像を見る限り、ロキとディアーリーズは手加減しながら戦っているのが丸分かりである。二人の本来の実力なら、実験体一人を倒すのにはそれほど手間はかからない筈。

 

そうなると、考えられる可能性は一つ。

 

「…救うつもりなのですか、実験体を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ガルム達のいる地下通路では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェ!! さっきから逃げてんじゃねぇ!!!」

 

「いやいや、そう言われてもねぇ」

 

先程から、ガルムはNo.88の攻撃をヒラリヒラリとかわしてばかりだった。攻撃が当たらずイラついているNo.88が怒鳴るが、ガルムが攻撃態勢に入る様子は無い。

 

(そもそも、今俺が戦っているコイツも実験体なんだよな。俺はともかく、ディアーリーズはこんな奴まで救おうとするのか? いや、もしかしたら竜神丸が許さない可能性もあり得るし…)

 

そんな考え事をしていたその時…

 

「…あ、やべ」

 

「ハッハァッ!!!」

 

考え事をしていた所為で気付けなかったのか、ガルムは後ろの壁にぶつかってしまう。「しまった」と思ったガルムだったが、そんな彼にNo.88が容赦なく右腕のアームを叩きつけ、強力な一撃を加える。

 

「ようやく捕まえたぜ、侵入者ぁ…!!」

 

右腕のアームでガルムの頭を掴み、そのまま持ち上げる。

 

「このまま頭蓋骨を砕いてやる。安心しろよ、一瞬だから楽に死ねるぜぇ?」

 

完全に勝った気でいるNo.88はガルムの頭を掴んだまま、その頭蓋骨を砕く為に掴む力を強め始める。

 

「…はは」

 

「あ?」

 

ガルムが自嘲気味な笑みを浮かべる。

 

「こんな風に追い詰められるとか、俺ダメだわ……本当にダメダメだわ…」

 

「はん、あぁそうさ。余裕なんざぶっこいていやがるから、こうして俺に、惨めに殺される事になっちまうんだよ」

 

「全くだ……こんなんじゃ、早苗に怒られちまう…」

 

「何だ、その早苗ってのはテメェの彼女かぁ? 何だったら、その早苗とかいう女は俺が貰ってやっても良いんだぜぇ? どうせテメェは死ぬんだからなぁ~!!」

 

「…あ?」

 

No.88は高笑いしながらガルムの頭を掴む力を強めていく……ガルムの声が一瞬低くなった事に気付かないまま。

 

「…早苗を、どうすって?」

 

「あぁ? 二度も言わせんな、テメェの彼女は俺が貰ってやるっつってんだよ!! 安心しなぁ、俺が代わりに思う存分可愛がってやっからよぉっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ? 何馬鹿な事ほざいてやがんだゴミが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

ドスの利いた低い声が響き渡り、No.88は一瞬だけ怯む。

 

(何だコイツ、今の寒気は何だ…!?)

 

次の瞬間…

 

 

 

 

 

-グシャバキィッ!!!-

 

 

 

 

 

「な…ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」

 

「ふん」

 

ガルムの頭を掴んでいたアームが、右腕ごと(・・・・)引き千切られた。想像を遥かに絶する痛みにNo.88はのた打ち回り、ガルムは引き千切った右腕のアームをその場にポイと放り捨てる。

 

「始めから期待はしてなかったが、やっぱ実力もこの程度か……弱過ぎるよ本当」

 

「ぬがぁぁぁぁぁ…やってくれやがったなテメェェェェェェェェェェェェェェェッ!!」

 

No.88が力任せに左腕のガトリングを構えるが…

 

-バギャアッ!!-

 

「ッ!?」

 

そのガトリングも、ガルムの振るった拳の一撃で粉々に粉砕される。

 

「ば、馬鹿な!? 何でこんな…」

 

「おいおい、俺がお前みたいな雑魚に殺されるとでも思ったか? 安直だな、普段から能力をセーブして戦ってるに決まってんだろうがよ……それより」

 

ガルムはビームライフルを取り出す。

 

「俺の早苗をどうするっつったっけ? 何だっけ? 確か、俺が代わりに貰ってやるとかほざいてたっけなぁ、どうなんだぁ? ん?」

 

「ま、待ってくれ!! 俺が悪かった!! 許し―――」

 

「誰が許すかよ屑が」

 

No.88の眉間を、何発ものビームが容赦なく撃ち貫く。

 

「俺の身内に手ぇ出してみやがれ。テメェ等管理局、滅ぼすだけなら一分もいらねぇんだよ」

 

床に倒れ伏すNo.88に振り返る事なく、ガルムはビームライフルを下ろしつつ言い放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、地下牢獄フロア…

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドゴォンッ!!-

 

「ぐぅ…!!」

 

「損傷率、35%……戦闘、続行…」

 

ディアーリーズが壁に叩きつけられ、No.91はそんな彼に追い討ちをかけるべく右腕のブレードを振り下ろす。

 

「させるか…ぬぉっ!?」

 

そこへすかさずロキが割って入り、長刀モードのユーズでNo.91の攻撃を受け止める。しかしNo.91はロキの腹部に蹴りを加えて大きく吹っ飛ばし、ロキは床を滑りつつも何とか踏み止まってみせる。

 

(くそ、やっぱり手加減しながらじゃキツいな……何とか、あの子を止める為の策が見つかれば良いんだが…!!)

 

『バディ』

 

その時、ユーズがロキに語りかける。

 

『一通り、あの娘のスキャンが完了しました』

 

「! ユーズ、何か分かったか?」

 

『はい。胸部にある人格制御コア……それを破壊すれば、彼女の動きを止められるかと』

 

「コア……あれか」

 

No.91の胸部に存在する赤いコア。ユーズによると、それを破壊すれば彼女を殺す事なく止められるかも知れないらしい。

 

「可能性はあるって事か…!!」

 

No.91と戦闘中のディアーリーズに加勢すべく、ロキは立ち上がって駆け出そうとする。

 

『『『『ピピピピピピピピ』』』』

 

「ッ!?」

 

しかしロキの目の前に、複数のアンドロイドが出現。一斉にロキに襲い掛かって来た。

 

「くそ、こんな時に…!!」

 

ロキがユーズを構え直し、アンドロイド達を迎え撃とうとした……その時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドゴォォォォォォォォォンッ!!-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

近くの壁が突然破壊され、その余波で何機かのアンドロイドも損壊した。ロキは立ち止まり、何かと思って壁に大きく空いた穴を見据える。

 

「何かよく知らないが、色々とごちゃごちゃしてるな」

 

「ロボットがいっぱいいるが、どうする?」

 

「所詮はポンコツだ。時間をかけず、さっさと破壊するに限る」

 

現れた三人の人物に、ロキは見覚えがあった……いや、あり過ぎた。

 

「アン娘さん!!」

 

「すまないロキ、だいぶ待たせてしまったな」

 

 

 

 

 

 

 

げんぶと支配人、そしてUnknown。

 

三人の応援が駆け付け、戦闘は終幕を迎えようとしていた。

 


 
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